2ntブログ
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
英国の終末期医療のクリニカル・パスLCPに関する報告書が出て、先日の医師らの告発と全く逆に「素晴らしい終末期ケア」という結果が報告されている。:どうなっているんだ?……と思って、いくつか挙げられている調査時の質問の文言を見てみたら、なんとなく、現場医師らの言う「機械的なパスの適用」というのが想像できる気がした。「患者は死ぬ時に苦しみましたか?」って、早々に重鎮静でそのまま死ぬのを待っていれば、この答えはNOだし。それで評価されても……。まぁ、報告書をちゃんと読まずに決め付けるのはよくないけど、こういうお役所の監査的調査で「いいケアが行われています」というの、ありがちなことのような気がする。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/164094.php

キャンベラ病院の強化手術コンプレックス(手術室2室)を首相と保健相がじきじきにオープン。キャンベラはelectiveな手術(医療上の必要度が低いもの)の待機期間が75日と国内で最悪のため、政府が660万ドルを投入して作ったもの。:カナダの医療は英国と似たシステムで基本無料だから、待ちリストも長い、切り捨ても過酷なんだと誰かが言っていた。
http://www.canberratimes.com.au/news/local/news/general/new-theatres-to-help-cut-waiting-lists/1625936.aspx?src=enews

ペンタゴンの研究で、負傷した外部委託の兵士もケアされるように防衛基地法を見直す必要が言われている。「貧困大国アメリカ」にあった、米軍へ民間企業からのハケン兵士。
http://www.propublica.org/feature/pentagon-study-proposes-overhaul-of-defense-base-act-915

米国の医療保険制度改革論争にカーター元大統領が出てきて、「Obama大統領が黒人だから」と、ついに人種間対立の話に。
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/us_and_americas/article6837637.ece?&EMC-Bltn=GEQ9FB

目覚しい経済成長の陰で、インドの子どもの半数が飢えている。
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/asia/article6837585.ece?&EMC-Bltn=GEQ9FB
2009.09.17 / Top↑
いただき物の情報。
夕方いただいてから、ずっと頭から離れない。

ワシントン大学の障害学プログラムが10月9日に公開シンポをやるというのですが、
そのタイトル、「優生学と障害・ワシントンにおける歴史と遺産」。



シンポの上記公式サイトでは、

1909年に障害者などの強制的不妊手術を認める法律を通したWA州は
米国で優生法を通した2番目の州だったと述べた後で、

20世紀前半に優生学があれほど広くもてはやされたのは何故なのか?
優生学の隠れた、そして複雑な歴史は2009年においては、いかなる意味を持つのか?


共催はUW障害学プログラムとUW教務部のほかに3組織あって、

障害とビジネス・テクノロジー支援センター(DBTAC)の米国障害者法(ADA)情報センターと
遺伝学と保健医療平等センター
Trueman Katz小児生命倫理センター。

最後にさりげなくくっついているTrueman Katzセンターというのは、
あのシアトル子ども病院でDiekema医師が事実上、仕切っているセンターで、
成長抑制療法の一般化を強引に推し進めている本拠地。

その前の2つを固有名詞で書かずに、敢えて日本語にしたのは、
「障害者のテクノロジーによる支援」と「遺伝学」を日本語にしたかったから。

さらに後援団体の中で私がこだわりたいのは以下の顔ぶれ。

・マイクロソフトと並ぶシアトルの大企業、ボーイング社がらみコンピューター科学・工学関係の団体。
・テクノロジーと障害研究センター
・人間発達(Human Development)と障害センター
・遺伝科学部

このあたり、ちょっとTHニスティックな匂いが漂っているような……気のせいでしょうか。

後援は、このほかに障害関連の9団体。


いや、まさか、いくらなんでも、大学を挙げて、
そこまでやるだろうか……とは思う。

でも、先の成長抑制ワーキング・グループの議論で
UWの障害学は学問としての節操を売ったね……という偏見を私は持っていて……。
(なにしろUW障害学は、あのシンポの「成長抑制スポンサー」の1だった)

もう1つ、見過ごせない箇所に触れておくと、

午後のプログラムのモデレーター、どこかで見た名前だと思ったら、
あのDRW(元のWPAS)の弁護士Carlsonさん。

2007年5月のAshley事件の調査報告書の著者。すなわち、
シアトル子ども病院に「今後は裁判所の命令なくこのようなことは致しません」と約束させた人。

この人は、私に言わせると、
Ashley事件の真相を知りながらホッカムリして自分とWPASの節操を売っただけでなく
WA州の全障害者を手ひどく裏切って、いまや成長抑制ワーキング・グループに入り、
そ知らぬ顔で成長抑制一般化のお先棒を担いでいる人だ。

この人、どんなに良心の呵責に耐えかねているだろうと想像していたら、
今度はこんなところで大学に尻尾を振っている──。

やっぱり、匂うよ、このシンポ──。


思い出されるのは
2006年の最初のAshley論文でDiekema医師が
優生思想による障害者への強制的不妊手術に言及していること。

過去にそういう事実があったと書いた後で、
彼は次のように書いている。

…….In many cases, these individuals were capable of living independently, marrying, and raising children. These decisions were based not on the best interest of the patient but rather on the perceived interest of society and, in some cases, the interests of parents or caretakers.

The lessons of these and other abuses must be remembered, but past abuses should not dissuade us from exploring novel therapies that offer the potential for benefit.

多くのケースにおいて、これらは自立生活が出来、結婚して子どもを育てる能力のある人たちだった。こうした決定は患者の最善の利益ではなく、社会の利益と考えられたものや、時には親や介護者の利益に基づいて行われた。

これらやその他の虐待の教訓は忘れてはならないが、過去に虐待があったからといって、利益の可能性がある新しい療法を探求することを諦めてはならない

2007年1月12日のLarry King Live で
Ashleyに行われたことについて、将来の優生的な介入に繋がるとの懸念が出た時に
即座に反論したNorman Fostが言ったのは、

This claim of eugenics. Eugenics is about coercive government policy to sterilize people for fear that they would make more retarded children. That’s not what’s going on here. This is not state action. She did not have her uterus out because of fear of creating retarded children. It was done to help her, not society.

この優生学だという批判ですがね、優生学というのは知恵遅れの子どもを増やされては困るということで不妊手術をしようという政府の強制施策のことです。このケースは、そんな話じゃない。国がやっているわけじゃないんだ。Ashleyの子宮が取り出されたのは、知恵遅れの子どもが生まれては困るからじゃない。子宮摘出はAshleyを助けるために行われたのです。社会のためじゃない。


障害者本人を助けるために、その障害者本人の最善の利益にかなう形で
科学とテクノロジーで介入することは支援であって、優生思想ではない……。

「優生思想の複雑な歴史が2009年に持つ意味」って、もしかして、そういうこと──?

もしかしたら、障害者へのテクノロジー介入と優生学との切り離しの理論構築が
ここから始まろうとしているのかもしれない……なんて、

仮にも障害学主催のシンポで、まさか……よもや……とは思うけど。
これが私の妄想だったら、何よりなのだけど。
2009.09.17 / Top↑
ひさかたぶりにオーストラリアのDr. Death こと
Dr. Nitschke(いまだに発音が分からない)の話題が出てきたと思ったら、
なんともイヤな話だ、これは。

「死の自己決定権」の包囲網、ついに中国まで迫って来たか。



中国国営ラジオがやっている「家族の健康」チャンネルで来月
「尊厳ある旅立ち」という13時間の有料番組が放送される。
(有料番組というところが、いかにも富裕層ターゲット)

医師による自殺幇助に関する内容。

このプロモーションにDr. Nが手を貸すべく、
インタビューを受けて熱弁をふるったらしい。

記事のタイトルは「Dr. DeathのNitschke、TV番組前に中国に安楽死を売り込む」。

「売り込む」といわれているのは
Dr. N はExit International という会社を持っていて、
年間約83米ドルの会費で苦しまずに死ねる情報を提供しており、
中国には今後その会社の窓口を設けるだけの需要があると見込んでいるため。

中国は近年、経済成長が目覚しい。
それと同時に自殺率が上がっている。

世界でも高齢化の速度が最も早い国のひとつで
ゆりかごから墓場までの福祉ネットワークも
この20年に行われた民営化でガタガタ、先行きはまったく不透明だ。

同様に高騰する医療費に直面する米国のように、
中国も自殺幇助を選択肢として検討すべきだ、とDr. N。

Obamaケアが医療費節減のための「死の委員会」条項を含んでいる
例の共和党が流しているデマゴーグを、あたかも事実のように引っ張り出して?)

Dr. Nは毎日10~15通、安楽死の方法についての問い合わせEメールを受け取るといい、
アジアからのメールの割合が上がってきている、
毎日1,2通は中国からメールが来る、と。

ターミナルな患者だけではなく、
50歳以上の精神状態が健全な人なら
自分の希望によって医師の自殺幇助を受けられて然りだと、
いつもの「死の自己決定権」を主張。


きっと日本からのメールもくるのでしょうね。

世界でも高齢化率がトップクラスで
経済成長は鈍っているけど、自殺率は高い。
福祉制度はコイズミ改革の民営化でガタガタ、
福祉制度だけでなく社会の仕組みそのものがガタガタ、
医療費の高騰・医療の崩壊に悩んでいる国……日本からのメールが。

何通くらいあるのかな。
やっぱり知的エリートの富裕層なのだろうなぁ……。

そのうち、日本にも来るかも。Nitschke。
いったい誰が呼ぶんだろう。やっぱり、あの人……かな。
2009.09.17 / Top↑