MS患者のDebby Purdyさんの訴訟を受けて、
英国公訴局長が自殺幇助に関する法解釈のガイダンス案を出し、
現在コンサルテーション(日本のパブコメにあたる)が行われていることは、
当ブログでも追いかけてきたとおりですが(詳細は文末にリンク)
英国公訴局長が自殺幇助に関する法解釈のガイダンス案を出し、
現在コンサルテーション(日本のパブコメにあたる)が行われていることは、
当ブログでも追いかけてきたとおりですが(詳細は文末にリンク)
そのガイダンスについて、
目的に沿っていない、
誤った解釈が行われる恐れがある、
高齢者と病者に自殺するようプレッシャーをかける、
国民の安全への重大な危険となる、と
目的に沿っていない、
誤った解釈が行われる恐れがある、
高齢者と病者に自殺するようプレッシャーをかける、
国民の安全への重大な危険となる、と
Baroness Butler-Sloss 高等裁判所家族局の元局長
Lord Mackay of Clashfern 元大法官
Lord Carlile of Berriew テロリズム規制に関する政府顧問
Lord Walton of Detchant
Sheila Hollins 精神科学会の元会長
Baroness Campbell of Surbiton
Peter Saunders CNK(なんなのかは?)の長官
Lord Mackay of Clashfern 元大法官
Lord Carlile of Berriew テロリズム規制に関する政府顧問
Lord Walton of Detchant
Sheila Hollins 精神科学会の元会長
Baroness Campbell of Surbiton
Peter Saunders CNK(なんなのかは?)の長官
など、著名な法曹関係者、議員らが連名で批判。
中には、このガイダンスは自殺幇助を事実上、合法化するものだと批判する人も。
New guidelines on assisted suicide could put vulnerable people at risk, says Lord Carlile
The Telegraph, November 14, 2009
The Telegraph, November 14, 2009
【16日追記】
上記のうち5人が連名で Times紙に送った書簡が、今日、以下に。
上記のうち5人が連名で Times紙に送った書簡が、今日、以下に。
【DPPガイドライン関連エントリー】
英国公訴局長から家族の自殺幇助に関するガイドライン(2009/9/23)
自殺幇助ガイドラインに、MSの科学者とアルツハイマーの作家それぞれの反応(2009/9/23)
Dignitasでの自殺者、ドイツ人は500人以上(2009/9/24)
英国のガイドラインはターミナルな人だけでなく重症身体障害者の自殺も許容している(2009/9/24)
MS協会が「医師じゃなくGoogleが頼りか」と自殺幇助ガイドラインを批判(2009/9/24)
緩和ケア専門医から自殺幇助ガイドライン批判(2009/9/25)
英国公訴局長から家族の自殺幇助に関するガイドライン(2009/9/23)
自殺幇助ガイドラインに、MSの科学者とアルツハイマーの作家それぞれの反応(2009/9/23)
Dignitasでの自殺者、ドイツ人は500人以上(2009/9/24)
英国のガイドラインはターミナルな人だけでなく重症身体障害者の自殺も許容している(2009/9/24)
MS協会が「医師じゃなくGoogleが頼りか」と自殺幇助ガイドラインを批判(2009/9/24)
緩和ケア専門医から自殺幇助ガイドライン批判(2009/9/25)
【Debby Purdy さん関連エントリー】
MS女性、自殺幇助に法の明確化求める(2008/6/27)
親族の自殺協力に裁判所は法の明確化を拒む(2008/10/29)
自殺幇助希望のMS女性が求めた法の明確化、裁判所が却下(2009/2/20)
Debby PurdyさんのBBCインタビュー(2009/6/2)
自殺法改正案提出 Falconer議員 Timesに(2009/6/3)
MSの教育学者がヘリウム自殺、協力者を逮捕(英)(2009/6/26)
作家 Terry Pratchett ”自殺幇助法案”を支持(2009/7/1)
英国医師会、自殺幇助に関する法改正案支持動議を否決(2009/7/2)
英国上院、自殺幇助に関する改正法案を否決(2009/7/8)
Purdyさんの訴え認め、最高裁が自殺幇助で法の明確化を求める(2009/7/31)
Purdy判決受け、医師らも身を守るために方の明確化を求める(2009/8/15)
MS女性、自殺幇助に法の明確化求める(2008/6/27)
親族の自殺協力に裁判所は法の明確化を拒む(2008/10/29)
自殺幇助希望のMS女性が求めた法の明確化、裁判所が却下(2009/2/20)
Debby PurdyさんのBBCインタビュー(2009/6/2)
自殺法改正案提出 Falconer議員 Timesに(2009/6/3)
MSの教育学者がヘリウム自殺、協力者を逮捕(英)(2009/6/26)
作家 Terry Pratchett ”自殺幇助法案”を支持(2009/7/1)
英国医師会、自殺幇助に関する法改正案支持動議を否決(2009/7/2)
英国上院、自殺幇助に関する改正法案を否決(2009/7/8)
Purdyさんの訴え認め、最高裁が自殺幇助で法の明確化を求める(2009/7/31)
Purdy判決受け、医師らも身を守るために方の明確化を求める(2009/8/15)
2009.11.14 / Top↑
日本語情報。射水の呼吸器取り外し事件で、外科医、不起訴へ。:新聞の見出しが、いつのまにか「呼吸器外し」から「延命中止」に変わっている。最近、こういう微妙な言葉の言いかえが、あっちでもこっちでも頻繁に目に付く。すごく気になる。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091112-OYT1T00033.htm
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091112-OYT1T00033.htm
女性の方が男性よりも長生きではあるものの、生涯を通じて女性は男性ほど良質な医療を受けることが出来ていない、とWHOの報告書。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/170398.php
http://www.medicalnewstoday.com/articles/170398.php
国連総会が7月18日を「ネルソン・マンデラの日」に。彼の戦いを世界平和と国連の理想の象徴として。南アフリカの代表からの動議が決議されたもの。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/8353853.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/8353853.stm
これは当ブログが追いかけてきた問題の1つ(文末に関連エントリ―をリンク)。英国で一旦逮捕されて無罪となった人のDNAデータが保管されている件で、無実の人のDNAデータの保管は上限6年まで、ということに。:無実なのに、すぐ破棄では何故いけないのだろう。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/politics/8353824.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/politics/8353824.stm
見た目に美しい性器になるように、と外陰部の切除手術を受ける女性が増えていて、女性研究者からリスクの指摘と、女性にそうした必要を感じさせる社会的要因への疑問が提示されている。形成外科医らは、身体について意識が高まり、身体を変えることが当たり前になった時代に、なにを大げさに……と反発。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8352711.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8352711.stm
米で心臓麻痺で入院したメディケア患者の4分の1が、1月以内に病院に舞い戻っている。退院時の予防指導をメディケアが給付しないため、と研究者。:十分な治療を尽くさず、早く退院させすぎるというのは……? だって、1年以内ではなく1ヶ月以内ですよ。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/170606.php
http://www.medicalnewstoday.com/articles/170606.php
米国の保健医療制度改革で、公的保険については州ごとにオプト・アウトが可能になる? ただし、無保険者への支援のための増税にはオプトアウトはなし。
http://www.nytimes.com/2009/11/11/health/policy/11optout.html?_r=1&th&emc=th
http://www.nytimes.com/2009/11/11/health/policy/11optout.html?_r=1&th&emc=th
医療改革案の下院通過で、Palinさんがまたもや活気付いている。中絶のプロ・チョイス派は子どもの治療を引き上げるし、高齢者からも治療を引き上げる、と「死の委員会」非難で再燃。:「食べられなくなったら死」でも同じことを感じるのだけど、言葉だけは同じでも、背景にあるものは、ぐるっと一回りして別のところを指している、ということはあると思う。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/170569.php
http://www.medicalnewstoday.com/articles/170550.php
http://www.medicalnewstoday.com/articles/170569.php
http://www.medicalnewstoday.com/articles/170550.php
下院民主党議員は、医療保険制度改革案を通すための取引として生殖における女性の選択権を捨てた、とNYTのOp-Ed。
http://www.nytimes.com/2009/11/12/opinion/12michelman.html?_r=1&th&emc=th
http://www.nytimes.com/2009/11/12/opinion/12michelman.html?_r=1&th&emc=th
歩くスピードが遅い高齢者は、さっさと歩く高齢者に比べて心臓血管障害を引き起こす確率が3倍も高いんだそうな。:こういうデータ、例の「ロコモ症候群」の喧伝に引っ張り出されるんだろうな。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/170536.php
http://www.medicalnewstoday.com/articles/170536.php
英国のBaby P事件で自治体の証拠文書隠蔽が発覚。
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/uk/article6911104.ece?&EMC-Bltn=G9IC61F
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/uk/article6911104.ece?&EMC-Bltn=G9IC61F
移民労働者は労働力不足の分野で一時的に穴埋めしてもらうだけに、と英ブラウン首相。
http://www.guardian.co.uk/uk/2009/nov/11/gordon-brown-immigration-migrant-workers
http://www.guardian.co.uk/uk/2009/nov/11/gordon-brown-immigration-migrant-workers
ドアの郵便受けに花火を投げ込むのは、どうやら英国の若者ギャングの定番の嫌がらせらしいのだけど、それで火事になって先週59歳の女性が焼死。過失致死で捕まったのは18歳と17歳の少年。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/cornwall/8356076.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/cornwall/8356076.stm
看護師のステータス向上めざし、全員が4年以内に学士号を取ることを義務付ける新ルール。(英)
http://www.timesonline.co.uk/tol/life_and_style/health/article6913368.ece?&EMC-Bltn=CBQF61F
http://www.timesonline.co.uk/tol/life_and_style/health/article6913368.ece?&EMC-Bltn=CBQF61F
ナイジェリアの人権団体が、これまでのアフリカの伝統的な支配者たちは、奴隷貿易に加担したことについて謝罪すべきだ、と。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/8356357.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/8356357.stm
【英国のDNAデータベース関連エントリー】
国民DNAデータベースめぐり論争再燃(2008/2/24)
国民の電話とEメールの全記録を国が管理って?(2008/5/24)
NHSの患者データから研究者が治験参加者を一本釣り?(2008/11/18)
「無実の人のDNAサンプル保管は人権侵害」と欧州人権裁判所(2008/12/6)
情報で国民を監視・管理する社会へ(英)(2009/1/11)
100万人以上の子どものDNA情報が国のデータベースに(2009/2/27)
国民DNAデータベースめぐり論争再燃(2008/2/24)
国民の電話とEメールの全記録を国が管理って?(2008/5/24)
NHSの患者データから研究者が治験参加者を一本釣り?(2008/11/18)
「無実の人のDNAサンプル保管は人権侵害」と欧州人権裁判所(2008/12/6)
情報で国民を監視・管理する社会へ(英)(2009/1/11)
100万人以上の子どものDNA情報が国のデータベースに(2009/2/27)
2009.11.12 / Top↑
久しぶりに、ニュースタイトルを見て、にんまりした――。
オーストラリアのDr. Death こと Dr. Philip Nitschkeについて
当ブログでも、その動向をかなり追いかけてきていますが、
当ブログでも、その動向をかなり追いかけてきていますが、
そのDr. N の主催するExit International の事務所に
警察が家宅捜査に入った、とのこと。
警察が家宅捜査に入った、とのこと。
今年6月20日ブリスベーンでヘリウム自殺をした男性 Frank Ward(76)の件に関連して
事務所から書類を押収。
事務所から書類を押収。
確かにWard氏からは病気を苦に自殺を考えているとしてコンタクトがあったが
自分もExit International の者も、直接手を貸すような違法行為はしていない、と。
自分もExit International の者も、直接手を貸すような違法行為はしていない、と。
Dr. N が最後に警察の聴取を受けたのは
2002年に 痛みを伴う腸の病気(a painful bowel condition)のある女性
Nancy Crickさん(70)が21人の支持者の前で致死量の Nembutalを飲んで以来のこと。
2002年に 痛みを伴う腸の病気(a painful bowel condition)のある女性
Nancy Crickさん(70)が21人の支持者の前で致死量の Nembutalを飲んで以来のこと。
この時には捜査が延々と行われたものの、起訴はなかった。
警察は今回の手入れについてノーコメント。
Dr. N については、当ブログでは今年の5月以降のニュースしか拾っていないのですが、
この記事によると、豪連邦警察は去年、
Dr. N と一緒にメキシコへ行って Nembutalを持ち帰ったとして
ヴィクトリア在住のターミナルな患者2人の家を家宅捜査している、とのこと。
Dr. N と一緒にメキシコへ行って Nembutalを持ち帰ったとして
ヴィクトリア在住のターミナルな患者2人の家を家宅捜査している、とのこと。
Dr. N は、95年にノーザン・テリトリーで自発的安楽死が合法化された際、
世界で初めて致死薬を注射した人物。
世界で初めて致死薬を注射した人物。
その法律が廃止され、全オーストラリアで自殺幇助が違法となるまでに
4人の自殺を幇助した。
4人の自殺を幇助した。
【Dr. Nitschke関連エントリー】
オーストラリアのDr. Death、安楽死のワークショップのため英国へ(2009/5/8)
Dr. Death の自殺ワークショップに聴衆100人(2009/5/11)
Dr. Death、今度はUAEの数人に「苦しまずに自殺するコツ」伝授(2009/6/9)
49歳全身麻痺の施設入所者が自殺を希望し栄養を拒否、判断が裁判所に(豪)(2009/8/7)
餓死する権利認められた四肢麻痺男性、Dr. Deathの指南で「やっぱりスイスへ行きたい」と(2009/8/20)
イエスが守ってくれるから死なないと絶食する統合失調患者の栄養補給は「非人間的な治療」(豪)(2009/8/28)
図書館がDr. Death ワークショップへの場所提供を拒否(カナダ)(2009/9/24)
オーストラリアのDr. Death、安楽死のワークショップのため英国へ(2009/5/8)
Dr. Death の自殺ワークショップに聴衆100人(2009/5/11)
Dr. Death、今度はUAEの数人に「苦しまずに自殺するコツ」伝授(2009/6/9)
49歳全身麻痺の施設入所者が自殺を希望し栄養を拒否、判断が裁判所に(豪)(2009/8/7)
餓死する権利認められた四肢麻痺男性、Dr. Deathの指南で「やっぱりスイスへ行きたい」と(2009/8/20)
イエスが守ってくれるから死なないと絶食する統合失調患者の栄養補給は「非人間的な治療」(豪)(2009/8/28)
図書館がDr. Death ワークショップへの場所提供を拒否(カナダ)(2009/9/24)
2009.11.12 / Top↑
以下の文章を書いたのは3年近く前のことです。
限られたスペースでは書ききれませんでしたが、
インターネットには被害を受けた女性たちの詳細な体験談がたくさんあり,
着任した日に雇い主にレイプされた人や、何年も休みなしで働かされている人など
読んでいると心の底から憤りを感じました。
インターネットには被害を受けた女性たちの詳細な体験談がたくさんあり,
着任した日に雇い主にレイプされた人や、何年も休みなしで働かされている人など
読んでいると心の底から憤りを感じました。
その後、取材に行った先で聞いた
アジアの介護職への虐待をテーマにしておられる研究者の講演で
フィリピン以外の国から海外に出て行く介護者についても、
同様のケースがたくさん報告されていました。
アジアの介護職への虐待をテーマにしておられる研究者の講演で
フィリピン以外の国から海外に出て行く介護者についても、
同様のケースがたくさん報告されていました。
現在、事態は改善されているとも思えず、さらに悪化しているのではないでしょうか。
★ フィリピン・カナダ
輸出入される介護労働
“現代の奴隷制”とも
日本政府は9月にフィリピンとの間で経済連携協定(JPEPA)を結んだ。当初の2年間でフィリピン人の看護師・介護福祉士1000人を受け入れるとのこと。そこで“労働力輸出大国”フィリピンの介護職輸出事情について、インターネットで調べてみた。
まず、Technical Education and Skills Development Authority の介護職に関する労働市場情報レポート№15(2月3日)。それによると、労働力輸出の主要市場であるアメリカとカナダに、ヨーロッパ、韓国、そして日本が加わり、今後4年間は需要が伸び続けると予測する一方で、急増する養成機関の監査にTESDAも苦慮している様子だ。
少し古いが、林立する養成機関の中にはIT専門校が俄かに介護に鞍替えしたり、詐欺同然のケースもあるとの報道は気にかかる(inq7.net02年9月16日)。
就労先で一番目立っているのはカナダ。住み込み介護者プログラムLCP(Live-in Caregivers Program)があり、永住権や市民権に結びつくことが魅力のようだ。LCP(前身プログラムを含む)を通じてカナダに渡ったフィリピン人は既に9万人以上。LCPで就労している人の95%がフィリピン女性である。
しかしその一方で、病気になったら即座に解雇や、雇用主にレイプされた例もあり、身分保障もなく様々な搾取・差別にさらされる人も少なくない。4月にはフィリピンの下院議員6人が、時給2セントで1日17時間労働という例を挙げて、カナダにおけるフィリピン人介護者に対する虐待について調査を求めた(Asian Pacific Post 4月7日)。
また、入国後3年以内に一定の被雇用実績を作らなければ強制送還となる規定からも不幸なケースが多数生じており、各種人権擁護団体からLCPは人種差別・女性差別、“現代の奴隷制”だと抗議の声が上がっている(Bulatla 05年1月2~8日号、The Manila Times9月14日他)。
ネット上には海外での介護・看護・子守・家事労働を巡る求人・求職サイトが数多く見られるが、総じて若年層が多く失業率の高い途上国が、裕福な先進国に労働力を提供する構図が顕著だ。
そんな中、フィリピンのメディアも「JPEPAへの不信」を報道している。日本から有害廃棄物が持ち込まれるのではとの疑念が根強く、透明性を保証するためにも、政府は協定内容を隠さずに早く議会に提出すべきだと上院議員らが提言(Sun Star Manila 11月3日)。
一方、ニュース誌Bulatlat(10月8~14日)は、専門職を単なる“輸出品”扱いにしているJPEPAは自国の経済発展を放棄する所業だと強く非難。専門技能を持った国民を安く輸出するよりも、国内に働く機会を作るべきだと主張している。
「世界の介護と医療の情報を読む」児玉真美
「介護保険情報」2006年12月号 P.88
「介護保険情報」2006年12月号 P.88
2009.11.12 / Top↑
以前、こちらのエントリーで取り上げたように、
WI州医師会が自殺幇助合法化指示案を拒否、NH州では下院が法案検討へ(2009/8/18)
18歳以上のターミナルな病状の人への毒物の処方を合法化する法案提出を
NH州の下院の委員会が検討していましたが、
NH州の下院の委員会が検討していましたが、
10日、法務委員会は14対3の大差で否決。
自殺幇助合法化そのものは支持する立場の委員までが
法案は自殺幇助を違法とする現行法を無視しているなどの理由で反対に回ったとのこと。
法案は自殺幇助を違法とする現行法を無視しているなどの理由で反対に回ったとのこと。
Compassion & Choice が、今後も諦めずに修正し、
同様の法案を出していくと語る一方、
同様の法案を出していくと語る一方、
NHの州民は、ラディカルな制度改正続きに、そろそろ倦んでている、という声も。
2009.11.11 / Top↑
久しぶりにモンタナの自殺幇助合法化問題の関連記事。11月中に最高裁の判断が出るかも?
http://www.montanakaimin.com/index.php/news/news_article/panel_debates_montanas_assisted_suicide_stance/4270
http://www.montanakaimin.com/index.php/news/news_article/panel_debates_montanas_assisted_suicide_stance/4270
DSMの2012年の改訂で、アスペルガー症候群を削除し、自閉症スペクトラムに含めようという提案が出ていることについて、慎重を求めるNYTのOp-Ed記事。
http://www.nytimes.com/2009/11/10/opinion/10baron-cohen.html?_r=1&th&emc=th
http://www.nytimes.com/2009/11/10/opinion/10baron-cohen.html?_r=1&th&emc=th
昨日の補遺で拾った米国の医療保険制度改革案の中絶給付問題。NYT。こちらは選別的中絶という表現がなくて、ほとんどすべての中絶が給付対象にならない、みたいな書き方になっている。州によって違うというのもあるにせよ、前からメディケアでの中絶の扱いが、よく分からない。もともと米国の中絶論争が、よく分からない。
http://www.nytimes.com/2009/11/10/opinion/10tue1.html?_r=1&th&emc=th
http://www.nytimes.com/2009/11/10/opinion/10tue1.html?_r=1&th&emc=th
DBSの世界的権威リザイ医師へのインタビュー。聞き手はいわずと知れた立花隆氏。なんだかAshley療法の正当化論と、論理の偏狭さと我田引水的恩着せがましさが似ている……。A事件の直後、THニズムを調べてみたりしていた頃に、このSCIのサイトで立花隆が日本のDBSの権威、日大の片山容一教授と対談しているのを読んだことがあって、「すごいじゃん、どんどん、やろう、やろう」と逸っている感じの立花氏に対して、片山医師がとても慎重だったのが印象的だった。元記事はもうなくなったみたいだけど。「DBSでうつ病治療を」とリザイ医師が登場している08年の当ブログ記事はこちら。
http://sci.gr.jp/project/nhksp/itv-rizai/
http://sci.gr.jp/project/nhksp/itv-rizai/
精神科薬業界の舞台裏を暴いた、すごいDVDが出ている。「心の病を売り込む 私たちはみな精神病なのか?」:こういう仕組み、今はもう予防医療にも広がっているような気がする。予防歯科もちょっと変だし、骨減少症も怪しげだし、サルコペニアだって実はただの老化を病気にしているのに「クローズアップ現代」で国谷さんが真面目な顔してうなずくかぁ……と思っていたら、この前は同じ番組で「ロコモ症候群」って、これも老化現象だと思うのだけど、国谷さん、またもや真剣な顔でうなずいていた。あの聡明そうな人が、ヘンだと思わないのかなぁ。NHKは、また立花隆さんが大好きだときているしなぁ。
http://blogs.yahoo.co.jp/kebichan55/49706109.html
http://blogs.yahoo.co.jp/kebichan55/49706109.html
2009.11.10 / Top↑
10月28日に取り上げた以下のニュース
ダウン症胎児急増するも出生数は減少(英)に、
Ashley事件関連を皮切りに当ブログで何度か発言を取り上げてきた英国の障害学の学者
Tom Shakespeare氏が当日の the Guardian紙で反応していました。
ダウン症胎児急増するも出生数は減少(英)に、
Ashley事件関連を皮切りに当ブログで何度か発言を取り上げてきた英国の障害学の学者
Tom Shakespeare氏が当日の the Guardian紙で反応していました。
10月28日に報告された調査結果は、
過去20年で出生前にダウン症だと診断されるケースが71%も増加している一方で、
その診断から妊娠中絶を選択する親の割合は9割のまま変わっていない、というもの。
過去20年で出生前にダウン症だと診断されるケースが71%も増加している一方で、
その診断から妊娠中絶を選択する親の割合は9割のまま変わっていない、というもの。
Shakespeare氏は、まず、自分は基本的には、十分なICの結果としての女性の選択権を尊重するし、
ダウン症の子どもが生まれたら、どうしても育てられない事情がある人もいることも理解している、と
前置きした上で、
ダウン症の子どもが生まれたら、どうしても育てられない事情がある人もいることも理解している、と
前置きした上で、
この情報のように統計が出してきた数字だけを見ていたのは
現実に生身の人間に背負わされている精神的・肉体的コストは見えないと指摘し、
おおむね、以下のように述べている。
現実に生身の人間に背負わされている精神的・肉体的コストは見えないと指摘し、
おおむね、以下のように述べている。
過去20年間でダウン症の診断が増えたのは、
以前はリスクが高いとされる35歳以上の妊婦だけが受けていた血液検査を全員が受けるようになったため。
以前はリスクが高いとされる35歳以上の妊婦だけが受けていた血液検査を全員が受けるようになったため。
しかし、血液検査で陽性と出て羊水穿刺を受ける人の95%は陰性だと診断されるのだから、
血液検査が普及したことによって、多くの妊婦は無用の不安と検査リスクを負わせているのである。
血液検査が普及したことによって、多くの妊婦は無用の不安と検査リスクを負わせているのである。
また、去年の調査で
660人のダウン症児の出生を防ぐためには400もの健康な胎児の妊娠で流産が起きるとの試算もある。
660人のダウン症児の出生を防ぐためには400もの健康な胎児の妊娠で流産が起きるとの試算もある。
望まない妊娠をした女性が早期の妊娠中絶をするのとは話も違うしリスクも違う。
望んだ妊娠で、胎児の胎動が感じられるほどの段階に至ってからの決断である。
このような決断を迫られる夫婦の苦るしみについては、もっと研究が必要。
望んだ妊娠で、胎児の胎動が感じられるほどの段階に至ってからの決断である。
このような決断を迫られる夫婦の苦るしみについては、もっと研究が必要。
もともと自然の摂理によってダウン症候群の胎児は流産しやすいようにできているのだから、
自然に起きた流産の苦しみと、中絶を選ばなければならない苦しみの、
一体どちらが大きいのか、比較してみる研究も必要だろう。
自然に起きた流産の苦しみと、中絶を選ばなければならない苦しみの、
一体どちらが大きいのか、比較してみる研究も必要だろう。
我々のチームは数年前にダウン症児・者や親について
写真を含めた情報を広く提供するサイトを立ち上げた。
写真を含めた情報を広く提供するサイトを立ち上げた。
どこからも話題にされないし、
NHSも、検査の制度を上げることばかり考えている人たちも、一向に興味を示さないが、
検査を受けた夫婦へのインタビューなど、それなりにいい仕事をしているつもりである。
NHSも、検査の制度を上げることばかり考えている人たちも、一向に興味を示さないが、
検査を受けた夫婦へのインタビューなど、それなりにいい仕事をしているつもりである。
で、Shakespeare氏の結論は、
テクノロジー開発に費やすのと同額の資金を情報提供とカウンセリングに振り向けるべきである。
統計やコスト対効果の計算よりも、生身の人間の方が大事なのだから。
あと10年もすれば、早期に発見できる非侵襲的な検査が開発されるだろうし、
そうすれば、流産のリスクも妊娠後期での中絶を決断する苦しみも軽減されるが、
それまでは、科学で可能になったことが増え、社会の子育て観が変わったことで
却って難しい選択を迫られ、長期にわたって苦しみを抱えなければならない人が増えているだけだ。
統計やコスト対効果の計算よりも、生身の人間の方が大事なのだから。
あと10年もすれば、早期に発見できる非侵襲的な検査が開発されるだろうし、
そうすれば、流産のリスクも妊娠後期での中絶を決断する苦しみも軽減されるが、
それまでは、科学で可能になったことが増え、社会の子育て観が変わったことで
却って難しい選択を迫られ、長期にわたって苦しみを抱えなければならない人が増えているだけだ。
障害当事者であるShakespeare氏は、
これまで当ブログが追いかけてきたところでは、
これまで当ブログが追いかけてきたところでは、
“Ashlely療法”には反対だった。
しかし自殺幇助合法化、死の自己決定権は支持している。
(詳細は文末のリンクに)
しかし自殺幇助合法化、死の自己決定権は支持している。
(詳細は文末のリンクに)
で、この文章を読む限り、
ダウン症児のスクリーニングに文句をつけている理由は
そこに生じる親の精神的・肉体的な負担のみのようだから、
どうやらダウン症児が生まれないように選別することそのものは
安全性と検査の精度が保証される限りにおいて、
女性の選択権を前提に支持しているように思われます。
ダウン症児のスクリーニングに文句をつけている理由は
そこに生じる親の精神的・肉体的な負担のみのようだから、
どうやらダウン症児が生まれないように選別することそのものは
安全性と検査の精度が保証される限りにおいて、
女性の選択権を前提に支持しているように思われます。
ダウン症以外にも、科学とテクノロジーで排除可能とされる障害や病気は、
どんどん増える一方ですが、それらについても、
肉体的に精神的に親の負担が小さければ排除そのものは否定しないのでしょうか。
どんどん増える一方ですが、それらについても、
肉体的に精神的に親の負担が小さければ排除そのものは否定しないのでしょうか。
それとも、診断技術の開発はとめようがないから
それなら、せめて、ということなのでしょうか。
それなら、せめて、ということなのでしょうか。
もちろん情報提供とカウンセリングを充実する必要については
私も同意するけれども、
私も同意するけれども、
その情報提供は、
ダウン症の子どもは生まれてきても不幸になる、
ダウン症の子どもが生まれた家族は大変な苦労をして不幸になるに決まっている、という
ステレオタイプではなく、現実のダウン症の人と家族の姿をきちんと見て
正しい知識に基づいて選択してほしいという意図なのだとしたら、
ダウン症の子どもは生まれてきても不幸になる、
ダウン症の子どもが生まれた家族は大変な苦労をして不幸になるに決まっている、という
ステレオタイプではなく、現実のダウン症の人と家族の姿をきちんと見て
正しい知識に基づいて選択してほしいという意図なのだとしたら、
ダウン症を、
検査さえ安全で、中絶を選択する心理的負担さえ軽減できれば
世の中から排除するに越したことがないものとみなすことと
そういうスタンスでの情報提供とは、彼においては、どう相容れているのだろう。
検査さえ安全で、中絶を選択する心理的負担さえ軽減できれば
世の中から排除するに越したことがないものとみなすことと
そういうスタンスでの情報提供とは、彼においては、どう相容れているのだろう。
自殺幇助合法化支持論や、それに続くCambell氏や Drake氏との論争でも感じたのだけれど、
Shakespeare氏は、個人の選択権という範囲でしかものを見ていなくて、
社会全体の障害に対する姿勢や価値観へのインパクトという部分を
見落としているような気がしてならない。
(詳細は文末のリンクに)
Shakespeare氏は、個人の選択権という範囲でしかものを見ていなくて、
社会全体の障害に対する姿勢や価値観へのインパクトという部分を
見落としているような気がしてならない。
(詳細は文末のリンクに)
そして、そのことは、彼の障害学を
自己選択・自己決定の可能な障害者だけの小さな障害学に終わらせてしまわないのかな。
自己選択・自己決定の可能な障害者だけの小さな障害学に終わらせてしまわないのかな。
出生前遺伝子診断や遺伝子操作で出来ることが増えるにつれて、
病気や障害そのものが「あってはならない」ものに変わっていくことの意味やインパクト、
親が子を選べるようになることが親と子の関係性に及ぼすインパクトなど
もっと大きな枠組みで捉えなければならない問題があるような気がするし、
病気や障害そのものが「あってはならない」ものに変わっていくことの意味やインパクト、
親が子を選べるようになることが親と子の関係性に及ぼすインパクトなど
もっと大きな枠組みで捉えなければならない問題があるような気がするし、
そもそも、科学とテクノロジーによって出来ることが増えたために
生身の人間が余計な苦しみを背負うことになっているのは、
科学とテクノロジーの発展がまだ十分な域に達していないからなんだろうか。
生身の人間が余計な苦しみを背負うことになっているのは、
科学とテクノロジーの発展がまだ十分な域に達していないからなんだろうか。
科学とテクノで可能なことが増えたために
生身の人間が個々に生きていく中で、より多くの苦しみを抱えることになる、という
皮肉な構図は、もっと安全で精度の高い検査が開発されても変わらないし、
生身の人間が個々に生きていく中で、より多くの苦しみを抱えることになる、という
皮肉な構図は、もっと安全で精度の高い検査が開発されても変わらないし、
(力の強い者は、より他者の苦しみに対して無関心・無感覚になり、
力の弱い者だけに、その苦しみがより多く背負わされていくという構図になるために
表面的には誰も苦しんでいないかのように言い繕われるのかもしれないけど)
力の弱い者だけに、その苦しみがより多く背負わされていくという構図になるために
表面的には誰も苦しんでいないかのように言い繕われるのかもしれないけど)
科学とテクノで可能なことが増えれば増えるほど、
人間はより深く欲望に執着し、我執に捉えられて、より苦しむだけなんじゃないんだろうか。
人間はより深く欲望に執着し、我執に捉えられて、より苦しむだけなんじゃないんだろうか。
欲望さえ満たせれば幸福になるのではなく、
本当は、むしろ欲望にしがみついていく手を離し(「私の中のあなた」のlet go ですね)、
欲望への執着から開放されることによって、
人は真の意味で幸せになるのではないんだろうか。
本当は、むしろ欲望にしがみついていく手を離し(「私の中のあなた」のlet go ですね)、
欲望への執着から開放されることによって、
人は真の意味で幸せになるのではないんだろうか。
【Shakespeare関連エントリー】
ShakespeareのAshley療法批判(1月 Ouch!)(2007/12/14)
Tom Shakespeareが「自殺幇助合法化せよ」(2009/3/15)
Campbell/Shakespeare・Drake:障害当事者による自殺幇助論争 1(2009/7/9)
Campbell/Shakespeare・Drake:障害当事者による自殺幇助論争 2(2009/7/9)
ShakespeareのAshley療法批判(1月 Ouch!)(2007/12/14)
Tom Shakespeareが「自殺幇助合法化せよ」(2009/3/15)
Campbell/Shakespeare・Drake:障害当事者による自殺幇助論争 1(2009/7/9)
Campbell/Shakespeare・Drake:障害当事者による自殺幇助論争 2(2009/7/9)
【選別的中絶・情報提供関連エントリー】
選ばないことを選んだ夫婦の記録(2007/11/4)
「ダウン症だから選別的中絶」のコワさ(2007/11/12)
周産期に障害・病気情報提供を保障 法案にW・Smith賛同(2008/4/16)
障害胎児・新生児の親に情報提供を保障する法案(米)(2008/6/1)
障害胎児・新生児の親に情報提供保障する法案つぶれる(2008/7/29)
「中絶決断に情報提供不要」ヒト受精・胚法議論(2008/6/1)
羊水穿刺より侵襲度の低いダウン小検査、数年以内に(2008/10/8)
出生前後の障害・病気診断に情報提供を義務付け(米)(2008/10/9)
出生前診断をショーバイで語るとこうなる(2008/11/21)
英国でダウン症児の出生数が増加傾向(2008/11/24)
「障害児については親に決定権を」とSinger講演(2008/12/26)
出生前遺伝子診断で「あれもこれも調べたい」って?(2009/2/2)
ダウン症の安全確実な出生前検査まもなく米国で提供開始(2009/2/25)
非侵襲出生前診断の倫理問題をJAMA論文が指摘(2009/5/28)
ダウン症アドボケイトと医療職団体が出生前診断で“合意”(2009/7/1)
選ばないことを選んだ夫婦の記録(2007/11/4)
「ダウン症だから選別的中絶」のコワさ(2007/11/12)
周産期に障害・病気情報提供を保障 法案にW・Smith賛同(2008/4/16)
障害胎児・新生児の親に情報提供を保障する法案(米)(2008/6/1)
障害胎児・新生児の親に情報提供保障する法案つぶれる(2008/7/29)
「中絶決断に情報提供不要」ヒト受精・胚法議論(2008/6/1)
羊水穿刺より侵襲度の低いダウン小検査、数年以内に(2008/10/8)
出生前後の障害・病気診断に情報提供を義務付け(米)(2008/10/9)
出生前診断をショーバイで語るとこうなる(2008/11/21)
英国でダウン症児の出生数が増加傾向(2008/11/24)
「障害児については親に決定権を」とSinger講演(2008/12/26)
出生前遺伝子診断で「あれもこれも調べたい」って?(2009/2/2)
ダウン症の安全確実な出生前検査まもなく米国で提供開始(2009/2/25)
非侵襲出生前診断の倫理問題をJAMA論文が指摘(2009/5/28)
ダウン症アドボケイトと医療職団体が出生前診断で“合意”(2009/7/1)
2009.11.10 / Top↑
これ、気になるので、改めてちゃんと読みたいと思うのだけど、Obama政権の医療保険制度改革案で、政府の助成を受けて加入した医療保険では選別的妊娠中絶はカバーされないことになっているらしい。
http://www.nytimes.com/2009/11/09/us/politics/09abortion.html?th&emc=th
http://www.nytimes.com/2009/11/09/us/politics/09abortion.html?th&emc=th
NH州の自殺幇助合法化法案で、下院が火曜日に意見書を発表する模様。投票は来年になる予定。
http://www.wcsh6.com/news/local/story.aspx?storyid=110895&catid=2
http://www.wcsh6.com/news/local/story.aspx?storyid=110895&catid=2
「マンデラの名もなき看守」という映画をDVDで観て(なかなか良かった)、その直後にニュース・チェックをしたら、なんとNY Timesにマンデラ氏の近況があった。なんという偶然。91歳。お元気そうで何より。
http://www.nytimes.com/2009/11/09/world/africa/09mandela.html?_r=1&th&emc=th
http://www.nytimes.com/2009/11/09/world/africa/09mandela.html?_r=1&th&emc=th
ブラジルの私立大学で超ミニのドレスで授業に出ようとした女子学生に、周囲の学生が反発、セキュリティの誘導で建物の外に出される大騒ぎに。「倫理原則、学問の尊厳と道徳を侮辱した」として大学は退学処分を決めた。YouTubeにビデオ映像があるけど……:この日だけじゃなくて、きっと、その前から色々あったんだろうけど、よく分からない事件。それに、ビデオを見る限り、周りの学生たちの群集心理的な騒ぎ方(記事ではハラスメントと表現)の方がよほど不気味な感じがします。
http://www.guardian.co.uk/world/2009/nov/08/geisy-arruda-expelled-brazil-mini-skirt
http://www.guardian.co.uk/world/2009/nov/08/geisy-arruda-expelled-brazil-mini-skirt
英国の児童虐待ホットラインに、この5年間、女性から性的虐待を受けたという子どもたちからの通報が急増している。男性による性的虐待の5倍の増え方。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/education/8347589.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/education/8347589.stm
久しぶりにBiederman医師の名前を見たと思ったら、代替療法サイトが「子どもに無用の薬を飲ませるのは誰だ?」と、このところの製薬会社の治験データの改ざんや研究者との癒着スキャンダルの象徴としてBiedermanスキャンダルをおさらいしている。いかにも“いまさら”感のある記事だけど、代替療法サイトというのが興味を引いたものだから拾っておこうか、と。
http://www.alternativehealthjournal.com/article/why_is_your_doctor_getting_your_child_hooked_on_unnecessary_drugs/3859
http://www.alternativehealthjournal.com/article/why_is_your_doctor_getting_your_child_hooked_on_unnecessary_drugs/3859
18歳の時に肥満している女性は成人してからMSを発症する確率が、18歳時に痩せている人の2倍だそうな。子どもの時の肥満と成人してからの肥満は確率に影響しない。:肥満が医療コストに影響しているとなると、肥満といろんな病気との相関関係のデータが次々にひねり出されてくるのね。それにしても、なんで女性だけ調べるんだろう? 患者の6割が女性だから? でも4割は男性なのに? それともMSの調査って、女性だけを対象にするのが通例なんでしょうか?
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8342585.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8342585.stm
米国では、子どもの肥満が問題だというのにテレビには砂糖がどっさり入ったスィーツのCMが子どもをターゲットにしているからいけない、という論文。:菓子の中に、実は食べても食べても満足しないような化学物質が仕込まれていて……という恐ろしい話を、どこかでチラッと読んだ記憶がある。まともな記事だったように思うのだけど、もしかしたら、昔に読んだフィクションだったかもしれない。妙にリアルに頭に残っている……。
http://www.medicalnewstoday.com/articles/170182.php
http://www.medicalnewstoday.com/articles/170182.php
2009.11.09 / Top↑
どーでもいいことなんですけど、このエントリーをアップした午後6時前現在、
訪問者カウントに 7 が 5つ並んでいます。
訪問者カウントに 7 が 5つ並んでいます。
なんか、いい気分です。こんな地味なブログに寄ってくださって、ありがとうございます。
----- -----
医療保険制度改革案が下院を通過する直前の5日付の記事なので、
問題の条項が現在どうなっているのか分かりませんが、
そう簡単に変更されるとも思えず、論争は続いているのでは。
問題の条項が現在どうなっているのか分かりませんが、
そう簡単に変更されるとも思えず、論争は続いているのでは。
改革案の中に、
クリスチャン・サイエンスによる祈りの治療も給付対象にするよう保険者に検討を求める条項が
いつのまにか密かに潜り込んでいる、との批判が出ている。
クリスチャン・サイエンスによる祈りの治療も給付対象にするよう保険者に検討を求める条項が
いつのまにか密かに潜り込んでいる、との批判が出ている。
この条項を求める側は
宗教によるスピリチュアルな医療を求める人々が差別されないように、と言い、
宗教によるスピリチュアルな医療を求める人々が差別されないように、と言い、
反対する側は
政教一致を定めた憲法違反だ、
これでは他の宗教からも対象にしろという声が起きるではないか、と。
政教一致を定めた憲法違反だ、
これでは他の宗教からも対象にしろという声が起きるではないか、と。
(彼のその講演だけwebcastになっていないのは、
発言がそれほど過激だったためと思われます)
発言がそれほど過激だったためと思われます)
今年に入ってから裁判がずっと話題になっていた、糖尿病の子どもの死亡ケースでも
5月にコメントしていました。(詳細は文末にリンク)
5月にコメントしていました。(詳細は文末にリンク)
ここでは、
こういう条項は、EBMでもって医療コストを下げようとの努力に反すると述べ、
「効果が証明されてもいない治療を用いる人たちが
自分たちだけ特別扱いを求めているばかりか、
それに金まで払えと要求しているのだ。
金のために祈りを利用する人のことまで、
一括して正当な治療だと認めろと要求しているのだ」と。
こういう条項は、EBMでもって医療コストを下げようとの努力に反すると述べ、
「効果が証明されてもいない治療を用いる人たちが
自分たちだけ特別扱いを求めているばかりか、
それに金まで払えと要求しているのだ。
金のために祈りを利用する人のことまで、
一括して正当な治療だと認めろと要求しているのだ」と。
Provision in Health Care Bill Governing Prayer Treatments May Be Unconstitutional
truthout, November 5, 2009
truthout, November 5, 2009
Fost 医師、相変わらず、攻撃的な人です。
しかし、効果のほどが証明されていなくて、
担当医自身が論文で novel and untestedと書いた治療を認めろ、と
理屈にもならないゴリ押しをせっせと続けているのは、いったい誰なんだ?
担当医自身が論文で novel and untestedと書いた治療を認めろ、と
理屈にもならないゴリ押しをせっせと続けているのは、いったい誰なんだ?
Ashley療法の、一体どこがEBMなんだよっ?
【関連エントリー】
祈りで治そうと糖尿病の娘死なせた夫婦、裁判へ(2009/1/26)
祈りで治そうと糖尿病の娘死なせた母親の裁判始まる:Fostがコメント(2009/5/19)
祈りで治そうと糖尿病の娘死なせた夫婦に、年30日ずつ6回分割の懲役刑(2009/10/12)
祈りで治そうと糖尿病の娘死なせた夫婦、裁判へ(2009/1/26)
祈りで治そうと糖尿病の娘死なせた母親の裁判始まる:Fostがコメント(2009/5/19)
祈りで治そうと糖尿病の娘死なせた夫婦に、年30日ずつ6回分割の懲役刑(2009/10/12)
13歳の息子の効がん剤治療を拒否し母親が息子を連れて逃亡(2009/5/21)
2009.11.09 / Top↑
Margo MacDonald 議員から
自殺幇助合法化法案が議会に提出されているスコットランドで
The Sunday Times紙が行った世論調査で、
3分の2以上が自殺幇助の合法化を支持する、と。
自殺幇助合法化法案が議会に提出されているスコットランドで
The Sunday Times紙が行った世論調査で、
3分の2以上が自殺幇助の合法化を支持する、と。
最も支持率が高かったのは35歳から44歳で、
それ以上の年齢層では支持率が低下した。
それ以上の年齢層では支持率が低下した。
【関連エントリー】
スコットランドでも自殺幇助合法化法案か(2009/2/20)
スコットランドでも「死の自己決定権」アドボケイトの医師が高齢障害者の餓死を幇助(2009/3/11)
スコットランドの自殺幇助合法化法案に倫理団体から批判(2009/4/22)
スコットランド議会で自殺幇助合法化案、提出へ(2009/4/25)
自殺幇助希望のスコットランドの女性、腎臓透析やめるよう医師に”命じ“る(2009/6/14)
英国看護学会、スコットランドの自殺幇助法案提出議員と会談へ(2009/7/28)
スコットランドでも自殺幇助合法化法案か(2009/2/20)
スコットランドでも「死の自己決定権」アドボケイトの医師が高齢障害者の餓死を幇助(2009/3/11)
スコットランドの自殺幇助合法化法案に倫理団体から批判(2009/4/22)
スコットランド議会で自殺幇助合法化案、提出へ(2009/4/25)
自殺幇助希望のスコットランドの女性、腎臓透析やめるよう医師に”命じ“る(2009/6/14)
英国看護学会、スコットランドの自殺幇助法案提出議員と会談へ(2009/7/28)
2009.11.08 / Top↑
Obama政権の医療保険制度改革10年計画(予算1,1兆ドル)が下院を通過。Palin元アラスカ知事が問題にしていた“死の委員会”と事前指示書は盛り込まれているものの、自殺幇助は入っていないらしい。
http://www.nytimes.com/2009/11/08/health/policy/08health.html?_r=1&th&emc=th
http://www.nytimes.com/2009/11/08/health/policy/08health.html?_r=1&th&emc=th
Obama大統領、ヘイト・クライム法に署名。
http://www.baltimoresun.com/health/sns-200911030802mctnewsservbc-hatecrimes-progressi,0,3514093.story
http://www.baltimoresun.com/health/sns-200911030802mctnewsservbc-hatecrimes-progressi,0,3514093.story
一昨日の補遺で拾った、環境ホルモンが加工食品にはたっぷり、という話題をNYTのOp-Edが取り上げている。やっぱり鬱病だけじゃない。
http://www.nytimes.com/2009/11/08/opinion/08kristof.html?_r=1&th&emc=th
http://www.nytimes.com/2009/11/08/opinion/08kristof.html?_r=1&th&emc=th
英国で15歳児全員に最低1年間の性と交際についての授業を義務付けることが決まり、親の宗教上の信条に応じた教育を受ける子どもの権利を侵すとの批判が出て論争になっている。:義務付けの背景にあるのが、デートVDやギャングでの女性の道具化にみられる若者の間の男女間の関係性のゆがみなんだろうと考えると、暗澹とする。女児のレイプ裁判で、加害者ではなく被害者に嫌がらせ(2009/8/24)のような事件も起こっている。日本でもあったことだ。女性への暴力など、たいしたことではないと捉える風潮が子どもの世界で顕在化しているとしたら、それはきっと大人の世界でも起こっていることの縮図。
http://www.timesonline.co.uk/tol/life_and_style/education/article6905543.ece?&EMC-Bltn=HBNE51F
http://www.timesonline.co.uk/tol/life_and_style/education/article6905543.ece?&EMC-Bltn=HBNE51F
ちょっと前にフランスのEU相が英国の保守党の態度に業を煮やして批判した際に「自閉症的な英国保守党」と形容したことが問題になっている。これは私もニュースタイトルを見たときに、「おや?」と思った。日本でも「自閉的」って、割と無造作に使われているのが前からちょっと気になっていたし。
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2009/nov/05/autism-pierre-lellouche-conservatives-autistic
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2009/nov/05/autism-pierre-lellouche-conservatives-autistic
米国で豚インフルのワクチンが接種の優先順の接種対象になっていない人に販売元から横流しされている可能性があるとして、CDCが地方自治体の当局者に監督せよ、と。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/11/05/AR2009110505219.html
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/11/05/AR2009110505219.html
オーストラリア、クイーンズランドの人口203人の小さな町に、何百頭ものカンガルーとエミュが水を求めてやってきた。:映像は音楽もウエスタンを使って一見のどかだかけど、それほどオーストラリアの旱魃が深刻だということ。
http://www.guardian.co.uk/environment/video/2009/nov/05/australia-drought-kangaroo
http://www.guardian.co.uk/environment/video/2009/nov/05/australia-drought-kangaroo
2009.11.08 / Top↑
元記事はWall Street Journalの調査情報。
巨大製薬会社 Novartisが中国のワクチン製造会社の株を85パーセント買いとったり、
夏には、Sanofi-Aventis SA社がインドで同様の動きを見せるなど、
夏には、Sanofi-Aventis SA社がインドで同様の動きを見せるなど、
これまで、ごく基本的な病気のワクチンしか接種してこなかった新興国が、経済発展によって、
対象となる病気を増やし、ワクチンに資金を投入することで将来の経費節減に向かうことを見越して
巨大製薬会社がこれら新興国のワクチン開発・製造部門に進出している。
対象となる病気を増やし、ワクチンに資金を投入することで将来の経費節減に向かうことを見越して
巨大製薬会社がこれら新興国のワクチン開発・製造部門に進出している。
Wall Street Journal Examines Big Pharma’s ‘Growing Interest’ In Emerging-Market Vaccine Development, Production
The MNT, November 6, 2009
The MNT, November 6, 2009
これからワクチンのビジネスチャンスは、まだまだ拡大するみたいだし、ね。
-----
このニュース読んで、なんとなく、去年のこちらの記事を思い出した。
出生前診断をショーバイで語るとこうなる(2008/11/21)
ダウン症の出生前診断のマーケットもオイシイけど、
自閉症、心臓病、CF、奇形の遺伝子変異では、もっとオイシイかも……。
自閉症、心臓病、CF、奇形の遺伝子変異では、もっとオイシイかも……。
いや、もう、この分野、大きな成長のポテンシャルがありまっせぇ……儲かりまっせぇ。
2009.11.08 / Top↑
英国の石油企業 Trafigura が、有害と知りつつ象牙海岸に廃棄物を撒いて
多くの死傷者を出した2007年の事件については、当ブログでも以下のエントリーで追いかけてきましたが、
多くの死傷者を出した2007年の事件については、当ブログでも以下のエントリーで追いかけてきましたが、
象牙海岸の悲惨(2007/12/15)
「象牙海岸で先進国の有害ゴミによる死傷者多数」事件:続報(2008/10/24)
先進国の有害廃棄物でアフリカから3万人超える集団訴訟、最近はマフィアが核廃棄物を海に(2009/9/19)
アフリカに有害ごみ撒いた悪徳企業がメディアの“口封じ”狙うも、ネット・ユーザーに敗北(2009/10/14)
「象牙海岸で先進国の有害ゴミによる死傷者多数」事件:続報(2008/10/24)
先進国の有害廃棄物でアフリカから3万人超える集団訴訟、最近はマフィアが核廃棄物を海に(2009/9/19)
アフリカに有害ごみ撒いた悪徳企業がメディアの“口封じ”狙うも、ネット・ユーザーに敗北(2009/10/14)
貧しく力弱い象牙海岸の被害者たちが、やっとの思いで勝ち取った賠償金が、
現地社会の腐敗で被害者の手に渡らずに消えてしまおうとしている、というニュースが。
現地社会の腐敗で被害者の手に渡らずに消えてしまおうとしている、というニュースが。
今回の集団訴訟を担当した英国の弁護士によると、
被害者の誰も銀行口座を持ち合わせていないため、
Trafiguraが支払った賠償金総額300万ポンドは一旦アビジャンの銀行に振り込まれた。
そこから3万人の被害者それぞれが約1000ポンドの現金が渡される段取りになっており、
配達要因は現在、現地に向けて移動中。
被害者の誰も銀行口座を持ち合わせていないため、
Trafiguraが支払った賠償金総額300万ポンドは一旦アビジャンの銀行に振り込まれた。
そこから3万人の被害者それぞれが約1000ポンドの現金が渡される段取りになっており、
配達要因は現在、現地に向けて移動中。
ところが、そこで突然、現地裁判所からその金に凍結が命じられた。
同時に、被害者の代表を名乗る組織が介入すべく、
何らかの合意に達するためのコンタクトを求めてきたという。
同時に、被害者の代表を名乗る組織が介入すべく、
何らかの合意に達するためのコンタクトを求めてきたという。
弁護士は、
「悪辣な汚職が起こっていて、
賠償金はこのままどこかへ消えて被害者に渡らないかもしれない」と。
「悪辣な汚職が起こっていて、
賠償金はこのままどこかへ消えて被害者に渡らないかもしれない」と。
英国の裁判所は、賠償金が被害者以外に渡らないように声明をだしたが、
これに対して現地Abidjanの裁判所が今週のうちに裁定を下すことになるのだとか。
これに対して現地Abidjanの裁判所が今週のうちに裁定を下すことになるのだとか。
Corruption fears over Ivory Coast toxic waste victims’ £30m Trafitura payout
The Guardian, November 4, 2009
The Guardian, November 4, 2009
力の弱い者に対して、世の中の差別と搾取は
幾重にも折り重なっているのだということの酷薄さを改めて思い知らされる。
幾重にも折り重なっているのだということの酷薄さを改めて思い知らされる。
それにしても、裁判所ぐるみ、とは……。
2009.11.07 / Top↑
カナダの議会に自殺幇助合法化法案が提出されていることは
当ブログでも追いかけてきた通りですが、
そんな中、the Royal Society of Canada(RSC)が
終末期の意思決定について専門家委員会の立ち上げをアナウンスしています。
当ブログでも追いかけてきた通りですが、
そんな中、the Royal Society of Canada(RSC)が
終末期の意思決定について専門家委員会の立ち上げをアナウンスしています。
詳細は、いつもお世話になっているWhat Sorts of People ブログの
以下のRob Wilson氏のエントリーに、
以下のRob Wilson氏のエントリーに、
6月に発表された委員会の予備的な概要も一緒に。
Royal Society of Canada Expert Panel on End of Life Decision Making
What Sorts of People, October 27, 2009
What Sorts of People, October 27, 2009
なお、議会に提出されている自殺幇助合法化法案については
この記事では11月16日に2度目の審議、18日に投票の予定となっていますが、
この記事では11月16日に2度目の審議、18日に投票の予定となっていますが、
以下の記事の最新情報では、12月に延期されたようです。
どうやら法案提出者の議員がロビー活動に時間を稼ぐためでは……というのが
「死の自己決定権」に反対している、こちらのサイトの読み。
どうやら法案提出者の議員がロビー活動に時間を稼ぐためでは……というのが
「死の自己決定権」に反対している、こちらのサイトの読み。
Next Debate on Canada Bill to Legalize Assisted Suicide Pushed to December
LifeNews.com, November 6, 2009
LifeNews.com, November 6, 2009
【関連エントリー】
カナダの議会でも自殺幇助合法化法案、9月に審議(2009/7/10)
カナダ・ケベック州医師会が自殺幇助合法化を提言(2009/7/17)
図書館がDr. Death ワークショップへの場所提供を拒否(カナダ)(2009/9/24)
カナダの議会で自殺幇助合法化法案が審議入り(2009/10/2)
カナダの議会でも自殺幇助合法化法案、9月に審議(2009/7/10)
カナダ・ケベック州医師会が自殺幇助合法化を提言(2009/7/17)
図書館がDr. Death ワークショップへの場所提供を拒否(カナダ)(2009/9/24)
カナダの議会で自殺幇助合法化法案が審議入り(2009/10/2)
2009.11.07 / Top↑
米軍での乱射事件に絡んで、この事件は精神科軍医が起こした「警察による自殺幇助」事件なのではないかという話が浮上している。:「警察による自殺幇助」という概念については、信じがたいことだけど米国ではFBIの公式カテゴリーの1つになっている。当ブログで拾った記事は、こちらの銃持ち「皆殺し」叫ぶ双極性障害者を銃殺し「警察による自殺幇助」という新たな“すべり坂”(2009/8/21)。
http://www.medpie.com/top-health-stories/featured-articles/09-fort-hood-05.html
http://www.medpie.com/top-health-stories/featured-articles/09-fort-hood-05.html
当ブログでも何度も取り上げているSecondhand Smokeブログの保守派の論客Wesley Smithが、自殺幇助合法化法案が議会に提出されているスコットランドとロンドンで、自殺幇助を批判する講演を行うとのこと。:反対派ロビーには資金もないのに。この人の行動力、本当にありがたい。どうか、がんばってください。
http://www.firstthings.com/blogs/secondhandsmoke/2009/11/05/wjs-debating-assisted-suicide-in-scotland-speaking-in-london/
http://www.firstthings.com/blogs/secondhandsmoke/2009/11/05/wjs-debating-assisted-suicide-in-scotland-speaking-in-london/
免疫システムを回避して副作用の少ないナノテクの癌治療の治験が進んでいる。
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/science/medicine/article6903337.ece?&EMC-Bltn=9BLBQB
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/science/medicine/article6903337.ece?&EMC-Bltn=9BLBQB
加工食品をよく食べる人は、そうでない人に比べてウツ病になりやすい。:これ、ぶっちゃけ、環境ホルモンってことですよね。研究されていないからエビデンスがないだけで、うつ病以外にもいろいろありそうな気がする。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8334353.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8334353.stm
「セサミストリート」が40周年だそうな。:懐かしいなぁ。むか~し、中・高で教えていた頃にビデオに録画しては使った。あの当時から、障害のある人やいろんな人種がレギュラーに登場して、人権意識の高さを感じた。私がI love you の手話を知ったのは、あの番組だった。今の時代は、むしろ幼児番組の片腕のない“おねえさん”に「子どもが怖がる」と抗議(英)という空気に向かっているという意味で、英米が日本に先んじている観もあるけど。
http://www.guardian.co.uk/technology/blog/2009/nov/04/google-doodle-sesame-street-bigbird-40
http://www.guardian.co.uk/technology/blog/2009/nov/04/google-doodle-sesame-street-bigbird-40
2009.11.06 / Top↑
先天性筋無力症症候群(CMS)の1歳男児 Baby RBの治療を巡って、
QOLが低すぎて救命は本人の利益にならないので「穏やかに静かに尊厳のある死に方を」と
基本的な生命維持の停止を求める病院側と母親に対して、
QOLが低すぎて救命は本人の利益にならないので「穏やかに静かに尊厳のある死に方を」と
基本的な生命維持の停止を求める病院側と母親に対して、
RBは呼吸器こそ必要としているが脳そのものに損傷はなく、
絵本の読み聞かせや遊びに反応している、
気管切開さえしてもらえれば家につれて帰ってケアできると
救命を主張する父親とが対立し、訴訟となっている。
絵本の読み聞かせや遊びに反応している、
気管切開さえしてもらえれば家につれて帰ってケアできると
救命を主張する父親とが対立し、訴訟となっている。
夫婦は既に「友好的に」離婚。
裁判所は当面、
病院に対して気管切開に関するアセスメントを命じた(土曜日の予定)。
来週、5日間の審理が予定されている。
病院に対して気管切開に関するアセスメントを命じた(土曜日の予定)。
来週、5日間の審理が予定されている。
英国のCMS患者は約300人で、
出生後まもなく亡くなる人もあるが薬でほぼ正常な生活を送れるようになる人も。
出生後まもなく亡くなる人もあるが薬でほぼ正常な生活を送れるようになる人も。
この事件に関して、
Telegraph紙の宗教欄の編集長で、
ジャーナリズム教会として名前を売っているロンドンの英国教会の司祭さんが
奇妙に中立的ではあるものの、非常に正鵠を得た警告でもあるエッセイを書いています。
Telegraph紙の宗教欄の編集長で、
ジャーナリズム教会として名前を売っているロンドンの英国教会の司祭さんが
奇妙に中立的ではあるものの、非常に正鵠を得た警告でもあるエッセイを書いています。
ざっと、こんな感じ。
この状況は両親のいずれにとっても病院職員にとっても苦しく、
裁判の結果がいずれの判断を行ったとしても関係者は重い荷を背負うことになろう。
しかし、英国の看護(nursing)が意図的に誰かの命を奪ったことは未だかつていない。
もはや無益だと判断された時に薬や治療を中止してきただけだ。
Baby RP のケースでも、治療の有益・無益の判断が行われなければならない。
彼の命に他の我々と同じ価値があるかどうかの判断になってはならない。
裁判の結果がいずれの判断を行ったとしても関係者は重い荷を背負うことになろう。
しかし、英国の看護(nursing)が意図的に誰かの命を奪ったことは未だかつていない。
もはや無益だと判断された時に薬や治療を中止してきただけだ。
Baby RP のケースでも、治療の有益・無益の判断が行われなければならない。
彼の命に他の我々と同じ価値があるかどうかの判断になってはならない。
裁判所が気管切開のアセスメントを命じ、
それが、この土曜日に行われるということは
病院側はそのアセスメントを行うことなく、つまり
他の選択肢の可能性をすべて検討しないまま生命維持停止を求めている
と思えることも気にかかるのですが
それが、この土曜日に行われるということは
病院側はそのアセスメントを行うことなく、つまり
他の選択肢の可能性をすべて検討しないまま生命維持停止を求めている
と思えることも気にかかるのですが
記事には「基本的な生命維持」とあるので、呼吸器の取り外しだけではなく
栄養と水分の供給停止も含まれているものと思われます。
その場合、気管切開が可能だとしても、争点そのものは
大きく変わらない可能性があるのではないか、という点が気になるところ。
栄養と水分の供給停止も含まれているものと思われます。
その場合、気管切開が可能だとしても、争点そのものは
大きく変わらない可能性があるのではないか、という点が気になるところ。
万が一、気管切開が出来ず呼吸器を外された後に、
あのカナダのKayleeちゃん(文末にリンク)のようにRB君が自力で呼吸できたとしても、
栄養と水分を断たれてしまったら、彼は死ぬほかないのでは?
あのカナダのKayleeちゃん(文末にリンク)のようにRB君が自力で呼吸できたとしても、
栄養と水分を断たれてしまったら、彼は死ぬほかないのでは?
また、「無益な治療」論とは
「救命の可能性がないのに本人に苦痛を強いる」治療を「無益」としていたはずなのに、
それが「救命」の可能性ではなく「一定のQOL」の可能性に
いつのまにか摩り替わってしまっていることも要注意。
「救命の可能性がないのに本人に苦痛を強いる」治療を「無益」としていたはずなのに、
それが「救命」の可能性ではなく「一定のQOL」の可能性に
いつのまにか摩り替わってしまっていることも要注意。
つまり、「QOLが低いこと」が本人利益に反する点で「死」と同一視されている。
そして、何より、不思議でならないのは、
どうして父親が「この子はちゃんと分かっているんだ、知的には遅れていないんだ」と
証明する必要を感じているのか、ということ。
どうして父親が「この子はちゃんと分かっているんだ、知的には遅れていないんだ」と
証明する必要を感じているのか、ということ。
いったい全体、RB君の救命治療の停止の根拠は
救命可能性の低さなのか?
可能性の低い救命による本人の苦痛なのか?
それともQOLに置き換えられた彼の障害の重さなのか?
それとも、その障害の重さも、実は知的能力の低さなのか?
救命可能性の低さなのか?
可能性の低い救命による本人の苦痛なのか?
それともQOLに置き換えられた彼の障害の重さなのか?
それとも、その障害の重さも、実は知的能力の低さなのか?
「いずれにせよ救命できない」なら無益な治療……から
「救命できてもQOLが低すぎる」なら無益な治療……に摩り替わる時、
そのQOLとは、暗黙のうちに一定レベルの知的機能・能力のことだからこそ、
父親側が「救命に値するだけのQOLはある」と主張しようと、
「絵本を読んでやったり音楽をかけてやると喜ぶんだ」と強調しているのだとすれば、
「救命できてもQOLが低すぎる」なら無益な治療……に摩り替わる時、
そのQOLとは、暗黙のうちに一定レベルの知的機能・能力のことだからこそ、
父親側が「救命に値するだけのQOLはある」と主張しようと、
「絵本を読んでやったり音楽をかけてやると喜ぶんだ」と強調しているのだとすれば、
「無益な治療」とは「一定の知的レベルに達することのない人を救命する治療」なのか?
いつのまに、そんな概念の飛躍がまかり通るようになったのだろう?
いつのまに、そんな概念の飛躍がまかり通るようになったのだろう?
さらに、これはAshley事件を始め、多くのところで起こっている認識不足なのだけれど、
この記事に寄せられたコメントでも非常に気になることとして、
この記事に寄せられたコメントでも非常に気になることとして、
しかし、重い障害があることそのものは、
本人にとって生きている一刻一刻が苦痛であることを意味するわけではありません。
本人にとって生きている一刻一刻が苦痛であることを意味するわけではありません。
CMSであっても薬によって通常の生活を送れる人もいるように
RB君がCMSに生まれついたという事実がそのまま彼が生きている一刻一刻が苦痛に満ちていることを
意味するわけではありません。
RB君がCMSに生まれついたという事実がそのまま彼が生きている一刻一刻が苦痛に満ちていることを
意味するわけではありません。
また、病院が「QOLが低すぎる」と主張する時、
QOLが一体何を意味するのか曖昧ですが、
「QOLの低さ」と、本人が生きていることを苦痛と感じるかどうかとも、また別問題。
QOLが一体何を意味するのか曖昧ですが、
「QOLの低さ」と、本人が生きていることを苦痛と感じるかどうかとも、また別問題。
それなのに「QOLの低さ」が救命・生命維持停止の法的根拠とされるなら
その「QOL」は、まず、きちんと定義されなければならないし、
その「QOL」は、まず、きちんと定義されなければならないし、
定義されたQOLの低さが、一体どういう論理で救命・生命維持停止を正当化するのかも、
きちんと明示されていなければならないと思う。
きちんと明示されていなければならないと思う。
【12日追記】
その後、Telegraphにこの司祭さんの記事があり、
どうやら専門家のアセスメントで治療は無益だとの判断が出て、
父親の方が訴えを取り下げたようです。詳細はよく分かりませんが、この記事を以下に。
その後、Telegraphにこの司祭さんの記事があり、
どうやら専門家のアセスメントで治療は無益だとの判断が出て、
父親の方が訴えを取り下げたようです。詳細はよく分かりませんが、この記事を以下に。
【16日追記】
このケースについて、
筋ジス・キャンペーンというアドボカシー団体からプレス・リリースが出ています。
このケースについて、
筋ジス・キャンペーンというアドボカシー団体からプレス・リリースが出ています。
結果的に父親が呼吸器のスイッチを切ることへの反対を取り下げたが、いずれの側にも大きな傷を残した、と
筋肉の病気の患者と家族に向けて、無料相談窓口の情報を付記。
筋肉の病気の患者と家族に向けて、無料相談窓口の情報を付記。
Statement On The Baby RB Case – Muscular Dystrophy Campaign
The Medical News Today, November 15, 2009
The Medical News Today, November 15, 2009
【17日追記】
日本語版CNNにニュースが出たようです。
父親がどうして訴えを取り下げたのか、その理由が昨日まで分からなかったのですが、
RB君の肺に水がたまって窒息の原因になっていることが明らかになったとのことなので、
それが理由だったのでしょう。
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200911160009.html
日本語版CNNにニュースが出たようです。
父親がどうして訴えを取り下げたのか、その理由が昨日まで分からなかったのですが、
RB君の肺に水がたまって窒息の原因になっていることが明らかになったとのことなので、
それが理由だったのでしょう。
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200911160009.html
【19日追記】
この人の書くものは、いつも長いので、まともに全部を読めていませんが、
当ブログでおなじみの障害当事者ブロガーのBad Crippleさんが
RB事件でエントリー2本書いています。
この人の書くものは、いつも長いので、まともに全部を読めていませんが、
当ブログでおなじみの障害当事者ブロガーのBad Crippleさんが
RB事件でエントリー2本書いています。
どうも、彼も、やっぱり判事に
「重い障害のある生は苦痛に満ちて生きるに値しない」との偏見があったのでは、と
懸念している様子です。
「重い障害のある生は苦痛に満ちて生きるに値しない」との偏見があったのでは、と
懸念している様子です。
【26日追記】
chiemimamaさんのブログに、関連記事がアップされていました。
RB君は16日に亡くなっていました。
chiemimamaさんのブログに、関連記事がアップされていました。
RB君は16日に亡くなっていました。
-------
同じく「助かってもQOLが低すぎるから」という理由で
危うく心臓ドナーにされかけたのだけど、呼吸器を外しても生き続けた
カナダのKayleeちゃん事件について、以下に。
危うく心臓ドナーにされかけたのだけど、呼吸器を外しても生き続けた
カナダのKayleeちゃん事件について、以下に。
2009.11.06 / Top↑
このブログを始めた当初から、ずっと寄ってくださっているmug*il*34さんが
このエントリーを受けて今日ご自身のブログに書いてくださった記事に、
とても心を揺さぶられ、
このエントリーを受けて今日ご自身のブログに書いてくださった記事に、
とても心を揺さぶられ、
mug*l*34さんのおかげで、
やっと自分が言いたかったことが掴めたような気がしました。
やっと自分が言いたかったことが掴めたような気がしました。
mug*il*34さんの記事はこちら。
mug*il*34さんも私の文章から引用してくださっているので、
私も引用させてもらうと、私が思わず膝を打った箇所は、
私も引用させてもらうと、私が思わず膝を打った箇所は、
一般に医療関係者は、点滴に頼りすぎる。
重篤になったら深静脈への投与に切り替えるが、更に長引くようなら、胃ろう埋設である。栄養物さえ流し込んでおけば、死ぬことはない、と思っている節がある。
しかし私が見聞きした範囲内で言えば、一旦経口摂取を止めたら、生きる意欲は極端に減少する。食う意欲そのものが、生きる意欲に通じる。
そこが分かっていないから、看護師も、お座なりの摂食状況点検しかしない。
どのくらい衰弱しているか、もう生きる意欲がなくなっていないかなどまで観察しない。
それだけ忙しいと言ってしまえばそれまでだが、
患者家族からすれば、いい加減な対応に見える。
――――― 中略 ―――――
だから病院や介護業者の仕事は、本当は老人に、生きる意欲を喚起することにある。 しかし現実には出来ない。それを行うだけの経済的な余裕がない。職員も足りない。 これ以上の負担を掛けられない。つまり権力が予算的に拒否しているのだ。
重篤になったら深静脈への投与に切り替えるが、更に長引くようなら、胃ろう埋設である。栄養物さえ流し込んでおけば、死ぬことはない、と思っている節がある。
しかし私が見聞きした範囲内で言えば、一旦経口摂取を止めたら、生きる意欲は極端に減少する。食う意欲そのものが、生きる意欲に通じる。
そこが分かっていないから、看護師も、お座なりの摂食状況点検しかしない。
どのくらい衰弱しているか、もう生きる意欲がなくなっていないかなどまで観察しない。
それだけ忙しいと言ってしまえばそれまでだが、
患者家族からすれば、いい加減な対応に見える。
――――― 中略 ―――――
だから病院や介護業者の仕事は、本当は老人に、生きる意欲を喚起することにある。 しかし現実には出来ない。それを行うだけの経済的な余裕がない。職員も足りない。 これ以上の負担を掛けられない。つまり権力が予算的に拒否しているのだ。
なんて鋭くて、本当のことなのだろう。
そして、ここにmug*il*34さんが書いておられることこそ、
実は「食べられなくなったら死」といった人の本当の批判であり、訴えだったのだと思う。
実は「食べられなくなったら死」といった人の本当の批判であり、訴えだったのだと思う。
地域で認知症のお年寄りの生活に寄り添い、
在宅の看取りを支えてきた、他ならぬ、その人が
「老人は口から食べることが出来なくなったら死」と言った時、
在宅の看取りを支えてきた、他ならぬ、その人が
「老人は口から食べることが出来なくなったら死」と言った時、
その人は、同時に、「その代わりに、我々の社会は、
そこまでのプロセスを、しっかりと丁寧に支え抜く覚悟をしましょう」と訴えていた。
そこまでのプロセスを、しっかりと丁寧に支え抜く覚悟をしましょう」と訴えていた。
その人の地域でのケア実践がそういうものなのだから。
その人の講演の趣旨が全体として、そういうものだったのだから。
その人の講演の趣旨が全体として、そういうものだったのだから。
一人ひとりの尊厳を守り、そこまでを細やかに丁寧に
mug*il*34さんの言葉で言えば、生きる意欲を喚起しながら、
その最後の時までをしっかりと支え抜く覚悟をしましょう、
mug*il*34さんの言葉で言えば、生きる意欲を喚起しながら、
その最後の時までをしっかりと支え抜く覚悟をしましょう、
住み慣れた地域の自分の家で、支えられて最後を自分らしく生きて死ねるように
支えぬく社会を作ると、そろそろ、みんなで腹をくくりましょう、と。
支えぬく社会を作ると、そろそろ、みんなで腹をくくりましょう、と。
その人は講演の中で「特養も廃止すべき」「療養病床の廃止も凍結することはない」と
ちょっと極論と思えることまで言った。
ちょっと極論と思えることまで言った。
それだけの覚悟で、地域で看取る腹をくくろうよ、と、その人の講演は訴えていたのだと思う。
私が「食べられなくなったら死」にうなずけるのは
この人物の口から出る限りにおいてのみ……と書いたのは、そういうことだった。
この人物の口から出る限りにおいてのみ……と書いたのは、そういうことだった。
細やかな緩和ケアをきちんとすれば取れる痛みを放置し、患者が痛みに苦しむままにしておいて、
患者が死を望むなら自殺幇助を合法化しようと主張するのが本末転倒であって、
患者が死を望むなら自殺幇助を合法化しようと主張するのが本末転倒であって、
自殺幇助や安楽死の合法化を論じるなら、その前に、
まずは死にゆく人への緩和ケアがしっかり出来る体制を作りましょう、というのが
筋の通った考え方というものであるように、
まずは死にゆく人への緩和ケアがしっかり出来る体制を作りましょう、というのが
筋の通った考え方というものであるように、
”その時”までを支えぬく覚悟と「食べられなくなったら死」とは、
少なくとも、この人にとっては、当たり前のセットだった。
少なくとも、この人にとっては、当たり前のセットだった。
だからこそ、本当はそうそう簡単に
「そうだ、そうだ、食べられなくなったら死だ」と同調できないくらい重いはずの言葉なのだけど、
「そうだ、そうだ、食べられなくなったら死だ」と同調できないくらい重いはずの言葉なのだけど、
そんな覚悟とセットで……ではなく、
「今の医療と介護では尊厳など守れないのだから、食べられなくなったら死んでもらうのがいいんだ」と
「今の医療と介護では尊厳など守れないのだから、食べられなくなったら死んでもらうのがいいんだ」と
「死の定義」だけを一人歩きさせて医療と介護の現状追認に利用したい人たちもいるのでは、というのが
あの日、あの講演で、「食べられなくなったら死」を聞いて以来の、私の危惧――。
あの日、あの講演で、「食べられなくなったら死」を聞いて以来の、私の危惧――。
(もちろん、4日のエントリーにコメントくださった方々のことではありません)
誰でも細やかな緩和ケアを受けられる体制を作る努力をするよりも、
死にたいという患者には医師が毒物を処方して自分で死んでもらいましょう、という方が、
mug*il*34さんが言われる「予算的に」都合がよいと考える英米社会の思惑に近いものが、
日本にも全くないわけではないと思うから。
死にたいという患者には医師が毒物を処方して自分で死んでもらいましょう、という方が、
mug*il*34さんが言われる「予算的に」都合がよいと考える英米社会の思惑に近いものが、
日本にも全くないわけではないと思うから。
この人が言っていた「食べられなくなったら死」を受け入れられる社会とは、
今よりも、もっとお年寄りに資源を振り向け、丁寧にケアする社会のことだったのだから。
今よりも、もっとお年寄りに資源を振り向け、丁寧にケアする社会のことだったのだから。
2009.11.05 / Top↑
自殺幇助合法化法案が審議されているカナダで、四肢麻痺の議員を中心に、障害当事者から「人の生が生きるに値するかどうかについても、死ぬべき時期についても、決める権利など誰にもない」と。
http://www.ottawacitizen.com/news/Disabled+advocates+want+turn+down+assisted+suicide+bill/2173941/story.html
http://www.ottawacitizen.com/news/Disabled+advocates+want+turn+down+assisted+suicide+bill/2173941/story.html
何度か取り上げたオーストラリアのDr. DeathことDr. Nitschke が、今度はサンフランシスコで自殺ワークショップを開き、自分の身体が自分の所有であるならば死の自己決定権はターミナルな状態の人に限ることはない、と。
http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/c/a/2009/11/01/ED5H1AD03A.DTL
http://www.sfgate.com/cgi-bin/article.cgi?f=/c/a/2009/11/01/ED5H1AD03A.DTL
フィラデルフィアで臓器移植コーディネーターが「終末期の家族支援の専門家」と言い換えられているとのこと。日本語情報。:詐欺だ。こんなの。
http://www6.plala.or.jp/brainx/2006-11.htm#20061110
http://www6.plala.or.jp/brainx/2006-11.htm#20061110
アスピリンが心臓麻痺や脳卒中の予防になるとか言われて、飲んでいる人が多いが、明らかに心臓血管疾患があるのでなければ飲むべきではない、と。:そんなの最初から当たり前。でも。こんなケッタイな予防医学がゴロゴロしている昨今。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8338763.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8338763.stm
ゲイツ財団の御用新聞 Seattle Times に、Lancet, Washington大学、IHME、慈善資本主義(ゲイツ財団)がグローバル・ヘルスで繋がっていることを如実に表す記事がある。Lancetの編集長が昨日UWで講演したという記事だけど、背景を考えながら読むと興味深い。
http://seattletimes.nwsource.com/html/thebusinessofgiving/2010194268_lancet_editor_calls_on_uw_to_p.html
http://seattletimes.nwsource.com/html/thebusinessofgiving/2010194268_lancet_editor_calls_on_uw_to_p.html
マラリアのワクチン開発がいくつかの国で第3フェーズの治験にまで進んだとのこと。
http://www.timesonline.co.uk/tol/life_and_style/health/article6898565.ece?&EMC-Bltn=BFIEPB
http://www.timesonline.co.uk/tol/life_and_style/health/article6898565.ece?&EMC-Bltn=BFIEPB
人工処女膜を製作・販売している中国の会社が、自国以外にもアラブ諸国にまで輸出するとのことで、アラブの国々に輸入禁止しろという声が起こっている。:マネっこ大好きな中国らしい話だけど、これが安易にアラブに飛び火すると女性の命に関わるんじゃないのだろうか。この問題では去年、ヨーロッパ在住のイスラム女性が処女膜再生術を受けているというニュースを拾っているので、以下にリンク。
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2009/oct/28/artificial-hymen
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2009/oct/28/artificial-hymen
2009.11.04 / Top↑
「死の自己決定権」アドボケイト Dignity in Dyingの活動を支援していた夫婦だったとのこと。
Dennis Milner氏(83歳)と妻のFloraさん(81歳)は共に健康だったが、
自立生活が送れなくなる前に人生を終わらせたいと望み、
子どもたちにクリスマス前に自殺することを匂わせていた。
自立生活が送れなくなる前に人生を終わらせたいと望み、
子どもたちにクリスマス前に自殺することを匂わせていた。
夫妻はBBC宛に、自殺幇助を禁じた英国の法律への抗議をしたためた手紙を送り、自殺。
2人の遺体は日曜日に自宅で発見され、
手紙は火曜日にBBCに届いた。
手紙は火曜日にBBCに届いた。
手紙には「生きながらの死」を避けるために
「穏やかに人生を終わらせることを選んだ」と書かれ、
「穏やかに人生を終わらせることを選んだ」と書かれ、
「この自殺が失敗しないように段取りをつけることは大変だったし、心に傷を受けた。
こんなことをする必要もないし、もっと違うやり方が出来ていいはずだ」
こんなことをする必要もないし、もっと違うやり方が出来ていいはずだ」
「幸福で、愛に満ちた、エキサイティングな人生だった」
NHSには、ここまで長生きさせてもらって感謝しているが
「この社会に1つだけ重大で残念な批判がある。
自分の家で、自分が選んだ時に愛する者たちに囲まれて
それによって誰も罪に問われたり嫌な思いをする心配もなく
自分の人生を終えることは、基本的な人権であるはずなのに、
それを我々は否定されてきたということだ」とも。
自分の家で、自分が選んだ時に愛する者たちに囲まれて
それによって誰も罪に問われたり嫌な思いをする心配もなく
自分の人生を終えることは、基本的な人権であるはずなのに、
それを我々は否定されてきたということだ」とも。
娘のChrissyさんはBBCに対して
「前向きな人生を送ってきたからこそ、こういう決断をしたのだと思います。
両親は人生を楽しんでいましたから。
前向きな死に方をしたいと、いつも言っていました。
いい死に方をしたいと望んでいました」
両親は人生を楽しんでいましたから。
前向きな死に方をしたいと、いつも言っていました。
いい死に方をしたいと望んでいました」
「要介護状態になる前に死にたい」という人が増えて、
「要介護常態になる前に死にたい」といって自殺する人の意思が受容される社会というのは、
「要介護常態になる前に死にたい」といって自殺する人の意思が受容される社会というのは、
それは翻って、
要介護状態の人にとっては生きていることが辛くなる、
要介護状態の人に「人さまの迷惑にならないように死ぬべきだ」とプレッシャーがかかる社会――。
要介護状態の人に「人さまの迷惑にならないように死ぬべきだ」とプレッシャーがかかる社会――。
要介護状態を「生きながらの死」だというのなら、その次にやってくるのは
要介護状態の人は殺してあげるのが本人のためだという慈悲殺の論理――。
要介護状態の人は殺してあげるのが本人のためだという慈悲殺の論理――。
2009.11.04 / Top↑
先日、某所で聞いた高齢者介護に関する議論の中で
「口から食べることが出来なくなったら死」という説が出てきた。
「口から食べることが出来なくなったら死」という説が出てきた。
英米での「死の自己決定権」議論を追いかけている私としては、
パワーポイントに映し出された瞬間に、
ぎくりと全身がこわばってしまう言葉だった。
パワーポイントに映し出された瞬間に、
ぎくりと全身がこわばってしまう言葉だった。
もちろん、これは日本の話だから、
ここには、ちゃんと「老人の死は」という但し書きがついている。
ここには、ちゃんと「老人の死は」という但し書きがついている。
この「死の定義」を持ち出してきた人は、
地域に根付いた柔軟な介護実践をしてきた先駆者で、
私もこの人の素晴らしい実践についてはあちこちで読んで知っている。
地域に根付いた柔軟な介護実践をしてきた先駆者で、
私もこの人の素晴らしい実践についてはあちこちで読んで知っている。
年間2000人が見学に訪れるという、あるべき地域ケアの見本のような事業所だ。
目の前の人のニーズに応えたいと私財を投じて制度にないケア・サービスを作り、
地域での看取りにも24時間のケアを届けつつ、それこそ我が身を削るようにして
地域の人たちのニーズに即したケアを模索し、実践し、国にも認めさせてきた人だ。
地域での看取りにも24時間のケアを届けつつ、それこそ我が身を削るようにして
地域の人たちのニーズに即したケアを模索し、実践し、国にも認めさせてきた人だ。
それだけのことをやってきた人の言葉には、迫力も、重みもある。
今の医療と介護は寝たきりと胃ろうを作りすぎたという批判には、
私も賛同するところが大いにある。
私も賛同するところが大いにある。
その人が、老人は「口から食べることができなくなったら死」と言う言葉には
説得力があるし、その意図は、とてもよく分かる。
説得力があるし、その意図は、とてもよく分かる。
だから自分でも悩ましいのだけれど、
それでもやっぱり、この「死の定義」がずっと頭から離れなくて困っている。
それでもやっぱり、この「死の定義」がずっと頭から離れなくて困っている。
そして、このところ考えている
「人は誰でも自分が立っているところから見えるものの範囲で
ものを考え、ものを言うことしかできない」という限界へと
もの思いが何度も返っていく。
「人は誰でも自分が立っているところから見えるものの範囲で
ものを考え、ものを言うことしかできない」という限界へと
もの思いが何度も返っていく。
何度か、そこをぐるぐると行ったりきたりしているうちに
私がこの「死の定義」にうなずけるのは、やっぱり、あくまでも
「この特定の人物が口にする限りにおいて」のみ、だな……と思った。
私がこの「死の定義」にうなずけるのは、やっぱり、あくまでも
「この特定の人物が口にする限りにおいて」のみ、だな……と思った。
「口から食べることができなくなったら死」と言う時、この人は、
そこに至る前に、自分なら当たり前に行うケアのプロセスがあったことを前提としている。
そこに至る前に、自分なら当たり前に行うケアのプロセスがあったことを前提としている。
口から食べられる時期を少しでも長くするためのケアがきめ細かく行われただろう。
食事を、ただカロリーと栄養の問題として済ませてしまうこともしなかっただろう。
みんなで和気藹々と楽しく食べる時間が、そこにはあっただろう。
食事を、ただカロリーと栄養の問題として済ませてしまうこともしなかっただろう。
みんなで和気藹々と楽しく食べる時間が、そこにはあっただろう。
目の前の婆さんの食欲がちょっと落ちたからといって、即座に
「じゃぁ、ちょっと鼻から管でエンシュア入れて。
それで、とりあえずカロリーは採れるから」みたいな
がさつな判断はしなかっただろう。
「じゃぁ、ちょっと鼻から管でエンシュア入れて。
それで、とりあえずカロリーは採れるから」みたいな
がさつな判断はしなかっただろう。
口腔ケアもしただろう。
食べ物の形態や調理に工夫もしただろう。
食べ物の形態や調理に工夫もしただろう。
それでも、それ以上は打つ手がなくなり、
ついに「口から食べることが出来なくなった」時には
それは、もう、その人の死として受け入れてもいいではないか、と
この人の「死の定義」は訴えているのだと思う。
ついに「口から食べることが出来なくなった」時には
それは、もう、その人の死として受け入れてもいいではないか、と
この人の「死の定義」は訴えているのだと思う。
けれど、それだけの細やかなケアは、
そんなふうに当たり前の前提に出来るほど、
日本全国どこでも行われる標準だといえるのだろうか。
そんなふうに当たり前の前提に出来るほど、
日本全国どこでも行われる標準だといえるのだろうか。
この人が当たり前の前提として想像している「口から食べることが出来なくなる」までのプロセスは
この人ほど高い志や意識を持たず、この人ほど優秀でない事業者・病院でケアを受ける人には
もしかしたら望むべくもない夢のようなケアなのかもしれない。
この人ほど高い志や意識を持たず、この人ほど優秀でない事業者・病院でケアを受ける人には
もしかしたら望むべくもない夢のようなケアなのかもしれない。
ちょうどNEJMでMitchell医師とSashs医師のいう「高齢者の終末期の緩和ケア」が
同じ言葉でありながら、前者は単に「医療を行わない決断」を意味していたのに対して、
後者は「アグレッシブに注意深く細やかな症状管理をすること」を意味していたのと同じように、
同じ言葉でありながら、前者は単に「医療を行わない決断」を意味していたのに対して、
後者は「アグレッシブに注意深く細やかな症状管理をすること」を意味していたのと同じように、
「口から食べることが出来なくなった」と同じ言葉で表現されても、
「ケアを尽くし、手を尽くしても、ついに口から食べられなくなった」のと
「何もしないで放っておいたら、すぐに口から食べられなくなった」のや
「工夫さえすれば食べられるのに何もしてもらえないから食べられない」のとでは
その状況は全く別物だ。
「ケアを尽くし、手を尽くしても、ついに口から食べられなくなった」のと
「何もしないで放っておいたら、すぐに口から食べられなくなった」のや
「工夫さえすれば食べられるのに何もしてもらえないから食べられない」のとでは
その状況は全く別物だ。
「口から食べることが出来なくなったら死」と定義する時、
自分にとっては当たり前のケアと、その他多くの事業所や病院での標準的なケアとのギャップを
この人はどれほど考えてみただろう。
自分にとっては当たり前のケアと、その他多くの事業所や病院での標準的なケアとのギャップを
この人はどれほど考えてみただろう。
介護現場で真摯に質の高いケアを実践し、
地域での豊かな看取りを模索している志の高い介護者がたくさんいる一方で、
地域での豊かな看取りを模索している志の高い介護者がたくさんいる一方で、
高齢者の終末期医療が医療コストを押し上げているのだと言っては
終末期の高齢者は無益な医療を求めずに、さっさと自己選択で死んでいくようにと
圧力をかけようとしている人たちもいる。
終末期の高齢者は無益な医療を求めずに、さっさと自己選択で死んでいくようにと
圧力をかけようとしている人たちもいる。
そのことを、どれほど考えた上で、この定義は差し出されたのだろうか。
非常に影響力の大きな人の口から出てしまった以上、
その後で、この定義がその人から離れて独り歩きを始める可能性だってある。
その後で、この定義がその人から離れて独り歩きを始める可能性だってある。
「寝たきりや胃ろうを作りすぎ」てきた意識の持ち主たちこそが、
適切なケアさえあれば、まだ十分に食べられる人を
ろくにケアと呼べないようなケアで口から食べられないようにしておいて、
「食べられなくなったから、はい、これで死んだのよね」と
この人の深い思いをこめた定義をあっさりと切り捨ての論理に摩り替えるだろうことを、
適切なケアさえあれば、まだ十分に食べられる人を
ろくにケアと呼べないようなケアで口から食べられないようにしておいて、
「食べられなくなったから、はい、これで死んだのよね」と
この人の深い思いをこめた定義をあっさりと切り捨ての論理に摩り替えるだろうことを、
この人には、
この定義をパワーポイントに打ち込む前に、
もう少し考えてみてもらいたかったという気がする。
この定義をパワーポイントに打ち込む前に、
もう少し考えてみてもらいたかったという気がする。
英米で「死の自己決定権」を唱える人の中には
「言葉をしゃべれなくなったら」「自分で食べられなくなったら」
高齢者に限らず、その生はQOLが低すぎて生きるに値しない、尊厳がないと
主張する人がいるということまでは想像の外だったとしても。
「言葉をしゃべれなくなったら」「自分で食べられなくなったら」
高齢者に限らず、その生はQOLが低すぎて生きるに値しない、尊厳がないと
主張する人がいるということまでは想像の外だったとしても。
……あ、でも、この人も、
口から食べられなくなったら死だという持論を説明する時に、
たしかに「QOL」という言葉も「尊厳」という言葉も使っていたよなぁ……。
口から食べられなくなったら死だという持論を説明する時に、
たしかに「QOL」という言葉も「尊厳」という言葉も使っていたよなぁ……。
自分が何に引っかかっているのか、いまひとつはっきりしないし、
こんなに着実に世の中を変えてきた人に向かって、私みたいな何も出来ない人間が、
これでは、ただの言いがかりだよね……とは思いつつ、
こんなに着実に世の中を変えてきた人に向かって、私みたいな何も出来ない人間が、
これでは、ただの言いがかりだよね……とは思いつつ、
でも、何かが、とにかく引っかかってならないので、
とりあえず、書いてみた。
とりあえず、書いてみた。
【追記】
コメントいただいて、その後、もうちょっと書き足してみました。
コメントいただいて、その後、もうちょっと書き足してみました。
2009.11.04 / Top↑
「反論25」で取り上げられている最後の批判の論点は
「これほど重大な医療決定では、裁判所の判断が必要」。
「これほど重大な医療決定では、裁判所の判断が必要」。
しかし、これは、もともと2007年5月の記者会見で
病院側が公式に違法性を認めた点です。
病院側が公式に違法性を認めた点です。
それを改めて論駁して「裁判所の判断は無用」とまで主張するのだから、Diekema医師は
あの時点での「内部のコミュニケーションにミスがあったため」との病院の言い訳を全否定して、
ミスではなく、違法と知りつつ意図的に裁判所を無視したことを認めるわけですね。
あの時点での「内部のコミュニケーションにミスがあったため」との病院の言い訳を全否定して、
ミスではなく、違法と知りつつ意図的に裁判所を無視したことを認めるわけですね。
なんという大胆さでしょう。
病院の公式見解を否定するのみならず、州法まで否定してかかろうというのだから。
病院の公式見解を否定するのみならず、州法まで否定してかかろうというのだから。
Ashley事件の範囲でみると、これは、もう、カンペキに支離滅裂の域ですが、
しかし「医療の専門性は司法から独立したもの。裁判所が口を出すな」というのは
実はFost医師のかねてからの持論なのです。
しかし「医療の専門性は司法から独立したもの。裁判所が口を出すな」というのは
実はFost医師のかねてからの持論なのです。
そのあたりが、何とも不気味。
とりあえず著者らの反論を眺めてみます。
ここでも著者らは最初にまず論理を反転して論点を摩り替えています。
「親は延命の判断も含め、日常的に子どもに関する医療決定を行っている。
批判する人たちは、子どもの障害を根拠に裁判所の判断を仰げという以上、
障害児の医療決定はすべて裁判所の判断を仰げというつもりか」
批判する人たちは、子どもの障害を根拠に裁判所の判断を仰げという以上、
障害児の医療決定はすべて裁判所の判断を仰げというつもりか」
(誰も、そんなことは言っていません。
強制的不妊手術をはじめ、
障害児の尊厳と身体の統合性に影響する侵襲度の高い医療についての話であって、
延命の話でもなければ障害児の医療一般の話でもないことくらい
あなた方以外は、みんな理解できているし、
障害児の尊厳と身体の統合性に影響する侵襲度の高い医療についての話であって、
延命の話でもなければ障害児の医療一般の話でもないことくらい
あなた方以外は、みんな理解できているし、
そうして論点を摩り替えたうえで、
「もしも障害児の親がこうした判断に足りるだけ信頼できないなら、
全ての子どもで延命の判断など重要な判断で親を信頼することなど出来ない」。
全ての子どもで延命の判断など重要な判断で親を信頼することなど出来ない」。
なんだ、そりゃ?
各論批判は、わざと総論的に曲解して反撃する。
総論批判は、あえて各論に持ち込んで反撃する。
そのいずれも出来ない時には、まるきり話を摩り替える。
後ろめたいことのある人の詭弁の常套手段ですね。
総論批判は、あえて各論に持ち込んで反撃する。
そのいずれも出来ない時には、まるきり話を摩り替える。
後ろめたいことのある人の詭弁の常套手段ですね。
しかし、実はここでDiekema医師は、とんでもない失態をしでかしているのです。
(この人はウソにウソを重ねてしゃべるので、前から、つい自ら“語るに落ちる”癖がある。
私がspitzibara仮説にたどり着いたのは、この人の、この癖のおかげでもある)
(この人はウソにウソを重ねてしゃべるので、前から、つい自ら“語るに落ちる”癖がある。
私がspitzibara仮説にたどり着いたのは、この人の、この癖のおかげでもある)
While there is some legal basis for claiming that court review should be required for involuntary sterilization (Diekema 2003), there is no coherent legal or policy rationale for court review of growth attenuation.
と書いている部分。
ご当人にすれば、
「子宮摘出ならともかく成長抑制には裁判所の判断を仰ぐ法的根拠など、ないっ」と
威勢よく突っぱねてみせたつもりでしょうが、
「子宮摘出ならともかく成長抑制には裁判所の判断を仰ぐ法的根拠など、ないっ」と
威勢よく突っぱねてみせたつもりでしょうが、
なんともマヌケなことに、
「強制的不妊手術には裁判所の検討が必要だと主張する法的根拠がある」と
自分自身が2003年の論文で書いたことを認めているのです。
「強制的不妊手術には裁判所の検討が必要だと主張する法的根拠がある」と
自分自身が2003年の論文で書いたことを認めているのです。
Ashleyケースが検討された2004年の5月時点で
Diekema医師にはAshleyの子宮摘出には裁判所の命令が必要だとの認識があったことを
自分で証明してしまいました。
Diekema医師にはAshleyの子宮摘出には裁判所の命令が必要だとの認識があったことを
自分で証明してしまいました。
また、病院が記者会見して違法性を認めた際の彼自身の以下の発言とも
この箇所は、まるきり矛盾します。
この箇所は、まるきり矛盾します。
「ワシントン州法は、子宮摘出に裁判所の同意が必要かどうかについては明確でない」
(07年5月8日 CNN)
(07年5月8日 CNN)
「弁護士ならぬ身としては、(父親の弁護士の)意見で十分だと考えたのです」
(07年5月9日 Seattle Post-Intelligencer)
(07年5月9日 Seattle Post-Intelligencer)
ぶははっ。アホやん──。
――で、反論その2。
ここは、おおむね、こんな感じ。
裁判所の判断を仰いだところで、
裁判官の判断が倫理委の判断よりも正しいという保障がどこにあるのか。
裁判官というのは一人だから、それだけ
個人的な偏見や利益団体、政治的配慮の影響を受けやすいし、
おまけに医療の知識も当該家族の事情にも疎い。
それに引き換え倫理委員会というのは多様な背景を持つ複数の人間の集まりなのだから
障害児を保護するためには、倫理委員会の方が信頼できるはずだろう。
裁判官の判断が倫理委の判断よりも正しいという保障がどこにあるのか。
裁判官というのは一人だから、それだけ
個人的な偏見や利益団体、政治的配慮の影響を受けやすいし、
おまけに医療の知識も当該家族の事情にも疎い。
それに引き換え倫理委員会というのは多様な背景を持つ複数の人間の集まりなのだから
障害児を保護するためには、倫理委員会の方が信頼できるはずだろう。
こんな理屈を持ってきた日にゃ、
知的障害者の強制的不妊手術はもちろん、どんな医療判断においても
裁判所の命令はまったく意味を成さないことになってしまいますが、
知的障害者の強制的不妊手術はもちろん、どんな医療判断においても
裁判所の命令はまったく意味を成さないことになってしまいますが、
この論文がこれまでと一番違っている点は、
子宮摘出における裁判所の命令の欠如を巡って
これまでの「知らなかった」説の“言い訳”から“司法不用説”へと
積極的に踏み出したことでしょう。
子宮摘出における裁判所の命令の欠如を巡って
これまでの「知らなかった」説の“言い訳”から“司法不用説”へと
積極的に踏み出したことでしょう。
そして、おそらく、この部分には、単にAshleyケースの正当化を超えた
重大な狙いが潜んでいるのではないか、という気がします。
重大な狙いが潜んでいるのではないか、という気がします。
なぜなら、著者らがFost医師の1992年の論文を論拠に上げているように、
ここに書かれているのはFost医師のかねての持論そのものだからです。
ここに書かれているのはFost医師のかねての持論そのものだからです。
「裁判所には医療に口を挟む資格はない。
どうせ裁判所は意見を述べるだけで強制力などないし、
ライアビリティを問われて有罪になった医師は一人もいないのだから
裁判所になど行くな。医療判断は医師がその専門性にのっとって行う」
どうせ裁判所は意見を述べるだけで強制力などないし、
ライアビリティを問われて有罪になった医師は一人もいないのだから
裁判所になど行くな。医療判断は医師がその専門性にのっとって行う」
2007年のシアトル子ども病院生命倫理カンファで、Fostはそう言って
カンファに出席した医師らに檄を飛ばしました。
カンファに出席した医師らに檄を飛ばしました。
そこで論じられていたのは主に重症障害新生児への「無益な治療」の差し控えであり中止。
「重症障害児にはQOLの意味すらわからないじゃないか」と、せせら笑いながら、ね。
「重症障害児にはQOLの意味すらわからないじゃないか」と、せせら笑いながら、ね。
「反論25」は最後に、
「倫理委員会はもともと障害児の命を守るために作られたものであり、
倫理委員会が普及して後、障害を理由に命に関わる差別がなくなったのだ」
との主張を1992年のFostの論文から引っ張ってきて、以下のように結論します。
「倫理委員会はもともと障害児の命を守るために作られたものであり、
倫理委員会が普及して後、障害を理由に命に関わる差別がなくなったのだ」
との主張を1992年のFostの論文から引っ張ってきて、以下のように結論します。
病院倫理委員会には信頼して障害児の利益を代表することを任せられないという主張、または倫理委よりも裁判所のほうが効果的な監督が出来るとの主張は、いずれもエビデンスに裏付けられておらず、現在のエビデンスに反する。
しかしFost医師が2007年に生命倫理カンファで主張していたことには
実はこの論文に書かれている以上の内容が含まれているのです。
実はこの論文に書かれている以上の内容が含まれているのです。
「倫理委が普及して障害児の命が守られるようになったとはいえ、
そこにコストが関わっている以上、家族や社会のことも考えなければならない。
QOLの意味すら分からない障害児への医療コストなど、社会が認めるはずもない。
医療については裁判所の関与は不要で、医師が決めればよいこと。
本人の利益を代弁させろというなら、倫理委に地域の人間を1人か2人入れておけばよい」
そこにコストが関わっている以上、家族や社会のことも考えなければならない。
QOLの意味すら分からない障害児への医療コストなど、社会が認めるはずもない。
医療については裁判所の関与は不要で、医師が決めればよいこと。
本人の利益を代弁させろというなら、倫理委に地域の人間を1人か2人入れておけばよい」
つまり、
「倫理委が出来て助けられるようになったとはいえ、
元はといえば障害児はみんな殺されていたのだから、
倫理委で適当に形を取り繕って、障害児への無益な治療はやらないでいい」
というのがFost医師の真意。
「倫理委が出来て助けられるようになったとはいえ、
元はといえば障害児はみんな殺されていたのだから、
倫理委で適当に形を取り繕って、障害児への無益な治療はやらないでいい」
というのがFost医師の真意。
詳細はこちらにまとめてあります。(病院のWebcastで聞くこともできます。)
生命倫理カンファレンス(Fost講演 2)(2007/8/25)
Fostのゴーマン全開3日午前のパネル(2007/9/12)
生命倫理カンファレンス(Fost講演 2)(2007/8/25)
Fostのゴーマン全開3日午前のパネル(2007/9/12)
Fost医師は、Ashley事件の正当化に留まらず、
この論争を通じて、医療を司法の縛りから開放しようとたくらんでいる──。
この論争を通じて、医療を司法の縛りから開放しようとたくらんでいる──。
その関係は、ちょうどAshley父とFost医師・Diekema医師の関係と同じような──。
2009.11.03 / Top↑
4月のDiekema&Fost論文の「反論25」で取り上げられているのは
倫理委の検討が不十分だという批判。
倫理委の検討が不十分だという批判。
具体的には、
・Ashleyの利益だけを代理する人物が検討過程にいなかった。
(これは小山さんが2007年5月のシンポで会場から指摘された敵対的審理の不在。
イリノイのK.E.J.裁判でも敵対的審理のための法定代理人が任命されました。
「わたしのなかのあなた」でもアナの利益だけを代理する法定代理人が任命されました)
・より侵襲度の低い選択肢の検討が十分に行われていない。
・裁判所の判断を仰がなかった。
(これは小山さんが2007年5月のシンポで会場から指摘された敵対的審理の不在。
イリノイのK.E.J.裁判でも敵対的審理のための法定代理人が任命されました。
「わたしのなかのあなた」でもアナの利益だけを代理する法定代理人が任命されました)
・より侵襲度の低い選択肢の検討が十分に行われていない。
・裁判所の判断を仰がなかった。
いずれも、至極まっとうな指摘なのですが、
それに対するに、まず最初の2点への著者らの反論は、
こんなことしか書けないなら書かないほうが良かったんじゃないかと同情するくらいの稚拙さ。
それに対するに、まず最初の2点への著者らの反論は、
こんなことしか書けないなら書かないほうが良かったんじゃないかと同情するくらいの稚拙さ。
私は最初に読んだ時に、あまりのバカバカしさに思わず笑ってしまった。
だってね。
These claims are speculative, and quite simply wrong. In fact, the committee did explore less invasive options and did engage in a comprehensive, ethical discussion that included many of the issues Quellette assumes were not discussed and many that she left off her list.
この前後の”反論”の内容は、ぶっちゃけて言えば、
Ashlelyだけの利益を代表する人がいなかったとか、
だから然るべき手続きがとられていないとか
侵襲度の低い選択肢をちゃんと検討していないとか、
だから生命倫理委員会がやるべき仕事をちゃんとやっていないとか
みんなで批判してて、
それはイチイチ的を突いてもいると、そりゃ、ボクだって思うけどさ、でも、
みんな、それは想像で言ってるだけでしょ?
でも、そういうの、全部、ボクたちは、ちゃんと、やったっんだってば。
もっと侵襲度の低い選択肢の検討だって、ちゃんとやったし、
キミたちが指摘している点は、ボクたちだって、ちゃんと検討したんだよ。
キミたちが指摘していないことまで、ちゃんと検討したんだから。
お~きな倫理委員会が長々と議論したんだから、やらなかったはず、ないでしょ。
だから、信じてよ。ね、ねっ。
だから然るべき手続きがとられていないとか
侵襲度の低い選択肢をちゃんと検討していないとか、
だから生命倫理委員会がやるべき仕事をちゃんとやっていないとか
みんなで批判してて、
それはイチイチ的を突いてもいると、そりゃ、ボクだって思うけどさ、でも、
みんな、それは想像で言ってるだけでしょ?
でも、そういうの、全部、ボクたちは、ちゃんと、やったっんだってば。
もっと侵襲度の低い選択肢の検討だって、ちゃんとやったし、
キミたちが指摘している点は、ボクたちだって、ちゃんと検討したんだよ。
キミたちが指摘していないことまで、ちゃんと検討したんだから。
お~きな倫理委員会が長々と議論したんだから、やらなかったはず、ないでしょ。
だから、信じてよ。ね、ねっ。
ウソみたいだけど。
ほんと、この程度なのですよ、Ethics誌に掲載されている、この“学術論文”。
査読って、いったい何なのかしら。
ほんと、この程度なのですよ、Ethics誌に掲載されている、この“学術論文”。
査読って、いったい何なのかしら。
そこまで言うなら、どういう選択肢が議論の場に上げられて、
それぞれについて、どういう利益と害が指摘されたのか、
委員の間で、どういう意見が交わされたのか、
それぞれがどういう理由で却下されたのか、
K.E.J.ケースの裁判所の意見書みたいに、
ぜ~んぶ具体的に述べてみせてごらんなさいよ、と思うのだけど、
それぞれについて、どういう利益と害が指摘されたのか、
委員の間で、どういう意見が交わされたのか、
それぞれがどういう理由で却下されたのか、
K.E.J.ケースの裁判所の意見書みたいに、
ぜ~んぶ具体的に述べてみせてごらんなさいよ、と思うのだけど、
聞こえてくるのは、Just believe me! We did it! (だから、ちゃんとやったんだってば)ばかり。
一体、この、どこが反論、反駁なんだ?
当初の論争でも、Diekema医師はcarefully に検討したんだと繰り返すばっかりで
その具体的な検討内容についてはさっぱり語れなかったことは
2007年7月の段階で既に指摘していますが、2年以上経っても、この人、まだ、同じことをやっている。
その具体的な検討内容についてはさっぱり語れなかったことは
2007年7月の段階で既に指摘していますが、2年以上経っても、この人、まだ、同じことをやっている。
つまり「反論25」で取り上げられた3点のうち、
最初の2点については全く反駁不能ということなのでしょう。
最初の2点については全く反駁不能ということなのでしょう。
3つ目の論点への反論については、
笑って捨て置けない重大な問題が潜んでいるので、次のエントリーにて。
笑って捨て置けない重大な問題が潜んでいるので、次のエントリーにて。
【4月のDiekema&Fost論文に関するエントリー】
Diekema医師が今更のようにAshley論文書いて批判に反駁(2009/10/1)
Diekema&Fost論文を読む 1:倫理委に関する新事実(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 2:ホルモン療法の期間を修正(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 3:政治的判断を否定(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 4:窮鼠の反撃? 証明責任の転嫁(2009/11/2)
Diekema医師が今更のようにAshley論文書いて批判に反駁(2009/10/1)
Diekema&Fost論文を読む 1:倫理委に関する新事実(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 2:ホルモン療法の期間を修正(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 3:政治的判断を否定(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 4:窮鼠の反撃? 証明責任の転嫁(2009/11/2)
【6月のDiekema&Fost論文に関するエントリー】
Diekema とFostが成長抑制療法で新たな論文(2009/6/6)
成長抑制WGの作業のウラで論文が書かれていたことの怪(2009/6/6)
成長抑制論文にWhat Sorts ブログが反応(2009/6/7)
私がDr.Fostをマスターマインドではないかと考える訳(2009/6/13)
Diekema&Fostの成長抑制論文を読んでみた(2009/6/14)
Diekema&Fost論文の「重症の認知障害」が実は身体障害であることの怪(2009/6/15)
病院の公式合意を一医師が論文で否定できることの怪(2009/6/15)
Diekema とFostが成長抑制療法で新たな論文(2009/6/6)
成長抑制WGの作業のウラで論文が書かれていたことの怪(2009/6/6)
成長抑制論文にWhat Sorts ブログが反応(2009/6/7)
私がDr.Fostをマスターマインドではないかと考える訳(2009/6/13)
Diekema&Fostの成長抑制論文を読んでみた(2009/6/14)
Diekema&Fost論文の「重症の認知障害」が実は身体障害であることの怪(2009/6/15)
病院の公式合意を一医師が論文で否定できることの怪(2009/6/15)
2009.11.03 / Top↑
4月のDiekema & Fost 論文の眼目は、
これまで出てきたAshleyケースに対する批判の論点に対して反駁する、というもの。
これまで出てきたAshleyケースに対する批判の論点に対して反駁する、というもの。
主要な批判の論点を25点挙げて、それに1つずつ反駁して見せた後、
(一つ一つは相変わらず論理が飛躍していたり、ウソやマヤカシに満ちていて
とうてい反論として成立していないのですが)
(一つ一つは相変わらず論理が飛躍していたり、ウソやマヤカシに満ちていて
とうてい反論として成立していないのですが)
以下のように結論します。
While the arguments discussed here provide strong reasons for proceeding carefully and thoughtfully in future cases that might arise, we do not feel these arguments provide sufficient grounds to preclude similar use of these interventions for carefully selected patients who might benefit from them.
ここで取り上げた議論は、将来のケースでは慎重に、十分に配慮しつつ対処する強力な理由となるにせよ、これらの介入によって利益があると慎重に選択した患者への同様の介入を禁じるだけの十分な根拠を提示しているとは我々には感じられない。
ここで取り上げた議論は、将来のケースでは慎重に、十分に配慮しつつ対処する強力な理由となるにせよ、これらの介入によって利益があると慎重に選択した患者への同様の介入を禁じるだけの十分な根拠を提示しているとは我々には感じられない。
ったく、笑わせてくれる。
これでは話がまるで逆というものでしょう。
これでは話がまるで逆というものでしょう。
これらを禁じるに足りる議論を提示する責任が、
Ashleyケースを批判する人たちにはあるわけではない。
Ashleyケースを批判する人たちにはあるわけではない。
説得力のある議論を提示する証明責任を負っているのは、あなた方のほうだ。
前例のない医療介入を怪しげな倫理委の検討でやってしまったのは、あなた方なのだから。
前例のない医療介入を怪しげな倫理委の検討でやってしまったのは、あなた方なのだから。
重症障害児へのホルモン大量投与による成長抑制療法と子宮摘出、乳房切除について
倫理的に妥当とするに足りる根拠となる議論を提示する責任が、
第一例を倫理委員会として承認し実施した、あなた方に、まず、あるのだ。
倫理的に妥当とするに足りる根拠となる議論を提示する責任が、
第一例を倫理委員会として承認し実施した、あなた方に、まず、あるのだ。
読んだところ、例えばAnn McDonaldさんから出てきた
「どうやってAshleyの知的能力を測ったのか。それを知る努力を十分にしていない」との批判を始め、
どうにも反駁できそうにない論点は省かれているけれど、
(そのくせAshleyの知的レベルに月例相当の表現を用いることは
この論文では巧妙に避けられて抽象的な表現に留まっている)
「どうやってAshleyの知的能力を測ったのか。それを知る努力を十分にしていない」との批判を始め、
どうにも反駁できそうにない論点は省かれているけれど、
(そのくせAshleyの知的レベルに月例相当の表現を用いることは
この論文では巧妙に避けられて抽象的な表現に留まっている)
それでも、あなた方の言う「実質的な意味のある批判」の論点は
あなた方自身の分類で25にも及ぶ。
あなた方自身の分類で25にも及ぶ。
その批判の論点の多さこそ、
あなた方の議論がAshleyケースを正当化するに足りる根拠を提示していない証拠でなくて
いったい何だというのだろう。
あなた方の議論がAshleyケースを正当化するに足りる根拠を提示していない証拠でなくて
いったい何だというのだろう。
事件から2年余りも経ってなお、あなた方が、こんな論文を書いて、
批判の論点に反駁をしなければならないこと自体が、
第1例に関する証明責任が果たされていない証拠ではないか。
批判の論点に反駁をしなければならないこと自体が、
第1例に関する証明責任が果たされていない証拠ではないか。
それなのに、
あたかも批判する側に証明責任があるかのように転化してみせることによって
追及されているのが自分たちである事実を隠蔽し、立場の逆転を図ろうとする。
あたかも批判する側に証明責任があるかのように転化してみせることによって
追及されているのが自分たちである事実を隠蔽し、立場の逆転を図ろうとする。
なんという鉄面皮なのだろう。
それとも、もしかしたら、彼らは相当に追い詰められているのでしょうか?????
そういえば、故Gunther医師も同じ論理を振りかざしたことがあった。
2007年1月7日のTimes紙へのインタビューでこんなことを言っている。
2007年1月7日のTimes紙へのインタビューでこんなことを言っている。
If you’re going to be against this, you have to argue why the benefits are not worth pursuing.
もしもこれに反対だという人がいるなら、その人は、なぜ、この療法の利益を追求してはならないかをきちんと論じて見せなければならない。
もしもこれに反対だという人がいるなら、その人は、なぜ、この療法の利益を追求してはならないかをきちんと論じて見せなければならない。
Gunther医師は、私の知る限りでは、この発言以降、メディアとの接触を断ち、
その後、表に出てくるのはDiemeka医師一人となった。
その後、表に出てくるのはDiemeka医師一人となった。
当時、私は、Gunther医師の方はこの時点で、もう正当化し抜く自信も余裕も失っていたのだな、
それで病院が彼を引っ込めてDiekema医師一人に正当化を任せたのだな、と、
この言葉を振り返っていたのだけれど、
それで病院が彼を引っ込めてDiekema医師一人に正当化を任せたのだな、と、
この言葉を振り返っていたのだけれど、
彼はその後、5月のワシントン大学のシンポにも姿を見せず、
そして、9月30日に自殺した。
そして、9月30日に自殺した。
この論文の結論は、あのGunther医師の物言いとそっくり――。
もしかしたらDiekema医師とFost医師も追い詰められているのでしょうか。
そういえば、成長抑制療法の一般化については
子ども病院は正当化のためにワーキング・グループを召集していたし、
そのWGの“妥協点”を元に今年の初めには奇妙なシンポジウムまで開かれたのに、
あの一連の流れは、その後どうなったのだろう。
子ども病院は正当化のためにワーキング・グループを召集していたし、
そのWGの“妥協点”を元に今年の初めには奇妙なシンポジウムまで開かれたのに、
あの一連の流れは、その後どうなったのだろう。
この事件では、どうも病院の対応が二転三転するのだけれど、私には、それが、
病院 vs Diekema医師(もちろん背後にAshley父とFost医師がいる)という
意思決定における微妙な対立があるためだと思えてならない。
病院 vs Diekema医師(もちろん背後にAshley父とFost医師がいる)という
意思決定における微妙な対立があるためだと思えてならない。
つまり、病院の意思決定が
その対立の影響で覆されてシーソーのように二転三転しているのではないか。
その対立の影響で覆されてシーソーのように二転三転しているのではないか。
病院側の動きと、Diekema医師の動きとは、
それほど、ちぐはぐで、まったく噛み合っていない。
それほど、ちぐはぐで、まったく噛み合っていない。
Diekema、Fost両医師は
4月にEthics誌にこの論文を発表してAshleyケースを正当化し、
さらに6月には小児科学会誌に成長抑制一般化正当化の論文と、
今年に入って立て続けに論文を書いているのだけれど、
4月にEthics誌にこの論文を発表してAshleyケースを正当化し、
さらに6月には小児科学会誌に成長抑制一般化正当化の論文と、
今年に入って立て続けに論文を書いているのだけれど、
いずれも、ワーキング・グループに自ら名を連ねていながら、
そのグループの議論が進行しているのと平行して
しかし2人だけで独自に書いていたことになる。
そのグループの議論が進行しているのと平行して
しかし2人だけで独自に書いていたことになる。
それ自体、とても不自然で、不可解な行為だ。
まるで、病院の思惑や意思決定とは全く別のところにある意思によって
もっと性急に、もっと独善的にコトを進めるように尻を叩かれるものだから、
病院サイドの悠長な動きなど構っていられないとばかりに
ジタバタと手を打つことに必死になっているかのように──。
もっと性急に、もっと独善的にコトを進めるように尻を叩かれるものだから、
病院サイドの悠長な動きなど構っていられないとばかりに
ジタバタと手を打つことに必死になっているかのように──。
【4月のDiekema&Fost論文に関するエントリー】
Diekema医師が今更のようにAshley論文書いて批判に反駁(2009/10/1)
Diekema&Fost論文を読む 1:倫理委に関する新事実(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 2:ホルモン療法の期間を修正(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 3:政治的判断を否定(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 4:窮鼠の反撃? 証明責任の転嫁(2009/11/2)
Diekema&Fost論文を読む 5:「だから、ちゃんと検討したんだってば」(2009/11/3)
Diekema&Fost論文を読む 6:司法の否定(2009/11/3)
Diekema医師が今更のようにAshley論文書いて批判に反駁(2009/10/1)
Diekema&Fost論文を読む 1:倫理委に関する新事実(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 2:ホルモン療法の期間を修正(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 3:政治的判断を否定(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 4:窮鼠の反撃? 証明責任の転嫁(2009/11/2)
Diekema&Fost論文を読む 5:「だから、ちゃんと検討したんだってば」(2009/11/3)
Diekema&Fost論文を読む 6:司法の否定(2009/11/3)
【6月のDiekema&Fost論文に関するエントリー】
Diekema とFostが成長抑制療法で新たな論文(2009/6/6)
成長抑制WGの作業のウラで論文が書かれていたことの怪(2009/6/6)
成長抑制論文にWhat Sorts ブログが反応(2009/6/7)
私がDr.Fostをマスターマインドではないかと考える訳(2009/6/13)
Diekema&Fostの成長抑制論文を読んでみた(2009/6/14)
Diekema&Fost論文の「重症の認知障害」が実は身体障害であることの怪(2009/6/15)
病院の公式合意を一医師が論文で否定できることの怪(2009/6/15)
Diekema とFostが成長抑制療法で新たな論文(2009/6/6)
成長抑制WGの作業のウラで論文が書かれていたことの怪(2009/6/6)
成長抑制論文にWhat Sorts ブログが反応(2009/6/7)
私がDr.Fostをマスターマインドではないかと考える訳(2009/6/13)
Diekema&Fostの成長抑制論文を読んでみた(2009/6/14)
Diekema&Fost論文の「重症の認知障害」が実は身体障害であることの怪(2009/6/15)
病院の公式合意を一医師が論文で否定できることの怪(2009/6/15)
2009.11.02 / Top↑
今回の論文に初めて出てきた内容として、私が最も注目したい箇所は
やはり「反論25」で、然るべき手続きがなかったとの批判に反論している部分にあって、
やはり「反論25」で、然るべき手続きがなかったとの批判に反論している部分にあって、
If the institution had any self-interest in this case, it would have been to not perform these interventions because of the potential controversy. In this politically charged situation, an ethics committee, comprised solely of individuals who had no stake in this decision, was no more biased than a hearing before a judge would have been.
病院に政治的な自己利益があったとしたら、
こんな論争になりそうな介入は、むしろ“やらない”選択をするはずだろう、と。
こんな論争になりそうな介入は、むしろ“やらない”選択をするはずだろう、と。
――いや。
どうしてもやらざるを得ない状況があり、ホッカムリし通せると考えさえすれば、
やるんじゃないでしょうか。
やるんじゃないでしょうか。
実際、病院は2年間、隠し通したのだし、
いよいよ論文を書かざるを得なくなった時にも、多くのことは隠蔽が図られたのだから。
いよいよ論文を書かざるを得なくなった時にも、多くのことは隠蔽が図られたのだから。
しかし、ここで何より興味深いのは、
病院の「自己利益」だとか「政治的な事情の絡んだ状況」とかに、彼らが初めて触れたこと。
病院の「自己利益」だとか「政治的な事情の絡んだ状況」とかに、彼らが初めて触れたこと。
この一文から見る限り、病院が政治的配慮でやったことに過ぎないとの指摘があることを
Diekema医師は意識しているわけですね。
Diekema医師は意識しているわけですね。
それがいわれのない言いがかりだというなら、
否定して見せるのは、しごく簡単なことです。
否定して見せるのは、しごく簡単なことです。
「Ashleyの父親はマイクロソフトの役員ではない」という事実を持ってくればいい。
なにも名前まで明かす必要はないのだから、
Ashley以外の子どものプライバシーは守れる。
Ashley以外の子どものプライバシーは守れる。
父親の職業を明らかにする必要すらない。
ただ「彼はマイクロソフトの役員ではない」と一言、否定してみせるだけでいい。
ただ「彼はマイクロソフトの役員ではない」と一言、否定してみせるだけでいい。
この期に及んでも、まだ、それができないで
「政治的な利益があるなら、やっていないはずだろう」てな、かったるいゴタクを並べているのは、
「政治的な利益があるなら、やっていないはずだろう」てな、かったるいゴタクを並べているのは、
やはり父親がマイクロソフトの役員だというのが事実だからでしょう。
そして、その一つの事実だけがあれば、
この不可解な事件には、きれいに全て説明がつくのです。
この不可解な事件には、きれいに全て説明がつくのです。
今回の論文のこの箇所こそ、当ブログのspitzibara仮説を証明している、と私は思う。
【4月のDiekema&Fost論文に関するエントリー】
Diekema医師が今更のようにAshley論文書いて批判に反駁(2009/10/1)
Diekema&Fost論文を読む 1:倫理委に関する新事実(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 2:ホルモン療法の期間を修正(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 3:政治的判断を否定(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 4:窮鼠の反撃? 証明責任の転嫁(2009/11/2)
Diekema&Fost論文を読む 5:「だから、ちゃんと検討したんだってば」(2009/11/3)
Diekema&Fost論文を読む 6:司法の否定(2009/11/3)
Diekema医師が今更のようにAshley論文書いて批判に反駁(2009/10/1)
Diekema&Fost論文を読む 1:倫理委に関する新事実(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 2:ホルモン療法の期間を修正(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 3:政治的判断を否定(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 4:窮鼠の反撃? 証明責任の転嫁(2009/11/2)
Diekema&Fost論文を読む 5:「だから、ちゃんと検討したんだってば」(2009/11/3)
Diekema&Fost論文を読む 6:司法の否定(2009/11/3)
【6月のDiekema&Fost論文に関するエントリー】
Diekema とFostが成長抑制療法で新たな論文(2009/6/6)
成長抑制WGの作業のウラで論文が書かれていたことの怪(2009/6/6)
成長抑制論文にWhat Sorts ブログが反応(2009/6/7)
私がDr.Fostをマスターマインドではないかと考える訳(2009/6/13)
Diekema&Fostの成長抑制論文を読んでみた(2009/6/14)
Diekema&Fost論文の「重症の認知障害」が実は身体障害であることの怪(2009/6/15)
病院の公式合意を一医師が論文で否定できることの怪(2009/6/15)
Diekema とFostが成長抑制療法で新たな論文(2009/6/6)
成長抑制WGの作業のウラで論文が書かれていたことの怪(2009/6/6)
成長抑制論文にWhat Sorts ブログが反応(2009/6/7)
私がDr.Fostをマスターマインドではないかと考える訳(2009/6/13)
Diekema&Fostの成長抑制論文を読んでみた(2009/6/14)
Diekema&Fost論文の「重症の認知障害」が実は身体障害であることの怪(2009/6/15)
病院の公式合意を一医師が論文で否定できることの怪(2009/6/15)
2009.11.01 / Top↑
私は英語でも日本語でも書いているのだけど、なぜか他には誰も触れない、
しかし相当重大なウソなのですが、
しかし相当重大なウソなのですが、
2006年のDiekemaらの論文はAshleyのホルモン療法の期間を
実際よりも約1年間短く報告しています。
実際よりも約1年間短く報告しています。
おそらく論文を書いた時点では、親がブログを立ち上げるなど想定外だったから
そのウソがばれることなどないはずだと思い込んで書いたものでしょう。
そのウソがばれることなどないはずだと思い込んで書いたものでしょう。
しかし、父親がブログで詳細を明かしてしまったところ、
親は2007年1月に「2年半やって、ちょうど終わったところ」と書き、
2006年10月に「現在、1年とちょっとやったところ」と書いた医師らの論文との間には
約1年間の開きがあったのです。
親は2007年1月に「2年半やって、ちょうど終わったところ」と書き、
2006年10月に「現在、1年とちょっとやったところ」と書いた医師らの論文との間には
約1年間の開きがあったのです。
それをどこかで修正する必要を感じていたのでしょう。
今回の論文で、Diekema医師はホルモン療法の期間を「2年半」と報告しています。
今回の論文で、Diekema医師はホルモン療法の期間を「2年半」と報告しています。
しかし、それならば、なおのこと、なぜ2006年の論文では
「現在1年とちょっと」と書き、大きくチョロまかしたのか。
「現在1年とちょっと」と書き、大きくチョロまかしたのか。
Diekema医師は、今頃になって「2年半」と書くならば、
なぜ2006年論文では1年ちょっとと書いたのかを説明する責任があると思う。
なぜ2006年論文では1年ちょっとと書いたのかを説明する責任があると思う。
いまになって「2年半」と訂正することは
2006年段階でウソをついたと認めているに等しいのだから――。
2006年段階でウソをついたと認めているに等しいのだから――。
【4月のDiekema&Fost論文に関するエントリー】
Diekema医師が今更のようにAshley論文書いて批判に反駁(2009/10/1)
Diekema&Fost論文を読む 1:倫理委に関する新事実(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 2:ホルモン療法の期間を修正(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 3:政治的判断を否定(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 4:窮鼠の反撃? 証明責任の転嫁(2009/11/2)
Diekema&Fost論文を読む 5:「だから、ちゃんと検討したんだってば」(2009/11/3)
Diekema&Fost論文を読む 6:司法の否定(2009/11/3)
Diekema医師が今更のようにAshley論文書いて批判に反駁(2009/10/1)
Diekema&Fost論文を読む 1:倫理委に関する新事実(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 2:ホルモン療法の期間を修正(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 3:政治的判断を否定(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 4:窮鼠の反撃? 証明責任の転嫁(2009/11/2)
Diekema&Fost論文を読む 5:「だから、ちゃんと検討したんだってば」(2009/11/3)
Diekema&Fost論文を読む 6:司法の否定(2009/11/3)
【6月のDiekema&Fost論文に関するエントリー】
Diekema とFostが成長抑制療法で新たな論文(2009/6/6)
成長抑制WGの作業のウラで論文が書かれていたことの怪(2009/6/6)
成長抑制論文にWhat Sorts ブログが反応(2009/6/7)
私がDr.Fostをマスターマインドではないかと考える訳(2009/6/13)
Diekema&Fostの成長抑制論文を読んでみた(2009/6/14)
Diekema&Fost論文の「重症の認知障害」が実は身体障害であることの怪(2009/6/15)
病院の公式合意を一医師が論文で否定できることの怪(2009/6/15)
Diekema とFostが成長抑制療法で新たな論文(2009/6/6)
成長抑制WGの作業のウラで論文が書かれていたことの怪(2009/6/6)
成長抑制論文にWhat Sorts ブログが反応(2009/6/7)
私がDr.Fostをマスターマインドではないかと考える訳(2009/6/13)
Diekema&Fostの成長抑制論文を読んでみた(2009/6/14)
Diekema&Fost論文の「重症の認知障害」が実は身体障害であることの怪(2009/6/15)
病院の公式合意を一医師が論文で否定できることの怪(2009/6/15)
2009.11.01 / Top↑
手に入れてくださる方があって、その後フルテキストを読むことができました。
大筋としての印象は、
2006年のGunther & Diekema 論文と全く同じで、
2006年のGunther & Diekema 論文と全く同じで、
例えば、親がAshley療法を望んだ理由は相変わらず都合よく偽っているし、
肝心の倫理委の議論の詳細については相変わらず出してこないし、
当事者の癖に第三者の専門家を装って、評価者の高みからものを言うことで
証明責任を実施者から批判者に転嫁して見せているなど、
肝心の倫理委の議論の詳細については相変わらず出してこないし、
当事者の癖に第三者の専門家を装って、評価者の高みからものを言うことで
証明責任を実施者から批判者に転嫁して見せているなど、
2006年の論文でやったとおりのマヤカシを繰り返していますが、
ちょっと面白いな、と思った新情報が
以下の点を中心に、いくつかありました。
以下の点を中心に、いくつかありました。
1.倫理委のメンバー数が初めて明かされたこと
2.Ashleyに行われたホルモン療法の期間が2006年論文から修正されたこと
3.病院側の「自己利益」や「政治的事情の絡んだ状況」に初めて言及していること
2.Ashleyに行われたホルモン療法の期間が2006年論文から修正されたこと
3.病院側の「自己利益」や「政治的事情の絡んだ状況」に初めて言及していること
これらの点について、それぞれエントリーを分けて詳細に検討してみます。
まず、1点目、倫理委のメンバー数が初めて明かされたことについて。
Ashleyの親の要望を検討した倫理委員会に“出席”したのは、
「倫理委のメンバー11人と両親、患者(つまりAshley)そして患者の担当医3名」と。
「倫理委のメンバー11人と両親、患者(つまりAshley)そして患者の担当医3名」と。
The meeting was attended by eleven members of the ethics committee, the parents, the patient, and three of the patient’s physicians.
論争から3年近く経ってから、やっと倫理委の人数が明かされたわけです。
しかし、この情報には、いくつもの疑問があります。
しかし、この情報には、いくつもの疑問があります。
まず、なぜ、今まで人数を明かさなかったのか。
2006年初頭の論争時、父親のブログが書いた「40人ものメンバーによる倫理医」が
メディアでもネットでも、2007年5月のシンポでも一人歩きしていました。
2006年初頭の論争時、父親のブログが書いた「40人ものメンバーによる倫理医」が
メディアでもネットでも、2007年5月のシンポでも一人歩きしていました。
シンポでは Alice Dreger氏から
「倫理委のメンバーは40人だったんでしょ?」というストレートな質問まで出ました。
それでも、病院はずっと倫理委のメンバーの数について明かしてこなかった。
なぜ、今まで隠してきたのか。
「倫理委のメンバーは40人だったんでしょ?」というストレートな質問まで出ました。
それでも、病院はずっと倫理委のメンバーの数について明かしてこなかった。
なぜ、今まで隠してきたのか。
それは、やはり、あの倫理委にこそ、
触れられたくないAshley事件の真実が隠されているからだと私は考えます。
触れられたくないAshley事件の真実が隠されているからだと私は考えます。
Salonが引っ張り出した病院内部の反対派からの情報には信憑性があると私は考えているのですが、
Salonが書いていたのは「委員会のメンバーが18人」という話であり、
今回の論文が書いた「その他当事者を入れて18人」ということではありませんでした。
今回の論文が書いた「その他当事者を入れて18人」ということではありませんでした。
また、Salonが倫理委について暴いた事実で最も重要なのは
そこに部外者が排除されていたという事実です。
そこに部外者が排除されていたという事実です。
今回の論文は、あの倫理委が「特別」と銘打たれていた事実に一切触れず、
あたかも病院の通常の倫理委であったかのように装い続けていますが、
あたかも病院の通常の倫理委であったかのように装い続けていますが、
Salonの「18人」という情報が正しいとすれば、
今回のDiekema医師のいう「倫理委から11人」とは、
「通常の倫理委から病院と大学の職員だけが11人加わった」ということではないでしょうか。
今回のDiekema医師のいう「倫理委から11人」とは、
「通常の倫理委から病院と大学の職員だけが11人加わった」ということではないでしょうか。
それ以外に7名が加わっていた可能性が依然として残ります。
―――――――
もう1つ、倫理委の人数については、たいそう面白い箇所があって、
「反論25:Ashleyには然るべき手順が踏まれなかった:倫理委検討は不十分であった」の項目で、
「反論25:Ashleyには然るべき手順が踏まれなかった:倫理委検討は不十分であった」の項目で、
然るべき手順は踏んだと反論しているのですが、
The parents’ decision was reviewed by four separate physicians caring for Ashley and a large multi-disciplinary ethics committee whose primary task was to consider the interests of the child.
ここで、large と、つい書いてしまっている。
メンバーが11人という倫理委が large なワケはないので、
これは、“つい書いてしまった”無意識のミステイクでしょう。
これは、“つい書いてしまった”無意識のミステイクでしょう。
論争当初に父親が「40人ものメンバーの倫理委が承認した」と
正当化の根拠としていた倫理委のサイズについての事実誤認を
Diekema医師らは訂正してきませんでした。
正当化の根拠としていた倫理委のサイズについての事実誤認を
Diekema医師らは訂正してきませんでした。
むしろ知らんフリで、その事実誤認を便乗利用して
メディアや世論が勝手に「大きな倫理委が承認したのだから」と言い継ぐのに任せてきた。
メディアや世論が勝手に「大きな倫理委が承認したのだから」と言い継ぐのに任せてきた。
その意識が、今回、自分で11人と実際の人数を明かした後にも
つい、ボロッとこぼれ出たミステイクではないでしょうか。
つい、ボロッとこぼれ出たミステイクではないでしょうか。
実は、Diekema医師がこれまで繰り返し強調してきたものとして
倫理委の「サイズ」の他に検討時間の「長さ」がありましたが、
今回も「11人」を明かした直後に、やはり「長い議論の後で」と書いています。
(after a lengthy discussion)
倫理委の「サイズ」の他に検討時間の「長さ」がありましたが、
今回も「11人」を明かした直後に、やはり「長い議論の後で」と書いています。
(after a lengthy discussion)
しかし、これまでのGunther医師の発言やSalonの記事などから
倫理委が実際に議論に費やした時間は1時間であることが明らかになっています。
倫理委が実際に議論に費やした時間は1時間であることが明らかになっています。
Ashley自身の利益を代弁する人物がいなかったという重要な指摘に対するに、
「大きな倫理委が長々と検討したのだから、然るべきプロセスを踏んだのだ」と
倫理委のサイズ(でも実は11人)と議論の長さ(でも実は1時間)でもって対抗する。
「大きな倫理委が長々と検討したのだから、然るべきプロセスを踏んだのだ」と
倫理委のサイズ(でも実は11人)と議論の長さ(でも実は1時間)でもって対抗する。
倫理委のサイズも議論の長さも、
なんら、その倫理委の結論を正当化するものではないことくらい、
Diekema医師もFost医師も、仮にも生命倫理学者なら知らないわけではあるまいに
なんら、その倫理委の結論を正当化するものではないことくらい、
Diekema医師もFost医師も、仮にも生命倫理学者なら知らないわけではあるまいに
そんな子ども騙ししか繰り返せないのは、
その1時間の倫理委の議論の「具体的な内容」を彼らが決して明かせないから、に他ならない。
その1時間の倫理委の議論の「具体的な内容」を彼らが決して明かせないから、に他ならない。
【4月のDiekema&Fost論文に関するエントリー】
Diekema医師が今更のようにAshley論文書いて批判に反駁(2009/10/1)
Diekema&Fost論文を読む 1:倫理委に関する新事実(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 2:ホルモン療法の期間を修正(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 3:政治的判断を否定(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 4:窮鼠の反撃? 証明責任の転嫁(2009/11/2)
Diekema&Fost論文を読む 5:「だから、ちゃんと検討したんだってば」(2009/11/3)
Diekema&Fost論文を読む 6:司法の否定(2009/11/3)
Diekema医師が今更のようにAshley論文書いて批判に反駁(2009/10/1)
Diekema&Fost論文を読む 1:倫理委に関する新事実(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 2:ホルモン療法の期間を修正(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 3:政治的判断を否定(2009/11/1)
Diekema&Fost論文を読む 4:窮鼠の反撃? 証明責任の転嫁(2009/11/2)
Diekema&Fost論文を読む 5:「だから、ちゃんと検討したんだってば」(2009/11/3)
Diekema&Fost論文を読む 6:司法の否定(2009/11/3)
【6月のDiekema&Fost論文に関するエントリー】
Diekema とFostが成長抑制療法で新たな論文(2009/6/6)
成長抑制WGの作業のウラで論文が書かれていたことの怪(2009/6/6)
成長抑制論文にWhat Sorts ブログが反応(2009/6/7)
私がDr.Fostをマスターマインドではないかと考える訳(2009/6/13)
Diekema&Fostの成長抑制論文を読んでみた(2009/6/14)
Diekema&Fost論文の「重症の認知障害」が実は身体障害であることの怪(2009/6/15)
病院の公式合意を一医師が論文で否定できることの怪(2009/6/15)
Diekema とFostが成長抑制療法で新たな論文(2009/6/6)
成長抑制WGの作業のウラで論文が書かれていたことの怪(2009/6/6)
成長抑制論文にWhat Sorts ブログが反応(2009/6/7)
私がDr.Fostをマスターマインドではないかと考える訳(2009/6/13)
Diekema&Fostの成長抑制論文を読んでみた(2009/6/14)
Diekema&Fost論文の「重症の認知障害」が実は身体障害であることの怪(2009/6/15)
病院の公式合意を一医師が論文で否定できることの怪(2009/6/15)
2009.11.01 / Top↑