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「自殺防止の日」に国連の記者会見。自殺幇助に関しては、自殺1件の背後には100件の自殺未遂がある。誰でも生きているうちには自殺を考えることはあるが、実際に死ぬ人は非常に少ない。いったん自殺を考えても、多くの人は、その考えを翻している、と。
http://www.isria.com/pages/11_September_2009_22.php

英国最高裁の新しい主任判事が個人的な見解として、自殺を望む人に同情しつつ、自殺幇助合法化議論は難しい問題で、どちらが正しくどちらが間違っているということではない、と。
http://www.guardian.co.uk/society/2009/sep/11/supreme-judge-assisted-suicide-purdy

2007年に米国の病院で55歳から64歳のベビー・ブーマーズの治療に要したお金は560億ドルで、患者の治療費全体の16%。これは65歳から74歳までの前期高齢者にかかった費用とほぼ同じ。今後、BBって増加するけど? という記事。:ベビー・ブーマーズって、日本の団塊の世代と同じで、戦争で国民が多数死んで人口が減るのに備えて「産めよ増やせよ」とお尻をたたかれた親から生まれ人たちなんだったよね……。それが今になって社会のお荷物扱い……。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/163415.php

世界陸上で金メダルを取って性別査証の疑いが問題になっているSemenya選手、半陰陽だと。
http://www.timesonline.co.uk/tol/sport/more_sport/athletics/article6829813.ece?&EMC-Bltn=CGMHDB
2009.09.11 / Top↑
英語ニュースでは、なかなか出くわしにくいベルギーの自殺幇助の実態。

ベルギーではターミナルな病気の人に選択肢を、と
2002年に医師による自殺幇助が合法化された。

その後の実態について行われた調査の結果が
今日、New England Journal of Medicineに掲載される。
この手の調査としては3番目。

ベルギー総人口の6割が住む Franders地域で
2007年の6月から11月までに死亡した人の死亡診断書から
6202通のサンプルをランダムにとり、
そのサンプルに関わった医師への聞き取り調査を行ったところ、
118件の自殺幇助が発見された。

急増の原因は明らかに合法化されたことと思われ、
1998年の調査時には全死亡数の1,1%だったのが
ほぼ倍の1,9%に跳ね上がっている。

(1998年には非合法の自殺幇助が行われていたのでしょうか。
非合法で1,1%というのも、かなりの高率のように思えますが)

一番多かったのは、若年層で、がん患者で、在宅での療養・看取りだった人。

やはり合法化している隣国のオランダでも同じく増加傾向にある、と研究者。

ただし、Flanders地域は言語圏・文化圏として
他の南の地域とまた違っている可能性を指摘する声もあり、
北にあるだけ、オランダと文化的に近いという解釈も。

ただ、この記事で1つ非常に気になるのは、
2008年3月にAntwerpの病院で
アルツハイマー病の78歳の作家Hugo Claus氏が安楽死したことが、
世論を2分した、と書かれていること。

アルツハイマー病で自分の意思で自殺幇助を選べるならば、
その人はターミナルな状態ではなかったのでは……?



自殺幇助の議論では、
アルツハイマー病の人が安易にターミナルな状態と混同されすぎていると思う。



【ベルギー関連エントリー】
ベルギーでは2002年の合法化以来2700人が幇助自殺(2009/4/4)
2009.09.11 / Top↑
たぶん総選挙の数日後だったと思うのだけど、
朝日新聞の家庭面に、ものすごく気になる記事があった。

後で切り抜いておこうと思いながら、そのまま忘れて、
たぶん、てんぷらを揚げた際に、うっかり油切りに使ってしまったらしく、
探しても、どこにも見当たらないのだけれど、

民主党の公約通りに子ども手当てが実施された場合に
世帯の家族構成ごとに、どういう家庭にとって「得」で、どういう家庭にとっては「損」かを
朝日新聞が詳しく試算していた。

え? なに、その、損得の感覚は――?
それって、おかしくない――? 

世帯ごとに支払った税金の金額以上の「得」が制度内で保障されていなければ
その施策はフェアでない、不満だ、ということになるのだったら、
どんな施策も成り立たないし、

それぞれの家計から出すのと同じだけを直接的に同一の家計に取り戻すことを
全世帯が期待するのが当たり前の前提だったら、
そもそも社会保障なんか成り立たない。

小泉政権下で障害者自立支援法が準備されていた頃、
厚労省の息がかかった学者の先生たちが障害当事者たちに向かって
しきりに説いて回った論法の中にも、この損得勘定論があった。

施設入所の障害者にどれだけお金がかかっているか総額を上げ、
それに対して在宅支援サービスにどれほどのお金が回されているかの総額を上げて、
それぞれを給付対象人数で割ってみせる。そして
「同じ障害者なのに、施設にいる人はこんなにお金を使ってもらっていて、
地域で暮らしている障害者は、これだけしか使わせてもらっていない。
これでは施設入所の障害者が得をしていて、地域の障害者は損をしている。
平等に同じお金をもらえるように制度を変える必要があると思いませんか?」という理屈。

ここに持ち出された平等論は、
いかにもノーマライゼーションの文脈で語られているように装われて見えにくいけど、
実はノーマライゼーションとはまったく無関係で、
ただ下劣な損得勘定で障害当事者の支援法批判の切り崩しが図られていただけ。

まったく当事者をバカにしてかかっているだけでなく、
そんな理屈を持ち出されたのでは福祉なんて成り立たないでしょう……と思ったので、

実際に目の前でそう説く障害当事者の学者さんに、
「でも先生、この場合の平等というのは
どんな人でも必要になった時に必要な支援を受けられることであって、
誰もが常に一律に同じ金額を使わせてもらえることではないと思うんですけど」と
正面から突っ込んでみたことがある。
返事はなかったけど。

あの時の不快感と重なるからかもしれない。
子ども手当て、さて、あなたの家庭にとっては損? それとも得?
……という問題の捉え方をする朝日新聞っておかしくない? 
ものすごく引っかかった。

財布から出しただけ同じ財布に戻せというなら、
最初から自分の財布で何もかもやればいい自助の話であって、公助なんかありえない。

あの記事を読んでから、ずっと
水際作戦で生活保護を拒まれて「おにぎりが食べたい」と書いて餓死した
あの北九州の男性のことを考えている。

もしも、あの男性が目の前にいて、
そんなことは多分ありえないだろうけど仮に率直に窮状を語ってくれたとしたら、
平気で見殺しにできる人はいないんじゃないのか……ということを考えている。

今、自分の目の前で、誰かが飢え死にしそうになって助けを求めていたら
自分だって貧乏だけど、とりあえず飢え死にするほどでないのだったら、
せめておにぎりを買うお金くらい、もしかしたら何食分かの食事代くらいは渡すと思う。
たいていの人が。

数日後に、その人がまだ困っていたら、もう一度渡してもいい。
でも、何日たっても、まだその人が困っていたら、どうだろう。
そういう人が目の前に1人ではなくて、2人いたら、3人いたら、どうだろう。

もちろん、食べ物だけでは問題の解決にはならないから
本当はもっと話は複雑なわけだけど、ものすごく基本のところでは、
公助としての社会保障とか社会のセーフティネットの基本理念の一番大切な部分というのは、
結局そういう単純なことじゃないのか……と「損得」への抵抗感から考える。

自分の財布から出たお金が
直接は見えないけど誰かそれを必要とする人のところに回っていく仕組みがあるから、
自分が必要とする時には自分も助けてもらえると安心できる。
必要としないなら、もらわなくていい。
必要としないでいられるなら、それがなによりだ。
社会保障って、そういうことじゃないのかな……。

……と、ここまで考えたところで、
Obama大統領の国民皆保険案に激烈な反対をしている人たちのホンネはたぶん
ちゃんと自前の健康保険がある自分たちが
どうして無保険者の医療費までおっかぶされないといけないのだ?
挙句に医療を選べなくなるなんて、そんなの損じゃないか……
というところなんだろうな、と。

自分たちは自分で身の始末をつけることができている。
あいつらは自分で身の始末がつけられないのなら
それは、あいつらの自己責任。
そんな連中のことまで知るか、と。

自己決定、選択の自由、損得……そういうものが寄せ集められている彼らの理屈には
自己責任による自助しかないんじゃないんだろうか。

それは、目の前で飢えている人がいたとしても、
もしかしたら「それはあなたが自分で自分を守る能力を持たないダメ人間だから」と
自己責任を説いて立ち去り、見殺しにする論理じゃないんだろうか。

Obama大統領の国民皆保険の提案に、
共和党が「高齢者を見殺しにする配給医療は社会主義医療」だと批判している背景が
無保険者なんて一部の少数の話で、保険に加入できている自分たちには関係ない、という、
クルーグマン氏が書いていた「保守ムーブメント」の人種差別意識なんだとしたら、
高齢者・障害児・者・貧困層を平気で切り捨てる感覚の根っこは、
むしろ、そちらの方にあるんじゃないだろうか。

そして、そう考えると、
施策に対する国民の反発を”損得”で懐柔・操作しようとする論理が小泉政権下で持ち込まれ、
今では新聞が施策の個人的な”損得”を検証する記事を書くところまで根付いているのだとしたら、
おむすび1つが食べられなくて飢え死にしそうな人が自分の目の前にいても、
「それは、あんたの自業自得」といって見殺しにできる人たちの論理が
日本の社会にも広がりつつあるということ……?

そして、もしも
世界中のあらゆる研究分野で猛威をふるっているらしい「英語圏のイデオロギー」というものが
そういう能力至上の自助社会の論理を根っこに持っていて、

さらに、そのイデオロギーには
“科学とテクノ”と“ネオリベ”の価値観という紐付き慈善資本主義のゼニが一緒にくっついて
世界中の特に医学を中心とする研究機関に、体内にあまねく流れていく血液のように、
流れ、浸透しているのだとしたら?

日本もそういう大きな世界規模の動きの中に置かれているのだとしたら――?
2009.09.11 / Top↑