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豚インフル騒ぎの休校で発達障害のある子どもたちはルーティーンを破られてパニック気味。でも子どものことを心得た親たちはしっかり奮闘。
http://www.nytimes.com/2009/05/04/nyregion/04bigcity.html?_r=2&emc=tnt&tntemail0=y

ベビーP事件で社会問題化している英国の児童虐待への行政対応について、5800万ポンドの予算を投入して新たにソーシャルワーカーを増員する計画。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/8034845.stm

オランダに1年半住んでいるアメリカ人の目に映る福祉国家オランダ。細かく金額が出てきているので興味はあるのだけど、何しろ長大さにひるむ。
http://www.nytimes.com/2009/05/03/magazine/03european-t.html?_r=1&th&emc=th

前日に英国入りしたばかりのドイツ人医師が代役勤務で70代の男性に規定量の10倍の薬を処方し、男性が死亡。医師は「疲れていた」と。ケアの質コミッションが即座に調査に入った。4日のGuardianトップ扱いで関連記事いくつか。
http://www.guardian.co.uk/society/2009/may/04/german-doctor-patient-overdose

英国の有名ブランドのベビーフードが、チョコビスケット以上の砂糖、マックのハンバーガー以上の脂肪を含んでいることが調査で判明。ビスケットやハンバーガーを食べさせる方がまだしも健康的だとは。
http://www.guardian.co.uk/uk/2009/may/04/baby-food-nutrition-claims

ゲイツ財団の発表によると、約80の英国人研究者によるプロジェクトが同財団Grand Challengeグラントを受けている。まだ山のものとも海のものともつかないが、将来の飛躍に繋がるかもしれない医学研究。
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/uk/science/article6222056.ece?&EMC-Bltn=OORAMA

処方されて飲まなかった薬を捨てることのできるケースを設置した薬局。週に一度中身を専門業者を通じて廃棄する。処分に困ってトイレやシンクに流される医薬品が水道水の汚染に繋がっているため。(これはずっと前から耳にする結構深刻な問題なのに、対策があまり取られていないような気がしていたけど、なるほど、こういう方法もあるのか。)
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/05/01/AR2009050103243.html

米国で顔の8割の移植手術を受けたCony Culpさん(46歳)が初めて記者会見。ビデオも。勇気とユーモアに感嘆。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/8035316.stm
2009.05.06 / Top↑
ICSI(卵細胞質内精子注入法・顕微授精)で双子を産んだYvonneさん(37歳)。

今年2歳になる双子の一人Avaは体が正常とされるよりも小さく、
足もまっすぐではなかったので治療した。

もう一人のLewisの方は先天性の生殖器異常があり、
正常に戻すには、この先、何度も手術が必要になる。

生殖補助技術で生まれた子どもの先天異常について調べた時には、
健康に問題が生じる確率はきわめて低いという情報ばかりでした。

もちろん噂や憶測は常に耳に入っていたし、それは
不妊治療をやっている人なら多かれ少なかれ意識していますけど、
親になることに必死のあまり自分には起こらないと考えてしまうんです。

Lewisを医師に見せた時に最初に訊かれたのは
体外受精またはICSIで生まれた子ですか、という質問でした。
それで、ああ、IVFではよく起こるんだなと思いました。

もちろん自然に生まれた子どもでも起こることなのだから
生殖補助技術が原因だと証明はできませんが、
確率が高くはなるんだろうなと思います。

AvaとLewis がいることは本当に嬉しいし、後悔はありません。
私たちと同じように生殖補助医療で子どもを産んだ夫婦の中には
心臓の奇形や、もっと深刻な問題が起こっているケースもあるので
それを考えたら、私たちはまだ軽く済んだほうだと思います。

でも、もう一度ICSIをやるかと訊かれたら、答えは絶対にNO。

家族がほしかった私の自分勝手な思いが
Lewisに今の異常を起こしたのだろうかって、どうしても考えずにはいられません。

ただ、もしも誰かに、先天異常の確率が、例えば10%高くなると言われていたとしても、
それで気持ちが変わったとは思いません。子どもは欲しかったですから。

ただ、ちゃんと事実を教えて欲しかった


2月に米国の科学者が報告し、
ヒト受精・胚機構(HFEA)もガイドラインを変更したところでは
生殖器異常、心臓弁の異常、口蓋裂、消化器異常、
Angelman症候群やBeckwith-Wiederman症候群などの遺伝病が
起こる確率がIVFでは自然に妊娠した子どもの30%高くなる。

(もっとも、自然に生まれた子どもよりも3割がた高いとしても、
全体としての確率は依然2,6%に過ぎない、ともガイドラインに書かれている。)

IVFの専門家は
先天異常の確率が高くなるという研究はあるが、
データにはまだばらつきがあるし、
仮に異常が起こっているとしても、さほど深刻なものではないケースがほとんどなので
むやみに患者を心配させるのはよくない、と。

英国で最も成功しているIVFの専門医 Dr. Mohamed Taranissiは
「アドバイスを求めてこられれば知っていることはお話しますが、
同時に私たちには分からないこともお話します。
まだ全体的に言えるほど分かっていないこともありますからね。

異常が起こる確率が高いという研究というのはいずれも、
小さなものとして分類できる程度の異常についてあげつらったもので
重大な先天異常ではありません。

それに、全然違う結果が出ている研究もありますよ」

またIVFの専門家によっては
もともと自然には妊娠できないということは
精子そのものに先天異常を起こす原因がある可能性も高く、
IVFを受ける女性は出産年齢も高くなりがちなので、
体外授精で先天異常の確率が高いとしても治療に欠陥があるとはいえない、とも。

Yvonneさん夫婦と同じくICSIで双子を産んだMarie & Mark Storey夫妻の場合、
双子の一人が、腸がねじれた状態で生まれ、外科手術でも治すことができなかったため、
栄養は腸ろうを通じて与えなければならない。

Storey夫妻はICSIに際して、
ホルモンを大量に投与するため母親の体にリスクがあるという点と
多胎児になるとそれだけリスクがあがるという点について説明は受けたが、
それ以外にリスクについて説明はなかったという。

もっとも、
「仮にリスクが説明されていたとしても、やっていたと思います。

リスクばかり強調すると、逆に
まるでパーフェクトな赤ん坊を保障する方法があるかのように聞こえるけど、
実際には人生に100%確実なことなどないことを忘れないことが大事。
医療のおかげで自分の子どもを持てたのは
とてもラッキーだったと思っています」

生殖補助医療に批判的なチャリティComment On Reproductive Ethicsでは
親に対してこうした事実をきちんと伝える義務とは別に、
こうした治療の結果生まれてくる子どもたちに対する義務というものがある

Ashley事件の時にも扇情的な記事の書き方をする新聞だなとは思ったけど、
今回のタイトルも「試験管時限爆弾? 
命の贈り物をもたらすが、IVFの子どもには先天異常の確率が3割高いと科学者ら指摘」。



Taranissi医師が
Yvonneさんの子どもの生殖器異常も
Storey夫妻の子どもが栄養を腸ろうから摂るしかないことも
「取るに足りない小さな異常」に過ぎないというのであれば、
それはなんという医療の傲慢なのだろう。

そして、この記事には書かれていないけれど忘れてはならない事実として、

英国とは
胎児に先天異常がある場合には、
それがたとえ口蓋裂や内反足程度の問題であっても、
また出産のどの段階に至っていたとしても中絶が認められている国……。

つまり、
この記事で生殖補助医療の専門医らが
「小さな異常に過ぎない」として歯牙にもかけていないのは、
この国では実は「生まれても殺してかまわない異常」なのだ。

なぜか記事には「障害があっても生まれてくれて嬉しい」という夫婦しか登場しないけれど、
こうした英国中絶法の現実を念頭に、記事に書かれているIVFの専門家の発言を読むと、
おなかの底の辺りが冷え冷えとしてこないだろうか。

私はこのブログを始めた当初から
科学とテクノロジーによる簡単解決万歳文化には
「そんなに障害児・者を嫌悪しながら、その一方で自分たちは、
どうしてわざわざ障害児が生まれる確率を上げるようなことばかりするのか」と
そこのところの矛盾にずっと疑問を感じているのだけれど、

ここでも行き着くのは、やっぱり、その疑問。



2009.05.06 / Top↑
選ばないことを選び、生きられるだけ生きるのエントリーをアップした日に、
夕方のニュース番組で見た特集。

13年前、高校生だった時に校庭で落雷に遭って重い障害を負った男性が
生きていても何もできないのだから、いっそ死にたい。
死んで臓器移植のドナーになれば何かの役に立てる」と
考えるところまで一度は追い詰められたけれど、

その後のリハビリや父親のガンとの闘病、死去と様々な体験を通じて
少しずつ前向きに生きようとするようになっていった姿が紹介されていた。

そして、今の彼は
救ってもらった、この命も、いつかは終わる日が来る。
 その時まで、悔いの残らないような生き方をしたい」と。

この人もまた、選ばないことを選び、
生きられるだけ精一杯生きようとしているのだな、と思いつつ、この言葉を聴いた。

そして、
事故で寝たきりになり「2流の人間として生きるのは耐えられない」と
スイスのDignitasクリニックで幇助自殺を遂げた英国人の23歳のラグビー選手を思い出した。

私は彼の話を聞いた時からずっと、
「生きてみなければ分からないのに……」ということを考え続けている。

23歳のラグビー青年にも、この日本人男性と同じように、様々な葛藤を経た後に
「いつか終わる命なら生きられるだけ悔いのないように生きよう」と言える境地に
到達する可能性だってあったのではなかったか……と、改めて思う。

本当に彼が死にたいほどの絶望から這い出すことができないのかどうか、
彼自身がもっと先まで生きてみなければ分からないことだったのに、
両親は彼がそれまで生きてみるだけの時間を支える代わりに
「その絶望も分かる」とスイスに連れて行って死なせてしまった。

英国社会も、両親の行動に理解を示して罪には問わないこととした。

そんなふうに
「障害を負うのは、死すら認めてあげなければならないほどに
耐え難く不幸で苦しいこと」という認識を社会が共有してしまったら、

そこには「生きてみなければ分からない」という希望も可能性もなくなって
重い障害を負うことは「生きてみなくても、絶対に不幸」に決定付けられてしまう。

そんな社会で事故や病気で中途障害を負う人は誰も
当初の絶望から立ち直ったり、前向きさを取り戻したりすることもなくなるだろう。
「障害は負ったけど、生きてみたら、不幸なばかりでもなく、
それなりに楽しみや喜びもあった」と見つけていく人もいなくなるだろう。

そうでなくても
日本の高校生が突然重い障害を負った自分に絶望した時に、
「生きていても障害を負ったら何もできない」
「障害を負っても何かできるとしたら、
臓器移植のドナーになることだけ」という発想をしたと聞いた瞬間に、
私の背中には冷たいものが走った。

日本の普通の高校生が実際にこういう発想をしたのだという事実は、
よくよく考えてみなければならない。

その事実には、とてつもなく恐ろしいものが匂っている。

まさか、こういう絶望の中にいる人に対して、
「そうだよ。君の言うとおりだ。
もう何もできず社会に迷惑をかけるだけの存在になってしまった君にも
死んで臓器のドナーとして誰かの命を救い、社会の役に立つことができる」と
私たちの社会は既に、ささやき始めているのではないのか。

しかしその一方で、一時はこういう発想をした人が、
今は「命が終わる日まで、悔いのないように生きよう」としているのも事実だ。

その2つのことを、しっかり考えなければならない、と思う。
2009.05.06 / Top↑