オーストラリアのDr. Death こと Dr. Nitschke。アメリカのケボキアン医師と同じく独自に考案した自殺装置で4人の自殺を幇助した安楽死の活動家で、国際的な安楽死のアドボケイト団体 Exit International の創設者。このところ、反発の声はあちこちで見ていたけど、そのDr. Nitschkeがワークショップを行うために、いよいよ英国を訪れ、すったもんだはあったのもの、とりあえず入国を許された。
http://www.christian.org.uk/news/20090505/suicide-doctor-allowed-into-uk-for-latest-tour/
http://www.christian.org.uk/news/20090505/suicide-doctor-allowed-into-uk-for-latest-tour/
来週はオランダから安楽死の専門家 Dr. Chabotが渡英してロンドンでワークショップだか講演だかを行うのだとか。既に60名の申し込みあり。英国の自殺幇助合法化プロモが活発化している、ということだろう。この2本、できたら明日まとめたいけど、無理かも。
http://www.thisislondon.co.uk/standard/article-23686708-details/Dutch+euthanasia+expert+to+give+Londoners+tips+on+suicide/article.do
http://www.thisislondon.co.uk/standard/article-23686708-details/Dutch+euthanasia+expert+to+give+Londoners+tips+on+suicide/article.do
ブレア政権下で学校インスペクターの長を勤めたMr. Education、Chris Woodhead氏(62)が運動神経系の病気にかかっており、現在は進行が緩やかだけれど、いずれ進行して苦しむくらいなら自殺したいとの意向を明らかに。「人生の質のほうが長さよりも大事」。影響力の大きな人らしくて、英国メディアが軒並み取り上げている。(教育畑の人がなんてこと言うんだ!)
http://www.timesonline.co.uk/tol/life_and_style/education/article6211832.ece
http://www.timesonline.co.uk/tol/life_and_style/education/article6211832.ece
上記、Woodhead氏の発言を受け、Guardianに「やっぱり自殺は社会のタブーであり続けるべき」との批判。
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/belief/2009/may/06/suicide-motor-neurone-woodhead
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/belief/2009/may/06/suicide-motor-neurone-woodhead
英国看護学会が会員に対して自殺幇助についての意見を募集中。
http://www.nursingtimes.net/whats-new-in-nursing/acute-care/rcn-consults-members-on-process-of-assisted-suicide/5001020.article
http://www.nursingtimes.net/whats-new-in-nursing/acute-care/rcn-consults-members-on-process-of-assisted-suicide/5001020.article
米国の実験段階の薬でアルツハイマーの症状で悪化した記憶能力が改善した。マウスで長期の記憶を取り戻し、新しい仕事を身につける機能も改善した。アルツハイマーに関係する遺伝子に影響する薬。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8033422.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8033422.stm
Maine州の知事が「憲法での平等な保護」の問題として同性の婚姻を認める法案に署名。
http://www.nytimes.com/2009/05/07/us/07marriage.html?th&emc=th
http://www.nytimes.com/2009/05/07/us/07marriage.html?th&emc=th
危うくなっているBoston Globe紙、労働組合が賃金カットなどの厳しい条件を呑んで存続可能に。(今でも、もはや権力の監視機能は失っているみたいではあるけど、ジャーナリズムはこれから、どうなるんだろう。Ashley事件で一番怖いことの1つは、実はジャーナリズムが真実を知りながら、まったく機能しなかったことなのだけどなぁ……。)
http://www.nytimes.com/2009/05/07/business/media/07paper.html?th&emc=th
http://www.nytimes.com/2009/05/07/business/media/07paper.html?th&emc=th
2009.05.07 / Top↑
抗精神病薬と認知症の薬の処方が1996年から2006年の10年間で倍増していることが
5日刊行されたHealth Affairs誌に掲載の論文で明らかに。
5日刊行されたHealth Affairs誌に掲載の論文で明らかに。
2006年には成人の10人に1人、
子どもの20人に1人が精神科薬を処方されている、と答えており、
96年と比べると成人で73%の増加。
子どもでは50%の増加。
子どもの20人に1人が精神科薬を処方されている、と答えており、
96年と比べると成人で73%の増加。
子どもでは50%の増加。
精神科医療にかかる一人当たりの医療費も2006年までの10年間で30%増加しており、
その増加分は、ほとんどが薬にかかったもの。
その増加分は、ほとんどが薬にかかったもの。
これらの増加は主に精神科医療へのアクセスがよくなったことからくるものだが、
「近年は増加傾向も鈍っている」と
論文著者でHarvard Medical Schoolの医療経済学者 Richard Frank氏。
「近年は増加傾向も鈍っている」と
論文著者でHarvard Medical Schoolの医療経済学者 Richard Frank氏。
「私にとっては、この増加自体は
しかるべき薬を処方してもらえる人が増えた、
症状が軽くなる人が増えた、という意味だ」とも。
しかるべき薬を処方してもらえる人が増えた、
症状が軽くなる人が増えた、という意味だ」とも。
しかし、以下の WS Journalの記者は
「その理由のひとつとして精神科医療が薬物療法に傾斜していることもあるのでは、
心理療法などの、いわゆる心理社会的療法が同じように増加しているわけではないのだから」と。
「その理由のひとつとして精神科医療が薬物療法に傾斜していることもあるのでは、
心理療法などの、いわゆる心理社会的療法が同じように増加しているわけではないのだから」と。
2006年に、精神科以外の領域では
医療費全体に占める医薬品代は26%であったのに対して、
精神科医療では51%が医薬品代だった。
医療費全体に占める医薬品代は26%であったのに対して、
精神科医療では51%が医薬品代だった。
精神科で患者一人当たりにかかった費用では
1996年の40ドルから2006年には148,56ドルへと跳ね上がった。
1996年の40ドルから2006年には148,56ドルへと跳ね上がった。
医療費を膨張させているのは、本当に高齢者や障害者や
現在、欧米で「治療は無益」と決められて栄養と水分を停止され
餓死させられているような患者たちなのか……
現在、欧米で「治療は無益」と決められて栄養と水分を停止され
餓死させられているような患者たちなのか……
本当は科学とテクノロジーで見果てぬ夢を追いかけようとする、その文化と
そこに蠢いて人を人とも思わない利権構造ではないのか……と
そこに蠢いて人を人とも思わない利権構造ではないのか……と
いつも思うことを、また考える──。
なにしろ、当ブログがたまに目に付いたものを拾ってきただけでも、
関連エントリーが、こんなにも沢山ある。
関連エントリーが、こんなにも沢山ある。
子どもに安定剤飲ませ過ぎ
子どもへの抗精神病薬でFDAと専門家委員会が責任なすりあい
抗ウツ剤巡る研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書
抗ウツ剤巡る研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書 Part2
Risperdal他、適応外処方にはもっとエビデンスが必要
FDAの科学者ら「認可審査あまりにも杜撰」と内部告発
医学雑誌にも製薬会社がらみのバイアス、「ディスクロージャーを」と監視団体
現代医学は健康な高齢者を患者にしている
精神疾患の臨床ガイドライン執筆者のほとんどに製薬会社との金銭関係
認知症患者への不適切な抗精神病薬投与、教育・意識改革が必要
子どもへの抗精神病薬でFDAと専門家委員会が責任なすりあい
抗ウツ剤巡る研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書
抗ウツ剤巡る研究者と製薬会社の癒着スキャンダル報告書 Part2
Risperdal他、適応外処方にはもっとエビデンスが必要
FDAの科学者ら「認可審査あまりにも杜撰」と内部告発
医学雑誌にも製薬会社がらみのバイアス、「ディスクロージャーを」と監視団体
現代医学は健康な高齢者を患者にしている
精神疾患の臨床ガイドライン執筆者のほとんどに製薬会社との金銭関係
認知症患者への不適切な抗精神病薬投与、教育・意識改革が必要
その他、去年から大騒動になっている児童精神科医のスキャンダルでは
著名児童精神科医にスキャンダル
著名精神科医ら製薬会社からのコンサル料を過少報告
Biederman医師に更なる製薬会社との癒着スキャンダル
Biederman医師、治験前にJ&J社に結果を約束
Biederman医師らに連邦検察局から召喚状
著名児童精神科医にスキャンダル
著名精神科医ら製薬会社からのコンサル料を過少報告
Biederman医師に更なる製薬会社との癒着スキャンダル
Biederman医師、治験前にJ&J社に結果を約束
Biederman医師らに連邦検察局から召喚状
2009.05.07 / Top↑
3月の末にノースカロライナ州のナーシングホームで起き、
入所者7人と看護師1人が犠牲となった銃の乱射事件で
単身で犯人と対峙し、犯行をとめた警察官が
足に受けていた銃創も癒えて職場復帰したとか。
入所者7人と看護師1人が犠牲となった銃の乱射事件で
単身で犯人と対峙し、犯行をとめた警察官が
足に受けていた銃創も癒えて職場復帰したとか。
犯人に障害があるといわれていたことと、
本人が犯行前に“神経の薬”を6錠も飲んだと供述していたことが気になって
この事件のニュースはその後もずっと追いかけていたのですが、
そのあたりの詳細は出てきていません。
本人が犯行前に“神経の薬”を6錠も飲んだと供述していたことが気になって
この事件のニュースはその後もずっと追いかけていたのですが、
そのあたりの詳細は出てきていません。
事件の性格としては家庭内の揉め事で起こったもので、
たまたま妻の職場だったからナーシングホームで起きた……という単純なもののようです。
たまたま妻の職場だったからナーシングホームで起きた……という単純なもののようです。
一通りの締めくくりとして、このあたりで事件の概要をまとめてみました。
------
3月29日日曜日朝10時。
North Carolina州 Carthage 人口1800人。
警察署長が「最後の殺人事件がいつ起きたか思い出せない」というほど
平和で信仰心の厚い小さな町。
警察官も総勢18人。そこで日曜日には1人勤務となる。
North Carolina州 Carthage 人口1800人。
警察署長が「最後の殺人事件がいつ起きたか思い出せない」というほど
平和で信仰心の厚い小さな町。
警察官も総勢18人。そこで日曜日には1人勤務となる。
Pinelake Health and Rehabilitation Center(120床)に
ショットガン、ライフルその他2,3の武器を持った男が侵入。
オーバーオールを着ていた。
ショットガン、ライフルその他2,3の武器を持った男が侵入。
オーバーオールを着ていた。
11人に向け発砲し、7人の入所者と男性看護師1人(39歳)が死亡。3人が負傷。
死者は 78歳、88歳、89歳がそれぞれ2人と98歳が1人。
死者は 78歳、88歳、89歳がそれぞれ2人と98歳が1人。
看護師の Jerry Avent さんは高校卒業後
10年間コーストガードとして働いた後、看護師になった。
同じホームで医療技術者をしている婚約者と近く結婚する予定だった。
25回以上も撃たれていた。入所者を守ろうと犯人の前に立ちふさがったといわれる。
10年間コーストガードとして働いた後、看護師になった。
同じホームで医療技術者をしている婚約者と近く結婚する予定だった。
25回以上も撃たれていた。入所者を守ろうと犯人の前に立ちふさがったといわれる。
911通報により、男の侵入から18分後に
当日1人で勤務についていた25歳の警察官 Justin Garner が駆けつけた。
犯人の肩を一発でヒット、犯行を見事に止めた。
自らも犯人との銃撃で足に弾片を受けた。
数分後に救援の警察官が複数到着したが、すでにGarnerが犯人を制圧していた。
多くの命を救った功績は多大とMoore郡検察官。
当日1人で勤務についていた25歳の警察官 Justin Garner が駆けつけた。
犯人の肩を一発でヒット、犯行を見事に止めた。
自らも犯人との銃撃で足に弾片を受けた。
数分後に救援の警察官が複数到着したが、すでにGarnerが犯人を制圧していた。
多くの命を救った功績は多大とMoore郡検察官。
犯人は Robert Stewart (45)。建物の外壁塗装工。
ニックネームはShorty や Pee Wee(ちび)。体重150キロ。
ニックネームはShorty や Pee Wee(ちび)。体重150キロ。
別居中の妻 Wanda Gay Neal (43)が看護助手として同ホームに勤務。当日も勤務中。
2人は妻が17歳の時に結婚、3年で離婚、2002年に同じ相手同士で再婚。
今も法律的には夫婦のまま1ヶ月前から妻は実家に移り別居中。
Nealさんはその間に他にも3人と結婚・離婚。Stewartのほうも計4回結婚。
別れた別の妻は「しょっちゅうWandaと比べられた。ずっと忘れられなかったのでは」と。
2人は妻が17歳の時に結婚、3年で離婚、2002年に同じ相手同士で再婚。
今も法律的には夫婦のまま1ヶ月前から妻は実家に移り別居中。
Nealさんはその間に他にも3人と結婚・離婚。Stewartのほうも計4回結婚。
別れた別の妻は「しょっちゅうWandaと比べられた。ずっと忘れられなかったのでは」と。
障害があり、月収786ドルと、裁判所の書類に記録。
離婚だけでなく2回の破産申し立てでも裁判所の世話になっている。
1度は33196ドルの負債が帳消しになった。
90年代には塗装の会社を起こしたが、客からのクレームが多かったとも。
1度は33196ドルの負債が帳消しになった。
90年代には塗装の会社を起こしたが、客からのクレームが多かったとも。
2年前にCarthage郊外に65000ドルの家を購入。
近所の人によると、Stewartは最近は障害者手当をもらっていた、と。
(この障害についての詳細はまだ出てきていません。)
近所の人によると、Stewartは最近は障害者手当をもらっていた、と。
(この障害についての詳細はまだ出てきていません。)
先週会った人によると、前立腺がんになってウツ状態だった、と。
息子にも「遠くへ行く。見たことのない場所へ行く」と言っていた。
息子にも「遠くへ行く。見たことのない場所へ行く」と言っていた。
前の週3月23日に家の納屋で小火騒ぎを起こした。8000ドルの損害。
入所している叔母を見舞いに訪れたCottenさん(53)は、
駐車場にトラックを止めようとしたところで、
正面から銃を向けられたので、慌てて伏せたという。
「犯人は冷静で、行動も落ち着いていた。
そのまま銃を持ち上げて、私のトラックに向けたんだ」
トラックのフロントガラスは粉々。
Cottenさん自身もライフルの弾片で怪我を負ったが、
建物に走りこみ、乱射を知らせた。
駐車場にトラックを止めようとしたところで、
正面から銃を向けられたので、慌てて伏せたという。
「犯人は冷静で、行動も落ち着いていた。
そのまま銃を持ち上げて、私のトラックに向けたんだ」
トラックのフロントガラスは粉々。
Cottenさん自身もライフルの弾片で怪我を負ったが、
建物に走りこみ、乱射を知らせた。
男が建物に入ってくるのを聞きつけてトイレに隠れた。そこから冷静に911。
廊下をこっちに向かってくる足音が聞こえ、でたらめな乱射の音と
人々の叫び声や悲鳴が聞こえていた。
廊下をこっちに向かってくる足音が聞こえ、でたらめな乱射の音と
人々の叫び声や悲鳴が聞こえていた。
当時、妻のNealはアルツハイマー棟にいて
館内放送で男の侵入と乱射を聞き、他の職員と入所者をTV室に集め、ドアをバリケードした。
他の患者を連れに行こうとして犯人の足音を聞いてトイレに隠れたが
病棟には鍵がかかっており、犯人は入れなかった。
館内放送で男の侵入と乱射を聞き、他の職員と入所者をTV室に集め、ドアをバリケードした。
他の患者を連れに行こうとして犯人の足音を聞いてトイレに隠れたが
病棟には鍵がかかっており、犯人は入れなかった。
自分を殺せなかったので、せめて苦しめてやろうと患者を殺したのだと思う、と妻。
「どういう人間が車椅子の人を撃ちます? 意気地のない人のやることです」
「どういう人間が車椅子の人を撃ちます? 意気地のない人のやることです」
妻は犠牲者家族に謝罪して、
「あの人たちじゃなくて、私だったらよかったのに」と。
「あの人たちじゃなくて、私だったらよかったのに」と。
Stewartの罪状は第1級殺人8件と警察官に対する襲撃の罪。
30日に裁判所に初めて出頭。次は13日。
来月大陪審で審理となる。
30日に裁判所に初めて出頭。次は13日。
来月大陪審で審理となる。
――――――
Patrick Fiel Sr. 安全アドバイザー ADT Security Services' Wilmington事務所
Washington, D.C.の前警察長官は、
Washington, D.C.の前警察長官は、
「いかなる場所でも犯罪者が入りにくくする計画と万が一の行動計画が必要。
ナーシングホームは訪問客がID提示して入るようにしたほうがいい。
昔のようにドアを全部開放しておきたい気持ちはわかるが、時代は変わったのだ」
ナーシングホームは訪問客がID提示して入るようにしたほうがいい。
昔のようにドアを全部開放しておきたい気持ちはわかるが、時代は変わったのだ」
Bill Lamb UNC’s Institute on Aging 、NH入所者のアドボケイトは、
「家庭的な施設を目指してきた努力に逆行する。
外からの訪問客が入所者のQOLを向上させる。
NHは訪問しやすい場所であるべき。
地域の人が自由に出入りできるようでありたい、バリアを作ってはいけない。
ただでさえ来たがらない人が守衛所を通らないといけないことになったら余計に来なくなる」
外からの訪問客が入所者のQOLを向上させる。
NHは訪問しやすい場所であるべき。
地域の人が自由に出入りできるようでありたい、バリアを作ってはいけない。
ただでさえ来たがらない人が守衛所を通らないといけないことになったら余計に来なくなる」
Dr. Saundra Westervelt、 UNC-Greensboro 社会学教授は、
「統計的にはNHの入所者が銃による虐待にあう確率は低い。
その小さなリスクのためにセキュリティを上げる価値があるかどうか。難しい。
米国社会そのもので暴力犯罪が増加しており、場所には関係がなく
犯罪被害にあう確立は犯人の知っている人で高い。
すべてのナーシングホームの入り口に金属探知機を設置するよりも
社会問題そのものに焦点を当てるべき。
自由社会に住むなら、そういう選択をしなければ」
その小さなリスクのためにセキュリティを上げる価値があるかどうか。難しい。
米国社会そのもので暴力犯罪が増加しており、場所には関係がなく
犯罪被害にあう確立は犯人の知っている人で高い。
すべてのナーシングホームの入り口に金属探知機を設置するよりも
社会問題そのものに焦点を当てるべき。
自由社会に住むなら、そういう選択をしなければ」
事件で母親を亡くした男性は、
「自分も入れないような、鍵だらけの場所に家族を閉じ込めたい人なんていない。
監獄じゃないんだから。年寄りにとっては家なんだから。年寄りを尊重しないと」
「自分も入れないような、鍵だらけの場所に家族を閉じ込めたい人なんていない。
監獄じゃないんだから。年寄りにとっては家なんだから。年寄りを尊重しないと」
――――――
タウン・コミッショナーが緊急会議を招集。
2日にSandhills 精神保健センターの代表者が集まって
カウンセリングを実施することについて協議。
2日にSandhills 精神保健センターの代表者が集まって
カウンセリングを実施することについて協議。
グリーフ・プログラムが組まれ、
4月中の木曜日夜6時半から8時、教会でケアのためのミーティングが行われる。
NC医療施設協会が犠牲者の家族の支援のため基金を設立。募金が呼びかけられている。
4月中の木曜日夜6時半から8時、教会でケアのためのミーティングが行われる。
NC医療施設協会が犠牲者の家族の支援のため基金を設立。募金が呼びかけられている。
Sandhills精神保健センターのMark Marquez氏は
「スタッフは介護者で、多くの人が自分はするべきことをしなかったと感じている。
もっとできたことがあったはずだと。本当は彼ら自身も犠牲者なのに」
「スタッフは介護者で、多くの人が自分はするべきことをしなかったと感じている。
もっとできたことがあったはずだと。本当は彼ら自身も犠牲者なのに」
州のハイウエイ・パトロールで、
最初に惨劇に行き合わせ対応した人への支援を行うスペシャルチームのHerb Garrison氏は、
「これほどの大事件がおきると、どんなプロフェッショナルであっても、
どれほどの訓練をつんでいても、気持ちが不安定になるんです。
最初に惨劇に行き合わせ対応した人への支援を行うスペシャルチームのHerb Garrison氏は、
「これほどの大事件がおきると、どんなプロフェッショナルであっても、
どれほどの訓練をつんでいても、気持ちが不安定になるんです。
実際に対応している最中はショックを感じません。衝撃はあとでくるんです。
今回の悲劇は短時間におきましたが、これを乗り越えて前に進めるようになるには
とても長い時間が必要になります」
今回の悲劇は短時間におきましたが、これを乗り越えて前に進めるようになるには
とても長い時間が必要になります」
Carthageでは、ともに元の平和な町を取り戻そうと
希望の象徴として白いリボンが飾られている。
希望の象徴として白いリボンが飾られている。
――――――
一連の報道をネットで読んで、とても気になったのは
記事に寄せられるコメントの一部に非常に直情的で激しいものがあること。
記事に寄せられるコメントの一部に非常に直情的で激しいものがあること。
例えば
「裁判に時間がかかっている間、こんなやつを税金で養ってやるのは金の無駄」
というコメントはかなり目にしたし、
「裁判に時間がかかっている間、こんなやつを税金で養ってやるのは金の無駄」
というコメントはかなり目にしたし、
「こんなキチガイを治療してやることはない。医者が殺せばいいのだ」
「すぐに死刑。それも時間をかけて、じっくりと苦しめながら死刑に処せ」など。
「すぐに死刑。それも時間をかけて、じっくりと苦しめながら死刑に処せ」など。
コメントする側の心理状態にも余裕のない攻撃性が感じられて
今にも爆発しそうなものを抱えて煮詰まっている人の多い時代の閉塞感?
今にも爆発しそうなものを抱えて煮詰まっている人の多い時代の閉塞感?
米国ではこの直後の4月3日にも
NYのコミュニティ・センターでの乱射事件が起きたり(14人死亡)
4月4日にはピッツバーグで男が警官らに銃を乱射するなど、
1ヶ月の間に53人もが乱射事件の犠牲になっている。
NYのコミュニティ・センターでの乱射事件が起きたり(14人死亡)
4月4日にはピッツバーグで男が警官らに銃を乱射するなど、
1ヶ月の間に53人もが乱射事件の犠牲になっている。
2009.05.07 / Top↑
豚インフル騒ぎの休校で発達障害のある子どもたちはルーティーンを破られてパニック気味。でも子どものことを心得た親たちはしっかり奮闘。
http://www.nytimes.com/2009/05/04/nyregion/04bigcity.html?_r=2&emc=tnt&tntemail0=y
http://www.nytimes.com/2009/05/04/nyregion/04bigcity.html?_r=2&emc=tnt&tntemail0=y
ベビーP事件で社会問題化している英国の児童虐待への行政対応について、5800万ポンドの予算を投入して新たにソーシャルワーカーを増員する計画。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/8034845.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/8034845.stm
オランダに1年半住んでいるアメリカ人の目に映る福祉国家オランダ。細かく金額が出てきているので興味はあるのだけど、何しろ長大さにひるむ。
http://www.nytimes.com/2009/05/03/magazine/03european-t.html?_r=1&th&emc=th
http://www.nytimes.com/2009/05/03/magazine/03european-t.html?_r=1&th&emc=th
前日に英国入りしたばかりのドイツ人医師が代役勤務で70代の男性に規定量の10倍の薬を処方し、男性が死亡。医師は「疲れていた」と。ケアの質コミッションが即座に調査に入った。4日のGuardianトップ扱いで関連記事いくつか。
http://www.guardian.co.uk/society/2009/may/04/german-doctor-patient-overdose
http://www.guardian.co.uk/society/2009/may/04/german-doctor-patient-overdose
英国の有名ブランドのベビーフードが、チョコビスケット以上の砂糖、マックのハンバーガー以上の脂肪を含んでいることが調査で判明。ビスケットやハンバーガーを食べさせる方がまだしも健康的だとは。
http://www.guardian.co.uk/uk/2009/may/04/baby-food-nutrition-claims
http://www.guardian.co.uk/uk/2009/may/04/baby-food-nutrition-claims
ゲイツ財団の発表によると、約80の英国人研究者によるプロジェクトが同財団Grand Challengeグラントを受けている。まだ山のものとも海のものともつかないが、将来の飛躍に繋がるかもしれない医学研究。
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/uk/science/article6222056.ece?&EMC-Bltn=OORAMA
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/uk/science/article6222056.ece?&EMC-Bltn=OORAMA
処方されて飲まなかった薬を捨てることのできるケースを設置した薬局。週に一度中身を専門業者を通じて廃棄する。処分に困ってトイレやシンクに流される医薬品が水道水の汚染に繋がっているため。(これはずっと前から耳にする結構深刻な問題なのに、対策があまり取られていないような気がしていたけど、なるほど、こういう方法もあるのか。)
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/05/01/AR2009050103243.html
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/05/01/AR2009050103243.html
米国で顔の8割の移植手術を受けたCony Culpさん(46歳)が初めて記者会見。ビデオも。勇気とユーモアに感嘆。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/8035316.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/8035316.stm
2009.05.06 / Top↑
ICSI(卵細胞質内精子注入法・顕微授精)で双子を産んだYvonneさん(37歳)。
今年2歳になる双子の一人Avaは体が正常とされるよりも小さく、
足もまっすぐではなかったので治療した。
足もまっすぐではなかったので治療した。
もう一人のLewisの方は先天性の生殖器異常があり、
正常に戻すには、この先、何度も手術が必要になる。
正常に戻すには、この先、何度も手術が必要になる。
生殖補助技術で生まれた子どもの先天異常について調べた時には、
健康に問題が生じる確率はきわめて低いという情報ばかりでした。
もちろん噂や憶測は常に耳に入っていたし、それは
不妊治療をやっている人なら多かれ少なかれ意識していますけど、
親になることに必死のあまり自分には起こらないと考えてしまうんです。
Lewisを医師に見せた時に最初に訊かれたのは
体外受精またはICSIで生まれた子ですか、という質問でした。
それで、ああ、IVFではよく起こるんだなと思いました。
もちろん自然に生まれた子どもでも起こることなのだから
生殖補助技術が原因だと証明はできませんが、
確率が高くはなるんだろうなと思います。
AvaとLewis がいることは本当に嬉しいし、後悔はありません。
私たちと同じように生殖補助医療で子どもを産んだ夫婦の中には
心臓の奇形や、もっと深刻な問題が起こっているケースもあるので
それを考えたら、私たちはまだ軽く済んだほうだと思います。
でも、もう一度ICSIをやるかと訊かれたら、答えは絶対にNO。
家族がほしかった私の自分勝手な思いが
Lewisに今の異常を起こしたのだろうかって、どうしても考えずにはいられません。
ただ、もしも誰かに、先天異常の確率が、例えば10%高くなると言われていたとしても、
それで気持ちが変わったとは思いません。子どもは欲しかったですから。
ただ、ちゃんと事実を教えて欲しかった
健康に問題が生じる確率はきわめて低いという情報ばかりでした。
もちろん噂や憶測は常に耳に入っていたし、それは
不妊治療をやっている人なら多かれ少なかれ意識していますけど、
親になることに必死のあまり自分には起こらないと考えてしまうんです。
Lewisを医師に見せた時に最初に訊かれたのは
体外受精またはICSIで生まれた子ですか、という質問でした。
それで、ああ、IVFではよく起こるんだなと思いました。
もちろん自然に生まれた子どもでも起こることなのだから
生殖補助技術が原因だと証明はできませんが、
確率が高くはなるんだろうなと思います。
AvaとLewis がいることは本当に嬉しいし、後悔はありません。
私たちと同じように生殖補助医療で子どもを産んだ夫婦の中には
心臓の奇形や、もっと深刻な問題が起こっているケースもあるので
それを考えたら、私たちはまだ軽く済んだほうだと思います。
でも、もう一度ICSIをやるかと訊かれたら、答えは絶対にNO。
家族がほしかった私の自分勝手な思いが
Lewisに今の異常を起こしたのだろうかって、どうしても考えずにはいられません。
ただ、もしも誰かに、先天異常の確率が、例えば10%高くなると言われていたとしても、
それで気持ちが変わったとは思いません。子どもは欲しかったですから。
ただ、ちゃんと事実を教えて欲しかった
2月に米国の科学者が報告し、
ヒト受精・胚機構(HFEA)もガイドラインを変更したところでは
生殖器異常、心臓弁の異常、口蓋裂、消化器異常、
Angelman症候群やBeckwith-Wiederman症候群などの遺伝病が
起こる確率がIVFでは自然に妊娠した子どもの30%高くなる。
ヒト受精・胚機構(HFEA)もガイドラインを変更したところでは
生殖器異常、心臓弁の異常、口蓋裂、消化器異常、
Angelman症候群やBeckwith-Wiederman症候群などの遺伝病が
起こる確率がIVFでは自然に妊娠した子どもの30%高くなる。
(もっとも、自然に生まれた子どもよりも3割がた高いとしても、
全体としての確率は依然2,6%に過ぎない、ともガイドラインに書かれている。)
全体としての確率は依然2,6%に過ぎない、ともガイドラインに書かれている。)
IVFの専門家は
先天異常の確率が高くなるという研究はあるが、
データにはまだばらつきがあるし、
仮に異常が起こっているとしても、さほど深刻なものではないケースがほとんどなので
むやみに患者を心配させるのはよくない、と。
先天異常の確率が高くなるという研究はあるが、
データにはまだばらつきがあるし、
仮に異常が起こっているとしても、さほど深刻なものではないケースがほとんどなので
むやみに患者を心配させるのはよくない、と。
英国で最も成功しているIVFの専門医 Dr. Mohamed Taranissiは
「アドバイスを求めてこられれば知っていることはお話しますが、
同時に私たちには分からないこともお話します。
まだ全体的に言えるほど分かっていないこともありますからね。
「アドバイスを求めてこられれば知っていることはお話しますが、
同時に私たちには分からないこともお話します。
まだ全体的に言えるほど分かっていないこともありますからね。
異常が起こる確率が高いという研究というのはいずれも、
小さなものとして分類できる程度の異常についてあげつらったもので
重大な先天異常ではありません。
小さなものとして分類できる程度の異常についてあげつらったもので
重大な先天異常ではありません。
それに、全然違う結果が出ている研究もありますよ」
またIVFの専門家によっては
もともと自然には妊娠できないということは
精子そのものに先天異常を起こす原因がある可能性も高く、
IVFを受ける女性は出産年齢も高くなりがちなので、
体外授精で先天異常の確率が高いとしても治療に欠陥があるとはいえない、とも。
もともと自然には妊娠できないということは
精子そのものに先天異常を起こす原因がある可能性も高く、
IVFを受ける女性は出産年齢も高くなりがちなので、
体外授精で先天異常の確率が高いとしても治療に欠陥があるとはいえない、とも。
Yvonneさん夫婦と同じくICSIで双子を産んだMarie & Mark Storey夫妻の場合、
双子の一人が、腸がねじれた状態で生まれ、外科手術でも治すことができなかったため、
栄養は腸ろうを通じて与えなければならない。
双子の一人が、腸がねじれた状態で生まれ、外科手術でも治すことができなかったため、
栄養は腸ろうを通じて与えなければならない。
Storey夫妻はICSIに際して、
ホルモンを大量に投与するため母親の体にリスクがあるという点と
多胎児になるとそれだけリスクがあがるという点について説明は受けたが、
それ以外にリスクについて説明はなかったという。
ホルモンを大量に投与するため母親の体にリスクがあるという点と
多胎児になるとそれだけリスクがあがるという点について説明は受けたが、
それ以外にリスクについて説明はなかったという。
もっとも、
「仮にリスクが説明されていたとしても、やっていたと思います。
「仮にリスクが説明されていたとしても、やっていたと思います。
リスクばかり強調すると、逆に
まるでパーフェクトな赤ん坊を保障する方法があるかのように聞こえるけど、
実際には人生に100%確実なことなどないことを忘れないことが大事。
医療のおかげで自分の子どもを持てたのは
とてもラッキーだったと思っています」
まるでパーフェクトな赤ん坊を保障する方法があるかのように聞こえるけど、
実際には人生に100%確実なことなどないことを忘れないことが大事。
医療のおかげで自分の子どもを持てたのは
とてもラッキーだったと思っています」
生殖補助医療に批判的なチャリティComment On Reproductive Ethicsでは
「親に対してこうした事実をきちんと伝える義務とは別に、
こうした治療の結果生まれてくる子どもたちに対する義務というものがある」
「親に対してこうした事実をきちんと伝える義務とは別に、
こうした治療の結果生まれてくる子どもたちに対する義務というものがある」
Ashley事件の時にも扇情的な記事の書き方をする新聞だなとは思ったけど、
今回のタイトルも「試験管時限爆弾?
命の贈り物をもたらすが、IVFの子どもには先天異常の確率が3割高いと科学者ら指摘」。
今回のタイトルも「試験管時限爆弾?
命の贈り物をもたらすが、IVFの子どもには先天異常の確率が3割高いと科学者ら指摘」。
The test-tube timebomb? It brings the gift of life – but now scientists warn IVF babies may be a third more likely to have birth defects
The Daily Mail, April 30, 2009
The Daily Mail, April 30, 2009
Taranissi医師が
Yvonneさんの子どもの生殖器異常も
Storey夫妻の子どもが栄養を腸ろうから摂るしかないことも
「取るに足りない小さな異常」に過ぎないというのであれば、
それはなんという医療の傲慢なのだろう。
Yvonneさんの子どもの生殖器異常も
Storey夫妻の子どもが栄養を腸ろうから摂るしかないことも
「取るに足りない小さな異常」に過ぎないというのであれば、
それはなんという医療の傲慢なのだろう。
そして、この記事には書かれていないけれど忘れてはならない事実として、
つまり、
この記事で生殖補助医療の専門医らが
「小さな異常に過ぎない」として歯牙にもかけていないのは、
この国では実は「生まれても殺してかまわない異常」なのだ。
この記事で生殖補助医療の専門医らが
「小さな異常に過ぎない」として歯牙にもかけていないのは、
この国では実は「生まれても殺してかまわない異常」なのだ。
なぜか記事には「障害があっても生まれてくれて嬉しい」という夫婦しか登場しないけれど、
こうした英国中絶法の現実を念頭に、記事に書かれているIVFの専門家の発言を読むと、
おなかの底の辺りが冷え冷えとしてこないだろうか。
こうした英国中絶法の現実を念頭に、記事に書かれているIVFの専門家の発言を読むと、
おなかの底の辺りが冷え冷えとしてこないだろうか。
私はこのブログを始めた当初から
科学とテクノロジーによる簡単解決万歳文化には
「そんなに障害児・者を嫌悪しながら、その一方で自分たちは、
どうしてわざわざ障害児が生まれる確率を上げるようなことばかりするのか」と
そこのところの矛盾にずっと疑問を感じているのだけれど、
科学とテクノロジーによる簡単解決万歳文化には
「そんなに障害児・者を嫌悪しながら、その一方で自分たちは、
どうしてわざわざ障害児が生まれる確率を上げるようなことばかりするのか」と
そこのところの矛盾にずっと疑問を感じているのだけれど、
ここでも行き着くのは、やっぱり、その疑問。
【英国のヒト受精・胚法改正議論関連エントリー】
遺伝子診断で障害も重病も弾くつもり? (英国)
英国ヒト受精・胚法関連ニュース
英国ヒト受精・胚法関連ニュース 2
ヒト受精・胚法に関する英国医師会見解
英国議会ハイブリッド胚と救済者兄弟を認める
投票を前に「聾の子どもを産む権利」「女性の選択権」CNNに
中絶リミット下げず。IVF「父親が必要」は削除(英国)
「中絶決断に情報提供不要」ヒト受精・胚法議論
遺伝子診断で障害も重病も弾くつもり? (英国)
英国ヒト受精・胚法関連ニュース
英国ヒト受精・胚法関連ニュース 2
ヒト受精・胚法に関する英国医師会見解
英国議会ハイブリッド胚と救済者兄弟を認める
投票を前に「聾の子どもを産む権利」「女性の選択権」CNNに
中絶リミット下げず。IVF「父親が必要」は削除(英国)
「中絶決断に情報提供不要」ヒト受精・胚法議論
2009.05.06 / Top↑
13年前、高校生だった時に校庭で落雷に遭って重い障害を負った男性が
「生きていても何もできないのだから、いっそ死にたい。
死んで臓器移植のドナーになれば何かの役に立てる」と
考えるところまで一度は追い詰められたけれど、
「生きていても何もできないのだから、いっそ死にたい。
死んで臓器移植のドナーになれば何かの役に立てる」と
考えるところまで一度は追い詰められたけれど、
その後のリハビリや父親のガンとの闘病、死去と様々な体験を通じて
少しずつ前向きに生きようとするようになっていった姿が紹介されていた。
少しずつ前向きに生きようとするようになっていった姿が紹介されていた。
そして、今の彼は
「救ってもらった、この命も、いつかは終わる日が来る。
その時まで、悔いの残らないような生き方をしたい」と。
「救ってもらった、この命も、いつかは終わる日が来る。
その時まで、悔いの残らないような生き方をしたい」と。
この人もまた、選ばないことを選び、
生きられるだけ精一杯生きようとしているのだな、と思いつつ、この言葉を聴いた。
生きられるだけ精一杯生きようとしているのだな、と思いつつ、この言葉を聴いた。
私は彼の話を聞いた時からずっと、
「生きてみなければ分からないのに……」ということを考え続けている。
「生きてみなければ分からないのに……」ということを考え続けている。
23歳のラグビー青年にも、この日本人男性と同じように、様々な葛藤を経た後に
「いつか終わる命なら生きられるだけ悔いのないように生きよう」と言える境地に
到達する可能性だってあったのではなかったか……と、改めて思う。
「いつか終わる命なら生きられるだけ悔いのないように生きよう」と言える境地に
到達する可能性だってあったのではなかったか……と、改めて思う。
本当に彼が死にたいほどの絶望から這い出すことができないのかどうか、
彼自身がもっと先まで生きてみなければ分からないことだったのに、
両親は彼がそれまで生きてみるだけの時間を支える代わりに
「その絶望も分かる」とスイスに連れて行って死なせてしまった。
彼自身がもっと先まで生きてみなければ分からないことだったのに、
両親は彼がそれまで生きてみるだけの時間を支える代わりに
「その絶望も分かる」とスイスに連れて行って死なせてしまった。
英国社会も、両親の行動に理解を示して罪には問わないこととした。
そんなふうに
「障害を負うのは、死すら認めてあげなければならないほどに
耐え難く不幸で苦しいこと」という認識を社会が共有してしまったら、
「障害を負うのは、死すら認めてあげなければならないほどに
耐え難く不幸で苦しいこと」という認識を社会が共有してしまったら、
そこには「生きてみなければ分からない」という希望も可能性もなくなって
重い障害を負うことは「生きてみなくても、絶対に不幸」に決定付けられてしまう。
重い障害を負うことは「生きてみなくても、絶対に不幸」に決定付けられてしまう。
そんな社会で事故や病気で中途障害を負う人は誰も
当初の絶望から立ち直ったり、前向きさを取り戻したりすることもなくなるだろう。
「障害は負ったけど、生きてみたら、不幸なばかりでもなく、
それなりに楽しみや喜びもあった」と見つけていく人もいなくなるだろう。
当初の絶望から立ち直ったり、前向きさを取り戻したりすることもなくなるだろう。
「障害は負ったけど、生きてみたら、不幸なばかりでもなく、
それなりに楽しみや喜びもあった」と見つけていく人もいなくなるだろう。
そうでなくても
日本の高校生が突然重い障害を負った自分に絶望した時に、
「生きていても障害を負ったら何もできない」
「障害を負っても何かできるとしたら、
臓器移植のドナーになることだけ」という発想をしたと聞いた瞬間に、
私の背中には冷たいものが走った。
日本の高校生が突然重い障害を負った自分に絶望した時に、
「生きていても障害を負ったら何もできない」
「障害を負っても何かできるとしたら、
臓器移植のドナーになることだけ」という発想をしたと聞いた瞬間に、
私の背中には冷たいものが走った。
日本の普通の高校生が実際にこういう発想をしたのだという事実は、
よくよく考えてみなければならない。
よくよく考えてみなければならない。
その事実には、とてつもなく恐ろしいものが匂っている。
まさか、こういう絶望の中にいる人に対して、
「そうだよ。君の言うとおりだ。
もう何もできず社会に迷惑をかけるだけの存在になってしまった君にも
死んで臓器のドナーとして誰かの命を救い、社会の役に立つことができる」と
私たちの社会は既に、ささやき始めているのではないのか。
「そうだよ。君の言うとおりだ。
もう何もできず社会に迷惑をかけるだけの存在になってしまった君にも
死んで臓器のドナーとして誰かの命を救い、社会の役に立つことができる」と
私たちの社会は既に、ささやき始めているのではないのか。
しかしその一方で、一時はこういう発想をした人が、
今は「命が終わる日まで、悔いのないように生きよう」としているのも事実だ。
今は「命が終わる日まで、悔いのないように生きよう」としているのも事実だ。
その2つのことを、しっかり考えなければならない、と思う。
2009.05.06 / Top↑
オーストラリア政府が医療の現場で医師の仕事の一部を看護師に担わせることによって医師不足の問題に対応しようとしていることに、政府は重病者や高齢者など弱者を尊重していないからそういう発想になる、と医師会が反発。(日本でも助産師の活用に医師会が反発しているんだったっけか?)
http://www.medicalnewstoday.com:80/articles/148517.php
http://www.medicalnewstoday.com:80/articles/148517.php
今後20年間にガンを診断される人は急増すると見込まれており、特に高齢者、マイノリティで影響が大きいだろう、と予想する研究。
http://www.medicalnewstoday.com:80/articles/148456.php
http://www.medicalnewstoday.com:80/articles/148456.php
いったい医師は高齢患者をちゃんと高齢者医療の専門医に紹介しているのか? (ずいぶん前からずっと指摘されている問題。成人知的障害者の医療ケアの問題とまったく同じで、指摘はされても誰も対応しようとしない?)
http://www.medicalnewstoday.com:80/articles/147686.php
http://www.medicalnewstoday.com:80/articles/147686.php
2009.05.02 / Top↑
NY Times のブログに、とてもいい記事がありました。
80代の母親が持病の心臓病で主治医から手術を勧められた。
手術死の可能性4%。
それを聞いた母親は即座に「そんな手術は受けません。4%なんてイヤだもの」
それを聞いた母親は即座に「そんな手術は受けません。4%なんてイヤだもの」
ところが手術をしなかった場合には、
少しずつ病状が悪化して2年くらいの間に死ぬ確率が50%。
少しずつ病状が悪化して2年くらいの間に死ぬ確率が50%。
そういうことになると、心は乱れて、なかなか決断などできない。
主治医の義母は同じ病状で手術を受けないことに決めたが、
もうちょっと年齢が上だったので、状況が別……と、これまた悩ましい話。
もうちょっと年齢が上だったので、状況が別……と、これまた悩ましい話。
その手術の選択に、母親自身はもちろん、
家族それぞれが様々に心揺れる様子が描かれて、
最後に母親が「自分が何か決めたことによって死ぬのがイヤなの。
何か自分がしたことが原因で死ぬというのはね」と、手術を受けないことに決める。
家族それぞれが様々に心揺れる様子が描かれて、
最後に母親が「自分が何か決めたことによって死ぬのがイヤなの。
何か自分がしたことが原因で死ぬというのはね」と、手術を受けないことに決める。
私はこのままで、生きられるだけ生きるわ、と。
そして家族がみんなそれを受け入れる、という話。
この記事で何よりも心引かれたのは、実はタイトルだった。
選ばないことを選ぶ──
選ばないことを選ぶ──
私は、生きられるだけ生きるわ──
私は、生きられるだけ生きるわ──
どちらも、いい言葉だな、と思う。
2009.05.02 / Top↑
オーストラリア、Queensland州の病院経営のナーシング・ホームで
寝たきりの退役軍人の男性が
耳、顔、首、頭をねずみに食われ、
血だらけの状態で見つかった。
耳、顔、首、頭をねずみに食われ、
血だらけの状態で見つかった。
襲い掛かるねずみを振り払おうとして、
手も血だらけだった。
手も血だらけだった。
特に耳の上の部分は相当かじられていた、とか。
連邦政府の高齢大臣 Justin Elliot氏は
独立機関 Aged Care Standards and Accreditation Agencyによる調査を行い、
その結果によっては施設の閉鎖も辞さない、と。
独立機関 Aged Care Standards and Accreditation Agencyによる調査を行い、
その結果によっては施設の閉鎖も辞さない、と。
クイーンズランド州では病院や施設でのねずみの被害が問題になっていたが
州保健当局の対応が後手に回った形。
州保健当局の対応が後手に回った形。
いや、後手に回った……って、いくらなんでも、これは……。
2009.05.02 / Top↑
この2年間、ほとんど単独で著名医師と巨大製薬会社との癒着を暴いてきたGrassley上院議員が財務委員会から別委員会に移るのではないかとの噂が流れて、製薬会社のロビイストたちが喜んでいるとか。ついでにFDAの官僚までがハイタッチで喜んでいるというのは、いったいどういうことか。
http://blogs.wsj.com/health/2009/04/30/a-break-for-pharma-grassley-may-leave-finance-panel/
http://blogs.wsj.com/health/2009/04/30/a-break-for-pharma-grassley-may-leave-finance-panel/
去年、判事が自殺幇助は合法との判断を示したMontana州では、どうやら州が上訴(?)しているようなのだけど、「法廷の友」(というご意見番みたいな存在というか制度らしい)から、見直せという声や、支持する意見やらが相次いでいるらしい。
http://www.greatfallstribune.com/article/20090430/DC5/904300337
http://www.greatfallstribune.com/article/20090430/DC5/904300337
豚インフル米国の生物兵器説(米国ニュースを日本語でまとめたサイト)。食肉用に鳥や豚に遺伝子操作をするから変異を起こしやすくなっているんじゃないのか、じゃぁ、次は牛……? などと個人的には勝手に思っていたのだけど、ネットを覗くと案外に「人為的に作り出された化学兵器を誰かがばら撒いた」説が多いみたい。
http://ayarin.iza.ne.jp/blog/entry/1015148/
http://ayarin.iza.ne.jp/blog/entry/1015148/
シカゴの科学工業博物館が「ホグウォーツ魔法学校展」を開催中。
http://www.usatoday.com/life/movies/news/2009-04-28-potter-exhibition_N.htm?csp=DailyBriefing
http://www.usatoday.com/life/movies/news/2009-04-28-potter-exhibition_N.htm?csp=DailyBriefing
オーストラリア訪問中の米国の神父Father Wade Menezesが、豚インフルも最近起こった地震も米国の中絶法に対する神の怒りだ、と。オーストラリアでもビクトリア州のCatch the Fire Ministries という宗派の大将が似たようなことを言っているらしい。
http://www.canberratimes.com.au/news/local/news/general/visiting-priest-blames-flu-earthquake-on-abortion-law/1500223.aspx
http://www.canberratimes.com.au/news/local/news/general/visiting-priest-blames-flu-earthquake-on-abortion-law/1500223.aspx
アフリカの人の遺伝子が世界で一番変化に富んでいることが分かったんだそうな。で、それがどういうことなのかタイトルだけでは、ちっともぴんとこなかったのだけど、それだけ長く進化の歴史があるということになると言われたら、あー、そりゃ、なるほど~、と。で、人類発祥の地がアフリカなのではないか、という話?
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/04/30/AR2009043002475.html
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/04/30/AR2009043002475.html
世界銀行の医療プログラムは実効を挙げていないと、世銀内部の監査機関が報告書。特にアフリカでのエイズ対策など。(IHMEがどこかで繋がっていそうな話だ……)
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/04/30/AR2009043003349.html
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/04/30/AR2009043003349.html
バッキンガム宮殿の芝生で、しかもその辺のホテルやレストランから丸見えの場所で、30代のカップルが裸になってエッチを始めたんだそうな。観光客が注意しても知らん振り。ついに駆けつけた警官に引っぺがされたとのこと。記事を読んでいたら、見物していた人が「日本人の観光客は撮ったビデオを比べっこしてたよ」。どへ。
http://www.guardian.co.uk/uk/2009/apr/30/sex-windsor-castle-lawn-queen
http://www.guardian.co.uk/uk/2009/apr/30/sex-windsor-castle-lawn-queen
Annie Farlowの家族を継続的に支援しているRob Wilson氏が「障害者差別反対ブログを書く日」のWhat Sortsブログ記事で、Annie Farlowに捧げる詩の形態をとって、彼女を殺した病院や隠蔽に加担する関係者を非難している。言葉少なく、胸を打つ。GWがあけて諸事が落ち着いたら、この事件、きちんと調べてまとめよう……と、心に決める。
http://whatsortsofpeople.wordpress.com/2009/05/01/theres-a-word-for-that-kind-of-thing/
http://whatsortsofpeople.wordpress.com/2009/05/01/theres-a-word-for-that-kind-of-thing/
2009.05.01 / Top↑
世界中でこの趣旨に賛同したブロガーたち(今のところ170人が参加)が
障害者差別に抗う内容のブログを書き、
障害者差別に抗う内容のブログを書き、
以下の“金魚さん”のサイトに
カテゴリーを自己申告してリンクを張ってもらう、という趣向。
カテゴリーを自己申告してリンクを張ってもらう、という趣向。
参加していなくても、参加ブロガーのエントリーはこちらから読めます。
現在日本時間1日の正午前。
まだリンクされている投稿は5本ですが、
まだリンクされている投稿は5本ですが、
“金魚さん”ちでは、
この日を前にパートナーと介護者が病気に倒れ、てんやわんやがあって
“金魚さん”自身も体調を崩しているとかで、
「私も今日を何とかやりとげようと思っているのだけど、
睡眠時間も必要だし 時差もあるんだから、気持ちに余裕を持って参加してね」とのこと。
この日を前にパートナーと介護者が病気に倒れ、てんやわんやがあって
“金魚さん”自身も体調を崩しているとかで、
「私も今日を何とかやりとげようと思っているのだけど、
睡眠時間も必要だし 時差もあるんだから、気持ちに余裕を持って参加してね」とのこと。
そんな”金魚さん”のエネルギーとがんばりに感謝を。
私もここ数日、本当に苦しんでいたのですが、
なんとかギリギリで間に合ったので
夕方には投稿しようかな、と。
なんとかギリギリで間に合ったので
夕方には投稿しようかな、と。
しっかし……英語で書こうとすると
日本語で書く半分も言いたいことが言いたいように書けなくて、
日本語で書く半分も言いたいことが言いたいように書けなくて、
情けなく、かつ、もどかしい……。くううっ。
【追記】
英語はもちろん論理展開も、てんでなってないと自分でも思うけど、
英語はもちろん論理展開も、てんでなってないと自分でも思うけど、
この際「どのように」よりも「なにを」よりも
「Ashley事件について、ここで何かを」言うことが大事なのだと
「Ashley事件について、ここで何かを」言うことが大事なのだと
自分なりに吹っ切って、出してみたのが、これ。
2009.05.01 / Top↑
自殺幇助合法化法案が議会に提出された Vermont 州 Montpelierで
金曜日にプロ・ライフ派の「医療は権利」集会が計画されています。
金曜日にプロ・ライフ派の「医療は権利」集会が計画されています。
妊娠中絶と自殺幇助を医療制度に含めることへの抗議。
Vermont Right to Life の幹部は
「医療費削減へのプレッシャーと同時に自殺幇助合法化が言われていることは決して偶然ではない。
「医療費削減へのプレッシャーと同時に自殺幇助合法化が言われていることは決して偶然ではない。
Oregonでは無保険で医療が必要な患者が治療を拒否されて、
その代わりに自殺幇助を受けろと勧められることだってありうる」と。
その代わりに自殺幇助を受けろと勧められることだってありうる」と。
それにしても、この自殺幇助合法化法案、矢継ぎ早にあちこちで出ています。
2009.05.01 / Top↑