2ntブログ
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
The Timesは
議員らからヒト受精・胚法案については3時間の審議を4回では不足だとして、
もっと時間をかけることを求める声が出ていることを報じ、


The Guardianには
科学における国際競争力を重視するあまり政府は本来の同法の精神を見失ったとの批判が
野党保守党から出ていること、

具体的には、
父親役割を担う人が子育てには必要だとしてレズビアンの夫婦はIVFの対象から外すべき、
救済者兄弟は命に関わる病気に制限するべき、
などを保守党が主張していることが報じられています。
(ただし個々の議員の投票には党の縛りはかけないとのこと)


もう1つGuardianでは
Simon Hoggart’s sketchという議会スケッチ・コラムが昨日の同法を巡る議論を取り上げており、

人間の生殖が完全にコントロールできる時代になったら
昨日の議会で発言したような人間を産みたいと思うだろうか、と
精子だのレズビアンだの救済者兄弟だのについて
どういう口調でものを言えばいいのか戸惑い気味で
その挙句に巻き起こってしまう、とんでもない言葉の応酬を皮肉っています。

MPs tread carefully on issues of conscience
Simon Hoggart’s sketch
The Guardian, May 13, 2008

実際に議会のサイトに行けば議事録も読めるはずなのですが、
この法案については以前の議論を読んでみた時に、とても疲れたので、
ちょっと気力が出なくて、パス……。

       ----       ----

とはいうものの、興味がある人もあるかもしれないので、
また私自身の資料としても一応関連サイトを以下に。

法案そのものはこちら

(冒頭から「医学研究で英国が先頭に立つため」との目的が謳ってあります)

保健省の同法関連サイトはこちら

議会でのこれまでの審議についてはこちらの議事録サイトから
(最新情報はまだアップされていません。)

プロ・ライフの超党派の議員グループが作っている同法のサイトもあって、こちら

なお、ちょっと気になるので改めてちゃんと読んでみようと思っていますが、
英国医師会の同法に関する見解がこちら
2008.05.13 / Top↑
ママさんホッケーの選手からアラスカの州知事(共和党)に転身するや、
就任1年で議会の両院議員の後押しを取り付けて石油会社と真っ向対決、
石油会社への増税を実現するという快挙を成し遂げた Sarah Palin氏(44歳)が
4月18日に夫妻の5人目の子どもとなる男児を出産。

妊娠4ヶ月の時に医師から胎児にダウン症があるとの連絡を受けたとのこと。
さすがにこれほどの人気知事、記事はいささか美談仕立てになっていますが、
私が「お?」と思ったのは、

ダウン症だと告げた医師が知事にダウン症についての本を貸していること。

さすがにその本を開くまでには時間がかかったといいますが、
読んだ後、知事はさらにダウン症関連のウエブサイトを開き、
ダウン症があるというのがどういうことかについて「事実を読み始めた」といいます。

たまたま夫が仕事で家を離れている時だったので、
帰ってくる前に自分たちが直面しているものをちゃんと理解してから話したかった、というのです。

こういう医師もいるのだと知り、
こういう親もいるのだと知ると、
やっぱり、ほっとしますね。

2008.05.13 / Top↑
英国議会で議論されているヒト受精・胚法改正については
両党とも党の縛りを解いて議員個人にそれぞれの良心に従って投票することを認めていますが、
その投票が近づいてきたことから英国メディアには
この問題に関する12日付ニュースが多数出ています。





the Guardianの記事 What’s in the bill には
簡潔にこの法案で論争になっているポイントがまとめられており、
この法案で最も大きな関心を呼んでいるのは

・動物の細胞に人間の遺伝情報を組み込んで作る混成胚の研究利用を認める
・臓器移植を必要とする子どものために遺伝子診断で作る「救済者兄弟」を認める
・レズビアンの夫婦に生殖補助医療を認めるために、現在の「父親がいること」との条件を削除する
・生殖補助医療の余剰胚を夫婦が研究に提供することを可能とする
・パートナーの凍結精子の死後利用を可能とする
・中絶のタイムリミットを現在の24週から繰り下げる


Guardianが独自に議員らに調査したところによると、
上記のポイントのうち中絶のタイムリミット以外は賛成多数という見通しのようです。

それにしても上記の記事のいずれにおいても
着床前遺伝子診断で病気や障害のある胚をそうではない胚よりも選好してはならないとする点については
触れられていないのが気になります。

「障害児はnon-personである」などという声まで上院議会で出ていたのですが。

また、Timesの記事は中絶のタイムリミットの問題を取り上げており、
先日発表された24週未満の未熟児の生存率は医学が進歩しても変わっていないとの調査結果から
保健大臣を始め何人かが、引き下げることには科学的根拠がないとの見方を示しています。
(まぁ、そのための調査であり、この時期の結果発表だったのでしょうから。)

しかし、彼らの発言をよくよく読むと、
「生存の可能性はあるのだけれども、そういう子どもたちはNICUを使う率が高くなる」
という話が複数回出てきていて、

引き下げたいとする側は中絶反対のプロ・ライフの立場であるのに対して、
引き下げに反対する側がこれまでのようなプロ・チョイスの立場ということではなく、
むしろ「重症障害児を出したくない」とか
「超未熟児に高度医療施設を占領させたくない、医療費をかけたくない」といった辺りが
身もフタもない本音というところのようです。

そういうホンネが「科学的根拠」とか「親や本人のため」など、
もっともらしい理由に巧妙に摩り替えられるわけですね。


2008.05.13 / Top↑