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それぞれ父親が違う双子が誕生。母親が当時“浮気”していた。……と、まだ結婚していない母親と婚約者の男性が、実名で公表。双子は既に11ヶ月。(タイトルを見た瞬間、遺伝子操作でやってみたかった医師がいたのだとばかり……。世界に何例かはあるらしいから、また驚く)
http://www.medicalnewstoday.com:80/articles/150463.php

知能の高い人の方がそうでない人よりも健康で、それは遺伝子の健康度によるんだそうな。英米の研究者の研究。(いかにも、こういう仮説を思いつきそうな人たちの価値観によって今の科学研究の範囲が実はものすごく限定されているのかもしれない、ということも考えてみるほうがいいんじゃないか、と思う。)
http://www.medicalnewstoday.com:80/articles/150404.php

戦場に送られる兵士にも人権法は適用され、命の権利がある、と英国上訴裁判所の判断。不備な装具で前線に送られ、死亡した兵士の家族からの訴訟で画期的な判決。
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/uk/article6310732.ece?&EMC-Bltn=GCKGOA

前立腺がんの3分検査ができるらしい。最近なにかと前立腺がんの話題が目に付く。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8055681.stm

自分の海外出張に、12歳の娘を学校を休ませて連れて行ったと英国の教育相が批判されている。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/8056974.stm

NY Timesが「医療における患者心理」テーマ?の3題。最後の「患者は成長する」というのは、個人的にも実感。障害児の親も。ただ本当に成長すると、患者も親も専門家にとっては扱いにくくなる。
http://www.nytimes.com/2009/05/19/health/19well.html?_r=1&th&emc=th
http://www.nytimes.com:80/2009/05/19/health/19hosp.html?th&emc=th
http://www.nytimes.com/2009/05/19/health/19case.html?th&emc=th

イラクの米軍基地での兵士による乱射事件受け、NY Timesに兵士の心理的負担を考えるコラム。
http://www.nytimes.com/2009/05/19/opinion/19herbert.html?th&emc=th

「Dan Brownのアメリカ」というコラム。「天使と悪魔」読んで、さらに観たばかりだから、気になるけど今日のところはパス。
http://www.nytimes.com/2009/05/19/opinion/19douthat.html?th&emc=th
2009.05.19 / Top↑

11歳の娘 Kara Neumannの糖尿病が悪化しているにもかかわらず祈りによって治そうと
医師に診せずに死なせてしまった母親の裁判の準備が14日に始まった。

事件が起きたのはWisconsin州。

Faith Healing Court Cases
Religion & Ethics, May 15, 2009


この中で驚くのは
Oregon州Portland郊外に小さな墓地があり、そこには
祈りの力で病気を治せると信じる教会the Followers of Christ の信者の子ども
少なくとも75人が埋葬されている、という事実。

Wisconsin大学の宗教学者Shawn Peters教授の話では
Oregon州法には1999年まで、
祈りで治そうとする行為に除外規定があったため、
ここに埋葬された子どもたちの親はいずれも罪に問われていない。

こうした悲劇は米国のメインストリーズから外れたところで隠れたままになっており、
表に出るのは実は氷山の一角だろう、とPeters教授。

「問題を厄介にしているのは親が子どものために最善と信じることをやっている点」と。

Oregon州は1999年に除外規定をはずしたが、
今でもWisconsinを含む30の州には残っている。

今回、そのWisconsin州で
検察はKaraの両親の起訴(過失致死容疑)に踏み切ったわけだが、
そこで介入してきたのがChristian Science 教会

同教会は除外規定を含む最初の州法を書いた経緯もあり、
Neumann事件を機に、医療と信仰のバランスをとり子どもが守られるべく
新たな法規制を提案するという。

こういう教会が法文を書いたとか、
今回も親の逮捕で出張ってきて妥協案を云々している……みたいな話になると、

進化論を教えるな、インテリジェントデザインも教えろ、という
日本人にとっては冗談としか思えないような論争が
不気味なリアリティをもって思い返される。

そういう文化が今だに根強い国で、
遺伝子を調べて、病気予防だといって健康な内臓を取ってしまうような
科学とテクノロジーで何でも簡単解決文化が共存しているって、なんだか、ものすごく気色が悪い。


      ――――――――――

ところでWisconsin州で医療倫理がらみの事件となると必ず登場するのが、
Ashley事件の陰の立役者ではないかと当ブログで考えているNorman Fost教授。
Wisconsin大学の小児科医であり生命倫理学者。

この記事でもインタビューを受けています。
(上記リンクにビデオも)

ちなみに、世界で初めてヒト胚からES細胞を作り出したThompson教授に
ES細胞研究への倫理的なためらいを吹っ切らせたのが、このDr. Fost

この事件に関するインタビューでFostが言っているのは概ね、

「糖尿病の子どもの大半は適切な医療を受ければ
ほぼ通常の生活が可能になるので、
Karaさんも死ななくても済んだ可能性がある。

Karaさんの両親が有罪になったとしても、
自分としては懲役の必要まではないと思う。

ただ、親を刑事罰に問うことによって
『州の子どもを守ろうとしている』州の姿勢を示すことができる」

これだけだと至極まっとうに聞こえるのですが、
この同じ人物が米国で最も急進的なステロイド解禁論者で
「リスクがないわけじゃないとしても、自分の体なのだから
自己選択・自己責任でやりたいなら、やらせればいいじゃないか。
リスクを言うなら、フットボールやボクシング自体がもともと危険」と
なんとも乱暴な論理を振りかざし、

(ただし自分は頭痛薬すら極力飲まないようにしている)

Ashley事件では知的障害者への嫌悪感を露わに
「障害児の医療では親の選択権がすべて」と主張。

そして米国小児科医療倫理業界の大ボスとして、
重症障害児の命そのものを無益と呼ばわり、
重症障害児には裁判所など無視して「無益な治療」概念を適用せよと
小児科医相手に説く。

この件について
司法の介入によって州が「州の子どもを守る」姿勢を示せるのだと言うのは、
障害児への「無益な治療」では司法を無視せよと説くこととも、
障害児の体に医療で手を加えるのは「親の決定権が全て」との主張とも
矛盾しているのではないのか。

結局、Fostが言っていることは
「科学とテクノロジーの論理にかなう限りにおいて、
子どもの医療は親の決定権だし
自分の体も自己選択・自己責任」
という意味でのみ一貫性を持つのでは──?
2009.05.19 / Top↑
DISABILITY MATTERS という障害者アドボカシーのブログが
NY Timesが4月にObama大統領に行ったインタビューの中から
医療改革に関する気になる発言を指摘して
標題通りのタイトルの記事を書いています。

まず指摘されることとして、

“Ultimately, he’s the guy with the medical degree.”という表現を使い、
その前後の発言で大統領が語っているのは
患者の無知に対する医師の専門性の優位。

(この人、何の躊躇もなく代名詞 he を当てるのね……)

しかし現在のように「無益な治療」や安楽死が説かれて
医療が功利的な価値観を先鋭化させている中で
そう無条件に医師の専門性に優位性すなわち権威性を認められては困る、というのが
このブログの指摘。

特にまた別の箇所でObama氏は
「医療における政府の役割の1つは
国民の税金を財源とするメディケア、メディケイドにおいて
治療の有効性に関するアセスメントを行うこと。

現在は、国民をより健康にするわけではないことに
資金が使われすぎている」と述べており、

つまり、ここで言われているのは「無益な治療」概念そのものであり、
その治療によって、より健康になるのであればゼニは出してやるが
それで健康になるわけでないのだったら治療は受けられないよ、という話ではないのか、

医療の中で最もゼニがかかるといわれている終末期など、ずばり当てはまるぞ、と。

(ついでに日本のリハビリ制限も同じ路線ですね。
先の医療費削減に結びつかないリハビリは認めない、と。)

さらに大統領は治療効果のコスト効率の比較研究の重要性も強調しているが、
これを現場に移せばOregon州のように
抗がん剤を拒否されて自殺幇助を薦められる患者が出てくることになる。

大統領は選挙キャンペーン中に亡くなった祖母の話を持ち出してもいる。

既に末期がんだと診断されていたのにも関わらず
放っておくとQOLが低くなるからと腰の骨折手術を受けるよう、医師に勧められた。
ところが祖母は手術を受けた2週間後に容態が急変して亡くなった、と。

余命が3ヶ月か6ヶ月か9ヶ月か判然としない高齢のがん患者が骨折した場合に
その手術をするべきかどうかは難しい判断だが、と前置きして
Obama大統領が提案するのは

Well, I think that there is going to have to be a conversation that is guided by doctors, scientists, ethicists. And then there is going to have to be a very difficult democratic conversation that takes place. It is very difficult to imagine the country making those decisions just through the normal political channels. And that’s part of why you have to have some independent group that can give you guidance. It’s not determinative, but I think has to be able to give you some guidance. And that’s part of what I suspect you’ll see emerging out of the various health care conversations that are taking place on the Hill right now.

私が思うのは、医師、科学者、倫理学者の主導する話し合いがあるべきだろう、ということです。とても難しい民主的な話し合いがあるべきだろう、と。通常の政治手段だけで国家がそういう決定を行うのは考えられません。だから、アドバイスができる独立したグループが必要になるでしょう。決定するというのではなく、ガイダンスができるグループ。今、議会で行われている医療改革議論の中から、そういう仕組みも出てくると思います。

この発言と、
「専門職の優越性」
「治療の有効性を評価する政府の責任」
「コスト効率の比較研究の必要性」とを合体させると、

確かに、そこから導き出されてくるのは
テキサスなどの無益な治療法──。

この語り口調からすれば、
病院倫理委員会が「そういう仕組み」として使われるということなのでしょうが、
病院倫理委は(Ashley事件に見られるように)いかに恣意的・政治的操作に対して脆弱であることか……。

政治経済のニーズ、科学とテクノロジーのニーズに取り囲まれて
医療倫理という学問は一体なにものになろうとしているのだろう……と考えてしまった。

ちょっと変な表現だけど、「医療倫理」のアイデンティティって? みたいなことを。

Is Obama the First Pro-Euthanasia President?
DISABILITY MATTERS, May 12, 2009


【関連エントリー】
Obama大統領の医療改革は功利主義?(2009/1/21)

こちらの1月のエントリーで
政府が公費負担の治療内容を決める英国型システム導入をObama政権が狙っていることに触れましたが、
それに反対する対抗勢力がテレビコマーシャルでキャンペーンに乗り出したとのこと。

英国国民が登場してはNHSの医療がいかにひどいかコキ下ろし、
かつてWHOの癌プログラムのディレクターだったという英国人医師が
市場主義の競争がなければ質は維持できず官製独占医療は機能しない、と説くもの。

(Sikora医師の発言部分は以下の記事にビデオあり)

受診時原則無料のNHSとでは制度の枠組みそのものが違って、
単純には比較できないだろうと思うし、

Sikora医師が「競争がなければ患者を治そうというインセンティブも働かない」といわんばかりなのには
それって、医師の発言として、そもそも一体どうよ……と思ってしまうけど。


2009.05.19 / Top↑

1つは、CDCの新たな長官への
New York 市の保健医療コミッショナー Thomas R. Frieden氏(48)の抜擢。

(この人、豚インフルでNYで死亡者が出たという昨日夕方のニュースに出てました。
 顔の長い、あの人。)

氏はNY市における7年間の在任中、
禁煙の推進やトランス脂肪の消費削減にアグレッシブに取り組んで
時に批判を受けてきた人物。

Obama大統領は
「心臓病、ガン、肥満、肺炎とエイズなどの伝染病との闘いの最前線に立ち、
また電子医療記録の確立も率先してきた」と評価している。


②その電子医療記録への予算が
経済危機につけ込んで妙なところにもぐりこんでいると
指摘しているのは同じくWPの同日の記事。


Obama大統領の7870億ドルの経済刺激策の中で、
365億ドルが医療情報のIT化に当てられている。

当面の経済への刺激には何の役にも立たないものが、
しかも下院での議論が進展せずにいたというのに
ここへきて突然勢いを得て、こんなところに組み込まれたというのは
業界からの資金を背景にした10年来のロビー活動が
今回の経済危機を千載一遇の好機と
Obamaの側近に食い込んだ成果。

医療情報が電子化されてオンラインで患者情報を共有できれば
医療が効率化されて多額の医療コストが削減できる、と
推進派は主張してきたが、

そのエビデンスを提供する研究機関the Center for Information Technology Leadershipの
理事の一人 Blackford Middletonは
草創期から電子医療技術の研究と資金調達に関わってきた人物で、

ロビー活動に資金を提供し多くのアドボケイトや研究団体に影響力を行使する
業界グループThe Healthcare Information and Management Systems Society の理事でもある。

Middletonは2004年のJohn Kerryの大統領選挙の際にも、
また去年のObamaの大統領選挙のキャンペーンにもボランティアとして加わり、
側近に食い込んで、電子医療テクノロジーの効用を説いてきた。

しかし、経済刺激策としての予算のうち、
これだけの資金を割いて推進するほどのコスト削減効果が果たしてあるか
疑問視する声も。

(確か、去年、英国でまったく同じ批判が出て
医療情報の電子化が政治問題になっていたような……)
2009.05.19 / Top↑