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(前のエントリーの続編のようなものです)

3日のGuardianに、
コスト効率の面から現在のサーバリクスからガーダシルに変更すべきだと説く
BMJ論文が紹介されている ↓

Experts urge cervical cancer vaccine switch
Guardian, August 3, 2011

この記事については、まだちゃんと読んでいないので
また読んでからエントリー立てますが、

最初のあたりのざっと見で、メルクの名前が消え、
Sanofi Psteur MSDがガーダシルの製造元となっているのが目を引いた。

……と、英国での議論かと思いきや、
なんと、日本でもガーダシルが7月の上旬に認可されていました。

(ゲイツ財団から日本にも人が送り込まれてくると、さすがに動きが速くなる?)

で、7月8日に早速、
ワクチン公費助成事業の対象にガーダシルを含めることをめぐる議論が
以下の部会で行われていました。

2011年7月8日 第17回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会


読んでみると、ものすごいことがいっぱい指摘されていて、
わぁ、日本のお医者さんたちって、すっげぇ信頼できるんだぁ、
もう流れが決まっていると分かっていても言うべきことはちゃんと言ってくれる人が
日本にはこんなにいるだぁぁ……と、私は胸が熱くなった。

でも、こうした人たちからの指摘のことごとくが
どう考えても結論ありきの場であることがあまりにも露骨な、
微塵も揺るがない壁のような対応で跳ね返されていく。

以下、私が「うっへぇぇぇぇ」と思った個所を抜いてみると、
(文字数の関係で、2つのエントリーにまたがって抜きます)

○飯沼委員 ちょっとサイエンティフィックなことをお聞きしますが、6頁と19頁をご覧いただきますと、6頁は4つの型の蛋白量が出ていまして、16型が 40マイクロで、18型が20マイクロですよね。19頁を見るとサーバリックスは、それぞれで20マイクロずつになっています。ということは、片方は倍 入っているということですよね。効果としては、比べたブロムが何かありますか。両方がイーブンで、有効だということはわかりますが、たぶん違う蛋白量を 打っているわけで、結果として副作用も含めていいですが、有効性の問題ということで、2つのワクチンに差があるのかどうかの説明をしていただきたいと思い ます。
○加藤部会長 どなたか、お答えになれますか。欧米その他で幅広く使われているワクチンですから、差があるということはあり得ないと思います。蛋白量の違いがありますので、効果に差があるかどうかというご質問だと思います。どうぞ。
○血液対策企画官 医薬食品局のほうからお答えします。この2製品とも薬事法上の承認を受けていまして、有効性、安全性を確認した上で承認しています。先 生のご指摘も、量によって差はあるのかというところですが、いまそちらのデータは持っていませんが、一定の効果はそれぞれ有していると理解しています。
○飯沼委員 蛋白量を倍入れて効果が同じというのは解せないのですが、予防接種というのは少ない蛋白で高い効果を得るという基本的な考え方が大事だと思いますので、40と20の倍の違いで結果が同じというのは、どうしてもよくわかりません。
○加藤部会長 飯沼委員、この部会での議論とちょっとずれています。これは既に承認されていますので、そういうことは議論された上で承認されたとお伺いいただかないとこの議論は進まないと思いますので、議論を変えてください。ほかにご意見をどうぞ。



(私が英米の親たちのHPVワクチンへの不信についてのニュースを読んだ時には
ガーダシルの方が死亡例を含めた副作用件数が多かったような記憶があるんだけど?

ついでに言えば、インターネットの英語圏では
副作用の多さとか売り込みの余りの強引さで信頼をなくして欧米で売り損ねたガーダシルが
途上国マーケットに振り向けられている……という話が流れていたりもする)

○倉田委員 前にも確か発言したと思いますが、日本の子宮頸がんの遺伝子型は随分違いますよね。そこで有効だという書き方が随分ありますが、有効というのは 子宮頸がんにならないという意味で初めて有効と言えるので、これは書きすぎではないか。というのはメーカーの人が入ったシンポジウムのときに、初めて集団 でやってみてからまだ7年だというのです。イギリスが12歳で始めて、まだ19歳なわけです。そうすると、子宮頸がんが大量に発生する世代ではないので す。それから10年、20年が経ったときに出るか、出ないか。それをいま「有効である」という書き方をすることは、私はちょっと。「期待できる」ぐらいの はまだいいとして、ウイルスの感染症で抗体があれば有効かというのは。随分違った感染症がたくさんありますから、そこのところはそれでいいかどうかという のが1つ。日本のものについて、一言ぐらい、日本でドミナントのタイプのものに関して開発を推進すべきであるというようなことが、一言ぐらいあってもいい のではないか。みなさん無邪気に万歳しているようだけれども、これはあと20~30年ぐらいしないと、有効かどうかは全くわからないですよ。メーカーの人 も、何十年経って有効だということは、どなたも全く保証していませんよ。そこのところの書き方を気をつけたほうがいいと思います。
○加藤部会長 ありがとうございます。それはサーバリックスでも結局同じということですよね。
○倉田委員 全部同じです。

○岩本委員 今回の子宮頸がん等の接種緊急促進事業ということでわかりますが、片方は4つにパピローマウイルスを含んでいて、2つは良性腫瘍ですよね。それ が市場で両方出回ったときに、尖圭コンジローマになった患者が将来、「私はワクチンを打った」という証明はたぶん残らないですよね。その辺の混乱というの を予め考えておかなくてよろしいのですか。考えておかなくてというか、この部会で議論することではないかもしれませんが。
○加藤部会長 この部会で議論することではありません。ほかにどうぞ。



(効果が確かでないだけでなく、ワクチンが原因で将来的に病変が起きたとしても、
それがHPVワクチンを打ったためだとの因果関係を証明する手段はない、ということ? 
そして、そんな重大な事実が指摘されているというのに、
「この部会で議論することではありません」で終わり……ということ?)


(次のエントリーに続く)
2011.08.06 / Top↑
昨日の朝日新聞朝刊に「子宮頸がん制圧を目指す専門家会議」なる団体から
「今、子宮頸がんは自分で予防する時代です。」という大きなタイトルを冠した
全面広告が出ていて、2つばかり、非常に気になる点があった。

専門家会議のHPに、その広告のPDFがあります ↓
http://www.cczeropro.jp/assets/files/asahi_15d.pdf

① まず、小見出しで
「国がワクチンを推奨。安心して接種を」と書かれている個所で、
自治医科大学付属さいたま医療センター産婦人科教授の今野良氏が
「多くの先進国が国策として」HPVワクチン事業をやっていると述べ、
続いて、横浜市立大学付属病院科学療法センター長の宮城悦子氏が
日本でも公費助成が行われて「国がワクチンを推奨しているのです」。

国が推奨していることがHPVワクチンの効果や安全性の根拠のように言われている。

でも、その国策が、以下のエントリーでみたように
保健施策としてよりも経済・産業新興施策としての性格の方が強いものであるとしたら、
「国が推奨している以上、効果も安全性も保障されている」と言えるんだろうか?

日本の「ワクチン産業ビジョンの要点」の怪(2011/3/8)


② 上記の個所にそのまま続く今野氏の発言の最後に、

子宮頸がん予防ワクチンということで、特別なワクチンと考えられがちですが、基本的には他のワクチンと変わるところはありません。思春期の多感な女子への接種なので、緊張のあまりドキドキして失神する方もいますが、10万人当たり3人程度の頻度です。

ぱぱぱっと頭に浮かんだ疑問は

・ここには副作用という言葉は全く使われていないのだけれど、
これは、しかし文脈からしても、副作用についての説明に当たるはずであり、
それなら「副作用」という言葉をきちんと使って説明すべきではないのか。

・今年1月のエントリーに挙げた朝日の記事でも、
HPVワクチンの副作用として発熱と失神が挙げられているし、
海外のニュースを読んだ中でも、失神は「副作用」として語られていたと思う。

・これを機に、ネットでサーバリックスの添付文書を確認してみたら
「その他の副反応」の表の「頻度不明」の欄に「失神・血管迷走神経反応」とあるので、
失神がいわゆる副作用(副反応)として認識されていることは間違いないと思う。

・「副作用」「副反応」であるという場合、
失神の誘因はワクチンにあることになるのだけれど、
今野氏の表現では、失神の誘因が接種を受ける女児の側にあることにならないか?
これは軽々に見過ごせない違いでは?

・今野氏の言うように、HPVワクチンで多発している失神が
接種を受ける女児が「緊張のあまりドキドキ」することによるものに過ぎないという
科学的エビデンスはあるのか?

・もしもエビデンスもなく「失神はワクチンによる副作用ではなく、
女児の側の緊張が引き起こすもの」との趣旨の発言によって
HPVワクチンの安全性が説かれるとしたら
それは「正しい情報の提供」と言えるのか?

・HPVワクチンを推進する専門家会議の「専門家」が
このような説明をすることについて、現場の医師はどのように感じるのだろう?

・新聞に全面広告を打つほどの「子宮頸がん制圧を目指す専門家会議」の資金力って――?
(専門家会議のHPで探してみましたが、活動資金についての説明は皆無)



このエントリーを書くに当たっての検索で、
思いがけない事実を知りました。

どうやら、米国でPHVワクチンのマーケティング競争で
余りにも強引でエゲツナイ売り込み作戦と安全性への疑念から
ライバルのGSKに後れを取ったメルク社が巻き返しに出ている?

しかも、日本でも認可され、
公費助成の対象とする過程での厚労省の当該部会での”議論”が、これまた……。

これについては、次のエントリーで。


【関連エントリー】
リスクの“リ”の字もなく“黄金時代”に沸くワクチン開発記事(2009/11/19)
「これからはワクチンが儲かりまっせぇ」の陰には、やっぱりゲイツ財団が……(2009/11/20)
「米国のワクチン不信と、そこから見えてくるもの」を書きました(2010/7/5)

「HPVワクチン」検索結果の怪(2008/9/2)
朝日のワクチン記事にも「米国では」の印籠(2009/8/8)

CDCが11,12歳に髄膜炎、百日咳、子宮がんのワクチン接種を呼びかけ(2008/9/2)
英国でHPVワクチン義務化、親の反発必至(2008/9/5)
今度は乳がん予防のワクチンだと(2008/9/15)
ノーベル賞選考過程にHPVワクチン特許持つアストラゼネカ関与の疑惑(2008/12/18)
CA州で女児4人に1人がHPVワクチンを接種(2009/2/21)
HPVワクチン普及目的で保健当局が学校に女児の個人情報を要求(NZ)(2009/4/3)
3医学会がHPVワクチン製造元の資金で学会員にワクチンを推奨(2009/8/19)
2009年8月21日の補遺(Washington DCの学校で事実上義務化との情報あり)
HPVワクチン接種後に13歳女児が死亡(英)(2009/9/29)
2009年12月24日の補遺(CDC前センター長がMerk社のワクチン部門責任者として天下り)
2011.08.06 / Top↑
昨日の補遺で拾ったカナダの死ぬ権利訴訟で、Gloria Taylorさん(英国のDebbie Purdyさんのような合法化ロビーの広告塔になりそうな人)の訴訟は時間が大事なのは分かっているからペースアップで、と裁判官。
http://www.vancouverobserver.com/city/2011/08/03/bc-judge-orders-fast-trial-woman-challenging-laws-against-assisted-suicide

久しく名前を見ないと思ったら、オーストラリアのDr. Deathは毒物の入手経路を探すのに忙しかったみたい。法律の穴を見つけてオーストラリアにnembutalを持ちこむことに成功したので、これからさらに6人の自殺を幇助すると予告。
http://www.nationalrighttolifenews.org/news/2011/08/nitschke-announces-to-the-media-his-latest-scheme-to-help-more-australians-kill-themselves/

今週火曜日にNZで高齢夫婦が自宅で死んでいるのが見つかり、一人は明らかに自殺幇助だという話だったのだけど、夫婦共にExit Internationalの地元支部の会員だったとのこと。
http://www.stuff.co.nz/nelson-mail/news/5388185/Couple-were-part-of-euthanasia-group

オーストラリア政府から全国介護者戦略。:オーストラリアの介護者支援は2009年から大きく動いてきた。去年12月にちょっとだけこちらに書いた。
http://www.psnews.com.au/Page_psn276f6.html

オーストラリア、クイーンズランドの介護者支援記事。
http://www.abc.net.au/local/stories/2011/08/04/3285601.htm

米国の介護サイトに「日本では介護ロボットが介護施設入所者の身守りとトランスファーを」と。:まるで中国の高速鉄道のような時期尚早・安全無視の国際的な売り込み作戦では?
http://www.mcknights.com/caregiving-robots-could-soon-monitor-and-lift-long-term-care-residents-in-japan/article/208948/

昨日、某MLでロボトミーが話題になっていたと思ったら、日本の研究者が「脳に電流、アルツハイマー病に有効」だと。日本語記事。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110803-00000504-yom-sci

ウツ病遺伝子をチェックして、予防すれば危険な行動を減らせる。:これからの予防医学はビッグ・ファーマからバイオ企業にシフトしていく予感はあったけど、それにしてもウツ病の遺伝子診断による予防って、レッテル貼りで無用なうつ病を作らないんだろうか? ウツ病の原因は遺伝子だけだとでも? 遺伝子決定説って、まだこんなにも根強い。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/232155.php

ダウン症候群の知的障害の治療薬、有望?
http://www.medicalnewstoday.com/releases/232156.php

新世代抗ウツ薬は高齢者には脳卒中、転倒、てんかんのリスクを高め、危険。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/232134.php

米で緊急避妊薬(モーニング・アフター・ピル)の偽薬が出回っていると、FDAが警告。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/232214.php
2011.08.04 / Top↑
英国で2人の共に50代の女性の栄養と水分の中止が問題になっている。

片方の女性は54歳で2009年に倒れて以来、永続的植物状態にある。
NHSトラストが中止を要求、家族も支持している。

植物状態の患者の水分と栄養の停止を本人の最善の利益と認めた
1993年のTony Bland判決基準に基づき、既にロンドンの保護裁判所が中止を認めた。

これにより、この女性は
英国で裁判所の決定を受けて栄養と水分の停止により死ぬ44番目の人となる。

もう一人の女性Mさんは最少意識状態(MCS)で、
裁判所は決定を9月まで先伸ばし。

この決定が万が一にも、Mさんの栄養と水分の停止を認めるものであった場合には
Bland判決をさらに推し進めるものとなると、この記事は警告している。

また、
栄養と水分の供給を医療であるとする点、
殺すことが本人の最善の利益とする点、
永続的植物状態の人への栄養と水分は「無益」とする点の
3点について、この記事はBland判決そのものが誤りであると主張する。

Bland判決は2005年にMCAができてからはMCAの基準とされているが、
04年から05年にかけてのMCA起草時には
安楽死ロビー(現在のDignity in Dying)が関与し、
その文言にも大きな影響を及ぼしており、
栄養と水分は医療だとか、死ぬことが「無益ないのち」を避け
「最善の利益」になるといった考え方は彼らがMCAに盛り込んだものだ、とも。

もう1つこの記事で興味深いこととして、
これまた、よく耳にするHelga Kuhseの1984年9月の
フランスでの死ぬ権利世界連盟の第5回会議での発言が引用されており、

If we can get people to accept the removal of all treatment and care – especially the removal of food and fluids – they will see what a painful way this is to die, and then, in the patient’s best interests, they will accept the lethal injection.’



要するに、
栄養と水分の停止による餓死だと患者は苦しむから
その苦しみを患者に与えないためには、
栄養と水分の停止という消極的な安楽死ではなく
むしろ積極的な安楽死の方が患者の最善の利益にかなう、という話になる、と。

この記事が最も懸念しているのも、
1980年代当時ほどにはあからさまに語られることはないが
栄養と水分の無益な治療としての停止が慣行化していくことは
将来の強制的安楽死への布石だ、と。

で、Bland判決基準を覆すこと、MCAの改定を求めている。

TWO WOMEN IN THEIR 50S WITH SERIOUS BAIN DAMAGE WHOSE RELATIVES WANT THEM DEAD. ONE JUDGE HAS SAID ‘YES’ BUT THE OTHER IS STILL THINKING
National Right to Life News Today, August 2, 2011


まず書いておきたいこととして、
このサイトが懸念している「消極的安楽死は苦しいから
積極的安楽死の方が本人利益」という理屈は
既に、あのサヴレスキュの「臓器提供安楽死」で
その正当化の論拠の1つに用いられている。

(それは消極的安楽死での緩和ケアの問題なので全然正当化になっていないし、
こんな理屈をこねまわすサヴレスキュはアタマが悪いか
読者をナメているかのどっちかだと私は思うけど)


なお、Tony Blandは、
1989年に起きた英国のサッカー史上最大の事故と言われる
ヒルズボロの悲劇の犠牲者の一人。当時18歳。

植物状態となり、医師らと親の訴えを受けて、
裁判所が栄養と水分の中止を本人の最善の利益と認めた。
1993年3月3日に22歳で死去。

Tony BlandのWikipediaはこちら

Wikipediaはかなり詳細なので、後半は読んでいません。
改めて気合を入れて読みたいと思いますが、今の段階では
Bland判決というのは、だいたい米国のクルーザン判決に当たるものか、と
そんな程度のなんとも雑駁な理解で。

ただ、Bland判決の3基準というのは
この記事で漠然とは分かる気がするものの
それでもやはり裁判所の判断を仰ぐ必要はあると書かれている点が、

昨日のエントリーで触れた
「英国では医療職が無益と考える治療を提供する義務はない」という話と
どう結びついているのか、というのが大きな疑問。

けど、疑問が大きすぎて、すぐにどうにかしようという気になれないし
私は別に学者でも研究者でもないし、面倒なので、

Wikipediaをちゃんと読みこめば、その辺りのことも書かれているような気はするのだけど、
どうしても知りたくなる時まで、疑問のまま放っておくことにする。
2011.08.04 / Top↑
2008年にワシントンDCで
障害者ケアの事業所の資金繰りが悪化して
閉鎖に追い込まれるグループホームが相次ぎ、問題になった。

ところが、調べてみたら、
トップが法外な給料を取っていることが判明した……というお粗末があった ↓

DCで障害者入所施設の事業者が相次いで撤退(2008/7/7)
障害者ケア事業所「トップが給料取り過ぎ」(2008/7/11)


今回、NY州でも
障害児・者ケア事業所トップによる
メディケイドからのぼったくりの実態が明らかに。

障害児・者のケアに今年度100億ドルを投入しているNY州で
多くのグループ・ホーム、障害児学校、デイケア、移動サービスを運営する最大の事業所、
the Young Adult Institute Networkの経営者Levys 兄弟がとっていた給料は、
それぞれ年間100万ドル以上と916,647ドル。
他の幹部2人も、それぞれ551,682ドルと578,938ドル。

ちなみに、NYの同規模のNPOのトップの平均給与は
493,000ドルだとか(それもすごいけど)。

Levys兄弟は、それ以外にも、
グループの提携事業所からも年間5万ドルに及ぶ顧問料を受け取っていたほか、
それぞれYoung Adult Institute Networkの費用で高級車を乗り回し、
兄弟の片方の娘がNY大学の大学院在学中の学費ばかりか、
在学中に住むためのマンションの購入費用まで
メディケイドにツケ回していた。

他にも幹部の子ども3人の学費が事業所にツケ回されていた。
総額は132,611ドル。

こうしたNPOの運営資金の95%はメディケイドを含む公費から出ているが、
もともとNPO事業所からメディケイドへの追加請求は審査が緩く、
損失が出たことを訴えれば支払いが受けられる。
例えばYAINが去年、1つのGH(入所者28名)について
メディケイドに追加請求したのは100万ドルで
入所者1人に1日700ドルが追加支給されたことになる。

このLevys兄弟、1970年代にはパッとしないソーシャル・ワーカーだった。

転機が訪れたのは、1972年のWillowbrook州立学校のスキャンダル。
同校はStaten島にあった収容型の障害児学校。
4000人定員のところに6000人詰め込み、その酷いネグレクトの惨状を
ジャーナリストが潜入報道で暴いて社会に大きな衝撃を与えた。

(このスキャンダルについては前に調べたことがあるので、
どこかのエントリーにあるはずなのだけど探しきれない。
英語のWikipediaはこちら)

親たちが起こした訴訟で、裁判所が州に対して、
子どもたちを地域のグループ・ホームに住まわせるように命じたことから、
NY州は資金を投入して76年から79年にかけて100以上のGHを作る。
その運営の担い手として俄かに浮上してきたのが民間のNPOだった。

Levys兄弟はこの社会的なGH急増の波に乗った、というわけ。

とはいえ、当初のYoung Adult Institute Networkの理事会には保護者が多く、
小規模にとどまって丁寧なケアを、との方針だったという。
徐々に、理事会から保護者が減らされ業界の専門家が多数を占めていくにつれ
大規模化、多角化に方針が変わっていく。

そこで政治力を駆使したロビー活動や
医療職を巻き込んで専門的ノウハウをウリにする戦略、
資金集め専門のスタッフの常設など、
経営者として手腕をふるったのがLevys兄弟だった。

大規模事業所として急成長すると同時に、
YAINは業界でも大きな影響力を持つようになり、
州の障害児施策や助成金獲得などにも
強力な発言権を握っていく。

上記以外にも、現場担当者の資格を偽るわ、
資金集めスタッフを“俄か経営陣”として申請するわ、の
YAINの不適切なメディケイド請求の実態は当局も把握しながら
これまでほとんど形式的な指導に終わってきた背景には
業界最大手の持つ強大な影響力があるものと思われ、

2009年にやっと不正請求で訴追したものの
単なる手続き上のミスとして1800万ドルで和解。

今回の報道を受けてやっと重い腰を挙げた州当局がYAINに送った手紙も、
「高級幹部の報酬について一貫性のある合理的なモデル作成」に“協力を求める”ものだとか。

NYTがこの実態を報じた後、Levys兄弟は突然に「引退」。
これまでため込んだ資金で次の事業に打って出ようとしているらしい。

が、YAINでは、
高報酬は優秀なスタッフに働き続けてもらうための手段だと説明。
保護者らの中からも、いいスタッフでいいケアが行われている、満足だとの声も。

Reaping Millions in Nonprofit Care for Disabled
NYT, August 2, 2011


いくつかのことを頭に浮かべながら長い記事を読んだ。

まず、日本でも、障害者支援に限らず介護保険でも、
小規模な事業所は経営が成り立たなくて、
大規模なところしか生き残れないようになりつつあるみたいなので、
規模は違うにしても、似たような構図になっていく懸念はあるんじゃないか、というのと、

(三好春樹さんが「こんにちはぁ、コムスンです」とは何事か、
ヘルパーは人として人と向き合うんだ、「こんにちはぁ、佐藤です」と
名を名乗れ、と怒っていたけど、あれは本当に象徴的な指摘だったと思う)

「民間にできることは民間に」と言われ、
競争原理で民間の活力を注入することがサービスの質を上げるのだと
散々言われたけれど、そこで必然的に起こってくるのは
やっぱり、こういう大手の一人勝ち状態と、
その不正の温床化、行政との馴れ合いなのでは、ということと、

それでも、こうした不正の実態があぶり出される時には
その議論が向かう先は、不正をただして子どもたちを守る方向に行くのではなく、
こういう不正があって血税が無駄にされている、けしからんから
予算をカットしようという方向に話が向かうのでは、との懸念と、

それにしても、やっぱり
米国の障害者福祉はひどい、ひどいと言われつつも
それでも日本よりはベースラインははるかに高いんだなぁ、という感想と、
(詳細は文末にリンク)

最後に、
立場の弱い者のアドボケイトを表看板に、
「弱いものを守るために」使われたり集まったりするカネによって肥え太った人が、
いつのまにか官が気をかねるほどの大きな権力を身につけていく……という構図は、
誰かの周りで起きているグローバルな現象のミニチュア版みたいだ、ということと。



【英国のベースラインについて具体的な情報を含んでいるエントリー】
レスパイト増を断れた重症児の母の嘆きの書き込みがネット世論動かす(英)(2011/1/21)
介護者の10の心得 by the Royal Princess Trust for Cares(2011/5/12)
英国の障害者らが介護サービス削減に抗議して訴訟、大規模デモ(2011/5/11)

【米国のベースラインについて具体的な情報を含んでいるエントリー】
Ashleyケース、やはり支援不足とは無関係かも(2008/12/8)
Obama大統領、在宅生活支援でスタンスを微調整?(2009/6/25)
米国IDEAが保障する重症重複障害児の教育、ベースラインはこんなに高い(2010/6/22)
2011.08.04 / Top↑
英国で50代の女性2人について、それぞれの家族から栄養と水分の引き上げを求めて起こされていた訴訟で、永続的植物状態の女性については裁判所が家族の訴えを認めたが、最少意識状態の女性については9月まで判断を持ち越し。ここには、よく引き合いに出されるTony Bland事件の判例が関わっているらしく、重要な記事。読んだのは読んだけど、もう一度ちゃんと読みこみたい。特に気になる点として、英国の後見法であるMCAの起草に安楽死合法化ロビーが関与していた、という意味の記述がある。
http://www.nationalrighttolifenews.org/news/2011/08/two-women-in-their-50s-with-serious-brain-damage-whose-relatives-want-them-dead-one-judge-has-said-%E2%80%98yes%E2%80%99-but-the-other-is-still-thinking-why/

1日の補遺で第一報を拾った、カナダの最高裁に死ぬ権利要求し法改正求めるthe Farewell Foundation for the Right to Die の訴訟に関する記事が、その後も非常に多数出ているので、いくつか拾っておく。
http://www.vancouversun.com/news/Westminster+right+group+begins+court+challenge+prohibiting+assisted/5194112/story.html
http://www.cbc.ca/news/health/story/2011/08/02/bc-assisted-suicide-lawsuit.html
http://www.ctv.ca/CTVNews/Canada/20110802/farewell-foundation-court-case-110802/
http://www.upi.com/Top_News/World-News/2011/08/02/Canada-again-debates-assisted-suicide/UPI-50381312299658/

この訴訟、何年もかかりそうだ、との声。
http://www.torontosun.com/2011/08/02/right-to-die-challenge-could-take-years-group-says

上記訴訟の原告団の一人Gloria Taylorさんの訴訟でも、早く進行してくれと弁護士が要求。Taylorさん、英国でDebbie Purdyさんが演じた役どころになりそう? ALS患者さん。
http://www.winnipegfreepress.com/breakingnews/126594608.html
http://www.thestar.com/news/canada/article/1033721--fast-track-my-right-to-die-lawsuit-dying-woman-asks-court

英国の地方自治体の予算カットで、障害者や高齢者チャリティはサバイバルに必死。
http://www.guardian.co.uk/society/2011/aug/02/charities-fight-survival-funds-slashed?CMP=EMCGT_020811&

スペインのサッカー・チーム、バルセロナがゲイツ財団と提携。ポリオ撲滅とワクチン普及で3年間、広告塔に(という表現はもちろん記事ではされていないけど)。:サッカー通の知り合いの情報では、バルセロナは唯一スポンサーを持たないチームで、ユニフォームの提供はユニセフだとのこと。なるほど~、ユニセフ繋がりでしたかぁ。
http://accra-mail.com/index.php?option=com_content&view=article&id=39204:barcelona-and-gates-foundation-announce-partnership-on-polio-and-vaccines&catid=84:sports&Itemid=214
2011.08.04 / Top↑
家族に断りもなく病院が勝手にDNR(蘇生無用)指定にしていたといえば、
カナダのAnnie Farlow事件(2005年に死亡。訴訟は2009年)が思いだされますが、

以下の記事によると、英国では
病院側がDNR指定をするさいに家族への通知は無用とされているとのこと。


今年1月にSunderland Royal Hospitalで
肺炎で亡くなったのは28歳の脳性まひ男性、Carl Winspearさん。

両親が、病院側の対応を不服として地元の国会議員に訴え、
議員が病院幹部に手紙を書いた。

病院の広報官によると、
1月2日、3日にカールさんを担当した医師が
3日の3時に心肺蘇生無用(DNACPR)指定を行ったことを確認。

その判断理由は
心肺停止が起こったとしても、蘇生は成功しないと思われ、
CPRは患者に害をもたらす可能性のある措置で、
近親者が望まない形の死に終る可能性もあるため、
蘇生は患者の最善の利益にならないと判断した、というもの。

DNR指定の際に医療職には家族への通知は求められていないが
カールさんのDNR指定の際、カルテには
「明朝、家族と話し合うこと」と書かれている。

「この話し合いは実際に行われ、
それによってDNACPR指定は取り消されたので
カルテにそのように記録されました」と病院広報官。


ただし、家族が問題にしているのはDNR指定そのものではない。
その点は「蘇生しても無理な状態だったからだと理解している」。

問題にしているのは、
いかに夜中とはいえ重要なことなのに家族に知らせなかったことであり、

母親は「カールは自分で意思表示ができない子なので、
28年間ずっと私が本人に代わって意思決定してきました。
あの晩、その決定が私から奪われたのです」と

親の代理決定権が尊重されなかったことを問題にし、
DNR指定の際には家族に知らせるよう法律を変えるべきだ、と訴えている。

Family wants law changed after Sunderland man’s death
Sunderland Echo, August 3, 2011


いくつか釈然としないのは、

午前3時にDNR指定にしたため
家族を起こすのに忍びなくて翌朝知らせたというけど、

朝までの間に蘇生が必要となるような急変が予想される事態なら
当然、家族には連絡が行くんじゃないかと思うので、午前3時の段階で
カールさんがそれほど切迫した状態だったとは思えない。

① それなら、なにも午前3時に指定しなくても、
翌朝まで待って、家族と話し合ったうえで指定したってよかったのでは?

② それほど切迫した状態でなかったとしたら、
なぜ「心肺停止になっても蘇生は成功しない」と判断できるのだろう?

③ 肺炎で全く同じ身体状態にある、障害のない患者であれば
DNR指定にはならなかった……という可能性は?


英国の無益な治療事件といえば、2009年のBaby RB事件があります。↓
QOL低すぎると障害乳児の生命維持停止求め「無益な治療」訴訟(英)(2009/11/6)


なお、最近どこかで
「英国では医療職が無益と考える治療は行う義務はないとする法律がある」と
読んだ記憶があって、これは要確認情報だと思いつつ、まだ手がついていませんが、

この記事の、
DNR指定を家族に通知することは求められていない、との記述と合致します。

たぶん、いま少しずつ読んでいる Quelletteの著書ではなかったかと思うのですが、
またいずれ確認できたら、改めて。
2011.08.04 / Top↑
自殺幇助合法化ロビーが英国でまた意識調査。

4分の3の人が
ターミナルな状態の人には医師による自殺幇助の権利が認められるべきだ、とする一方で、

障害のある人に同じ権利が認められるべきだと考える人は
3分の1にとどまった、と。

調査を依頼した Dignity in Dying の幹部は
この違いを尊重しつつ法改正を行うべきだと主張。

The Care Not Killing Alliance からは
「合法化ロビーの調査は
『ターミナル』についても『障害がある人』についても、
これまで一度として、きっちり定義したことがない」との批判。

Assisted dying poll shows support for change in lawa
The Guardian, August 2, 2011


だいたい、6月にBBCが華々しい前宣伝と共に
有名なホテル王のDignitas死に同行取材した番組を作り、
死の場面まで放送して論議を巻き起こしたばかり。

6月にホテル王のDignitas死場面をBBCが放送(2011/7/30)


英国では、BBCを含めた合法化ロビーがこうして
大きな話題づくりを行うたびに、必ずその直後に
世論調査が行われてきた。ミエミエ。

英国の自殺幇助合法化議論を追いかけていると、
世論というものは政治的に作られていくものなんだということがよく分かる。
2011.08.03 / Top↑
撲滅のためのワクチン開発にゲイツ財団が
10憶ドルの資金をつぎ込んでいるマラリアに関して、

アフリカの角と呼ばれる地域のエリトリアでは、
過去10年間にマラリアによる死亡率を80%も減じた実績がある。

これはマラリア死予防では
人類史上、最も大きなブレークスルーだといってもよい偉業。

エリトリアの保健省が行ったのは、まず、
マラリア発生地帯の全世帯に殺虫剤を塗布した蚊帳を無料配布し、
さらに3カ月毎に再塗布するプログラムを実施。

次に、コミュニティごとに診療所を設けて
住民が無料で血液検査を受けられる仕組みを整えた。
これによりマラリア感染の有無、感染者のマラリア・タイプが
容易に掴めるようになった。

3つ目として、
くぼみを埋めたり、殺虫剤を塗布するなど蚊の発生しやすい場所に手当を行った。

こんなふうに、
エリトリアでのマラリア死撲滅は
昔ながらの、ごく当たり前の公衆衛生施策によって達成された。

しかし、この偉業は先進諸国で一切報道されることがない。

ビル・ゲイツがマラリア撲滅に向けたワクチン開発にカネを投じるというニュースは
トップニュースとして世界中を駆け巡るのに、

実際に8割も死亡率を下げたエリトリアの歴史的偉業は
なぜどこにも知らされることがないのか?

それは、エリトリアの保健施策では
ビッグ・ファーマに巨額の儲けが転がりこまないからではないのか?

マラリアの原因となる寄生虫は
薬物への耐性を素早く身につけることで知られ、
これまでの30年間に誰もワクチン研究に成功していないし、
仮に今後ビッグ・ファーマが何らかのワクチンを作ることが出来たとしても、
マラリアの方はまたすぐに耐性を身につけていく。

アフリカの貧しい国々は、そうして何年かごとに
新たに開発された“マラリア・ワクチン”を買わされるハメになるのか。

ビル・ゲイツの”善意の拠出金”は
アフリカだけでも次々に開発されるワクチン販売を通じて何百万ドルというカネを生み、
ビッグ・ファーマの株主であるビル・ゲイツの懐には
アフリカ人の血を吸ったカネが絶え間なく流れ込んでいく。

つまり、ビル・ゲイツの「慈善事業」とは
結局、アフリカの人々をマラリア薬の中毒にしていくプログラム。

ゲイツがマラリア・ワクチンの開発に投じてきたカネの一部でも、
エリトリア方式の保健施策の普及に回されれば、
これまでにもどれだけ多くの人命が救われたか分からない。

ビル・ゲイツは別に善人をやって大富豪になったわけじゃない。
ゲイツや彼のような人間は、アフリカで何百万もの人が死んでいようと意に介することなく、
慈善を装った自分たちの投資が膨らんで戻ってくるのを、ふんぞり返って待っている。

この世の中では、そうした悪しき行いは罰せられることなく通って行くのだ。
国連がまたエリトリアに制裁を行い、エリトリアの民を傷つけようとしているように。


Bill Gates and His $10 Billion Vaccine Scam
Sri Lanka Guardian, August 1, 2011


Sri Lanka Guardianという新聞があるんですね。知りませんでした。

記事の著者は、the Horn of Afria 地域で唯一の西側フリー・ジャーナリストで
Eritrea在住の Thomas C. Mountain氏。

この人が言っていることは、
ゲイツ財団が世界中に経済施策としてしかけている「ワクチンの10年」に関して
当ブログが推論し、懸念し、指摘し続けていることと、まったく同じ。

そして、恐らくは、Ashley事件や介護ロボットなど
「科学とテクノで簡単解決バンザイ文化」の背景にある利権構造とも同じ。

そうして、廻り回ったカネで肥え太ったビル・ゲイツは
今ではアメリカ国家以上の金持ちに――。

「ワクチンの10年」に群がる各国の経済施策が吐き出すカネを回し吸収して、
ゲイツ氏個人の資産もゲイツ財団も、日々刻々と、
さらに急激に膨らみつつあるのだろうと想像すると、
私は、ものすごく恐ろしい。

なぜ誰もこれを恐ろしいと感じないのだろう、と不思議でならず、
その事態がまた、なおのこと恐ろしい。

それだけではない。

ウォーレン・バフェットら世界中のスーパー・リッチが
Giving Pledgeキャンペーンなど相変わらず「慈善」の表看板で
富をゲイツ財団に結集している。

それは恐らく、彼らにすれば、
どんな国家も国際組織も太刀打ちできないほどの、
世界中に怖いものなし、やりたい放題のグローバル支配に向けた
スーパー・リッチたちの「投資」ではないのか――?

これらの動きを表だって警告するものはどこにもいない。
世界中のメディアが既に彼らのコントロール下にあるからなのだろう。

だから、エリトリアから
こうして声を上げるのもフリーのジャーナリスト。

そういえば日本の原発事故でも、
早くから声を上げ本当のことを言ったのは
フリーのジャーナリストたちだった。



【関連エントリー(それぞれの文末にも、さらにリンクあります)】
ゲイツ財団がコークとマックに投資することの怪、そこから見えてくるもの(2011/3/9)
ゲイツ財団はやっぱりビッグ・ファーマの株主さん(2011/3/28)
やっと出た、ワクチンのため世界中からかき集められる資金に疑問の声(2011/6/16)
「ゲイツ財団(の連携機関)が途上国の子どもに銃を突きつけワクチン接種」(2011/7/29)
2011.08.03 / Top↑
カナダで111人のメンバーからなるFarewell Foundation For the Right to Dieが、「死ぬ権利」求め、法廷闘争に乗り出した。
http://www.winnipegfreepress.com/canada/breakingnews/126503253.html

去年2月に「遺伝子に特許やるな」という米国の訴訟のエントリーで拾った問題で、3月30日に地方裁判所が特許を認めない判決を出していて、10月にも「法定の友」から「遺伝子は自然の一部。特許の対象にすべきではない」との見解も出ていたのだけど、連邦上訴裁判所は逆転判決だったらしい。:な~んか、日本でも、こういうケースが続いている気がするんだけどなぁ。上にいくほど、国家権力に近い……? 空気を読む能力に優れているから出世した人が集まっている、裁判所も所詮はお役人サマの世界……?
http://www.nytimes.com/2011/07/30/business/gene-patent-in-cancer-test-upheld-by-appeals-panel.html?_r=1&nl=todaysheadlines&emc=tha25

上記の「裁判所も空気を」コメントを書いた時に頭にあったのは橋本大阪府知事の懲戒請求発言問題での最高裁判決だったのだけど、女性の人権に関しても妙な判決が続いている。こちらは京都教育大学性の集団暴行事件。コンパの際に泥酔させた女子学生を別室に連れ込み、見はりまで立てて集団暴行した事件で、学生たちは結局、不起訴。大学が無期停学処分としたことを不服として学生の一部が訴えていた件でも、大学の処分を無効にし、大学に対し学生へ慰謝料を支払うよう命じた。「女の子をちょっとみんなで回したくらいのことで無期停学にするなんて、それは大学が大げさ。たかがレイプくらいのことで俺たちの人生を台無しにされてたまるか」と訴訟を起こすような反省のない、人権感覚に乏しい学生が、将来は教師になって学校現場に出ていく。その低劣な人権感覚を京都地裁も同じくしている。
http://wan.or.jp/information/index.php/event_show?id=1043

千葉の暴行事件でも。:見ず知らずの女性を自分の勝手な性的欲求のターゲットとし、暴行を働こうとする行為そのものは、うまく相手の抵抗さえ封じれば、まるで合法な行為ででもあるかのように。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110725-00000113-mai-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110726-00000120-san-soci

ビル・ゲイツ氏の総資産、ついに米国の国庫を超える。:米国の国庫は家庭で考えてみればいわば「生活費」でその中から軍事や経済政策や社会保障や、もろもろ賄わなければならないのに対して、ゲイツ氏の個人資産はいわば「お父さんのお小遣い」なのだから、金額が同じ程度なら、それはゲイツの方が可処分率も自由に使える金額もはるかに大きいことになるのでは……? それに、それは、もしもゲイツ氏がその気になれば、米軍をはるかにしのぐ私兵を持つことも可能だということでもある? あー、でも、それ、きっと、もう持ってるんじゃないのかな。軍隊という形ではなく、IT技術で他国や他国民を侵害し、諜報活動を行い、コントロールする技術を持った軍団という形で。
http://www.bizjournals.com/sanjose/news/2011/07/30/now-bill-gates-has-more-cash-than-us.html

で、そのゲイツ氏、自分のマイクロソフト株をせっせとゲイツ財団に移している。:名前の異なる2つの財布。一人の人の。
http://socialbarrel.com/bill-gates-sells-5mn-microsoft-stocks/12256/

ホスピスを死にゆくサポートをするところだと考えている人が多いのは誤解。ホスピスはcomfort, dignity, peaceの内に「生きる」ことのサポートをするところ。:以前は、一般人がそういう誤解をしていたと思うけれど、むしろ最近の終末期医療の周辺での医療職の議論では、「ホスピスや緩和ケアに切り替える」という表現が「余計な治療はせず、カネも手間もかけずにさっさと死んでもらう方針への転換」の意味で使われ始めているのも事実。
http://www.medicalnewstoday.com/releases/232009.php

英国医師会がGP向けに、「vulnerableな成人患者を守るためのガイドライン」を出した。主に虐待発見と防止。:機械的な治療停止とか沈静とか、向精神薬の過剰投与とか、「医療による虐待」についてはガイドラインがどのように扱っているのか気になる。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/231904.php

介護場面でのゴム手袋使用については、ずっと以前から議論が続いているけど、介護・看護のサイトに、寝たきり全介助の男性が、思考停止で機械的な手袋使用が行われ、それが「患者のペットには平気で素手で触るのに、患者には素手で触れられない」介護を生み出している、との指摘。:これは現在、娘の施設で釈然としない事態が続いているので、個人的にタイムリーな話題だった。例えば、「特に女性の陰部をきちんと洗ってあげるための手袋着用」とか「若い女性看護師に素手で男性入所者の陰部を洗えというのは酷だから」などは、入浴介助時の手袋着用を正当化する、まっとうな理由と言えるのか???? 
http://www.nursingtimes.net/nursing-practice/clinical-specialisms/infection-control/carers-would-pet-my-dog-but-they-wouldnt-touch-me-without-gloves/5024019.article
http://www.nursingtimes.net/nursing-practice/clinical-specialisms/infection-control/some-carers-dont-really-know-why-they-wear-gloves-they-just-do/5033249.article
2011.08.03 / Top↑