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オーストラリアのDr. Death こと Dr. Nitschke。アメリカのケボキアン医師と同じく独自に考案した自殺装置で4人の自殺を幇助した安楽死の活動家で、国際的な安楽死のアドボケイト団体 Exit International の創設者。このところ、反発の声はあちこちで見ていたけど、そのDr. Nitschkeがワークショップを行うために、いよいよ英国を訪れ、すったもんだはあったのもの、とりあえず入国を許された。
http://www.christian.org.uk/news/20090505/suicide-doctor-allowed-into-uk-for-latest-tour/

来週はオランダから安楽死の専門家 Dr. Chabotが渡英してロンドンでワークショップだか講演だかを行うのだとか。既に60名の申し込みあり。英国の自殺幇助合法化プロモが活発化している、ということだろう。この2本、できたら明日まとめたいけど、無理かも。
http://www.thisislondon.co.uk/standard/article-23686708-details/Dutch+euthanasia+expert+to+give+Londoners+tips+on+suicide/article.do

ブレア政権下で学校インスペクターの長を勤めたMr. Education、Chris Woodhead氏(62)が運動神経系の病気にかかっており、現在は進行が緩やかだけれど、いずれ進行して苦しむくらいなら自殺したいとの意向を明らかに。「人生の質のほうが長さよりも大事」。影響力の大きな人らしくて、英国メディアが軒並み取り上げている。(教育畑の人がなんてこと言うんだ!)
http://www.timesonline.co.uk/tol/life_and_style/education/article6211832.ece

上記、Woodhead氏の発言を受け、Guardianに「やっぱり自殺は社会のタブーであり続けるべき」との批判。
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/belief/2009/may/06/suicide-motor-neurone-woodhead

英国看護学会が会員に対して自殺幇助についての意見を募集中。
http://www.nursingtimes.net/whats-new-in-nursing/acute-care/rcn-consults-members-on-process-of-assisted-suicide/5001020.article

米国の実験段階の薬でアルツハイマーの症状で悪化した記憶能力が改善した。マウスで長期の記憶を取り戻し、新しい仕事を身につける機能も改善した。アルツハイマーに関係する遺伝子に影響する薬
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8033422.stm

Maine州の知事が「憲法での平等な保護」の問題として同性の婚姻を認める法案に署名
http://www.nytimes.com/2009/05/07/us/07marriage.html?th&emc=th

危うくなっているBoston Globe紙、労働組合が賃金カットなどの厳しい条件を呑んで存続可能に。(今でも、もはや権力の監視機能は失っているみたいではあるけど、ジャーナリズムはこれから、どうなるんだろう。Ashley事件で一番怖いことの1つは、実はジャーナリズムが真実を知りながら、まったく機能しなかったことなのだけどなぁ……。)
http://www.nytimes.com/2009/05/07/business/media/07paper.html?th&emc=th
2009.05.07 / Top↑
抗精神病薬と認知症の薬の処方が1996年から2006年の10年間で倍増していることが
5日刊行されたHealth Affairs誌に掲載の論文で明らかに。

2006年には成人の10人に1人、
子どもの20人に1人が精神科薬を処方されている、と答えており、
96年と比べると成人で73%の増加。
子どもでは50%の増加。

精神科医療にかかる一人当たりの医療費も2006年までの10年間で30%増加しており、
その増加分は、ほとんどが薬にかかったもの。

これらの増加は主に精神科医療へのアクセスがよくなったことからくるものだが、
「近年は増加傾向も鈍っている」と
論文著者でHarvard Medical Schoolの医療経済学者 Richard Frank氏。

「私にとっては、この増加自体は
しかるべき薬を処方してもらえる人が増えた、
症状が軽くなる人が増えた、という意味だ」とも。

しかし、以下の WS Journalの記者は
「その理由のひとつとして精神科医療が薬物療法に傾斜していることもあるのでは、
心理療法などの、いわゆる心理社会的療法が同じように増加しているわけではないのだから」と。

2006年に、精神科以外の領域では
医療費全体に占める医薬品代は26%であったのに対して、
精神科医療では51%が医薬品代だった。

精神科で患者一人当たりにかかった費用では
1996年の40ドルから2006年には148,56ドルへと跳ね上がった。

Mental-Health Drug Usage Rises
The Wall Street Journal, May 5, 2009


医療費を膨張させているのは、本当に高齢者や障害者や
現在、欧米で「治療は無益」と決められて栄養と水分を停止され
餓死させられているような患者たちなのか……

本当は科学とテクノロジーで見果てぬ夢を追いかけようとする、その文化と
そこに蠢いて人を人とも思わない利権構造ではないのか……と

いつも思うことを、また考える──。


なにしろ、当ブログがたまに目に付いたものを拾ってきただけでも、
関連エントリーが、こんなにも沢山ある。




2009.05.07 / Top↑
3月の末にノースカロライナ州のナーシングホームで起き、
入所者7人と看護師1人が犠牲となった銃の乱射事件で
単身で犯人と対峙し、犯行をとめた警察官が
足に受けていた銃創も癒えて職場復帰したとか。


犯人に障害があるといわれていたことと、
本人が犯行前に“神経の薬”を6錠も飲んだと供述していたことが気になって
この事件のニュースはその後もずっと追いかけていたのですが、
そのあたりの詳細は出てきていません。

事件の性格としては家庭内の揉め事で起こったもので、
たまたま妻の職場だったからナーシングホームで起きた……という単純なもののようです。

一通りの締めくくりとして、このあたりで事件の概要をまとめてみました。

           ------

3月29日日曜日朝10時。
North Carolina州 Carthage 人口1800人。
警察署長が「最後の殺人事件がいつ起きたか思い出せない」というほど
平和で信仰心の厚い小さな町。
警察官も総勢18人。そこで日曜日には1人勤務となる。

Pinelake Health and Rehabilitation Center(120床)に
ショットガン、ライフルその他2,3の武器を持った男が侵入。
オーバーオールを着ていた。

11人に向け発砲し、7人の入所者と男性看護師1人(39歳)が死亡。3人が負傷。
死者は 78歳、88歳、89歳がそれぞれ2人と98歳が1人。

看護師の Jerry Avent さんは高校卒業後
10年間コーストガードとして働いた後、看護師になった。
同じホームで医療技術者をしている婚約者と近く結婚する予定だった。
25回以上も撃たれていた。入所者を守ろうと犯人の前に立ちふさがったといわれる。

911通報により、男の侵入から18分後に
当日1人で勤務についていた25歳の警察官 Justin Garner が駆けつけた。
犯人の肩を一発でヒット、犯行を見事に止めた。
自らも犯人との銃撃で足に弾片を受けた。
数分後に救援の警察官が複数到着したが、すでにGarnerが犯人を制圧していた。
多くの命を救った功績は多大とMoore郡検察官。

犯人は Robert Stewart (45)。建物の外壁塗装工。
ニックネームはShorty や Pee Wee(ちび)。体重150キロ。

別居中の妻 Wanda Gay Neal (43)が看護助手として同ホームに勤務。当日も勤務中。
2人は妻が17歳の時に結婚、3年で離婚、2002年に同じ相手同士で再婚。
今も法律的には夫婦のまま1ヶ月前から妻は実家に移り別居中。
Nealさんはその間に他にも3人と結婚・離婚。Stewartのほうも計4回結婚。
別れた別の妻は「しょっちゅうWandaと比べられた。ずっと忘れられなかったのでは」と。

障害があり、月収786ドルと、裁判所の書類に記録。

離婚だけでなく2回の破産申し立てでも裁判所の世話になっている。
1度は33196ドルの負債が帳消しになった。
90年代には塗装の会社を起こしたが、客からのクレームが多かったとも。

2年前にCarthage郊外に65000ドルの家を購入。
近所の人によると、Stewartは最近は障害者手当をもらっていた、と。
(この障害についての詳細はまだ出てきていません。)

先週会った人によると、前立腺がんになってウツ状態だった、と。
息子にも「遠くへ行く。見たことのない場所へ行く」と言っていた。

前の週3月23日に家の納屋で小火騒ぎを起こした。8000ドルの損害。

入所している叔母を見舞いに訪れたCottenさん(53)は、
駐車場にトラックを止めようとしたところで、
正面から銃を向けられたので、慌てて伏せたという。
「犯人は冷静で、行動も落ち着いていた。
そのまま銃を持ち上げて、私のトラックに向けたんだ」
トラックのフロントガラスは粉々。
Cottenさん自身もライフルの弾片で怪我を負ったが、
建物に走りこみ、乱射を知らせた。

男が建物に入ってくるのを聞きつけてトイレに隠れた。そこから冷静に911。
廊下をこっちに向かってくる足音が聞こえ、でたらめな乱射の音と
人々の叫び声や悲鳴が聞こえていた。

当時、妻のNealはアルツハイマー棟にいて
館内放送で男の侵入と乱射を聞き、他の職員と入所者をTV室に集め、ドアをバリケードした。
他の患者を連れに行こうとして犯人の足音を聞いてトイレに隠れたが
病棟には鍵がかかっており、犯人は入れなかった。

自分を殺せなかったので、せめて苦しめてやろうと患者を殺したのだと思う、と妻。
「どういう人間が車椅子の人を撃ちます? 意気地のない人のやることです」

妻は犠牲者家族に謝罪して、
「あの人たちじゃなくて、私だったらよかったのに」と。

Stewartの罪状は第1級殺人8件と警察官に対する襲撃の罪。
30日に裁判所に初めて出頭。次は13日。
来月大陪審で審理となる。

       ――――――

Patrick Fiel Sr. 安全アドバイザー ADT Security Services' Wilmington事務所
Washington, D.C.の前警察長官は、

「いかなる場所でも犯罪者が入りにくくする計画と万が一の行動計画が必要。
ナーシングホームは訪問客がID提示して入るようにしたほうがいい。
昔のようにドアを全部開放しておきたい気持ちはわかるが、時代は変わったのだ」

Bill Lamb UNC’s Institute on Aging 、NH入所者のアドボケイトは、

「家庭的な施設を目指してきた努力に逆行する。
外からの訪問客が入所者のQOLを向上させる。
NHは訪問しやすい場所であるべき。
地域の人が自由に出入りできるようでありたい、バリアを作ってはいけない。
ただでさえ来たがらない人が守衛所を通らないといけないことになったら余計に来なくなる」

Dr. Saundra Westervelt、 UNC-Greensboro 社会学教授は、

「統計的にはNHの入所者が銃による虐待にあう確率は低い。
その小さなリスクのためにセキュリティを上げる価値があるかどうか。難しい。
米国社会そのもので暴力犯罪が増加しており、場所には関係がなく
犯罪被害にあう確立は犯人の知っている人で高い。
すべてのナーシングホームの入り口に金属探知機を設置するよりも
社会問題そのものに焦点を当てるべき。
自由社会に住むなら、そういう選択をしなければ」

事件で母親を亡くした男性は、
「自分も入れないような、鍵だらけの場所に家族を閉じ込めたい人なんていない。
監獄じゃないんだから。年寄りにとっては家なんだから。年寄りを尊重しないと」

             ――――――

タウン・コミッショナーが緊急会議を招集。
2日にSandhills 精神保健センターの代表者が集まって
カウンセリングを実施することについて協議。

グリーフ・プログラムが組まれ、
4月中の木曜日夜6時半から8時、教会でケアのためのミーティングが行われる。
NC医療施設協会が犠牲者の家族の支援のため基金を設立。募金が呼びかけられている。

Sandhills精神保健センターのMark Marquez氏は
「スタッフは介護者で、多くの人が自分はするべきことをしなかったと感じている。
もっとできたことがあったはずだと。本当は彼ら自身も犠牲者なのに」

州のハイウエイ・パトロールで、
最初に惨劇に行き合わせ対応した人への支援を行うスペシャルチームのHerb Garrison氏は、
「これほどの大事件がおきると、どんなプロフェッショナルであっても、
どれほどの訓練をつんでいても、気持ちが不安定になるんです。

実際に対応している最中はショックを感じません。衝撃はあとでくるんです。
今回の悲劇は短時間におきましたが、これを乗り越えて前に進めるようになるには
とても長い時間が必要になります」

Carthageでは、ともに元の平和な町を取り戻そうと
希望の象徴として白いリボンが飾られている。

          ――――――

一連の報道をネットで読んで、とても気になったのは
記事に寄せられるコメントの一部に非常に直情的で激しいものがあること。

例えば
「裁判に時間がかかっている間、こんなやつを税金で養ってやるのは金の無駄」
というコメントはかなり目にしたし、

「こんなキチガイを治療してやることはない。医者が殺せばいいのだ」
「すぐに死刑。それも時間をかけて、じっくりと苦しめながら死刑に処せ」など。

コメントする側の心理状態にも余裕のない攻撃性が感じられて
今にも爆発しそうなものを抱えて煮詰まっている人の多い時代の閉塞感?

米国ではこの直後の4月3日にも
NYのコミュニティ・センターでの乱射事件が起きたり(14人死亡)
4月4日にはピッツバーグで男が警官らに銃を乱射するなど、
1ヶ月の間に53人もが乱射事件の犠牲になっている。




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