こちらのビデオは
WA州の尊厳死法が成立する前の去年 6月19日の ALS 患者 John Payton 氏のインタビュー。
(映像下の英文タイトルをクリックするとYouTubeが開きます)
WA州の尊厳死法が成立する前の去年 6月19日の ALS 患者 John Payton 氏のインタビュー。
(映像下の英文タイトルをクリックするとYouTubeが開きます)
氏は余命数ヶ月とされながら、その数ヶ月を自殺幇助合法化反対運動に生きた人。
ここでも、
自殺幇助合法化に賛成する人たちは「でも QOL はどうなるんだ」と言っていますが? と質問され、
自殺幇助合法化に賛成する人たちは「でも QOL はどうなるんだ」と言っていますが? と質問され、
「暖かい家族と友人がいて、そういう人たちからのサポートがあり、
私の QOL はぜんぜん低くはありません。
私の QOL はぜんぜん低くはありません。
もちろん、私のように家族や友人に恵まれていない人は気の毒だし、
気持ちも分からないでもないけれど、
気持ちも分からないでもないけれど、
そういう人に必要なのは死を選択することではなく
暖かい支援と思いやりではないでしょうか」と答えています。
暖かい支援と思いやりではないでしょうか」と答えています。
(2回しか聞いていないので、だいたい、こんな内容ということで)
その Payton氏は、地元紙 Kitsap Sun によると、先週、
WA尊厳死法で初の医師による自殺幇助で Linda Flemming さんが亡くなった同じ日に、
ALS患者のホームで穏やかに息を引き取ったとのこと。
WA尊厳死法で初の医師による自殺幇助で Linda Flemming さんが亡くなった同じ日に、
ALS患者のホームで穏やかに息を引き取ったとのこと。
最後の苦しい息の下で話したことも、おおむね去年のインタビューと同じだったようです。
自殺幇助の合法化は障害のある人、貧しい人に特に危険が大きいと懸念もしていた、とのこと。
自殺幇助の合法化は障害のある人、貧しい人に特に危険が大きいと懸念もしていた、とのこと。
(Linda Flemmingさんは離婚して07年に破産。
障害のために働けず,障害者手当てをもらって暮らしていたとのこと。
これ、ちょっと重要な情報ですね)
障害のために働けず,障害者手当てをもらって暮らしていたとのこと。
これ、ちょっと重要な情報ですね)
Payton氏を看取った緩和ケア・ナースは、
これまでに、自分の家族が Flemmingさんと同じ、すい臓がんで亡くなるのを看取ったことが2度あり、
ホスピスと緩和ケアで十分な安楽ケア、痛みのコントロール、症状管理は可能だ、と。
これまでに、自分の家族が Flemmingさんと同じ、すい臓がんで亡くなるのを看取ったことが2度あり、
ホスピスと緩和ケアで十分な安楽ケア、痛みのコントロール、症状管理は可能だ、と。
今日現在、上記のYouTubeのビデオに寄せられた最新のコメントのいくつかは
自殺幇助を支持する人たちによるもののようですが、
あまりにも酷い内容で、胸が悪くなります。
自殺幇助を支持する人たちによるもののようですが、
あまりにも酷い内容で、胸が悪くなります。
こいつ、痛みがあったら、こんなこと言ってられないぜ。なんて自分勝手でエラソーな奴なんだ。こんな奴、もう死んでたらいい。苦しんで死んでたらいいと思う。そうしたら自分が間違っていたと分かっただろうし。
こいつの病気、ぜんぶヤラセだよ。
ははははははははは。涙が出そうだよ。ははははは。この、どあほが、へぇ、そうかい、そんな状態でもQOLは悪くないってか。勝手に何でも言ってろよ。
“im completely paralyzed””thank you for doing what your doing””thank you I have now happily jerked one off to your cow face, thanks for making a difference you blond fuck haggy bimbo”
こいつの病気、ぜんぶヤラセだよ。
ははははははははは。涙が出そうだよ。ははははは。この、どあほが、へぇ、そうかい、そんな状態でもQOLは悪くないってか。勝手に何でも言ってろよ。
“im completely paralyzed””thank you for doing what your doing””thank you I have now happily jerked one off to your cow face, thanks for making a difference you blond fuck haggy bimbo”
いったい人間の社会はどうなってしまったというんだろう。
障害者に対する ヘイト・クライム が増えている……という話を生々しく思い出します。
障害者に対する ヘイト・クライム が増えている……という話を生々しく思い出します。
ここにぶちまけられているのは、まさしく ヘイト。
でも、一体なぜ、ここまで――?
2009.05.28 / Top↑
いつもお世話になっている Patricia Bauerさんのブログ記事から。
米国医師会ジャーナルJAMAに掲載の論文(Peter A. Benn & Audrey R Chapman)が
一年以内には商業利用がスタートすると思われる非侵襲出生前診断テストについて
重大な倫理問題を懸念。
一年以内には商業利用がスタートすると思われる非侵襲出生前診断テストについて
重大な倫理問題を懸念。
まず現在の不十分な医療制度を変革する必要がある、と。
指摘されている問題点として
・現在の胎児ダウン症候群のスクリーニングにおいても、妊婦はそれがことによってはさらに侵襲度の高いテストに繋がったり、中絶にすら結びつく可能性があることなど知らされていない。
・非侵襲テストは営利研究機関や保険会社、政府の保健機関など、このようなテストによって経済的な利益を得る機関によって“奨励されかねない”。その結果、患者個人の選択が担保されない可能性がある。
・テストで検知可能な遺伝的障害のある人の人口が減っていけば、テストで障害が分かってなお妊娠を継続することに対する社会的な許容度に微妙な影響が生じる可能性がある。そのような周囲の姿勢の変化によって障害のある人々や家族に対する理解と支援が得られにくくなり、遺伝的な障害に対するスティグマが強化される。
・非侵襲テストは営利研究機関や保険会社、政府の保健機関など、このようなテストによって経済的な利益を得る機関によって“奨励されかねない”。その結果、患者個人の選択が担保されない可能性がある。
・テストで検知可能な遺伝的障害のある人の人口が減っていけば、テストで障害が分かってなお妊娠を継続することに対する社会的な許容度に微妙な影響が生じる可能性がある。そのような周囲の姿勢の変化によって障害のある人々や家族に対する理解と支援が得られにくくなり、遺伝的な障害に対するスティグマが強化される。
結論としては、
出生前診断の安全性と精度を向上させる点を評価し、広く使用されることを奨励しつつ、
遺伝カウンセリング、それら一連のテスト使用に関する再評価、監督の強化を求める内容。
遺伝カウンセリング、それら一連のテスト使用に関する再評価、監督の強化を求める内容。
FDAに規制を求めると同時に、
実施規定や患者と医療職双方への教育、最低限のスタンダードを作る専門家機関の設置を提言。
実施規定や患者と医療職双方への教育、最低限のスタンダードを作る専門家機関の設置を提言。
購読していないとフル・テキストは読めないようですが、
この記事を読むだけでは
この記事を読むだけでは
安全性と精度の向上を評価して広く実施しようという点と、
倫理問題がいろいろ懸念されるという点の、
いずれに重きを置いた論調になっているのか、よく分かりません。
倫理問題がいろいろ懸念されるという点の、
いずれに重きを置いた論調になっているのか、よく分かりません。
それにしても1年以内に商業利用開始……。
なんにしても、倫理問題が指摘され、批判されつつも、
現実には、そんなの知らぬ存ぜぬ勢いで、あっという間に既成事実化されていく。
現実には、そんなの知らぬ存ぜぬ勢いで、あっという間に既成事実化されていく。
2009.05.28 / Top↑
Obama大統領が最高裁判事に
ヒスパニック系の女性判事 Sonia Sotomayor氏を指名したことは
今朝、日本でもニュースにもなっていましたが、
ヒスパニック系の女性判事 Sonia Sotomayor氏を指名したことは
今朝、日本でもニュースにもなっていましたが、
それに反対する共和党陣営などから
Ⅰ型糖尿病患者であるSotomayor氏にそんな要職が勤まるのか、と
疑問の声が出てメディアで論争になり、
米国糖尿病協会からプレスリリースが出される騒ぎにまでなっていることは
触れられていませんでした。
Ⅰ型糖尿病患者であるSotomayor氏にそんな要職が勤まるのか、と
疑問の声が出てメディアで論争になり、
米国糖尿病協会からプレスリリースが出される騒ぎにまでなっていることは
触れられていませんでした。
私は詳しい政治的な信条などについて知らないので
背景にあるものは、もっと複雑なのだろうとは思いますが、
背景にあるものは、もっと複雑なのだろうとは思いますが、
リリースは5月26日付で、
糖尿病の患者がそれぞれその人の持っている力によって評価され、
糖尿病に関するステレオタイプや誤解に基づいて評価されることがないよう求めています。
糖尿病の患者がそれぞれその人の持っている力によって評価され、
糖尿病に関するステレオタイプや誤解に基づいて評価されることがないよう求めています。
The American Diabetes Association Applauds President Obama’s Nomination of Sonia Sotomayor to the Supreme Court
The American Diabetes Association For Immediate Release, May 26, 2009
The American Diabetes Association For Immediate Release, May 26, 2009
また、このところのSotomayor氏の糖尿病関連のメディア報道については
Patricia Bauerさんのブログがまとめています。
Patricia Bauerさんのブログがまとめています。
Selected coverage, comments on Judge Sotomayor’s diabetes
PATRICAEBAUER NEWS & COMMENTRY ON DIABILITY ISSUES, May 26, 2009
PATRICAEBAUER NEWS & COMMENTRY ON DIABILITY ISSUES, May 26, 2009
ふっと頭に浮かんだ。
そういえば、生徒とセックスしたとして逮捕されて有罪になる先生って
なぜか女性教師ばかりのような気がする。
なぜか女性教師ばかりのような気がする。
最高裁判事に選任されたのがヒスパニックの女性じゃなくて白人男性だったら
糖尿病であることは問題にならなかったのでは……。
糖尿病であることは問題にならなかったのでは……。
2009.05.28 / Top↑
FDAが成人を対象に認可したRisperdal の自閉症やADHDの子どもへの適応外処方が
米国の小児科医療でルーティーン化しており、
米国の小児科医療でルーティーン化しており、
特に男児が胸の膨らむ副作用で乳房切除術を受けるに至るケースが続出。
訴訟も起きている。
訴訟も起きている。
記事にリンクされている CBS のビデオでは
14歳で胸が膨らんだ男児は自分のことを女だと思い込んでしまった、とのこと。
14歳で胸が膨らんだ男児は自分のことを女だと思い込んでしまった、とのこと。
この記事、ちょっと興味深いところは、
いわゆる反ワクチン・キレート療法派のブログが書いているもので、したがって、
いわゆる反ワクチン・キレート療法派のブログが書いているもので、したがって、
「Risperdal を平気で子どもに使っている親に
我々のことを“反ワクチン”だの“キレーショニスト”なんて呼ばわる資格があるのか、
そっちこそ我が子を危険に晒す“リスパーダリスト”じゃないか」と
批判への反撃に使っている。
我々のことを“反ワクチン”だの“キレーショニスト”なんて呼ばわる資格があるのか、
そっちこそ我が子を危険に晒す“リスパーダリスト”じゃないか」と
批判への反撃に使っている。
Ashleyの父親は2007年初頭に書いたブログで
背を高くするためにホルモン療法を受ける男児で胸が膨らむ副作用が問題となっているが、
このようなケースでもAshleyに行ったのと同じように
予め乳房芽を切除しておくとよい、と提案しています。
背を高くするためにホルモン療法を受ける男児で胸が膨らむ副作用が問題となっているが、
このようなケースでもAshleyに行ったのと同じように
予め乳房芽を切除しておくとよい、と提案しています。
ここで指摘されているRisperdalの副作用についても
彼の提案は当てはまります。
彼の提案は当てはまります。
Ashleyの父親やシアトル子ども病院の医師らが言うように
乳房が小さなうちに乳房芽なるものを切除することが実際に
リスクも苦痛も小さく、利益が大きい場合には倫理的に妥当なものなのであれば
乳房が小さなうちに乳房芽なるものを切除することが実際に
リスクも苦痛も小さく、利益が大きい場合には倫理的に妥当なものなのであれば
このような場合の予防策として誰かが、
例えばNorman Fostのようなトランスヒューマニズム寄りの急進的な小児科医などが、持ち出してきて
例えばNorman Fostのようなトランスヒューマニズム寄りの急進的な小児科医などが、持ち出してきて
「胸が大きくなる程度の副作用なら乳房芽切除で対応できる。
その程度の副作用リスクよりも症状を緩和する利益のほうが大きい」と説いても
不思議はないと思うのだけれど、この2年強の間、そういう声は聞いたことがない。
その程度の副作用リスクよりも症状を緩和する利益のほうが大きい」と説いても
不思議はないと思うのだけれど、この2年強の間、そういう声は聞いたことがない。
それは、とりもなおさず、
「本来大きくなるべきでない胸が大きくなる薬の副作用の防止策として
予め小さなうちに胸の組織の一部を外科手術によって切除しておく」という行為が
医療の慣行から見て一般に倫理的だとされる範疇を超えているからでしょう。
「本来大きくなるべきでない胸が大きくなる薬の副作用の防止策として
予め小さなうちに胸の組織の一部を外科手術によって切除しておく」という行為が
医療の慣行から見て一般に倫理的だとされる範疇を超えているからでしょう。
それならば大きくなるべき胸が正常に発達することを防止する策として
6歳の女児に行われた乳房切除の、一体どこが倫理的に妥当だというのか。
6歳の女児に行われた乳房切除の、一体どこが倫理的に妥当だというのか。
CBSのビデオでは
「少年たちはpainfulな乳房切除術を受けなければならなかった」という
表現が使われ、術後の痛々しい傷跡の写真が使われています。
「少年たちはpainfulな乳房切除術を受けなければならなかった」という
表現が使われ、術後の痛々しい傷跡の写真が使われています。
正常に発達していた健康な体の一部を外科手術で抉り取られて、
Ashleyの体にはこれと同じ傷跡が残っているのだ……ということの生々しさを
Ashley事件を論じる人はきちんと受け止めていなければならない、と思う。
Ashleyの体にはこれと同じ傷跡が残っているのだ……ということの生々しさを
Ashley事件を論じる人はきちんと受け止めていなければならない、と思う。
【Risperdal関連エントリー】
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