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Obama大統領が水曜日の夜、医療保険制度改革についてスピーチするんだとか。:詳しいことを知らないから何とも言えないけど、共和党のネガティブキャンペーンにも根拠のないデマゴーグの匂いがするし、反面、無益な治療法とか子どもの栄養と水分の停止方針とかQALYだのDALYだの、米国の医療の中に既に高齢者と障害児・者切り捨ての方向性は出来てしまっているみたいに感じるので、そこのところでObamaケアは具体的にどういうバランスをとるんだろう……というのが気になっている。(これは、でも、たぶん米国だけじゃない。科学とテクノのネオリベの勢いに世界中が引きずられて、そこから逃れられる国は、たぶん、もうない?)
http://www.nytimes.com/2009/09/09/opinion/09smith.html?_r=1&th&emc=th

ADHDの患者は脳で特定のたんぱく質が欠けていて、報酬とかモチベーションの感覚が経験できないと、米国の研究者。:うつ病に関しても脳内に化学的な変化が起きていると言われて、だから、その化学変化に対応する薬で治ると言われていたけど、私はずっと「それがうつ病になった結果として脳内に起こっている変化に過ぎなくて、実は原因ではない可能性というのは、どうやって否定できるんだろう」という素人の素朴な疑問を引きずっている。あ、この研究がその特定のたんぱく質の不在をADHDの直接的な原因としているわけではなさそうなのだけど。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8243354.stm

背の高い人のほうが人生に対する満足度が高いんだと。ただし、世間が正常と捉える一定の高さまで。:ほんっとーに、もう、こういう仮説をせっせと立てては次から次へと調査してみようという科学とテクノの研究者の方々の頭の動きと、それをまた、イチイチ取り上げて騒ぐBBCにも、いいかげん、ウンザリなのだけど、こういうのが、いったい何のための”科学的エビデンス”だというんだろう……と考えたら、やっぱりデザイナー・ベイビーを正当化するためのエビデンス作り?? 
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8245032.stm

日本の弁当文化が米国に。健康的な内容と、一定の分量で収められる、というところが評価されているみたいなのだけど、子供向けに、ウサギの形の卵焼きとか、そういうのもウケているらしい。でも、この弁当の写真、なんかが微妙に違って、おいしそうだと思えない。食文化が違うから当たり前といえば当たり前なんだけど、多分、カラフルすぎる。もうちょっと茶色っぽい方がおいしそうに見える気がするのは、日本のしょうゆ文化?
http://www.nytimes.com/2009/09/09/dining/09bento.html?_r=1&th&emc=th
2009.09.09 / Top↑
前のエントリーで紹介した「高齢者入所施設における痛みマネジメント戦略」を以下に。

コピーライトの問題からすると、
勝手にこんなふうに翻訳転載していいのかどうか……という懸念はあるのですが……。
(それを言えば、このブログのエントリーの大半はコピーライト違反ですよねぇ……)

とりあえず、仮訳として。


痛みに気づく
高齢者入所施設における痛みマネジメント戦略

(1)顔の表情

・ ちょっと顔をしかめる。悲しそうなおびえた顔つき。
・難しい顔つき。額のシワ、目をつぶっている。きつくつぶっている。
・顔をゆがめる表情
・せわしなく瞬きをする

(2)言葉に出したり、声を出して訴える

・ため息をつく、うめき声、うなり声
・口の中でぶつぶつ言う、節をつけて声を出す、大きな声を出して何かを求める
・大きな呼吸音
・助けてくれと求める
・言葉の暴力

(3)身体の動き

・こわばって緊張した姿勢、防御
・ごそごそして、じっとしていない
・ひたすら歩きまわったり身体を揺らす行動の増加
・身体の動きが限定されてくる
・歩幅や動き方に変化がある

(4)対人関係の変化

・攻撃的、好戦的になる、ケアを拒む
・人とのやりとりが減る
・社会的適応性が下がる、場を乱すような行為
・ひきこもり

(5)行動パターンやルーティーンの変化

・食べ物を拒否する、食欲の変化
・休息している時間が長くなる
・睡眠や急速のパターンが変わる。
・いつもやっていることを突然やめる
・徘徊が増える

(6)精神状態の変化

・通常の認知状態が悪化する
・泣いたり涙を流す
・混乱が増す
・腹を立てやすくなり、落ち着きをなくす


【注】
入所者の中には非常に強い痛みによる行動をほとんど見せない人がいること、
中には全く見せない人もいること、

また痛み以外の理由でこのような行動を見せる入所者もいることは
念頭においておきましょう。

P. 32
Observing and Talking About Pain Behaviors: A Workshop for Family Members of People with Dementia
University of Alberta, Edmonton, Canada
January 2008

ただし、この戦略は、
2002年のThe American Geriatrics Society(AGS)の
高齢者の継続的な痛みに関する委員会のガイドラインを

2007年にオーストラリア痛み学会が
「高齢者の入所施設における痛み・マネジメント戦略」として刊行したものを、

アルベルタ大学作業療法学科がオーストラリア痛み学会から使用許可を受けて
Brown準教授のプロジェクトに転載しているもの。
2009.09.09 / Top↑
カナダのAlberta大学といえば哲学とか障害学のWilson教授、Sobsey教授が
当ブログではおなじみですが、

当ブログが継続的に考えている問題のひとつ、
言葉で意思や痛みを表現することが難しい人の医療の問題を
ここしばらく(こことかこことかで)、また取り上げていたところ、

例によって“必然としか思えない偶然”が起こり、たまたま面白い情報に出くわしたので、
今回は同大・作業療法学科のCary Brown 準教授のプロジェクトをご紹介。



認知症の人の痛みに気づくために、
その典型的な痛み行動について理解を深めるオンライン・ワークショップです。

サイトを訪れると、まず池の水面に散り敷いた落ち葉の写真に出会います。
落ち葉によって水面下で起きていることは覆い隠されてしまっています。
それと同じように、認知症の人々が経験している痛みの深さを知ることも難しい

「あなたはアルツハイマー病または認知症の人をケアしていますか?
 その人に痛みがある時に、あなたは気づけますか?」

認知症患者で見過ごされている最も一般的な痛みは、
関節炎、糖尿病による神経障害、骨折、筋肉の拘縮、打ち身、腹痛、口腔潰瘍など。

このサイトで出来ることとしては、
まず、以下の内容について、
さらに細かく立てられたテーマごとにBrown氏の講義を聞くことが出来ます。

・認知症と痛みに関する情報
・認知症の人の痛みに気づくためのツール
・理解しておいて医療職との意思疎通に役立てたい用語集

次に、自分で家族介護者を対象に同じワークショップを開催しようと考える専門職向けに
Observing & Talking About Painというワークショップ開催のための
計画の立て方、予算の組み方から参加者募集の方法、
ポスター案、準備の手順などのアドバイスに始まり、

当日のパワーポイントのシートと配布資料、
プレゼンの内容と時間配分といったワークショップの内容に関する一切合財、

事後の反省のためのチェックシートなど、
誰でも簡単にワークショップが開催できるだけの懇切な材料がそろっています。

特にプレゼンの内容と配布資料が非常に詳細なので、
この資料をダウンロードして読むだけでも、家族介護者はもちろん、
専門職にも十分に学ぶところが多いでしょう。

プレゼンの内容を以下に取りまとめてみます。

プレゼン内容1 「痛みはない」という神話について

なぜ認知症の人の痛みは理解されないのか?

・メディアが情報を流さない。
テレビでも新聞・雑誌でも高齢者が痛みに苦しむ姿に接することが少ない。

・言葉を話せない人は理解されにくい。

・痛みは加齢につきもので「つきあっていく」しかないと社会が受け止めている。

・認知症と診断されると、認知症にばかり目を奪われて、それ以外の問題が意識から漏れる。
また痛みは、高血圧などのように可視化できないので把握されにくい。

・行為には解釈が必要で、
言葉を持たない誰かの行為を正しく解釈することは、
その人と長く一緒にいる人でなければ困難。
その人を知らなければ送っているサインを誤解してしまう。

・身体をゆするとか、激しく何かを叩くといった行為の多くは
論理的に痛みとつなげて考えられることがない。

プレゼン内容2 なぜ認知症の人に痛みがあるのか?

認知症の人の痛みには身体的な要因か心理的な要因、またはその両方による場合がある。

例えば認知症の人が熱いコーヒーで口の中をやけどしてしまった場合に、
そのことを言葉で伝えることが出来なければ家族にはわからないし、
口の痛みを訴えることが出来たとしても、
それがコーヒーによるものだということを本人が忘れていれば
家族に理由を説明することが出来ない。
ものを食べようとしない本人を心配する家族は
口の中のやけどに気づかないまま食事を勧め、
オヤツを食べさせようとする。
それに抵抗する本人がやがて攻撃的になったり、
自分のうちに閉じこもってしまうと、
それが家族や医療職の目に脈絡のない行動と映ってしまう。

身体的な要因としては

・痛みを認識して表現することの問題
・事故や転倒(気づかないことが多い)
・口腔内の痛み(歯痛、潰瘍)
・活動性の低下(便秘、動かないための関節のこわばり、圧迫創、筋肉や関節の拘縮、事故や転倒)
(事故や転倒には周囲が気づかないことが多く、本人も忘れていたりする)

身体的な要因と心理的な要因が重なったものとして

・痛みを訴えると、自立生活が出来ないとみなされてしまうのではと恐れて言わない

・すぐに薬を処方されて中毒にされるのではないか、との恐れ。
これは本人だけでなく家族や医療関係者にもある重大な懸念ではあり、
実際に正しい知識を欠いた医療職が多いのも実情。
これについては最新のガイドラインをワークショップ内で別途解説する。

・痛みは認知症の人のQOLや機能の維持向上に重要な問題だということが
周囲の人たちに認識されていない。

・認知症の人の痛みに対応するための方針が未だに確立されていない。

プレゼン内容3 痛みを見つけるヒント

認知症の人の一般的な痛み行動とは
・顔の表情
・言葉で訴える、声を出す
・身体の動き
・日々の行動の変化
・考えと感情の変化

(ここで、米国老年医学会とオーストラリア痛み学会の作成・刊行による
「痛みに気づく - 高齢者入所施設における痛みのマネジメント戦略」が紹介されます。
これは、別途、次のエントリーに)

プレゼン内容4 痛みを見つける具体的な方法 PAINAD ツールの紹介

PAINADとは、上記で解説された項目ごとに認知症の人を観察し、
0から2点でその結果を記入していくアセスメント・シート。

このチェックを定期的に行うことで、
高齢者入所施設で入所者の痛みを早期に把握し、対応しようと
アルベルタ大作業療法学科が提唱しているもの。
(これも、興味ある方はワークショップ開催資料をダウンロードすると、たぶん33ページ辺りに)

プレゼン内容5 痛みへの対応

認知症の人の家族がPAINADを利用する場合の使い方を説明。
それ以外に家族が気をつけることが出来る点としては、

・その人が座ったり寝たりしている姿勢で
圧迫されているところ、こすれてしまうところがないかチェックする。
頻繁に体位交換を行う。

・セラピストの指導を受けて、家族みんなで腕や足をいっぱいまで伸ばしてあげる。

・乾燥肌は痛みに繋がるので、毎日のケアの中にローションの塗布を取り入れる。

・脱水も痛みに繋がるので、その人にとって必要な1日の水分量を医療職に確認する。

・ セラピストの指導を受けて、安全なトランスファーの方法を身につける。
2009.09.09 / Top↑
骨粗しょう症──。

言われてみれば、これもまた突然どこからか登場したと思うや、
急速に認知されて、知らない人がないほど、いきなりポピュラーになった病気ですね。

最近では骨粗しょう症の前段階の骨減少症もれっきとした病気となって、
世界中で何百万という主に女性が
「あなた、骨減少症がありますからお薬を飲みましょう」と
勧められているのだそうで、

去年、WHOが
骨の減少に治療を開始すべきタイミングを計算するオンライン・ツールFRAXを作った。
(今年のうちに改訂版が公表される予定)

しかし、こうした一連の流れに対して、気になる指摘が出てきている。

まず、FRAXを作ったのが、
そもそもの初めに「骨減少症」を病気として扱うアイデアを出したWHOの委員会だということ。

しかも、その委員会には、
1994年に初めて30歳女性の正常骨密度を定義した製薬会社から資金が提供されている。

FRAXの計算式は明かされておらず、外部の研究者によって検証するすべがない。

家族の病歴など骨密度以外の要因をカウントする点は評価できるものの
ビタミンD不足や運動不足、骨が脆くなるリスクのある抗てんかん薬や抗ウツ薬の服用は
カウントされていないなどの欠陥がある。

(抗うつ薬には骨密度を下げる副作用があったんですね。知りませんでした。
 じゃぁ、女性の更年期治療で、骨減少症治療薬と抗ウツ薬と一緒に処方されると、
それは効果が相殺されているってことになるんでしょうか)

米国のFRAXガイドラインでは
今後10年間に股関節の骨折が起きる確率が3%を超える場合または
股関節、脊柱、肩、手首で骨折が起きる確立の合計が20%を超える場合に
薬物治療の目安としているが、

ある医師に言わせると、
心臓病の治療の目安は今後10年で心臓発作が起きる確率が20%から30%になった時だから
心臓発作よりも股関節の骨折の方が重大な事態だとでもいうのか、と。

(これは、まぁ、治療薬の副作用のインパクトが圧倒的に違うから、
ちょっと言いがかり的な感じもしますが、言わんとしていることは分かりやすいですね。

リスクさえ小さければ、確率をずらりと並べて人の恐怖をあおり、
薬物治療の対象となる病気を増やし続けていいのか、という問題提起だと思うので)

しかも、FRAXのガイドラインは国によって違っていて、
その理由は「国によって医療コストが違うから」。

またFRAX以前に、骨減少症で薬を飲ませることそのものに
効果よりも害の方が大きいとの批判もあって、

去年、British Medical Journalに 骨粗しょう症の薬の分析論文を書いた
Drl Alonso-Coelloの結論は、骨減少症の女性にはおおむね効果がなく飲む必要がない。

骨減少症で処方される薬には胃腸障害その他の副作用が知られている。

Merck社のFosamaxには
副作用で顎の骨が溶けた患者から何百もの訴訟が起きている。

そもそも、30歳の女性の正常骨密度を定義して、
それを基準に骨減少症を診断すること自体におかしな点があって、

人間の骨は加齢とともに減少するものなのだから、
30をかなり過ぎれば誰もが骨減少症の患者ということになる。
それは、ちょうど30歳以上の女性にシワができたから
その人には「皮膚障害がある」と診断するようなものではないか、との批判も。

しかし、いまや世界中の医師らの診察室や薬局やショッピングモールやジムに
製薬会社のお金で骨密度測定器がせっせと設置されている。

そして、2003年以降、骨減少治療薬の年間売り上げは倍増して今や83億ドル。

「もちろん悪いのは医師らですが、
女性は治療に同意する前にリスクについて自分でちゃんと勉強した方がいい」と、ある医師。

Spits Form Over How to Address Bone Loss
The New York Times, September 7, 2009


30以上の女性にシワができたといって、
その人には「皮膚障害がある」と診断し薬を飲ませる……といったようなこと、
最近、予防医療という名目で実はあちこちで起きていませんかね、そういえば──?

           ――――――

ちなみに、このエントリーを書くための検索過程で
医療コンサル企業の日本支社による2007年7月の
「骨減少症及び骨粗しょう症」についてのレポート概要ページを見つけたのですが、
そこに、以下のような記述が。

骨粗鬆症の有病者数の増加、著しく高い罹患率、死亡率、
および医療制度にかかるコストの認識が改善していることを考慮すると、
その予防と治療には相当なビジネスチャンスが存在する。

http://www.dresources.jp/servis/treatment/OsteopeniaOsteoporosis.html

最初は、「ビジネスチャンス」に目を奪われたのだけど、

次に「著しく高い罹患率」てな、
加齢によって起こる自然現象に病名をつければ、そりゃ、罹患率は著しく高いでしょうよ
(そういえばオシッコが近くなるのも最近は病気らしいしね)……と思い、

さらに、そこで思ったのだけど、
「骨粗しょう症の死亡率」って、一体……?

骨粗しょう症と診断された高齢者が転んで骨折する 
(もしかしたら、骨粗しょう症でない人でも骨折するような転倒状況だったかもしれないけど)

高齢者なので一気に身体を動かすことが難しくなり寝たきりになる

廃用性症候群が進み、体力低下

何かの弾みに感染症を起こす

抵抗力がなくなっているので治療の甲斐なく死亡

例えば、こういう転機をたどると、
それは「骨粗しょう症の死亡率」としてカウントされるってこと?

(じゃぁ、オシッコが近くて夜中に起きて熟睡できにくくて注意力が低下している人が
たまたま交通事故に会ったら、それは「排尿障害の死亡率」にカウントされるのかな)

で、そういう牽強付会でもって宣伝されることによって
「骨粗しょう症ってな怖い病気なんだ、治療が必要なんだ、病院へ行かなくっちゃ」と
世間の人たちが考え始めることが、この人たちの言う、

「医療制度にかかるコストの認識が改善している」ということ──?
2009.09.09 / Top↑
【9月10日追記】

後から見つけた情報の方が重要だったので、
冒頭に追記します。


こちらのプロ・ライフ系のブログ記事によると、
ワシントン州の保健局からの最初の報告があり、
3月の尊厳死法施行からこれまでに医師からの処方薬を受け取った人は28人とのこと。

――追記終わり――


今年3月に施行になったWAの尊厳死法については
第1例と第2例までの詳細報道を当ブログで拾い、
その後7月段階で医師会新聞の報告で5人という数字が出ていましたが、

以下の続報があり、
同法を利用して服毒自殺した人が11人に。

そのほかに5人が薬物を受け取りながら
飲まずに亡くなった、とのこと。

(この場合の薬のトラッキングや回収がどうなっているのかが
私はずっと気になっているところなのですが、
記事には言及ありません)



たった半年で11人、
処方を受けたのが少なくとも16人というのは、
滑り出しとして、かなりのハイペースなのでは?

今回も第1例、第2例と同じく、C&Cからの報告とあって、
その11人の背景にC&Cの積極的な“支援”があったのだろうことが推測されます。




そのほか「尊厳死」の書庫に多数あります。
2009.09.09 / Top↑