映画「おくりびと」金曜日に米国主要都市で封切りとあって、NYTimesのレビュー。物語の展開がミエミエで、退屈、メロドラマチックな凡作、とぼろかす。(私は、それなりによかったと思ったけどなぁ。死んだ後の体は有効利用可能な資源みたいに捉える自分たちの感覚を、この映画でちょっと振り返ってみるとか……してみたら?)
http://movies.nytimes.com/2009/05/29/movies/29depa.html?th&emc=th
http://movies.nytimes.com/2009/05/29/movies/29depa.html?th&emc=th
認知症患者に一般的に処方されているアリセプトなどコリンエステラーゼ阻害薬が一部の患者には副作用のリスク大きい、と。
http://www.medicalnewstoday.com:80/articles/151720.php
http://www.medicalnewstoday.com:80/articles/151720.php
米国民主党Kennedy議員を中心に、国民皆保険を実現する医療改革。雇用主が社員の保健の一部を負担する形で政府運営の保健で?? まだ草案段階。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/05/28/AR2009052803772.html
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/05/28/AR2009052803772.html
Sotomayor判事の指名への疑問の1つが中絶についてのスタンスだったらしく、判事はObama大統領と同じく女性の権利を尊重する、とホワイトハウスから。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/05/28/AR2009052803937.html
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/05/28/AR2009052803937.html
こちらはSotomayor氏が意地悪くて口で弁護士をやりこめる癖がある、と。
http://www.nytimes.com/2009/05/29/us/politics/29judge.html?_r=1&th&emc=th
http://www.nytimes.com/2009/05/29/us/politics/29judge.html?_r=1&th&emc=th
英国のCafcassの責任者が判事に呼び出されて、Baby Peter事件以降の児童保護事例で事務処理の遅さを叱られている。子どもを保護したものの、その後の法律上の手続きが進まないケースが多いため。(しかし、世論のブーイングを受けた判事のパフォーマンスとしか見えない。)
http://business.timesonline.co.uk/tol/business/law/article6382832.ece?&EMC-Bltn=NKVGQA
http://business.timesonline.co.uk/tol/business/law/article6382832.ece?&EMC-Bltn=NKVGQA
Baby Peter(これまでBaby Pとされてきた)事件で、母親が5年以上の不定期刑となりそうなことに、あちこちからクレームが出ており、Lady Scotlandが介入、検事が裁判所に刑期延長を要請? (この事件への対応、前にも感じたけど、衝撃は分かるものの対応に筋の通らないところがチラチラする。ポピュリズムで原理原則がなし崩しになっていって、本当にそれでいいんかい?)
http://www.guardian.co.uk/society/2009/may/27/baby-p-lady-scotland-sentences
http://www.guardian.co.uk/society/2009/may/27/baby-p-lady-scotland-sentences
Baby Peter事件に関するGuardian報道の一覧ページ。記事の多さが衝撃と余波の大きさを物語っている。誰か調べたい人がいたら、このページから入ると概要つかみやすいかも。
http://www.guardian.co.uk/society/baby-p
http://www.guardian.co.uk/society/baby-p
米国コネチカット州で去年亡くなった高齢女性について、ある家を捜索せよとの通報があり、自然死との見方を何者かによる自殺幇助事件に切り替えて、警察が捜査を開始。その家にあったPCの情報による。記事ではFENの関与が匂わされている。
http://www.wfsb.com/news/19593387/detail.html
http://www.wfsb.com/news/19593387/detail.html
米国のナーシングホームでの銃乱射事件(入所者ら8人死亡)の裁判で、検察は死刑を求刑する模様。
http://www.daytondailynews.com:80/news/nation-world-news/death-penalty-sought-in-nc-nursing-home-shootings-137630.html
http://www.daytondailynews.com:80/news/nation-world-news/death-penalty-sought-in-nc-nursing-home-shootings-137630.html
未熟児に音楽を聞かせると苦痛の軽減になる。(20年以上前に重症の仮死状態で生まれた娘は、保育器の側に置いたラジカセでいつも童謡をかけてもらっていた。心から、ありがたかった。あの当時、そんなNICUは珍しかったのだということを、ずっと後になって知った。本来なら親に抱かれて歌ってもらったり、声をかけてもらうのだから、なるべく普通の体験をさせてあげたい、なるべく普通の環境に近づけてあげたい。たとえそれが痛みを軽減するわけでなくとも、音楽くらい聞かせてあげてください。なるべく沢山声をかけてあげてください。本人が苦痛でないなら沢山触れてあげてください)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8068749.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8068749.stm
日本の研究者が遺伝子改変で作った紫外線で緑に光るサルについて、Guardianが霊長類に欠陥遺伝子を導入することの倫理問題が指摘されそうだと。ヨーロッパの動物実験指針では禁じている。人間の難病状態を実際に作り出せるのかどうかの証明が必要となりそう。
http://www.guardian.co.uk/science/2009/may/27/genetically-modified-gm-monkeys-germline
http://www.guardian.co.uk/science/2009/may/27/genetically-modified-gm-monkeys-germline
2009.05.29 / Top↑
Illinois州で5月18日、
しかるべき手続きなくして
ガーディアンの同意により障害のある成人に不妊手術を行うことを禁じる法案が
議会を通過し、知事に送られた、とのこと。
しかるべき手続きなくして
ガーディアンの同意により障害のある成人に不妊手術を行うことを禁じる法案が
議会を通過し、知事に送られた、とのこと。
ここでいう「しかるべき手続き」とは
裁判所の命令をとることなどで、
裁判所の命令をとることなどで、
多くの州が障害者の不妊手術にはガーディアンが同意するだけでは足りず、
裁判所による命令を必要としている中、
裁判所による命令を必要としている中、
16 の州がその要件を欠いたままになっており
IL州はそのうちの1つ。
IL州はそのうちの1つ。
この法規制を求めて活動してきたアドボケイト Equip for Equality は、
もっと前にできておくべきだった法律だが、
去年のK.E.Jケースが画期的なインパクトを与えた、と。
もっと前にできておくべきだった法律だが、
去年のK.E.Jケースが画期的なインパクトを与えた、と。
Northwestern大学の the Medical Humanities & Bioethics Programの助教授で
Equp for Equality と協働してきたKatie Watson氏も
Equp for Equality と協働してきたKatie Watson氏も
「2008年以前は、ガーディアンと医師とが内密理に合意して
水面下で障害者の不妊手術が行なわれていたのだから、
今回の法規制の意味するところは大きい。
水面下で障害者の不妊手術が行なわれていたのだから、
今回の法規制の意味するところは大きい。
KEJ訴訟における上訴裁判所の判断の原理を法規制として組みなおしたもので、
障害者自身に法定で意見を聞く場を設けるなど、
当事者の利益に焦点を当てたものとなっている」と。
障害者自身に法定で意見を聞く場を設けるなど、
当事者の利益に焦点を当てたものとなっている」と。
今回付け加えられた「しかるべき手続き」としては
・成人の不妊手術を求めるガーディアンは裁判所に命令申請を行うこと
・法定代理人(guardian ad litem) の選任
・本人の医学的、心理学的評価
・本人が不妊手術に同意できる能力について裁判所による判定
・事実と法解釈(?)の詳細まで含んだ裁判所の命令書
・法定代理人(guardian ad litem) の選任
・本人の医学的、心理学的評価
・本人が不妊手術に同意できる能力について裁判所による判定
・事実と法解釈(?)の詳細まで含んだ裁判所の命令書
この件について報告している、上記 What Sorts ブログのWilson氏は
今回のIllinois州の快挙は
Ashley事件に反応して活動した多くの人の努力の賜物、と書いています。
Ashley事件に反応して活動した多くの人の努力の賜物、と書いています。
障害者に対する侵襲的医療介入については(無益な治療の判断においても)
Ashley事件以後のニュースで追いかけてきた限りにおいては
裁判所の考え方で一定のスタンダードが示されつつあるように思います。
(詳細は文末のリンクを参照してください)
Ashley事件以後のニュースで追いかけてきた限りにおいては
裁判所の考え方で一定のスタンダードが示されつつあるように思います。
(詳細は文末のリンクを参照してください)
例えば、以下のような点など。
・ 裁判所の命令の必要。
・ 本人の意思決定能力と意思の客観的な確認・証明。
・「明確かつ説得力のあるエビデンスを提示」することによって
本人利益を証明する重大な証明責任が介入を求める側に課せられる。
・ 侵襲度の低い他の選択肢の徹底的な検証。
・ 本人の意思決定能力と意思の客観的な確認・証明。
・「明確かつ説得力のあるエビデンスを提示」することによって
本人利益を証明する重大な証明責任が介入を求める側に課せられる。
・ 侵襲度の低い他の選択肢の徹底的な検証。
2003年のDiekema論文も、ほぼ、この線に沿った内容になっています。
だからこそ、2004年のAshleyケースでの判断においても、
現在シアトル子ども病院がゴリ押ししようと画策している
重症児への成長抑制療法の一般化においても、
裁判所の判断を不要とし、(恣意的操作可能な)病院内倫理委でよいとする主張は
言語道断に重症児の権利を踏みにじるものだとしか思えません。
現在シアトル子ども病院がゴリ押ししようと画策している
重症児への成長抑制療法の一般化においても、
裁判所の判断を不要とし、(恣意的操作可能な)病院内倫理委でよいとする主張は
言語道断に重症児の権利を踏みにじるものだとしか思えません。
ワシントン大学病院のICマニュアルでも
WPASの報告書でも、
本人の身体的な全体性と尊厳に関わるような
侵襲度が高く不可逆な医療介入については
不妊手術と同様の慎重な手続きが必要だとされているのですから。
WPASの報告書でも、
本人の身体的な全体性と尊厳に関わるような
侵襲度が高く不可逆な医療介入については
不妊手術と同様の慎重な手続きが必要だとされているのですから。
【イリノイのK.E.J.ケースに関するエントリー】
イリノイの上訴裁判所 知的障害助成の不妊術認めず(2008/4/19)
IL不妊手術却下の上訴裁判所意見書(2008/5/1)
ILの裁判からAshley事件を振り返る(2008/5/1)
ILの裁判から後見制度とお金の素朴な疑問(2008/5/1)
IL不妊手術却下の上訴裁判所意見書(2008/5/1)
ILの裁判からAshley事件を振り返る(2008/5/1)
ILの裁判から後見制度とお金の素朴な疑問(2008/5/1)
【その他、障害者の医療における代理決定原則に関するエントリー】
知的障害者不妊手術に関するD医師の公式見解
女性の不妊手術に関する意見書(米国産婦人科学会)
不妊手術に関する小児科学会指針
末期でも植物状態でもない知的障害者の医療拒否、後見人に「並々ならぬ証明責任」
Syracuse大学から「障害のある人の延命ケアと治療に関する一般原則声明
女性の不妊手術に関する意見書(米国産婦人科学会)
不妊手術に関する小児科学会指針
末期でも植物状態でもない知的障害者の医療拒否、後見人に「並々ならぬ証明責任」
Syracuse大学から「障害のある人の延命ケアと治療に関する一般原則声明
2009.05.29 / Top↑
裁判書類と弁護人よると、Linda Flemmingさんは離婚しており、
5900ドルの負債を抱えて2007年に破産申請している。
5900ドルの負債を抱えて2007年に破産申請している。
Flemmingさんは元ソーシャルワーカーで
破産申請時、障害があるために働くことができず、
月額643ドルの障害者手当てを受給して助成付き住宅で暮らしていた。
破産申請時、障害があるために働くことができず、
月額643ドルの障害者手当てを受給して助成付き住宅で暮らしていた。
また友人によると、がん告知を受ける数日前に
1982年製のOldsmobileステーションワゴンを買ったばかりだった。
1982年製のOldsmobileステーションワゴンを買ったばかりだった。
C&Cのトップ Robb Miller氏は
Flemmingさんと話した際に彼女の破産については知らなかったが
彼女の状況にC&Cとして支援を懸念する材料は見当たらなかったし、
2人の子どもと元夫も本人から相談を受け決断を支持していた、と。
Flemmingさんと話した際に彼女の破産については知らなかったが
彼女の状況にC&Cとして支援を懸念する材料は見当たらなかったし、
2人の子どもと元夫も本人から相談を受け決断を支持していた、と。
このNY Timesの記事の書き方やトーンを
23日のエントリーで取り上げた SP-i の記事の書き方やトーンと比べると、
とても興味深いものがあります。
23日のエントリーで取り上げた SP-i の記事の書き方やトーンと比べると、
とても興味深いものがあります。
NY Timesは
「尊厳死法の成立に向け運動したアドボカシー・グループ」と、ずばり。
「尊厳死法の成立に向け運動したアドボカシー・グループ」と、ずばり。
また、NYT は Flemmingさんが元ソーシャルワーカーだとはっきり書き、
障害のために働けなくて手当と住宅助成に頼っていたことも書いていますが、
障害のために働けなくて手当と住宅助成に頼っていたことも書いていますが、
S-Piは「ホームレスや精神障害者の支援を行ってきた」という曖昧な書き方で
元ソーシャルワーカーだった事実を書いていません。
元ソーシャルワーカーだった事実を書いていません。
私も最初にこの箇所を読んだ時には
「? ボランティアだったの? じゃぁ、生活費は?」と疑問に思いましたが、
「? ボランティアだったの? じゃぁ、生活費は?」と疑問に思いましたが、
S-Piの記事が全体に C&C 寄りの立場で書かれていることを考えると、
これは、もしかしたらそれが職業だったことを明確に書いてしまうと、
失業していたことまで書かなければならなくなるため
曖昧な書き方をしたのではないでしょうか。
これは、もしかしたらそれが職業だったことを明確に書いてしまうと、
失業していたことまで書かなければならなくなるため
曖昧な書き方をしたのではないでしょうか。
つまりC&Cは
Flemmingさんの破産については知らなかったかもしれないが
失業して障害者手当てで暮らしていたことは知っていた。
そして、そのことはリリースで隠したのです。
Flemmingさんの破産については知らなかったかもしれないが
失業して障害者手当てで暮らしていたことは知っていた。
そして、そのことはリリースで隠したのです。
これは、考えてみれば、とてもコワイことです。
NY Timesの記事ではWA州保健局から
「個々のケースの詳細はプライバシーに関わるので明らかにできない」との見解が示されています。
「個々のケースの詳細はプライバシーに関わるので明らかにできない」との見解が示されています。
今後、第2例、第3例と続いていった時に、
それが障害のある人であったり、貧しいために医療・療養費に事欠く人であったりしても
そうした事情は表に出てこないことになります。
それが障害のある人であったり、貧しいために医療・療養費に事欠く人であったりしても
そうした事情は表に出てこないことになります。
しかも、第1例目の報道を読む限り、
希望者にはC&Cが最初からぴたりと寄り添って、
幇助自殺を遂げるまで濃厚な“支援”を行うのであろうことも予想されます。
希望者にはC&Cが最初からぴたりと寄り添って、
幇助自殺を遂げるまで濃厚な“支援”を行うのであろうことも予想されます。
第1例目の事実関係を以下にまとめておきます。
Linda Flemming さん。66歳の女性。
元ソーシャルワーカー。
障害があるため働けず、障害者手当てを受給し助成住宅で暮らしていた。
一ヶ月前にステージ4のすい臓ガンとの診断を受ける。
その直後に第1回目の口頭での自殺幇助希望。
最終的な書面での希望を行ったのは5月15日。
21日に自宅で家族とペットの犬、医師立会いの下、自分で薬を飲んで自殺。
C&Cがプレスリリースにより報告。
22日にメディアが報じた段階でWA州保健局は未確認。
(医師の報告義務には30日の猶予があるためと思われる)
元ソーシャルワーカー。
障害があるため働けず、障害者手当てを受給し助成住宅で暮らしていた。
一ヶ月前にステージ4のすい臓ガンとの診断を受ける。
その直後に第1回目の口頭での自殺幇助希望。
最終的な書面での希望を行ったのは5月15日。
21日に自宅で家族とペットの犬、医師立会いの下、自分で薬を飲んで自殺。
C&Cがプレスリリースにより報告。
22日にメディアが報じた段階でWA州保健局は未確認。
(医師の報告義務には30日の猶予があるためと思われる)
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