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英国の自殺幇助ガイドラインについてNYTの記事。トップニュースの1つ。法学者のコメントで、このガイドラインは医師による自殺幇助に向けた運動をすべて停止させるもの、自殺幇助は医師やスイスのDignitasの手を借りてやることではなくなる、と。:愛する人が死にたがっていて、利害なしに共感的に手伝うのだったら、手伝って死なせてもいいのだったら、医師による幇助はいらないことになる。というか、殺してもいい、ということにだってなるのでは? というのは、ここで書いたばかり。うん。やっぱり、あのガイドライン、そういう解釈が成り立つと思う。なんで英国人は誰もそれを言わないのだろう?
http://www.nytimes.com/2009/09/24/world/europe/24britain.html?_r=1&th&emc=th

TimesにDPPの追加発言。免罪するものではないとか、無罪放免の保証はなく、あくまでも個別の判断だとか、未だに自殺幇助そのものは犯罪だとか、これで英国にDignitasのようなクリニックが出来るわけでも自殺が増えるわけでもない、とか、:もう、私にはワケが分からない。DPPを含めて、みんな、言葉を厳密に定義しないまま、言っていることが曖昧すぎる。1つの言葉で意味する内容がバラバラ過ぎる。
http://business.timesonline.co.uk/tol/business/law/article6845582.ece?&EMC-Bltn=AEIFGB

弟(兄?)を2003年にDignitasに連れて行ったという女性がDPPのガイドラインを歓迎する文章をGuardianに書いている。
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2009/sep/23/assisted-suicide-guidelines-dignitas

アルツハイマーの作家Prachett氏が自由民主党で講演し、アルツハイマー病研究にもっと助成を、と。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/164864.php

病院がコストカットのために外来患者の透析部門を閉鎖していて、病院の低所得者に対する無料透析サービスが受けられなくなる移民が命の危機に。:そう言われないから、そう感じられないだけで「見殺し」が起こっている。
http://www.nytimes.com/2009/09/24/health/policy/24grady.html?th&emc=th

HIVのワクチンの大規模治験で初めて感染リスクが下がったというのだけど、この大規模な治験、タイで16000人にワクチンを打ったんだと。米軍とタイ政府の共同実験。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8272113.stm

加齢により心臓病で死ぬリスクはビタミンDの不足で高まると、コロラド・デンバー大医学とMGHの研究で。:どうも、ビタミンDは最近ほとんど万能薬のようにあちこちで研究者にもてはやされているような気がしていけない。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/164790.php

ブラウン首相が途上国の1000万人に無料で医療を届けると約束。英国、オーストリア、ノルウェイ、オランダが参加するプロジェクト。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/politics/8271882.stm
2009.09.24 / Top↑
昨日のDPPのガイドラインを受け、
MS協会からのレスポンスが出ています。

ガイドラインによって自殺幇助にGOサインが出たが、
医師による幇助がないのだから、人々の情報源はGoogleだけということになる。

英国社会が自殺幇助を受け入れられるかどうかを決めるのは
DPPや裁判所や要介護状態の人たちの仕事ではない。

MS協会としては、こうなった以上、
自殺幇助の法制化が必要かどうか
Royal Commission(王立委員会)から政府に答申してもらいたい。

Assisted suicide and new DPP guidance
MS, News & Events, September 23, 2009


これを読んで、気づいた。

あのガイドラインは、
身近な人の「自殺幇助」を罪に問わない場合の条件を述べているのだけど、
では、どういう行為が「幇助」に当たるのかは規定されていない。

どこまでが「幇助」で、どこからが「殺人」なのだろう。

その線引きを決めるのは警察の仕事ということなんだろうか。

まさか、本人意思や共感や誘導の不在など、
ガイドラインに挙げられていた条件さえクリアすれば、殺したっていいということ……?

Purdyさんはスイスに付き添って行く行為しか頭にないようなコメントをして
それで済むかもしれないし、

MS協会のいう「Googleだけがリソース」というのも
自殺幇助サービスの利用を前提にしているようだけど、

このガイドラインは海外での自殺幇助だけでなく
イングランドとウェールズ国内での自殺幇助にも適用されるとDPPは明言しているわけだから、

そこのところが曖昧でいいんだろうか。

もしも本人意思に共感的にやることなら殺したって無罪放免なのだったら、
医師による自殺幇助の必要などなく、素人が勝手に殺したっていいことにならない……?

なんか、ワケがわかんなくなってきた……。


【追記】
その後、確認したところ、DPPのガイドラインは自殺幇助に関するものであり、安楽死については別。

よって、あくまでも死ぬのは本人。DPPのガイドラインがカバーしているのは、そのお手伝いをした場合。
死にたい人が自分で死ねないからといって、殺したら、それは殺人になる、とのこと。

こちらのサイトの定義によると、
直接的に死を引き起こす最後の行為を誰が行うか、が安楽死と自殺幇助の線引きをするらしい。

だからDignitasでは、毒物を手渡した後、
「これは自分で飲まなければならない」と言って、自分で飲ませている。

でも、そういう線引きで本当にいいのか……?
2009.09.24 / Top↑
どうも、メディア報道だけを読んでいても判然としないので、
直接、公訴局のサイトに行って以下の当該プレスリリースを読んでみました。


なお、記者向けのブリーフィングのビデオはこちら

直接読んでみて、
メディアがあまり重視していないけど本来重視すべきだろうと思う点は以下の2点。

・あくまでもこれは中間方針であり、今後3ヶ月間のパブコメを経て最終的なものとなること。
・この文書では「被害者」「加害者」という表現が使われていること。


その上で、この文書から
訴追する方向にカウントされる公益ファクターを以下に。

•The victim was under 18 years of age;
•The victim's capacity to reach an informed decision was adversely affected by a recognised mental illness or learning difficulty;
•The victim did not have a clear, settled and informed wish to commit suicide; for example, the victim's history suggests that his or her wish to commit suicide was temporary or subject to change;
•The victim did not indicate unequivocally to the suspect that he or she wished to commit suicide;
•The victim did not ask personally on his or her own initiative for the assistance of the suspect;
•The victim did not have a terminal illness; or a severe and incurable physical disability; or a severe degenerative physical condition from which there was no possibility of recovery;
•The suspect was not wholly motivated by compassion; for example, the suspect was motivated by the prospect that they or a person closely connected to them stood to gain in some way from the death of the victim;
•The suspect persuaded, pressured or maliciously encouraged the victim to commit suicide, or exercised improper influence in the victim's decision to do so; and did not take reasonable steps to ensure that any other person did not do so.

訴追に否定的な公益ファクターとなるのは、

•The victim had a clear, settled and informed wish to commit suicide;
•The victim indicated unequivocally to the suspect that he or she wished to commit suicide;
•The victim asked personally on his or her own initiative for the assistance of the suspect;
•The victim had a terminal illness or a severe and incurable physical disability or a severe degenerative physical condition from which there was no possibility of recovery;
•The suspect was wholly motivated by compassion;
•The suspect was the spouse, partner or a close relative or a close personal friend of the victim, within the context of a long-term and supportive relationship;
•The actions of the suspect, although sufficient to come within the definition of the offence, were of only minor assistance or influence, or the assistance which the suspect provided was as a consequence of their usual lawful employment.


このなかで「ちょっと待ってよ」と即座に頭に赤ランプが付いたのは
自殺希望者の状態に関する条件で、

この文書は許容範囲を、
A terminal illness or a severe incurable physical disability or a severe degenerative physical condition from which there was no possibility of recovery 
としていること。

ターミナルな状態の人だけでなく、
不治の重い身体障害のある人、
重い進行性の身体障害のある人が含まれている

じゃぁ、
ターミナルな状態と障害は別概念で混同するな。障害者には関係ない」といって
自殺幇助合法化に反対する障害者を攻撃していたBMJの副編集長やWarnock議員は、
このガイドラインに反対しなければ筋が通りませんが?

それから、アルツハイマー病の作家Prachette氏が数ヶ月前からこの議論に参戦していますが、
病気が進行すれば身体障害も現れてくるアルツハイマー病は
果たしてこの中に含まれるのかどうなのか……。

もう1つ、ものすごく気がかりなこととして、
合法化されている多くの国や州で条件に加えられている「耐え難い苦痛」が見当たらないのです。
メディアは全く触れていませんが、この条件を除外してこそ身体障害者の対象化が可能になっているのです。

もしも、このガイドラインが将来の合法化への一歩だとすると、
これまでの国や州での尊厳死法の規定をはるかに超えた対象条件の緩和ということになります。

それから精神障害・知的障害について一律に除外するのではなく、
「十分な説明を受けた上での自己決定が障害の影響で出来にくくなっている場合」とのみ除外していることも、
“解釈次第”の余地が残されているような……?

曖昧でありながら、どの国や州よりも大きく何かが飛び越えられてしまった……というガイドライン――。


2009.09.24 / Top↑
Dr. Deathこと、オーストラリアのDr. Nitschkeが創設した組織Exit International が
バンクーバーの図書館で9月上旬にワークショップを予定していたらしいのですが、

警察から、その内容が憲法違反に当たる可能性を指摘された図書館が
部屋の利用許可を撤回した、とのこと。

Exit International 側は“言論の自由”を侵されたとして争う姿勢。

また11月にもバンクーバーのほかの地区で
同様のワークショップを開催する予定もあるとのこと。

Library Nixes Final Exits
The Seattle Post-Intelligencer, September 22、2009/09/24



ワークショップは、以下のエントリーで追いかけてきたものと同じらしく、
2部構成で、前半で自殺幇助合法化議論の概要と、その理念を解説し、
後半では55歳以上の人を対象に実際にラクに死ねる方法を教える、というもの。

カナダでは現在議会に自殺幇助合法化法案が提出されており、
9月後半にも審議入りとのことなので、
合法化ロビーが国外からもたくさん入り込んでいるものと思われます。

ちなみにケベック州医師会は合法化支持を打ち出しています。



2009.09.24 / Top↑
【9月30日追記】
コメント欄でドイツの安楽死合法化に関する日本の報道は不正確であると教えていただき、
教えていただいた英語情報を確認したうえで、
以下の「ドイツは6月に安楽死を合法化」のリンク先の記事は非公開としました。

         -------

今回のガイドラインを受け、
BBCが世界の自殺幇助合法化議論の概要をまとめている。

その冒頭にグラフが2つ。
その1つに、たまげる。

スイスのDignitasで自殺した英国人が110人を超えただけでも衝撃的な事実なのに、
この1998年から2008年までの国籍別自殺者数のグラフで図抜けているのは
その英国人ではなく、なんとドイツ人で、
2008年時点ですでに500人を超えている。

ちなみに、記事には何故か書かれていませんが、
ドイツは6月に安楽死を合法化しています。

この記事が「過去1年間に自殺幇助を認めた国や州が3つ増えた」と書いているのは
米国ワシントン州、モンタナ州、そしてルクセンブルクのことだと思われます。

また記事によると、2002年に合法化した人口1700万のオランダでは
年間2300人が幇助を受けて自殺しているとのこと。
ただし、耐え難い痛みがあることと回復の見込みがないことを条件とし、
このような経験のある医師を含めた2人の医師の判断が必要。

うつ病患者の場合の判断がよく問題になる、とのこと。

また、そのオランダからも、この11年間に
800人以上がDignitasで自殺しているものと推測される。



また、BBCはこの記事と平行して
「アジアの自殺幇助に対する姿勢」として
中国の全身麻痺の男性を取材した記事を書いている。

男性が
自分としてはこんな状態で生きていたくないし安楽死を望んでいるのだけど、
中国では死について話すことそのものがタブーだし、
世間体や面子を考えるから誰も家族を死なせるなんてできないのだと語るのを、

このような重い障害を持った男性に生きることを強制する
アジアの文化の非情……といったトーンで書いている。

Asia’s attitude to assisted suicide
The BBC, September 23, 2009


まぁ、BBCといえば、英国のメジャーなメディアの中でも
飛びぬけて科学とテクノのニュースが好きなところだし、

アルツハイマー病の作家へのインタビューでも
インタビュアーがものすごく積極的に誘導していましたが、

中国で、こういう主張をする男性障害者を一人探し出してきてインタビューして
それで「アジアの姿勢」とタイトルを打つというのも、いかがなものか。


また、同じく今朝拾ったニュースで
米国ニューハンプシャー州の下院議会の法務委員会が
自殺幇助合法化法案の提出の検討に入った、とのこと。




2009.09.24 / Top↑