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3月12日のCNNのインタビューを読んでいると
質問項目の立て方がちょっと気にかかってきます。

親が回答の中で
今後も「クオリティの高い」書面インタビューなら検討すると
書いていることを考えると、

父親から相当な注文がつけられて、
それを承諾した上での質問であり回答であったと思われます。

どうも父親が言いたいことを書くために設定された質問という気配が一部に漂っているのですが、
CNNとしては回答を引き出すためにやむをえなかったのかも知れず、

しかし、その中で頑張って聞いているなという質問からは
はじめからAshleyの父親が誰であるかを知っていたCNNが
この事件をどのように見ているかが伺えるようでもあり。

(CNNは去年1月12日のLarry King Liveでも
 親に書面で質問を出して回答を得ていました。)

その気になる質問を回答抜きに一覧に。

・2007年の写真でAshleyは幸せそうで、engaged(家族の中にしっかり居場所があるよう?)に見えます。Ashleyが笑うのはどういう時ですか?

・Ashleyは非常に自立度が低いと言われますが、それはどういうふうに?

・(あの処置から)何か変わりましたか?

・Ashleyが家族以外の子どもと関わることがありますか? 同年齢の友達は?

・(あの処置の)結果はあなた方が思ったとおりでしたか?

・去年秋のGunther医師の自殺についてどのように感じられましたか? どうしても結び付くことになりますが、論争になったこのケースがGunther医師の葛藤や動揺を招いたとお考えですか?

・Gunther医師が残したものは何だと?

・重症児にこの処置を検討している他の親に対するアドバイスを?

・ご自分をなんらかの団体の代弁者だと、またはいずれかの団体の敵だとお考えですか?

・ご自身のウエブサイトには250万件のヒットがあり、何千通ものEメールを受け取られました。これほど強く反対している人たちはどうしてそうするのだと思われますか?

・ご自分が誰かの考えを変えたと思われますか?

・今後Ashleyについて本を書くとか映画を作るお考えは?

・Ashleyが頻繁にメディアや論争に取り上げられる医療問題の中心となって、兄弟にどのような影響が?

・名前を明かすことは今後お考えになりますか?

・ブログ公開から1年経って、正しいことだったと?

・伝えたいとお考えの最も大事なことは?

回答の方はだいたい想像の範囲ですが、
Ashleyがあれらの処置以降、夜よく眠るようになったという点は
ちょっと「ん?」と思いました。
2008.03.13 / Top↑
3月12日の両親のインタビュー(CNN)から特に目に付いた点を。
(一応両親ということになっていますが、実際には父親が書いたものでしょう。)

①Ashleyの最近の様子としては家族と一緒にいるのを喜んで輝くような笑顔になると語る一方で、
 家族以外との関わりについて尋ねられると
「アシュリーの認知能力の低さでは、人との関わりというのはあまりありません」。

(家族との関わりには認知能力は必要ないのでしょうか。)

②Gunther医師の自殺について、
 Ashleyのケースを担当したことそのものは活力源になっていたという情報があるが、
 他の子どもたちに施してやれないことにはずいぶんフラストレーションを感じているなと、
 自分は直接の会話で感じた。
 彼は他の子どもたちにもできるようにするべきだと強く確信していた、と。

(婉曲に、医師の自殺は批判した障害者団体のせいだと言っているのですね。)

③Ashleyのような重症重複障害児のことを新たな障害カテゴリーと位置づけ、
 そのカテゴリーをpillow angelと呼ぶのだそうです。

(マイクロソフトの幹部役員というのは、医学上の障害分類まで平気で改変してしまうのですね。)

④子どもたちのために正しいと信じることを行うことは「親の神聖な義務」だと。

渡部昇一氏の「神聖な義務」と奇しくも同じ表現が使われました。)

⑤批判は少数意見に過ぎないし、障害当事者と障害関連の専門家のイデオロギーによるもの。
 人権を訴えられるような障害者とAshleyは障害のカテゴリーが違う。

⑥Ashley以外の2人の子どもを守るために、今後もブログと書面でのインタビューしか受けない。
 他の重症児と家族を助けるために、質の高い(自分の思うようになるの意?)インタビューだけは受けてもいい。

⑦Ashleyのような子どもにとっては体重と身長が「最悪の敵」だと。

特に気になったのは、以下の発言。

If we had our way, we would have chosen a more focused channel to convey our experience to medical professionals, caregivers and parents without looping the general public into the discussion.

もしも自分の思うようにできるのだったら、一般の人たちを議論に巻き込まずに、もっと狭い範囲にターゲットを絞ったチャンネルで医療職と介護者と親に自分たちの経験を伝える方法を選んだと思う。

どういう方法だったのかは私には想像すらできませんが、

世間に知られずに医療者と重症児の親との間でこうした処置を密かに広げていくことを
彼は画策していたということになりますね。

当人は何気なく口にしているようですが、
これが実際に行われたと想像してみると、
とんでもない話ではないでしょうか。

(これを読んでチラッと思ったのですが、
Ashleyの父親という人は世の中はマイクロソフトの社内よりも広いのだということが
 実は分かっていないのでは?)

2006年秋の論文は医師らが父親に迫られて無理やりに書かされたものではないかと
私は想像していたのですが、
どうやら父親はもっと極端なことを主張し、
それを諦めさせるためには医師らが論文を書くという代案以外にはなかった
ということなのかもしれませんね。

その時に自分の思うようにならなかった悔いが
「もし自分の思うようにやれるとしたら」という言葉になったのではないでしょうか。

いずれにせよ、
子宮摘出の違法性など彼はまったく意にも介していません。
2008.03.13 / Top↑
前のエントリーで紹介したCNNの記事2本のうち、
Ashleyの両親のEメール・インタビューについても
別途まとめようとは思いますが、

取り急ぎ、非常に懸念される内容が
そのインタビューに関するもう1本の記事の中にあったので、
先にまずその件についてのみ。

The American Academy of Pediatrics Committee on Children with Disabilities
(米国小児科学会障害児委員会)の委員長Nancy Murphy医師が
今年の小児科学会で医師の間にコンセンサスを作りたいとの意向。

承認の方向でコンセンサス……との意味と思われます。

それだけでも目を剥いてしまいますが、
さらに彼女がCNNに語っているのが、
一気にとんでもない方向にズレ落ちていきかねない問題発言なのです。

[This disability] shatters the reason we become parents: to watch kids grow, to be part of their lives and to launch into their own lives.

When you have a child with lifelong dependency, you don’t get to launch your kid, and your caregiver options are limited.

(こういう障害)は私たちが親になる理由を打ち砕いてしまうのです。つまり、子どもが成長するのを眺めるとか、子どもの人生に参加して、独立した人生へと独り立ちさせてやるといった理由を。

生涯にわたって依存する子どもを持つと、その子どもを独り立ちさせることができません。そのうえ介護者として自分の選択肢も少ないのです。

しかし、“Ashley療法”を実施されたことで、
Ashleyはめでたく独り立ちが可能となったでしょうか?

ホルモンの大量投与で身長を抑制しても
外科手術のリスクを犯して子宮や乳房芽をとってしまっても、
Murphy医師がここで挙げる問題の解決にはなりません。

Murphy医師がここで挙げている問題の解決を探そうとすれば
重症児は親にとって「親になる理由をそもそも消滅させてしまう存在」だとして、
殺してしまうこと以外にはないでしょう。

「本人のQOLのため」というアリバイで行われたはずの処置が
いつのまにか「親の不利益」を理由にした子どもの全否定へと飛躍してしまっています。

重症児が生まれたら、親は何のために子どもを産んだのかわからない

小児科学会の障害児委員会の委員長が言っているのは、そういうことなのです。
それは一体どういう小児科医なのか。



昨日のCNNニュースと上記のMurphy医師の発言を受けて、
FRIDAが抗議行動を呼びかけています。

2008.03.13 / Top↑
まだざっと目を通しただけで
たちまちしっかり読む時間がないのが歯がゆくてならないのですが、

“Ashley療法”論争に大きな動きがありました。

書面でですが両親(といっても書いたのは父親でしょう)がCNNに登場。
質問に答える形で延々と語っています。




1月のDiekema講演どころではない反響が予想され、
おそらく論争が再燃するのではないでしょうか。

親が語っているのは、総体としては
”Ashley療法”の効果は素晴らしいので「広く多くの重症児に」とのメッセージ。

本を書くつもりがあるそうです。
CNNの質問には映画も含まれており、
メディアサイドにはそういう話もあるのでしょう。

(映画が作られるとしたら、
 親の愛をめぐる美談になるのでしょうね。
 「ロレンツォのオイル」のような。)

自分の身分はやはり明かさない、
他の子どもたちのためにプライバシーを尊重してもらっているのがありがたい、と。

(これは明らかにメディアへの牽制ですね。)

これまでの流れを考えると、
戦略的に段階を追って手を打ってきている、
という気がしてならない。

彼は本気なのです。
そして、それだけの権力もある。

ここでもCNNの質問そのものが
Ashley父の思惑に添った形で設定されているとしか思えません。

取り急ぎ、お知らせエントリーでした。
2008.03.13 / Top↑
「死ぬ権利」協会の世界連盟……という名前の組織
the World Federation of Right to Die Societies
のサイトにたまたま行き当たって、

考えてみれば、
「そりゃ、そういう国際組織だってあるだろうよ」とは思うものの
もともと世間知らずで無知なので、それなりに驚いたし、

最終的にこの連盟が目指している「個人の死ぬ権利」の範疇には
医師の自殺幇助による安楽死もちゃんと含まれているようだということに
さらにびっくりしたので。

(日本も加盟しています。)

そのサイトの説明によると、

創設は1980年。
23カ国から38の組織が加盟しており、
それぞれ個人の死ぬ権利を確保し守るために活動している、と。

理事会の紹介ページで
理事さんたちが並んだ写真に
どこかで見た人がいると感じたのもそのはずで、
つい先日、小松美彦氏との対談を読んだばかり。
日本尊厳死協会副理事長の荒川迪生氏が
ちゃんと理事として並んでおられました。

ちょっと安心したのは、
マニフェスト(東京2004/トロント2006)の中で
いつどのような方法で死ぬかは個人に決定権があるという主張が
「competentな大人」について述べられているということ。

でもね。
そうすると、
日本尊厳死協会が植物状態について尊厳死を云々しているのは
やっぱり、ちょっと矛盾してくるという気がするのですよね。

         ―――――――

このサイトで世界中から集めた尊厳死関連ニュースのページNews & Archivesを覗いてみたところ、

ここしばらくの当ブログのエントリー関連で
とりあえず気になったのは以下の2つ。

スイスのDignitas Clinic で幇助を受けて自殺した42人目の英国人、
元医師だったという女性のニュース。2006年。



それから、
②こちら2005年のニュースなのですが、
オランダでアルツハイマーの患者に尊厳死が合法と認められた、と。

2008.03.13 / Top↑