今度はUAE在住のターミナルな病状の人数人からの相談を受けて
EXIT International が苦しまずに死ねる方法を伝授した、と。
EXIT International が苦しまずに死ねる方法を伝授した、と。
EXIT Internationalは Dr. Nitschkeが創設した自殺幇助の国際組織。
ただ、記事を読むと、ここでもまた、
「ターミナルな人に」という点で疑問が生じてくる部分があって、
「ターミナルな人に」という点で疑問が生じてくる部分があって、
Dr. Nは
「彼らの多くはターミナルな病状か、あるいは
歳を取った時に自分がどうなるかということを心配している人たちだった。
「彼らの多くはターミナルな病状か、あるいは
歳を取った時に自分がどうなるかということを心配している人たちだった。
どういう薬が入手可能で、どういう方法だと穏やかに命を終えられるかを伝授した。
UAEからも興味のある人が出てくればワークショップの開催も考える」と。
UAEからも興味のある人が出てくればワークショップの開催も考える」と。
(ゴシックは spitibara)
EXIT Internationalが濫用防止として設けている条件は
その人が50歳以上であるか、もしくはターミナルな病状であること。
その人が50歳以上であるか、もしくはターミナルな病状であること。
(「50歳以上であり、なおかつ、ターミナル」ではなく。)
イスラム教では自殺は他人を殺すのと同じ殺人とみなされるため
自殺クリニックはUAEでは違法。
自殺クリニックはUAEでは違法。
しかし、このインターネット時代、
EXIT International や Dignitasのサイトへのアクセスは簡単だ。
EXIT International や Dignitasのサイトへのアクセスは簡単だ。
一方、Nitschke医師はUAEでのワークショップも視野に入れつつ、
今のところ慎重な構え。
今のところ慎重な構え。
先月シンガポールの警察がワークショップを認めず、入国が拒否され、
英国に入国する際も当局と揉めたばかりであることから、
英国に入国する際も当局と揉めたばかりであることから、
UAEにまず入国できるかどうかという点と、
西側諸国のように言論の自由が保障されていないことを懸念しているらしい。
西側諸国のように言論の自由が保障されていないことを懸念しているらしい。
去年1年間にDr. Nのワークショップに参加した人は世界中で4000人。
2009.06.09 / Top↑
この法案、名前を The Family Health Care Decisions Act という。
最初にNY州議会で提案されたのは1992年なのだそうな。
それが17年たっても、まだ成立していないために、NY州では、
患者本人が代理決定の委任書やリビング・ウィル、その他の指示書を書いていない限り
意思決定能力を失った人の治療に家族が同意する権利も拒む権利も認められていない。
カルテをチェックする権利すら認められていない。
それが17年たっても、まだ成立していないために、NY州では、
患者本人が代理決定の委任書やリビング・ウィル、その他の指示書を書いていない限り
意思決定能力を失った人の治療に家族が同意する権利も拒む権利も認められていない。
カルテをチェックする権利すら認められていない。
米国人の8割は代理決定の委任もリビング・ウィルも書いていないというのに、
これは実に許しがたく、かつ人道に反することだ、とNY Timesの社説。
これは実に許しがたく、かつ人道に反することだ、とNY Timesの社説。
17年間、成立しなかったいきさつには、
同姓婚のパートナーの代理権をどうするかとか
妊娠中の女性がこん睡状態になったらどうかとか、
いろいろ政治的な対立があったようなのだけれど、
同姓婚のパートナーの代理権をどうするかとか
妊娠中の女性がこん睡状態になったらどうかとか、
いろいろ政治的な対立があったようなのだけれど、
今回の審議はそろそろ大詰めらしく、成立すれば、
NY州もめでたく米国の大半の州と同じく
意思決定の能力がないと認定された患者の家族や身近な人に
代理決定する権限が認められることとなる。
NY州もめでたく米国の大半の州と同じく
意思決定の能力がないと認定された患者の家族や身近な人に
代理決定する権限が認められることとなる。
家族その他の代理が延命治療を拒むことができるのは、唯一、
ターミナルな病状または永続的に意識のない患者にその治療が「過度な負担」を強いるか、
もしくは、その治療が非人道的なほどの痛みや苦しみを患者に与える場合のみ。
ターミナルな病状または永続的に意識のない患者にその治療が「過度な負担」を強いるか、
もしくは、その治療が非人道的なほどの痛みや苦しみを患者に与える場合のみ。
たぶん、Ashley事件とか「無益な治療」論・法とか
Navarro 事件とか、Golubchuk事件とか、Kaylee事件とか、
そういうものを何も知らずに、この記事だけを読めば、
そりゃ、そうだよね……と思ったんだろうな……と、思う。
Navarro 事件とか、Golubchuk事件とか、Kaylee事件とか、
そういうものを何も知らずに、この記事だけを読めば、
そりゃ、そうだよね……と思ったんだろうな……と、思う。
事故で脊髄を損傷し「身障者という身分の低い存在として生きるなんて耐えられない」と
スイスへ行った23歳の元ラグビー選手の自殺まで支持・擁護されてしまうような、
「ターミナル」も「耐えがたい苦痛」も、もはや、どうでもよくて、
なんでもありグズグズの、急坂を転げ落ちるような自殺幇助合法化議論も知らずに、
スイスへ行った23歳の元ラグビー選手の自殺まで支持・擁護されてしまうような、
「ターミナル」も「耐えがたい苦痛」も、もはや、どうでもよくて、
なんでもありグズグズの、急坂を転げ落ちるような自殺幇助合法化議論も知らずに、
だから
「患者の最善の利益」という言葉が
どんな使い方でもされ得ることの危うさ・怖さを知らずに、
「患者の最善の利益」という言葉が
どんな使い方でもされ得ることの危うさ・怖さを知らずに、
この記事だけを読めば――。
2009.06.09 / Top↑
これ、ゼッタイ明日まとめようと思う。NY州議会で意思決定能力をなくした人に代わって医療上の決定を行う権限を家族や身近な人に与えようとの法案が92年から、ずっと通らないままできているのをNYTが unacceptable and inhumane だと批判している。どうも、いやな流ればかり、あっちでもこっちでも。これ、いずれ1つになるのかと思うと、背筋が冷える。この社説のタイトルは「患者の最善の利益」。最善の利益ほど胡散臭いものはないよ、もう。
http://www.nytimes.com/2009/06/08/opinion/08mon3.html?_r=1&th&emc=th
http://www.nytimes.com/2009/06/08/opinion/08mon3.html?_r=1&th&emc=th
カレーを毎週食べたら認知症予防になるという話、バカにしてはいけないらしい。インドでは認知症が少ないんだと。アルツハイマー病協会も研究しているとか。へぇぇ。でもインドの人たちのDNAというか体の代謝とかは、きっと欧米人とも日本人とも違うと思うので、そのまま当てはめては他のところに支障が出てくるのでは、と思ったりもする。……ふと思うのだけど、インドは人口に貧困層が占める割合が高そうなので、認知症になるほど長生きしない人が多い……って解釈はない?
http://www.medicalnewstoday.com:80/articles/152775.php
http://www.medicalnewstoday.com:80/articles/152775.php
EU選挙で中道右派が躍進。極右も。って、さっぱり分からないけど、ちょっとヤな感じ。ヨーロッパ人権裁判所って結構思い切った判断をするなと思ったことが何度かあるのだけど、そういうところにも影響あるのかしら。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/8088309.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/europe/8088309.stm
KS州で中絶医を殺害した犯人が、中絶が合法である限り同様の攻撃が計画される、と。
http://link.email.washingtonpost.com:80/r/HXJVEI/42NTP/BMA3RJ/PPZCIG/T1A6F/KI/h
http://link.email.washingtonpost.com:80/r/HXJVEI/42NTP/BMA3RJ/PPZCIG/T1A6F/KI/h
2009.06.08 / Top↑
資料整理というのは、なんだか気重な仕事で、なかなか手がつかないのだけど、
いったん始めてみると、案外な“めっけもの”があるから、
まぁ気分としては報われる。
いったん始めてみると、案外な“めっけもの”があるから、
まぁ気分としては報われる。
Norman Fostに関する資料を整理していたら、ひょいと出てきたもの。
Current Controversies in Pediatric Research Ethics: Day Two Notes
The Seattle Children’s Hospital, July 23, 2005
The Seattle Children’s Hospital, July 23, 2005
シアトル子ども病院が
今のような大仰な生命倫理カンファをぶち上げる前年の2005年に、
もう少し地味にやったカンファで
Norman Fostが意外なプレゼンを行っている。
今のような大仰な生命倫理カンファをぶち上げる前年の2005年に、
もう少し地味にやったカンファで
Norman Fostが意外なプレゼンを行っている。
タイトルは、The SSRI Story: A Cautionary Tale。
前年の2004年9月にFDAが
子どもへのSSRIの処方への警告を検討し始めたことについて、
SSRIの副作用で自殺したとされる子どもの親たちのヒアリングがあったことや、
(希望者は100人以上だったと)
どのような議論が行われたか、などについて語り、
「深刻な問題だ」と締めくくっています。
子どもへのSSRIの処方への警告を検討し始めたことについて、
SSRIの副作用で自殺したとされる子どもの親たちのヒアリングがあったことや、
(希望者は100人以上だったと)
どのような議論が行われたか、などについて語り、
「深刻な問題だ」と締めくくっています。
この中で特にFostが取り上げているのは
・治験が製薬会社によってデザインされている
・論文掲載の可否判断も製薬会社
・記事を実際に書いているのは研究者ではなく製薬会社
・適用外処方が主たる利益を生むこととなる
・収益は主にマーケティングに使われている
・論文掲載の可否判断も製薬会社
・記事を実際に書いているのは研究者ではなく製薬会社
・適用外処方が主たる利益を生むこととなる
・収益は主にマーケティングに使われている
高額な顧問料、製薬会社による論文のゴーストライティング、
適用外処方の奨励、直接消費者に働きかけるコマーシャル手法への投資など、
適用外処方の奨励、直接消費者に働きかけるコマーシャル手法への投資など、
去年からGrasley上院議員の調査で指摘されて大スキャンダルを起こした諸々が
ここで既に指摘されているのだから驚きです。
ここで既に指摘されているのだから驚きです。
FostはFDAの研究関連の倫理委員会のメンバーなので、
(直接、2004年のSSRIの検討に参加していたかどうかは上記からは不明)
FDAのスタンスに沿ってしゃべっている、ということになるのだとしたら、
(直接、2004年のSSRIの検討に参加していたかどうかは上記からは不明)
FDAのスタンスに沿ってしゃべっている、ということになるのだとしたら、
去年から指摘されて大問題になっている製薬会社と研究者の癒着の実態について
FDAは2005年段階で十分に認識していたし、知っていながら、
去年、政治家が調査を行って証拠を突きつけるまで、
何もせず手をこまねいていた……ということにもなるのかも。
FDAは2005年段階で十分に認識していたし、知っていながら、
去年、政治家が調査を行って証拠を突きつけるまで、
何もせず手をこまねいていた……ということにもなるのかも。
――――――――――
これ、当初、資料として拾った時には、さほどの情報とも思わないまま
とりあえずFost関連としてファイルだけしておいたのは
まだ私はSSRIが何かすら知らなかったし、
Grasley議員の調査も、
Biederman医師のスキャンダルも、
まだなかったからで、
とりあえずFost関連としてファイルだけしておいたのは
まだ私はSSRIが何かすら知らなかったし、
Grasley議員の調査も、
Biederman医師のスキャンダルも、
まだなかったからで、
そういう経緯や知識を経て、初めてこの情報の持つ本来の意味が分かる。
同じ資料を同じ人間が見ても、
その時点での知識や関心によって
意味が違ってくるというのも面白いものだと思う。
その時点での知識や関心によって
意味が違ってくるというのも面白いものだと思う。
だから……なのかなぁ。
Ashley事件にはウラがあるという前提(これも、ある種の知識だとすれば)を持って読むと、
同じ情報を読んでも、いちいち、まるで違うものが見えてきて、
Diekema医師らの説明のように矛盾することなく、
きれいに全てが説明されるのだけどなぁ。
同じ情報を読んでも、いちいち、まるで違うものが見えてきて、
Diekema医師らの説明のように矛盾することなく、
きれいに全てが説明されるのだけどなぁ。
ただ、みんな、その前提の知識を欠いたまま読んだり聞いたりしているから、
うまいことノセられて、誘導されてしまうんじゃないのかなぁ……。
うまいことノセられて、誘導されてしまうんじゃないのかなぁ……。
今回の論文も、きっと、そうなんだろうな。
くっ……。
2009.06.08 / Top↑
そこで、取り急ぎ、Norman Fost に関する情報をまとめてみたのですが、
英語ブログの方でのアップを急いだため、こちらも英語になってしまいました。
いずれ日本語に直しますが、当面このままで、すみません。
英語ブログの方でのアップを急いだため、こちらも英語になってしまいました。
いずれ日本語に直しますが、当面このままで、すみません。
Who is Norman Fost?
http://sportsanddrugs.procon.org/viewsource.asp?ID=7367
(Sports and Drugs, ProCon org. with his background details)
http://bioethics.seattlechildrens.org/events/pediatric_bioethics_conference/norman_fost_md_mph.asp
(Seattle Children’s site, speaker’s profile for 2009 Pediatrics Bioethics Conference)
(Sports and Drugs, ProCon org. with his background details)
http://bioethics.seattlechildrens.org/events/pediatric_bioethics_conference/norman_fost_md_mph.asp
(Seattle Children’s site, speaker’s profile for 2009 Pediatrics Bioethics Conference)
Norman Fost in the Ashley case controversy
http://transcripts.cnn.com/TRANSCRIPTS/0701/12/lkl.01.html
(Larry King Live, January 12, 2007)
http://www.scientificamerican.com/article.cfm?id=the-pillow-angel-case--th
(ScientificAmerican.com, January 5, 2007)
(Larry King Live, January 12, 2007)
http://www.scientificamerican.com/article.cfm?id=the-pillow-angel-case--th
(ScientificAmerican.com, January 5, 2007)
Norman Fost at Pediatric Bioethics Conference of the Seattle Children’s
http://www.seattlechildrens.org/home/about_childrens/press_releases/2005/07/000184.asp
(2005 Pediatric Bioethics Conference, Research and Innovative Therapy, Day One: Failure To Do Research Is Unethical, Panel, Minimal Risk Research)
http://www.seattlechildrens.org/home/about_childrens/press_releases/2005/07/000185.asp
(2005 PBC, Day Two: The SSRI Story: A Cautionary Tale, and Panel)
http://bioethics.seattlechildrens.org/events/pediatric_bioethics_conference/2007_pediatric_bioethics_conference.asp#presentations
(2006 PBC, Parental Request for “Futile” Treatment, Panel on Day One; Christian Science and the Medical Care of Children, Panel on Day Two)
http://bioethics.seattlechildrens.org/events/seminars.asp
(seminar at Seattle Children’s “Performance enhancing drugs in sports”, Oct 2, 2008)
http://www.researchchannel.org/prog/displayevent.aspx?rID=27359&fID=567
(Predicting Our Future: Genetic Testing in Children and Their Families, Part 1, of 2, 2009 Pediatrics Bioethics Conference)
(2005 Pediatric Bioethics Conference, Research and Innovative Therapy, Day One: Failure To Do Research Is Unethical, Panel, Minimal Risk Research)
http://www.seattlechildrens.org/home/about_childrens/press_releases/2005/07/000185.asp
(2005 PBC, Day Two: The SSRI Story: A Cautionary Tale, and Panel)
http://bioethics.seattlechildrens.org/events/pediatric_bioethics_conference/2007_pediatric_bioethics_conference.asp#presentations
(2006 PBC, Parental Request for “Futile” Treatment, Panel on Day One; Christian Science and the Medical Care of Children, Panel on Day Two)
http://bioethics.seattlechildrens.org/events/seminars.asp
(seminar at Seattle Children’s “Performance enhancing drugs in sports”, Oct 2, 2008)
http://www.researchchannel.org/prog/displayevent.aspx?rID=27359&fID=567
(Predicting Our Future: Genetic Testing in Children and Their Families, Part 1, of 2, 2009 Pediatrics Bioethics Conference)
Norman Fost,‘the weirdo in Wisconsin,’the most fervent steroid-use-in-sports proponent in US
http://spectator.org/archives/2008/01/18/intellectual-juicing
(Steroid Debate in NY, Fost and Savulescu joined in a team)
http://www.chicagotribune.com/features/lifestyle/chi-0115steroids_fostjan15,0,2159614.story
(all about Norman Fost as a steroid proponent)
http://bioethics.seattlechildrens.org/events/seminars.asp
(seminar at Seattle Chidren’s “Performance enhancing drugs in sports”)
http://www.realclearsports.com/articles/2009/02/rethinking_steroids.html
http://abcnews.go.com/2020/Stossel/story?id=7517412&page=1
(Steroid Debate in NY, Fost and Savulescu joined in a team)
http://www.chicagotribune.com/features/lifestyle/chi-0115steroids_fostjan15,0,2159614.story
(all about Norman Fost as a steroid proponent)
http://bioethics.seattlechildrens.org/events/seminars.asp
(seminar at Seattle Chidren’s “Performance enhancing drugs in sports”)
http://www.realclearsports.com/articles/2009/02/rethinking_steroids.html
http://abcnews.go.com/2020/Stossel/story?id=7517412&page=1
Fost on Reconsidering the Dead Donor Rule
http://findarticles.com/p/articles/mi_m6875/is_3_20/ai_n27856351/
http://www.amazon.com/Organs-anencephalic-infants-Hastings-Center/dp/B0008JHUNS/ref=sr_1_4?ie=UTF8&s=books&qid=1211011557&sr=8-4
http://www.amazon.com/Organs-anencephalic-infants-Hastings-Center/dp/B0008JHUNS/ref=sr_1_4?ie=UTF8&s=books&qid=1211011557&sr=8-4
Fost on research ethics
http://www.nytimes.com/2007/11/22/science/22cnd-stem.html?ex=1353387600&en=a4f7cb65169a48dc&ei=5088&partner=rssnyt&emc=rss
(He is the one who gave Dr. Thompson a final push to creation of human embryonic stem cells.)
http://www.jsonline.com/features/29418489.html
http://www.amazon.com/Pondering-Genetic-Engineering-Pediatric-News/dp/B0009FFMDQ/ref=sr_1_2?ie=UTF8&s=books&qid=1211011557&sr=8-2
(He is the one who gave Dr. Thompson a final push to creation of human embryonic stem cells.)
http://www.jsonline.com/features/29418489.html
http://www.amazon.com/Pondering-Genetic-Engineering-Pediatric-News/dp/B0009FFMDQ/ref=sr_1_2?ie=UTF8&s=books&qid=1211011557&sr=8-2
http://www.jsonline.com/news/waukesha/29332219.html
(human subject research in pediatrics, Fost says monetary compensation will do)
(human subject research in pediatrics, Fost says monetary compensation will do)
http://www.sciencedaily.com/releases/2007/11/071113165648.htm
http://tvnz.co.nz/view/page/536641/1446534
(he hates the privacy law as a hindrance to slow scientific researches)
http://tvnz.co.nz/view/page/536641/1446534
(he hates the privacy law as a hindrance to slow scientific researches)
Fost on savior siblings
http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,973182,00.html
http://www.nytimes.com/1991/06/04/health/more-babies-being-born-to-be-donors-of-tissue.html?sec=health
http://www.amazon.com/Brothers-Ethical-Frontiers-Biomedicine-reviews/dp/B000989H6G/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1211011409&sr=8-1
http://www.nytimes.com/1991/06/04/health/more-babies-being-born-to-be-donors-of-tissue.html?sec=health
http://www.amazon.com/Brothers-Ethical-Frontiers-Biomedicine-reviews/dp/B000989H6G/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1211011409&sr=8-1
Fost in FDA panel
2009.06.08 / Top↑
Ashley事件の新展開で急ぎNorman Fostの資料を整理していたら
2005年にLaw & Medicine誌に出たFostの論文のアブストラクトに出くわした。
2005年にLaw & Medicine誌に出たFostの論文のアブストラクトに出くわした。
Norman Fost, Reconsidering the Dead Donor Rule: Is it Important that Organ Donors be Dead?
By Norman Fost
Issues in Law & Medicine, Spring, 2005
By Norman Fost
Issues in Law & Medicine, Spring, 2005
現在の日本の脳死・臓器移植法改正議論に関連しているようにも思えるので、
というか、むしろ、日本の議論では案外、盲点になっているかも……と思われる
恐ろしいことをFostが明確に書いているので、その部分だけを、取り急ぎ、以下に。
恐ろしいことをFostが明確に書いているので、その部分だけを、取り急ぎ、以下に。
…..it has been clear that the concept and ascertainment of “brain death” is medically flawed.
「脳死」という概念とその確認(方法のことか?)は医学的には間違っていることが既に明らかになっている。
「脳死」という概念とその確認(方法のことか?)は医学的には間違っていることが既に明らかになっている。
ただし、Fostのこの論文の趣旨そのものは
臓器提供者は特に“死んでいる”必要はないのではないか、と問うもので
臓器提供者は特に“死んでいる”必要はないのではないか、と問うもので
前にもどこかでそれらしいことを言っていたので、たぶん、ここでも、
死亡提供者ルールを見直し、生きている人から摘出してもいいことにしようという提言、
死亡提供者ルールを見直し、生きている人から摘出してもいいことにしようという提言、
つまり、
どうせ人の死なんて、きっちり定義などできないし、
これまで使われてきた「脳死」概念だって医学的には嘘っぱちなんだから、
この際、本人が前もって同意してさえいれば生きている人からでも臓器提供してもらっていいことにして
死亡提供ルールを見直し、臓器不足を解消しましょうぜい……という話ではないかと思われます。
どうせ人の死なんて、きっちり定義などできないし、
これまで使われてきた「脳死」概念だって医学的には嘘っぱちなんだから、
この際、本人が前もって同意してさえいれば生きている人からでも臓器提供してもらっていいことにして
死亡提供ルールを見直し、臓器不足を解消しましょうぜい……という話ではないかと思われます。
(Fostがここで「生きている人」というのは無脳症児とか植物状態の人)
文末にリンクした関連エントリーには
「心臓死であれ脳死であれ、どうせ、いかようにも操作可能なのだから
そんなら、いっそのこと生きている人から採ったって……」みたいな話もありますが、
「心臓死であれ脳死であれ、どうせ、いかようにも操作可能なのだから
そんなら、いっそのこと生きている人から採ったって……」みたいな話もありますが、
仮に、そこまで突出した主張においてであれ、欧米では、既にFostが明言しているように
脳死概念そのものが誤りだったとして崩れているのだとしたら、
脳死概念そのものが誤りだったとして崩れているのだとしたら、
今の日本の法改正議論は一体どういうことになるのだろう……?
2009.06.08 / Top↑
Diekema, Fost 両医師その他の今回の論文について
英語ブログの方でアナウンスしたところ、
What Sorts of Peopleブログで カナダ,Alberta 大学のRob Wilson 氏が
早速取り上げて、広くみんなに警戒を呼びかけてくれている。
英語ブログの方でアナウンスしたところ、
What Sorts of Peopleブログで カナダ,Alberta 大学のRob Wilson 氏が
早速取り上げて、広くみんなに警戒を呼びかけてくれている。
WAKE-UP CALL: Growth-Attenuation Therapy: Principles for General Practice
By Spirit of our Time,
What Sorts of People, June 6, 2009
By Spirit of our Time,
What Sorts of People, June 6, 2009
特に小児科医の方々にこの論文を読むよう、呼びかけている。
小児科のドクターの間でAshley事件は本当のところ、どのように捉えられているのか、
私もものすごく知りたい。
私もものすごく知りたい。
ただ、この論文の意図が、
Ashley事件を既に幕引きの終わった第1例として扱うことによって、
現実に幕引きをさせてしまうことにあると私は考えているので、
Ashley事件を既に幕引きの終わった第1例として扱うことによって、
現実に幕引きをさせてしまうことにあると私は考えているので、
小児科医の皆さんが、まんまと、それに乗せられてしまうのではなく、
どこかの小児科医から、
第1例の検討過程の議論の危うさを
改めて指摘する声が出てこないものか……と期待してみる。
第1例の検討過程の議論の危うさを
改めて指摘する声が出てこないものか……と期待してみる。
その他、大筋としては
成長抑制療法の対象となる子どもたちの障害像の曖昧さを指摘。
成長抑制療法の対象となる子どもたちの障害像の曖昧さを指摘。
興味深いと思ったのは
誰かとAshleyケースを論じていた時に、相手から
「いいんじゃないの。どうせ知恵遅れなんでしょ?」という
反応が返ってきたことあるが、
「いいんじゃないの。どうせ知恵遅れなんでしょ?」という
反応が返ってきたことあるが、
担当医らの論理は実は、この反応と違わないのではないか、という指摘。
まったく違わない、と私も思う。
それから、もう1点、Wilson氏は
論文が乳房芽の切除と子宮摘出について扱っていないのは
その違法性が大きいことから慎重になっているのでは、と考えているようですが、
論文が乳房芽の切除と子宮摘出について扱っていないのは
その違法性が大きいことから慎重になっているのでは、と考えているようですが、
この点については、私は別の考えを持っています。
2006年の論文でも成長抑制だけについて書かれていたように、
成長抑制療法だけなら、なんとか言い繕うことができるけれども、
乳房芽の切除と子宮摘出について正面から議論されたら
言い逃れができないことを彼らは2004年の検討当初から知っています。
成長抑制療法だけなら、なんとか言い繕うことができるけれども、
乳房芽の切除と子宮摘出について正面から議論されたら
言い逃れができないことを彼らは2004年の検討当初から知っています。
だからこそ、こっそりやったことが世間にバレてしまった2007年初頭以来、
あたかも成長抑制だけが主たる医療介入であり、
その他は二次的なものだったと思わせておこうと
Diekema医師らは意を用いてきたのだから。
あたかも成長抑制だけが主たる医療介入であり、
その他は二次的なものだったと思わせておこうと
Diekema医師らは意を用いてきたのだから。
私がこのブログを立ち上げたのは
2007年のシンポをライブで聞いた晩に、
この人たちにとって何よりも有効なAshleyケースの正当化は
いっそ素早く一般化してしまうことなのだ……と直感し、
いても立ってもいられない危機感に駆られたからでした。
2007年のシンポをライブで聞いた晩に、
この人たちにとって何よりも有効なAshleyケースの正当化は
いっそ素早く一般化してしまうことなのだ……と直感し、
いても立ってもいられない危機感に駆られたからでした。
他にどうすることもできなかったので、
このブログを立ち上げました。
このブログを立ち上げました。
さらに去年1月のDiekema講演で
病院は真実を隠蔽するために、またAshleyの父親は当初の目的を段階的に達成するために
両者の利益が一致してしまった以上、両者がタグを組んで本気で一般化するつもりなのだ、と
焦燥感にジリジリしてしまいました。
病院は真実を隠蔽するために、またAshleyの父親は当初の目的を段階的に達成するために
両者の利益が一致してしまった以上、両者がタグを組んで本気で一般化するつもりなのだ、と
焦燥感にジリジリしてしまいました。
その挙句、自分にできることは、もう他にはないので、
力不足を承知で英語のブログを立ち上げる決断をするしかありませんでした。
(これは、すごく苦しい決断だったし今なお苦しんでいます。あ、グチって、すみません……)
力不足を承知で英語のブログを立ち上げる決断をするしかありませんでした。
(これは、すごく苦しい決断だったし今なお苦しんでいます。あ、グチって、すみません……)
その後の展開を振り返ると、
やはり私がずっと危惧してきた通りのシナリオが進んでいます。
やはり私がずっと危惧してきた通りのシナリオが進んでいます。
だからこそ、ここで成長抑制を一般化して議論する土俵に一緒に上がってはいけない、
Ashley事件から意識を引き離されてしまわないように気をつけなければ、
Ashley事件の理不尽と真実を今こそ本当は追及し続けなくてはならないのでは、と
私は強く、強く思うのだけど。
Ashley事件から意識を引き離されてしまわないように気をつけなければ、
Ashley事件の理不尽と真実を今こそ本当は追及し続けなくてはならないのでは、と
私は強く、強く思うのだけど。
2009.06.07 / Top↑
Pediatrics 誌のDiekema、Fost医師らの論文のアブストラクトのページで
論文がアクセプトされたのが去年10月だったという箇所を見て、
気になったので、1月のシンポのWebcast冒頭のWilfond医師の概要説明で
成長抑制WGの作業日程を確認してみました。
論文がアクセプトされたのが去年10月だったという箇所を見て、
気になったので、1月のシンポのWebcast冒頭のWilfond医師の概要説明で
成長抑制WGの作業日程を確認してみました。
2008年4月 ―― 2日間の会議
2008年 夏 ―― 草案作成
2008年10月 ―― 1日の会議
2008年12月 ―― 改定した草案をメンバーに配布、コメントを求めた
2008年 夏 ―― 草案作成
2008年10月 ―― 1日の会議
2008年12月 ―― 改定した草案をメンバーに配布、コメントを求めた
Wilfond医師の説明では
2007年のシンポの後でシンポの担当者が論文を書こうとしたが
シンポであまりにも多彩な意見があったので、どう書いてよいか分からず、
もっと広くいろんな意見を聞いてみようということになった、
それでWGを組織して、上記のように作業してきた、と。
2007年のシンポの後でシンポの担当者が論文を書こうとしたが
シンポであまりにも多彩な意見があったので、どう書いてよいか分からず、
もっと広くいろんな意見を聞いてみようということになった、
それでWGを組織して、上記のように作業してきた、と。
「今日(2009年1月23日)のシンポは、さらに多くの人からのコメントを聞く場である」とも。
ということは、
2008年10月以前にPediatrics誌に投稿され、10月にアクセプトされた論文は
2008年10月以前にPediatrics誌に投稿され、10月にアクセプトされた論文は
WGが組織されて作業している間に
WGのメンバー3人によって独自に執筆され投稿された……ということになります。
WGのメンバー3人によって独自に執筆され投稿された……ということになります。
WHAT????
成長抑制療法について広く様々な立場から意見を聞こうとしたとのタテマエで
WGを組織し、議論をさせながら、
WGを組織し、議論をさせながら、
その陰で、WGを組織した当の病院の医師を含めたメンバー3人が
「成長抑制は有益で安全。3歳になったら薦めるべき」とする論文を書いていた──。
「成長抑制は有益で安全。3歳になったら薦めるべき」とする論文を書いていた──。
じゃぁ、あのWGと、そこでの議論は、一体なんだったのか?
WGの他のメンバーは、
自分たちの議論と平行してこんな論文が書かれていることを
知っていたのでしょうか。
自分たちの議論と平行してこんな論文が書かれていることを
知っていたのでしょうか。
私がメンバーだったとしたら、
まったく人をバカにした話だとアタマにくると思うのだけど。
まったく人をバカにした話だとアタマにくると思うのだけど。
2009.06.06 / Top↑
米国小児科学会誌の6月号。
Growth-Attenuation Therapy: Principles for Practice
David B. Allen, MD, Michael Kappy, MD, PhD,
Douglas Diekema, MD, MPH and Norman Fost, MD, MPH
Pediatrics Vol. 123, No.6 June 2009, pp. 1556-1561 (doi:10.1542/peds.2008-2951)
David B. Allen, MD, Michael Kappy, MD, PhD,
Douglas Diekema, MD, MPH and Norman Fost, MD, MPH
Pediatrics Vol. 123, No.6 June 2009, pp. 1556-1561 (doi:10.1542/peds.2008-2951)
2008年10月に承認されているので、
今年1月の成長抑制シンポに向けての準備と平行で執筆されていた論文ということになり、
例のワーキング・グループの作業との関連が気になります。
今年1月の成長抑制シンポに向けての準備と平行で執筆されていた論文ということになり、
例のワーキング・グループの作業との関連が気になります。
Allen, Diekema, Fost の3人はワーキング・グループのメンバー。
アブストラクトの概要を大まかに以下に。
重症児に対する大量ホルモン投与による成長抑制療法が報告されたことで、重症児の成長とともに家族が他者の手を借りずにケアする(independent care)ことができなくなり、それによって在宅ケアが困難となったり家族で一緒に行動することができなくなるなど、重症児の成長が家族介護に及ぼすネガティブな影響という問題が広く注目されることとなった。
本稿では、重症かつ永続的な認知障害のある子どもの成長抑制療法の、効果と安全性についての科学的な論考を行い、さらに倫理面について考察する。臨床面で問題となる点について、専門的な考え方を提言する。我々の分析によれば、成長抑制は革新的で十分安全な療法であり、重症の認知障害があり歩行不能な子どもと家族のQOLを改善する可能性をもたらす。小児科医やその他のケア提供者は、3歳前後を目処にした将来に向けたガイダンスに、これら選択肢の議論を含めるべきである。第1例の報告が広く報道され議論となったので、倫理コンサルテーションが行われることが望ましい。
本稿では、重症かつ永続的な認知障害のある子どもの成長抑制療法の、効果と安全性についての科学的な論考を行い、さらに倫理面について考察する。臨床面で問題となる点について、専門的な考え方を提言する。我々の分析によれば、成長抑制は革新的で十分安全な療法であり、重症の認知障害があり歩行不能な子どもと家族のQOLを改善する可能性をもたらす。小児科医やその他のケア提供者は、3歳前後を目処にした将来に向けたガイダンスに、これら選択肢の議論を含めるべきである。第1例の報告が広く報道され議論となったので、倫理コンサルテーションが行われることが望ましい。
つまり、
重症児が3歳くらいになったら小児科医やその他の医療や福祉専門職は
成長抑制療法という選択肢もありますよ、と薦めろという主張なのでは?
重症児が3歳くらいになったら小児科医やその他の医療や福祉専門職は
成長抑制療法という選択肢もありますよ、と薦めろという主張なのでは?
independent care という文言がものすごく引っかかる。
私は当初から
成長抑制の論理は家族に抱え込めとのメッセージを送るものだと批判してきましたが、
成長抑制はここでも、本人と家族のQOLを改善するだけでなく、
家族が他者に頼らずに重症児をケアするためのツールとして提案されています。
つまり、子どもの成長をホルモンで抑制してでも家族が介護を抱え込め、と。
成長抑制の論理は家族に抱え込めとのメッセージを送るものだと批判してきましたが、
成長抑制はここでも、本人と家族のQOLを改善するだけでなく、
家族が他者に頼らずに重症児をケアするためのツールとして提案されています。
つまり、子どもの成長をホルモンで抑制してでも家族が介護を抱え込め、と。
また、「科学的なrationale」だとか「臨床上の成長抑制の利益」だとか、
この問題を医学の専門性の中に取り込もうとする意図が見え隠れしており、
この問題を医学の専門性の中に取り込もうとする意図が見え隠れしており、
裁判所は医療に口を出すなというFost の持論を思わせると同時に、
障害当事者や障害学からの批判に対して巧妙にバリアを張っている感じがします。
障害当事者や障害学からの批判に対して巧妙にバリアを張っている感じがします。
内容については、これ以上はフルテキストを読んでからのことになりますが、
Norman Fost は当初から当ブログが要注意と考えていた人物。
Diekema, Wilfond両医師の恩師に当たる、米国小児科倫理界の大ボスです。
Norman Fost は当初から当ブログが要注意と考えていた人物。
Diekema, Wilfond両医師の恩師に当たる、米国小児科倫理界の大ボスです。
論争当初は直接の利益関係のない専門家のフリをして強引な擁護を繰り広げ、
その後は特に表立った動きは見せていませんでしたが
(しかし今回のWGにも入っています)
ついに表に出てきたな、という感じがします。
その後は特に表立った動きは見せていませんでしたが
(しかし今回のWGにも入っています)
ついに表に出てきたな、という感じがします。
この論文はおそらく実際にはFostとDiekema両医師の共著でしょう。
第1オーサーのDr. AllenはWGのメンバーに入ってはいますが、
Wisconsin大学の小児科医。Fostの傀儡と見て間違いないはず。
Wisconsin大学の小児科医。Fostの傀儡と見て間違いないはず。
一般を欺くこれまでの仕事はDiekema医師の詭弁が担い、
これからは医療現場において定着させていくべくFost医師の権力にものを言わせる。
それが2人の描いているシナリオなのではないでしょうか。
これからは医療現場において定着させていくべくFost医師の権力にものを言わせる。
それが2人の描いているシナリオなのではないでしょうか。
もちろん、その後ろにいるのは
Seattle Times 始めメディアの操作すら可能とおぼしき Ashleyの父親。
Seattle Times 始めメディアの操作すら可能とおぼしき Ashleyの父親。
その後もFostについてはフォローしているので、
「擁護に登場した奇怪な人々」の書庫を中心にエントリー多数あります。
「擁護に登場した奇怪な人々」の書庫を中心にエントリー多数あります。
【追追記】
この論文については、この後、以下のエントリーを書きました。
Diekema&Fost論文の「重症の認知障害」が実は身体障害であることの怪(2009/6/15)
病院の公式合意を一医師が論文で否定できることの怪(A事件・成長抑制論文)(2009/6/15)
この論文については、この後、以下のエントリーを書きました。
Diekema&Fost論文の「重症の認知障害」が実は身体障害であることの怪(2009/6/15)
病院の公式合意を一医師が論文で否定できることの怪(A事件・成長抑制論文)(2009/6/15)
2009.06.06 / Top↑
臓器移植を受けた人の3分の1が臓器提供者の人格からの影響を感じている。それなら、良い人からの臓器提供を受けたい、殺人犯の臓器は要らない、という調査。心臓移植したらドナーの人格の影響を受けているような気がして、ドナーが誰だったかを探し始める……というミステリー、ずっと前に読んだ、そういえば。もう20年近く前のような気がするけど。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8084936.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8084936.stm
去年5月の英国での児童虐待事件の裁判。母親と内縁の夫に監禁されていた7歳女児が何ヶ月も食べ物を与えられず、事実上の餓死(最後は感染症)。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/west_midlands/8084972.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/west_midlands/8084972.stm
英アルツハイマー病協会が英国のアルツハイマー病患者への薬の過剰投与で「ぼったくり」と政府を非難。Timesが火をつけた論争ということになるのか。今後を注目しておきたい。
http://www.medicalnewstoday.com:80/articles/152410.php
http://www.medicalnewstoday.com:80/articles/152410.php
オーストラリアでも自殺幇助合法化もとめる声が上がっている。この読者投稿ではアルツハイマー病の末期の悲惨がやはりイメージされていて、英国哲学者Warnock氏の「認知症患者には死ぬ義務がある」発言が引っ張られている。
http://www.smh.com.au/opinion/letters/allow-assisted-suicide-to-end-peoples-suffering-20090604-bx1y.html
http://www.smh.com.au/opinion/letters/allow-assisted-suicide-to-end-peoples-suffering-20090604-bx1y.html
英国の自殺法改正議論関連。まだまだ出ているけど、全体に改正賛成の声が圧倒的に多い感じ。でも、国内で自殺幇助は違法だけど、合法な国に連れて行くのはOKというのも、よく分からない。そこは、やっぱり、その後はズルズル……ってことなのか……。
http://www.timesonline.co.uk/tol/comment/letters/article6433007.ece
http://www.timesonline.co.uk/tol/comment/letters/article6433007.ece
カザフスタンで行われたワールドカップ予選で、イングランドのファンが撃たれて怪我。
http://www.timesonline.co.uk/tol/sport/football/international/article6428864.ece?&EMC-Bltn=CGO9SA
http://www.timesonline.co.uk/tol/sport/football/international/article6428864.ece?&EMC-Bltn=CGO9SA
2009.06.05 / Top↑
そのMGHの研究者らがBMJに発表した研究によると、
認知症の末期の患者さんはこうなりますよ、
その場合の治療の選択肢はこれこれですよ、と言葉で説明するよりも、
実際の末期患者のビデオを見せて説明した場合の方が、
その場合の治療の選択肢はこれこれですよ、と言葉で説明するよりも、
実際の末期患者のビデオを見せて説明した場合の方が、
高齢者が終末期医療について「じゃあ安楽ケアだけでいいです」という選択をする確率が高かった。
よって、終末期患者の実像をビデオで見せることは
高齢者が終末期の選択をするのを“help”する(助ける・手伝う・支援する・促す……どれだ?)と。
高齢者が終末期の選択をするのを“help”する(助ける・手伝う・支援する・促す……どれだ?)と。
研究で被験者に見せたのは80歳の認知症の女性患者が
明らかに歩けない、食べられない、家族とコミュニケーションがとれない姿。
明らかに歩けない、食べられない、家族とコミュニケーションがとれない姿。
被験者はボストン地域で病院にはかかっているが認知症状のない65歳以上の高齢者200人。
この女性の様子を言葉だけで説明されるグループと
女性の姿を撮影した2分間のビデオを見せられるグループに分け、
自分の終末期の医療について以下の3つの選択肢の中から選んでもらったところ、
女性の姿を撮影した2分間のビデオを見せられるグループに分け、
自分の終末期の医療について以下の3つの選択肢の中から選んでもらったところ、
①どんなにコストがかかっても延命して欲しい。
②身体機能を維持するためのケアだけをしてほしい。
③痛みをとって最大限に安楽にするケアだけにしてほしい。
②身体機能を維持するためのケアだけをしてほしい。
③痛みをとって最大限に安楽にするケアだけにしてほしい。
ビデオなしのグループでは、①14% ②19% ③64%
それに対して
ビデオを見せられたグループでは ①6% ②9% ③86%
6ヵ月後に同じ被験者に同じ質問をしたところ、
言葉だけで説明を受けたグループでは29%の人で気持ちが変わっていたが
ビデオを見せられたグループで気持ちが変わっていたのは、わずかに6%だけだった。
言葉だけで説明を受けたグループでは29%の人で気持ちが変わっていたが
ビデオを見せられたグループで気持ちが変わっていたのは、わずかに6%だけだった。
どうして認知症状のない人に向かって認知症患者さんの末期を見せて
それ以外の病気で死ぬことになる確率の方が高いかもしれないのに
なにもかもひっくるめた“終末期”医療の選択をさせるのだろう?
それ以外の病気で死ぬことになる確率の方が高いかもしれないのに
なにもかもひっくるめた“終末期”医療の選択をさせるのだろう?
もしかしたら、
脳死の人や植物状態の人のビデオもそのうち作られて、
事故や病気で重態となって運び込まれてきた救急患者さんの家族に見せながら
「こうなる可能性もありますが、救命治療、どうされますか?」とか、
脳死の人や植物状態の人のビデオもそのうち作られて、
事故や病気で重態となって運び込まれてきた救急患者さんの家族に見せながら
「こうなる可能性もありますが、救命治療、どうされますか?」とか、
重症児とか、重度の知的障害のある人とか
意識ははっきりしているのに脳卒中で寝たきりで言葉が不明瞭な人のビデオまで作られて、
「こうなる可能性もあるので、治療は無益だと思われますが、どうですか?」とか?
意識ははっきりしているのに脳卒中で寝たきりで言葉が不明瞭な人のビデオまで作られて、
「こうなる可能性もあるので、治療は無益だと思われますが、どうですか?」とか?
家族の意思決定への“支援”として?
わ~ん。こわいよぉぉ……。
2009.06.05 / Top↑
米国NYとボストン地域で7つのケアホームを運営するHearthstone Alzheimer Careの社長で
社会学者でもある Dr. John Zeiselが
Times紙が主催した科学フェスティバルの講演で
社会学者でもある Dr. John Zeiselが
Times紙が主催した科学フェスティバルの講演で
英国のアルツハイマー病患者は抗精神病薬で薬漬けにされて
自宅や施設や病院で、ただぼうっとなったまま放置され
あとはベッドで衰えていくだけ。
自宅や施設や病院で、ただぼうっとなったまま放置され
あとはベッドで衰えていくだけ。
まるでビクトリア時代の癲癇や自閉症患者への扱いのような
時代遅れのケアだ、と指摘。
時代遅れのケアだ、と指摘。
患者を美術館や劇場や海辺へのピクニックに連れ出したり
絵画を描いたり地域の活動への参加などの刺激を与えることによって
不安や攻撃性が抑えられたり、言語機能が改善している、と
米国での試みとその効果のほどを語り、
絵画を描いたり地域の活動への参加などの刺激を与えることによって
不安や攻撃性が抑えられたり、言語機能が改善している、と
米国での試みとその効果のほどを語り、
投薬を減らして、もっと残存機能に刺激を与えて働きかける工夫を、と説いた。
英国アルツハイマー病協会が今日発表した報告書でも、
去年10月のアルツハイマー病患者への処方のうち20%が抗精神病薬だった。
去年10月のアルツハイマー病患者への処方のうち20%が抗精神病薬だった。
ちなみに英国の全国認知症戦略についてのエントリーはこちら。
2009.06.05 / Top↑
英国の自殺幇助関連法改正、この2日間議会で審議とあって、賛否の議論がメディアにはわんさと出ている。投票には党議拘束なし。それにしてもPurdyさんは「ここで改正してくれないなら、予定よりも早くスイスへ行って死んでやる。夫の付き添いもなく寂しく一人で」と、自分の自殺を人質に脅しているみたいだ。でも、それこそ、あなたの自己責任・自己選択で、あなたがそれを選択したからといって、法改正しなかった議員が罪悪感を感じなければならないかのように訴えるのは卑怯というものだ。
http://www.telegraph.co.uk/news/newstopics/politics/lawandorder/5430409/Debbie-Purdy-faces-early-death-in-assisted-suicide-wrangle.html
http://www.google.com/hostednews/ukpress/article/ALeqM5jhEcIoGUJEOnoeGCDtcbQiYeqegw
http://www.telegraph.co.uk/news/newstopics/politics/lawandorder/5430409/Debbie-Purdy-faces-early-death-in-assisted-suicide-wrangle.html
http://www.google.com/hostednews/ukpress/article/ALeqM5jhEcIoGUJEOnoeGCDtcbQiYeqegw
毎週1、2回カレーを食べると認知症を防げる……例によって「かもしれない」。毎週2回食べる? アホな。「週に2回カレーを食べること」だけが防いでくれるわけがない。でも大丈夫。そのうち、また誰かが「カレーには実は予防効果がないかもしれない」って報告するから。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8080630.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8080630.stm
詳しいことは知らないけど、閣僚が次々辞任して、英国ブラウン政権崩壊寸前。労働党内部から首相の退陣を迫る声。自殺幇助関連審議に影響ある?
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/politics/article6426969.ece?&EMC-Bltn=BEIGRA
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/politics/article6426969.ece?&EMC-Bltn=BEIGRA
英国海軍がソマリア沖で武器満載の海賊船を拿捕するも現行犯でなければ逮捕できないルールのため、解放。そんな限界があるなら、税金の無駄だから軍隊を引き上げろとのコメントも。
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/africa/article6425317.ece?&EMC-Bltn=BEIGRA
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/africa/article6425317.ece?&EMC-Bltn=BEIGRA
2009.06.04 / Top↑
子どもに抗ウツ薬を飲ませると自殺年慮や企図のリスクがあると、
2005年にFDAが最も厳しい警告(ブラックボックス)を出したというのは、
ちょうど昨日のエントリーで読んだ記事にも出てきていた話だったので、
ああ、あれね、と思いつつ読んでみたのだけれど、
2005年にFDAが最も厳しい警告(ブラックボックス)を出したというのは、
ちょうど昨日のエントリーで読んだ記事にも出てきていた話だったので、
ああ、あれね、と思いつつ読んでみたのだけれど、
なんだか、ちょっと不可解な話。
その警告は2007年5月にはヤングアダルト(ここでは18-24歳)にまで
対象が拡大されたとのこと。
対象が拡大されたとのこと。
警告には2005年当初から精神科医らの間から
「そんなことをしたら有効な治療まで行われなくなる」と批判が出ていたといいます。
「そんなことをしたら有効な治療まで行われなくなる」と批判が出ていたといいます。
このたび、おそらくは、そういう立場と思われる研究者の報告で、
1999年から2007年までのデータを調べたところ、
それまで着実に増加していたウツ病の診断数が子どもとティーンでは2004年を境に激減。
それまで着実に増加していたウツ病の診断数が子どもとティーンでは2004年を境に激減。
特にプライマリー・ケアのドクターによる診断数が
子どもやヤングアダルトだけでなく、警告の対象よりも上の年齢層でまで減っていた。
子どもやヤングアダルトだけでなく、警告の対象よりも上の年齢層でまで減っていた。
不思議なのは、前に使っていた抗ウツ薬の処方に切り替えたわけでもなく
また薬物療法以外の認知行動療法をやらせる方向に向かったわけでもなく、
警告が出たら、診断そのものをしなくなった、ということ。
また薬物療法以外の認知行動療法をやらせる方向に向かったわけでもなく、
警告が出たら、診断そのものをしなくなった、ということ。
「その理由は分からない。ただ警告が医師らの行動を変容させたことは確か」と主任研究者。
「患者が治療を求めなくなったのか、
いい治療法がないと感じる医師らが診断をためらうからでは」とも。
いい治療法がないと感じる医師らが診断をためらうからでは」とも。
「自殺しそうな子どもの親から助けを求められても
精神科医、特に児童精神科医がいないことに地域の医師らは困っている」と論文は書いて、
精神科医、特に児童精神科医がいないことに地域の医師らは困っている」と論文は書いて、
記事の書き方からすると、
論文の趣旨はFDAに警告の見直しを求めているらしい。
論文の趣旨はFDAに警告の見直しを求めているらしい。
もちろん、その理由を明らかにするためには、
もっと調査が必要ということになるのだろうけれど、
もっと調査が必要ということになるのだろうけれど、
児童精神科医の不足は、この際、警告で診断が減ったこととは別問題なのだから、
専門医を増やせとか、プライマリ・ケアの医師に研修をしろというなら、ともかく、
それを持ち出して、だからプライマリー・ケアの医師がもっと、うつ病を診断するように
警告を見直せという話にはならないでしょう
専門医を増やせとか、プライマリ・ケアの医師に研修をしろというなら、ともかく、
それを持ち出して、だからプライマリー・ケアの医師がもっと、うつ病を診断するように
警告を見直せという話にはならないでしょう
第一、このデータが示しているのは診断が減ったという事実だけで、
それによる弊害(例えば、診断の激減が直接的に自殺の増加を引き起こしているとか)まで
証明されたわけではないのだから
それによる弊害(例えば、診断の激減が直接的に自殺の増加を引き起こしているとか)まで
証明されたわけではないのだから
FDAの見直しが必要とするにはエビデンスが不足しているのでは?
また、
FDAが警告したから患者が治療を受けようとしなくなったとか
FDAが警告して治療のすべを奪われた医師が診断しても……と考えた……という解釈には
ちょっと無理があるのではないでしょうか。
FDAが警告したから患者が治療を受けようとしなくなったとか
FDAが警告して治療のすべを奪われた医師が診断しても……と考えた……という解釈には
ちょっと無理があるのではないでしょうか。
それこそ警告以前に使われていた薬を使うことも
薬物療法以外の治療を試みることだって、考えられないことはないわけだし。
(マネッジド・ケアのデータを使っているので、そのあたりには
日本とはまた違う事情はあるかもしれませんが)
薬物療法以外の治療を試みることだって、考えられないことはないわけだし。
(マネッジド・ケアのデータを使っているので、そのあたりには
日本とはまた違う事情はあるかもしれませんが)
抗ウツ薬を巡る研究者と製薬会社の癒着スキャンダルには
目を覆うばかりのものがあるというのに(文末に関連リンク)
そんな騒ぎはまったく存在しなかったかのように
無理やりに、こんな性善説の解釈をしたのでは
なんだか天安門事件がなかったフリをする中国政府のようで。
目を覆うばかりのものがあるというのに(文末に関連リンク)
そんな騒ぎはまったく存在しなかったかのように
無理やりに、こんな性善説の解釈をしたのでは
なんだか天安門事件がなかったフリをする中国政府のようで。
あったことはあったこととしてスキャンダルの存在を前提に、
素人が、ごく普通に、このデータを考えると、
素人が、ごく普通に、このデータを考えると、
プライマリー・ケアのお医者さんたちは
MRさんたちがしきりに安全と効果を保障し、絶賛しつつ
気前よく無料サンプルなどを置いていく(多分キックバックの説明もしつつ)
「ウツには新しく良い薬ができた」という思いと、その現物が先にあって、
その上で行われていた診断だったから、
MRさんたちがしきりに安全と効果を保障し、絶賛しつつ
気前よく無料サンプルなどを置いていく(多分キックバックの説明もしつつ)
「ウツには新しく良い薬ができた」という思いと、その現物が先にあって、
その上で行われていた診断だったから、
その優れものの薬が公式に「ヤバイぞ」ということになったら
診断するインセンティブもなくなってしまった……という解釈の方が
より自然なように感じられるのですが。
診断するインセンティブもなくなってしまった……という解釈の方が
より自然なように感じられるのですが。
まさか、この論文から透けて見える動き、
昨日の、あの「12歳から18歳全員にうつ病のスクリーニングを」という提言と
実は繋がってはいる……なんてことは、ない……よね?
昨日の、あの「12歳から18歳全員にうつ病のスクリーニングを」という提言と
実は繋がってはいる……なんてことは、ない……よね?
そして日本では、厚労省がSSRIの副作用を認めたのって、つい先日……。
2009.06.04 / Top↑
Linda Flemming さんに続いて
WA州の尊厳死法で医師による自殺幇助第2例目が報告されました。
WA州の尊厳死法で医師による自殺幇助第2例目が報告されました。
記事は「より良い終末期ケアのアドボカシーを行うNPO」としか書いていませんが、
またもC&Cによる報告と思われます。
またもC&Cによる報告と思われます。
家族がプライバシーを守りたいと希望しているため、
今後も詳細は明かされないとのこと。
今後も詳細は明かされないとのこと。
1例目、2例目とも、なんでC&Cから報告が出てくるのか。
自殺幇助希望者一人ひとりにC&Cが濃密に関わっているようだけれど、本当に誘導はないのか――?
2009.06.04 / Top↑
先月、連邦政府の保健医療政策提言機関 the US Preventive Service Task Force が
12歳から18歳までの子ども全員に対して大うつスクリーニングを
プライマリ・ケアの診療所やクリニックで定期的に行うべきである、と提言。
12歳から18歳までの子ども全員に対して大うつスクリーニングを
プライマリ・ケアの診療所やクリニックで定期的に行うべきである、と提言。
ただし提言をまとめるに当たって数々の研究を評価したところ、
このようなスクリーニングが有効だったのは
うつ病が分かった場合に、その子どもに専門的な個別ケアが提供された場合のみ。
このようなスクリーニングが有効だったのは
うつ病が分かった場合に、その子どもに専門的な個別ケアが提供された場合のみ。
Task Forceの上級メンバーでコロラド州の保健局幹部でもあるNed Calonge氏によると
Task Forceの結論としては、
Task Forceの結論としては、
12-18歳に対しては、有効なスクリーニング手段も治療法もある。
しかし子どもへの薬の使用にはリスクもあるので、
うつ病の子どもに対する最初の治療はいずれの場合も
Prozac, Paxil, Zoloft などのSSRIではなく心理療法とする、というもの。
しかし子どもへの薬の使用にはリスクもあるので、
うつ病の子どもに対する最初の治療はいずれの場合も
Prozac, Paxil, Zoloft などのSSRIではなく心理療法とする、というもの。
それでも、スクリーニングが広くおこなわれると
製薬会社にそそのかされた医師が新たな処方箋を書くことに繋がるのでは、との懸念の声も。
製薬会社にそそのかされた医師が新たな処方箋を書くことに繋がるのでは、との懸念の声も。
実は3月にも、 議会の諮問機関であるthe Institute of Medicine (IOM) から
精神障害に関する医療費負担を削減するには早期スクリーニングが鍵となる、との提言があった。
精神障害に関する医療費負担を削減するには早期スクリーニングが鍵となる、との提言があった。
こちらは特にうつ病や子ども対象に限定したものではないが、
IOMの副議長で小児科医、Cincinnati大学の Thomas Boat氏は
小児科受診の4件に1件は問題行動に関するものであり、
子どもの精神的な問題が大きくなっていることに小児科が対応し切れていない、
学校で子どもの精神障害のスクリーニングができるくらいなら
医師がやるほうがいい、と。
IOMの副議長で小児科医、Cincinnati大学の Thomas Boat氏は
小児科受診の4件に1件は問題行動に関するものであり、
子どもの精神的な問題が大きくなっていることに小児科が対応し切れていない、
学校で子どもの精神障害のスクリーニングができるくらいなら
医師がやるほうがいい、と。
というのも、
Columbia大学と提携して精神障害スクリーニングを行っている会社 TeenScreenは
すでに530の学校と地域の機関においてスクリーニングを行っている。
対象は11歳から19歳で、事前に親の了解を取っている、とのこと。
Columbia大学と提携して精神障害スクリーニングを行っている会社 TeenScreenは
すでに530の学校と地域の機関においてスクリーニングを行っている。
対象は11歳から19歳で、事前に親の了解を取っている、とのこと。
なお、Task Forceは2002年には
子どもでのうつ病のスクリーニングを勧めるにはエビデンスが不足と結論付けていたので、
今回の提言でそれを覆したことになる。
子どもでのうつ病のスクリーニングを勧めるにはエビデンスが不足と結論付けていたので、
今回の提言でそれを覆したことになる。
Task Forceには利益の衝突に関する厳しいガイドラインが課せられた、とは
前出のCalonge氏の言。
前出のCalonge氏の言。
6月2日に読者の反応として、
「スクリーニングの隠れたコスト」というタイトルの投稿。
「スクリーニングの隠れたコスト」というタイトルの投稿。
これら提言の、スクリーニングが安全だとの前提は間違っている。
ただ不適応を起こしているだけの子どもが大勢“病気”にされて“治療”されることになる。
子どもの時に精神病を診断されることのスティグマは計り知れない。
また医療費の負担を軽減するとの主張にも根拠がない、と。
ただ不適応を起こしているだけの子どもが大勢“病気”にされて“治療”されることになる。
子どもの時に精神病を診断されることのスティグマは計り知れない。
また医療費の負担を軽減するとの主張にも根拠がない、と。
The WP, June 2, 2009
最近の科学研究関連ニュースには、つとに、何のための予防なのかという本来の目的を見失って、
予防そのものが目的化してしまっているのでは……という感じは抱いていましたが、
米国的“科学とテクノで簡単解決”の単細胞思考は、
とうとう、ここまで行き着いてしまったのか……という感じ。
予防そのものが目的化してしまっているのでは……という感じは抱いていましたが、
米国的“科学とテクノで簡単解決”の単細胞思考は、
とうとう、ここまで行き着いてしまったのか……という感じ。
既に530の学校で実施されていることにしろ、
そんな会社がある(なんて下劣な社名なんだ)ことにしろ……ため息。
そんな会社がある(なんて下劣な社名なんだ)ことにしろ……ため息。
それに、これは医師らよりもWPの記者の感覚なのかもしれないけれど、
記事を読んでいてものすごく気になったこととして、
子どものうつ病を早期発見・早期治療するという話が、
いちいち成績や学習効果との関係で語られてしまうこと。
記事を読んでいてものすごく気になったこととして、
子どものうつ病を早期発見・早期治療するという話が、
いちいち成績や学習効果との関係で語られてしまうこと。
スクリーニングが行動療法に繋がり、
妹の自殺後のうつ病がケアできた女子高生のケースが紹介されているのですが、
妹の自殺後のうつ病がケアできた女子高生のケースが紹介されているのですが、
記事の冒頭、妹を失った後の彼女の様子を描写する部分からして
「数学のテストの途中に突然フリーズして集中できなくなった」ので
学校からメンタルヘルスの検査を勧められて、
姉の自殺が原因のうつ病だと診断されます。そして行動療法を経て、
「数学のテストの途中に突然フリーズして集中できなくなった」ので
学校からメンタルヘルスの検査を勧められて、
姉の自殺が原因のうつ病だと診断されます。そして行動療法を経て、
現在20歳の本人が言うには
「成績は幾何学で落第すれすれだったのに優秀者のリストに載るところまで上がりました。
治療が効いたんです。
無用なものが頭の中にごちゃごちゃ詰まっていたのをみんな追い出してもらって、
そのおかげで頭に入れるべきことが入るようになったのですから」
「成績は幾何学で落第すれすれだったのに優秀者のリストに載るところまで上がりました。
治療が効いたんです。
無用なものが頭の中にごちゃごちゃ詰まっていたのをみんな追い出してもらって、
そのおかげで頭に入れるべきことが入るようになったのですから」
あんたね……。そういう価値観を植えつけられちゃったんだね。かわいそうに……。
この子の妹は児童精神科医の簡単な診察で Zoloftを処方されたのですが、
その理由というのが「テストの時に不安があるから」というもの。
(これは親が医者へ連れて行った理由でもありますね)
その理由というのが「テストの時に不安があるから」というもの。
(これは親が医者へ連れて行った理由でもありますね)
そして12歳の時に「その方が成績が上がるから」と薬の量を増やされます。
母親が不安を訴えると、「安全で効果があるのに、何を案ずるか」と一蹴された、と。
(しかし、それでも飲ませ続けたのも親ですね)
母親が不安を訴えると、「安全で効果があるのに、何を案ずるか」と一蹴された、と。
(しかし、それでも飲ませ続けたのも親ですね)
2004年のある日、家族と笑いながらテレビを見た直後に自室で首を吊って自殺。
FDAがZoloftには自殺念慮の副作用があるとの警告に踏み切ったのは、その直後のことだった。
FDAがZoloftには自殺念慮の副作用があるとの警告に踏み切ったのは、その直後のことだった。
科学とテクノ万歳文化は、知能崇拝とパラレルになっているのでは……というのは
英米のニュースを読みながら、ずっと感じている懸念で、
英米のニュースを読みながら、ずっと感じている懸念で、
たとえばトランスヒューマニストらに感じる知的優越感。
科学とテクノロジー万歳文化の人たちの、知的障害者への嫌悪・蔑視・軽視。
「幼児期に○○な子は大きくなって成績がよい(悪い)」的、
「少しでも頭のよい子どもを作ること」が目的となったかのような科学・医学研究の数々。
科学とテクノロジー万歳文化の人たちの、知的障害者への嫌悪・蔑視・軽視。
「幼児期に○○な子は大きくなって成績がよい(悪い)」的、
「少しでも頭のよい子どもを作ること」が目的となったかのような科学・医学研究の数々。
しかし、
妹を自殺で失った子どもには、
仮に試験中にフリーズするようなことがなかったとしても
家庭でも学校でも特に配慮してあげなければならないことくらい、
うつ病の検査をするまでもなく、あたりまえの思いやり・愛情・教育的配慮ではないのか。
仮に試験中にフリーズするようなことがなかったとしても
家庭でも学校でも特に配慮してあげなければならないことくらい、
うつ病の検査をするまでもなく、あたりまえの思いやり・愛情・教育的配慮ではないのか。
身近な人の死に直面した子どもは
頭の中にいろんな”無用なもの”を詰め込んでいるのがあたりまえで、
それを異常な状態として追い出してしまうのではなくて
あたりまえな状態として、そのごちゃごちゃを受け止めてあげることが
本当は必要だったのではないのか。
頭の中にいろんな”無用なもの”を詰め込んでいるのがあたりまえで、
それを異常な状態として追い出してしまうのではなくて
あたりまえな状態として、そのごちゃごちゃを受け止めてあげることが
本当は必要だったのではないのか。
彼女に必要なのは、
無用な物思いを追い出して勉強に集中させるためだけの「病気」への「行動療法」ではなく
そのあたりまえの悲しみを十分に悲しみ、乗り越えていくプロセスに寄り添う
グリーフ・カウンセリングだったのではないのか。
無用な物思いを追い出して勉強に集中させるためだけの「病気」への「行動療法」ではなく
そのあたりまえの悲しみを十分に悲しみ、乗り越えていくプロセスに寄り添う
グリーフ・カウンセリングだったのではないのか。
さらに言えば、
12歳にも満たない子どもがテストの前に
医師に相談しなければならないほどの不安を感じて苦しんでいたのだとすれば、
12歳にも満たない子どもがテストの前に
医師に相談しなければならないほどの不安を感じて苦しんでいたのだとすれば、
するべきことは精神科医に連れて行って薬を飲ませることではなく、
まず、そんなプレッシャーをかけるのをやめることであり、
テストなんて薬を飲んで不安を抑えてまで頑張って受けるほどのものではないし、
勉強なんて命を懸けてまでやるものじゃないと
教えてあげることではなかったのか。
まず、そんなプレッシャーをかけるのをやめることであり、
テストなんて薬を飲んで不安を抑えてまで頑張って受けるほどのものではないし、
勉強なんて命を懸けてまでやるものじゃないと
教えてあげることではなかったのか。
なんだか無性に腹が立っておさまらない――。
2009.06.03 / Top↑
Debby Purdy さんが求めている方向で法の明確化を実現する法改正案を
このたび英国議会に提出する 2人の議員の一人 Charlie Falconer 氏が
改正案の理念や内容を説明する文章をTimesに寄せている。
このたび英国議会に提出する 2人の議員の一人 Charlie Falconer 氏が
改正案の理念や内容を説明する文章をTimesに寄せている。
概要はこれまで当ブログで拾ってきたものと同じ論理に沿ったもので、
だいたい以下のような感じ。
だいたい以下のような感じ。
現在の英国法では自殺希望者を海外へ連れて行く行為は違法とされている。
実際にはそれで罪に問われた人はいないし
23歳の元ラグビー選手がDignitasで自殺した事件で
両親が警察の取調べは受けたものの、それ以上の追及を受けなかったことで
そうした行為は罪に問われないとの前例もできたわけだけれど、
依然として法において犯罪であることには違いはない。
Purdyさんが言うように、
有罪とされるリスクは依然としてあるのだから、
そこを明確化しなければならない。
改正案の趣旨は、
愛する人の人生の最後を支えるべく海外のクリニックに付き添う人を
自殺幇助を合法とする国での自殺を可能とし、それを支援する目的の場合に限って
保護しようとするもの。
セーフガードも設けた。
それぞれ無関係な医療職2人によって
自殺希望者がターミナルであることと意思決定能力があることの2点が確認される必要。
さらにこのような形で自殺を希望するとの書面による意思表示が
身近な友人でも親族でも介護者でもなく
その人の死から利益を得ることのない独立した証人立会いの下で書かれていること。
実際にはそれで罪に問われた人はいないし
23歳の元ラグビー選手がDignitasで自殺した事件で
両親が警察の取調べは受けたものの、それ以上の追及を受けなかったことで
そうした行為は罪に問われないとの前例もできたわけだけれど、
依然として法において犯罪であることには違いはない。
Purdyさんが言うように、
有罪とされるリスクは依然としてあるのだから、
そこを明確化しなければならない。
改正案の趣旨は、
愛する人の人生の最後を支えるべく海外のクリニックに付き添う人を
自殺幇助を合法とする国での自殺を可能とし、それを支援する目的の場合に限って
保護しようとするもの。
セーフガードも設けた。
それぞれ無関係な医療職2人によって
自殺希望者がターミナルであることと意思決定能力があることの2点が確認される必要。
さらにこのような形で自殺を希望するとの書面による意思表示が
身近な友人でも親族でも介護者でもなく
その人の死から利益を得ることのない独立した証人立会いの下で書かれていること。
A more civilized approach to suicide
Escorting a loved one on the final journey to a Dignitas clinic should not be a criminal offence
By Charlie Falconer
The Times, June 3, 2009
Escorting a loved one on the final journey to a Dignitas clinic should not be a criminal offence
By Charlie Falconer
The Times, June 3, 2009
この記事の内容で見る限り、
セーフガードとして付いた条件は米国オレゴンやワシントンの尊厳死法の条件を参考にしており、
将来の自殺幇助そのものの合法化へのステップであることが明らかですが、
セーフガードとして付いた条件は米国オレゴンやワシントンの尊厳死法の条件を参考にしており、
将来の自殺幇助そのものの合法化へのステップであることが明らかですが、
反面、自殺希望者が「ターミナル」であることを求めつつ
オレゴンやワシントン州の尊厳死法のように「余命6ヶ月以内」とまでは厳密ではない、
「耐え難い苦痛がある」との条件がはずされている、
幇助自殺希望の意思表示が一定期間をあけて再確認されることを求めていない、など
それらに比べて、はるかに厳密さを欠いたものとなっています。
オレゴンやワシントン州の尊厳死法のように「余命6ヶ月以内」とまでは厳密ではない、
「耐え難い苦痛がある」との条件がはずされている、
幇助自殺希望の意思表示が一定期間をあけて再確認されることを求めていない、など
それらに比べて、はるかに厳密さを欠いたものとなっています。
また、かなり気になる記述として、
This amendment does not affect our approach to palliative care. People should be able to access high-quality end-of-life care. On the whole, those travelling abroad to die are not doing so because of a failure of modern medicine to alleviate their physical suffering. They are doing so because they want to take understandable control over the time and manner of their own deaths. Better palliative care is not going to prevent increasing numbers of people wanting to go abroad to die. There is no hiding from this fact.
幇助自殺は死ぬ時期と死に方を自分で決めたいという話であり、
緩和ケアが苦痛を十分にとりきれない現在医療の欠陥が問題だというような話ではない、
良質な緩和ケアへのアクセスは保障されるべきだが、
緩和ケアが改善されたからといって海外で死にたい人が減るわけではない、と。
緩和ケアが苦痛を十分にとりきれない現在医療の欠陥が問題だというような話ではない、
良質な緩和ケアへのアクセスは保障されるべきだが、
緩和ケアが改善されたからといって海外で死にたい人が減るわけではない、と。
つまり、これは死の自己決定権、コントロールの問題だというわけですね。
実はBBCのインタビューでPurdyさんも
将来の「動けない体で自分ではどうすることもできない痛み」を想像すると
そうなるよりも先に死にたいと語っています。
将来の「動けない体で自分ではどうすることもできない痛み」を想像すると
そうなるよりも先に死にたいと語っています。
Purdyさんの言う「自分ではどうすることもできない痛み」という表現は、
確かにコントロールの問題なのだけれど、
ここで彼女が言っているのは「痛みのコントロール」であり
Falconer議員の言うように「死ぬ時と死に方のコントロール」ではないことに注意したい。
確かにコントロールの問題なのだけれど、
ここで彼女が言っているのは「痛みのコントロール」であり
Falconer議員の言うように「死ぬ時と死に方のコントロール」ではないことに注意したい。
自殺幇助希望者が苦しんでいるのは「現状」ではなく、
むしろ将来自分が経験することを想像して、それが自分には耐えられないと感じるので、
そのリスクから自分を守ろうとしている先取り不安なのだ、とのOregonからの調査報告もあります。
むしろ将来自分が経験することを想像して、それが自分には耐えられないと感じるので、
そのリスクから自分を守ろうとしている先取り不安なのだ、とのOregonからの調査報告もあります。
この研究を発表した著者らは
自殺希望者から相談を受けたら、
まず医師は患者の「自分ではどうすることもできない」という感じを
拭い去る努力をしなければならないと説いています。
自殺希望者から相談を受けたら、
まず医師は患者の「自分ではどうすることもできない」という感じを
拭い去る努力をしなければならないと説いています。
この「自分ではどうすることもできない」という部分を
Purdyさんの「自分ではどうすることもできない痛み」という言葉と重ねて考えると、
自殺希望者が求めているコントロールの対象は
Falconer議員がいう死ぬ時と死に方ではなく、
痛みであり症状のコントロールではないでしょうか。
Purdyさんの「自分ではどうすることもできない痛み」という言葉と重ねて考えると、
自殺希望者が求めているコントロールの対象は
Falconer議員がいう死ぬ時と死に方ではなく、
痛みであり症状のコントロールではないでしょうか。
それならば「痛みのコントロール」が可能であれば
「死ぬ時期と死に方のコントロール」は不要ということになり、
緩和ケアが十分に行われれば自殺希望者は減少するはず。
「死ぬ時期と死に方のコントロール」は不要ということになり、
緩和ケアが十分に行われれば自殺希望者は減少するはず。
すなわちFalconer議員の上記の主張は否定されることになります。
―――――――――――――
私は最近よく考えるのですが、
余命が6ヶ月以内と非常に限られていて、なおかつ耐え難い苦痛がある人に限って、
意思決定能力があると確認されれば医師による自殺幇助を認めるという
既存の各国の尊厳死法の理念を
意思決定能力があると確認されれば医師による自殺幇助を認めるという
既存の各国の尊厳死法の理念を
死ぬ時と死に方が既に決定付けられてしまった人に対して
消極的安楽死から、さらに一歩踏み出した積極的安楽死として
医師による自殺幇助を位置づけたものと考えるならば、
消極的安楽死から、さらに一歩踏み出した積極的安楽死として
医師による自殺幇助を位置づけたものと考えるならば、
それは、むしろ「死ぬ時と死に方を自分で決める権利」としての死の自己決定権とは
逆方向のものなのではないでしょうか。
逆方向のものなのではないでしょうか。
「死の自己決定権」を主張する人の多くは
「余命6ヶ月以内で耐えがたい苦痛がある人」という要件を
いとも簡単に無視して自殺幇助合法化の議論を進めてしまうけれど、
「余命6ヶ月以内で耐えがたい苦痛がある人」という要件を
いとも簡単に無視して自殺幇助合法化の議論を進めてしまうけれど、
それは本当は別の問題、問題のすり替えではないのか、という気がする。
自殺幇助希望者の増加はもはや防げないのかもしれない……とは私も考えるけれど、
でもそれはFalconer議員が言うように、緩和ケアが無力だからでも
希望者の動機が痛みの緩和と無関係だからでもなく、
希望者の動機が痛みの緩和と無関係だからでもなく、
本来は逆方向の理念であるはずの積極的安楽死の問題を死の自己決定権の問題に飛躍させ、
問題を摩り替えてしまった対象者なんでもありのグズグズの議論が
どんどん広がっているから、その影響できっと増加するのだろうな……と
想像するのであり、
問題を摩り替えてしまった対象者なんでもありのグズグズの議論が
どんどん広がっているから、その影響できっと増加するのだろうな……と
想像するのであり、
そのグズグズの議論が向かう、さらに先にあるのは
Giderdale事件に見られるような「自殺幇助希望の代理決定としての慈悲殺」であり、
無益な治療論との合流なのだろうな……と想像すると、なんだかやりきれない気分になる。
Giderdale事件に見られるような「自殺幇助希望の代理決定としての慈悲殺」であり、
無益な治療論との合流なのだろうな……と想像すると、なんだかやりきれない気分になる。
2009.06.03 / Top↑
これは大いに気になるので、ちゃんと読んでみたい記事。米国の子ども全員にうつ病検査をして精神障害の早期発見をという話? 本気で? 正気?
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/05/22/AR2009052202274.html
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/05/22/AR2009052202274.html
スイスが2009年最初の4半期で不況に突入。Dignitas関連ニュースを追いかけているのでスイスは気になる。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/business/8078424.stm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/business/8078424.stm
電子タバコって、米国政府は認可していないし安全性の研究もないんだと。知らなかったよ。日本でも「さんまのまんま」に誰かがお土産に持ってきて、大売れしているはず。ニコレットも発がん性が指摘されていたけど、回りまわって実は普通にタバコを吸っているのが一番害が少なかったなんてことになるのか……?
http://www.nytimes.com/2009/06/02/us/02cigarette.html?_r=1&th&emc=th
http://www.nytimes.com/2009/06/02/us/02cigarette.html?_r=1&th&emc=th
ダライ・ラマに聖者として選ばれて、僧侶らにあがめられて育った少年Osel Hita Torresが、マドリッドで映画製作の勉強をしながら、チベット仏教幹部らへの恨みを語っている。
http://www.guardian.co.uk/world/2009/may/31/dalai-lama-osel-hita-torres
http://www.guardian.co.uk/world/2009/may/31/dalai-lama-osel-hita-torres
史上初めて65歳以上人口が16歳以下人口を超えた英国で老いるとはどういうことか・・・というGuardianのシリーズ記事、第1回。
http://www.guardian.co.uk/uk/2009/may/17/ageing-population-retirement-saga-housing
http://www.guardian.co.uk/uk/2009/may/17/ageing-population-retirement-saga-housing
決勝で惜しくも2位になったSusan Boyleさん、疲れから入院。でもハッピーだと。
http://www.guardian.co.uk/media/2009/jun/01/susan-boyle-britains-got-talent
http://www.guardian.co.uk/media/2009/jun/01/susan-boyle-britains-got-talent
テキサス州上院議会がメディケイドの対象にはならないものの保険に加入できない過程の子どもを対象とした公的健康保険S-CHIPの対象拡大を議決。連邦政府の貧困ラインの200%以下の家庭まで対象を拡大。
http://www.medicalnewstoday.com:80/articles/152017.php
http://www.medicalnewstoday.com:80/articles/152017.php
2009.06.02 / Top↑
当ブログでも去年から追いかけてきましたが、
多発性硬化症の女性 Debby Purdyさんは将来、病気が進んだ時に
スイスのDignitasに行って自殺したいと考えており、
(既に会員登録している英国人800人のうちの一人)
多発性硬化症の女性 Debby Purdyさんは将来、病気が進んだ時に
スイスのDignitasに行って自殺したいと考えており、
(既に会員登録している英国人800人のうちの一人)
その際に夫に付き添ってもらったら
現在の英国の自殺法では、その行為が自殺幇助とみなされて
帰国後に夫が罪に問われる可能性があるので
法律の明確化を求めてきました。
現在の英国の自殺法では、その行為が自殺幇助とみなされて
帰国後に夫が罪に問われる可能性があるので
法律の明確化を求めてきました。
高等裁判所は去年10月に「法改正は議会の仕事」として却下。
最高裁も今年2月に同じ論理で却下しています。
ただし2月の最高裁は事実上「罪に問われたとしても懲罰は課さない可能性はある」とも
付け足しました。
最高裁も今年2月に同じ論理で却下しています。
ただし2月の最高裁は事実上「罪に問われたとしても懲罰は課さない可能性はある」とも
付け足しました。
つまり、自殺希望者を海外へ連れて行く行為で実刑を受けることはないと
事実上、認めたような形となっています。
事実上、認めたような形となっています。
実際、これまでDignitasで自殺した英国人は100人を超えましたが、
彼らに付き添っていった家族が罪に問われた例はありません。
彼らに付き添っていった家族が罪に問われた例はありません。
このたびPurdyさんの訴えを受けて英国議会に
この点を明確化することを狙った法案が提出されることから
Purdyさんも活発に発言しており、BBCもインタビューを行っています。
この点を明確化することを狙った法案が提出されることから
Purdyさんも活発に発言しており、BBCもインタビューを行っています。
内容は、2月の報道で語っていたこととほとんど同じで、
最近、寝る前に痛み止めを飲むようになった。
口も少ししびれてきて、人と話をするとツバが飛ぶようになった。
でも、これは症状だから仕方ないと思っている。
怖いのは、この先もっと症状が進んだ時に
動けない体で自分ではどうにもできない痛みに直面すること。
自分がDignitasに行って自殺する時に夫がそれに付き添うという行為が
どういう状況下では自殺幇助とみなされ、どういう状況下では自殺幇助にならないのか
きっちり明確にして欲しい。
確かに、これまで、それと同じ行為で罪に問われた人はいないけれども
違法であることは間違いないのだから、少しでも可能性があるのだとしたら
自分は愛する夫にそんなことをさせるわけにはいかない。
英国人の8割は自殺幇助を支持しているのだから
この闘いに負けるとは思わないけど、
そこがはっきりしないなら、
当初考えていたよりも早く、まだ自分で動ける時期に
一人でスイスに行って死ぬほかないと考えている。
口も少ししびれてきて、人と話をするとツバが飛ぶようになった。
でも、これは症状だから仕方ないと思っている。
怖いのは、この先もっと症状が進んだ時に
動けない体で自分ではどうにもできない痛みに直面すること。
自分がDignitasに行って自殺する時に夫がそれに付き添うという行為が
どういう状況下では自殺幇助とみなされ、どういう状況下では自殺幇助にならないのか
きっちり明確にして欲しい。
確かに、これまで、それと同じ行為で罪に問われた人はいないけれども
違法であることは間違いないのだから、少しでも可能性があるのだとしたら
自分は愛する夫にそんなことをさせるわけにはいかない。
英国人の8割は自殺幇助を支持しているのだから
この闘いに負けるとは思わないけど、
そこがはっきりしないなら、
当初考えていたよりも早く、まだ自分で動ける時期に
一人でスイスに行って死ぬほかないと考えている。
(2本ともに同じインタビュービデオがありますが、
上の方が長いヴァージョン。
下の方は記事が詳しいですが、内容的にはこれまでのまとめ。)
上の方が長いヴァージョン。
下の方は記事が詳しいですが、内容的にはこれまでのまとめ。)
ちょっと不思議なのは、
この人の夫が発言を控えていること。
この人の夫が発言を控えていること。
このインタビューでも、一緒に現れて
インタビューの間そばにいるのに何も言わない。
インタビューの間そばにいるのに何も言わない。
確かに、自国での自殺幇助を違法とする法律を手付かずにしておきながら
スイスに連れて行く行為を事実上は容認している英国政府の現状は偽善的で、
そこを明確にせよという彼女の主張は、それなりに分からないではないのだけれど、
スイスに連れて行く行為を事実上は容認している英国政府の現状は偽善的で、
そこを明確にせよという彼女の主張は、それなりに分からないではないのだけれど、
Purdyさんはあくまでも自分たち夫婦のケースについて
「ウチの夫を罪人にしたくない」と言い続けているわけで、
「ウチの夫を罪人にしたくない」と言い続けているわけで、
「少しでも有罪になる可能性があるなら
愛する夫にそんなことをさせられないから私は独りで行く」と
まるで夫自身には意思がなくてPurdyさんが決めることという前提で
この人が常に語ることに、私はいつも、なんとなく抵抗を感じている。
愛する夫にそんなことをさせられないから私は独りで行く」と
まるで夫自身には意思がなくてPurdyさんが決めることという前提で
この人が常に語ることに、私はいつも、なんとなく抵抗を感じている。
この人の夫は、すぐ側で妻のインタビューを聞きながら、何を考えているのだろう。
法の明確化とは別の問題かもしれないけど、
ちょっと聞いてみたい気がする。
ちょっと聞いてみたい気がする。
------
この件に関する Guardianの読者の意見サイト。
2日夜10時現在で38件。
2日夜10時現在で38件。
メディアがこういう問いを設定する時にはいつものことだけど、ここでも
「自殺幇助の法は改正すべきか」と、問いそのものがズレている。
「自殺幇助の法は改正すべきか」と、問いそのものがズレている。
今回の改正のポイントは自殺幇助そのものの合法化ではなく
海外に連れて行く家族の行為を違法な自殺幇助とするかどうかだというのに。
海外に連れて行く家族の行為を違法な自殺幇助とするかどうかだというのに。
こういう時に、メディアはもう少し正確な質問設定をできないものか。
【8月9日追記】
その後、最高裁が公訴局長に法の明確化を命じ、Purdyさんは勝利を喜び、
メディアは既に自殺幇助が合法化されたかのような大騒ぎを演じていますが、
そんな中、キューバ人のPurdyさんの夫がインタビューに応じて、口を開いています。
その後、最高裁が公訴局長に法の明確化を命じ、Purdyさんは勝利を喜び、
メディアは既に自殺幇助が合法化されたかのような大騒ぎを演じていますが、
そんな中、キューバ人のPurdyさんの夫がインタビューに応じて、口を開いています。
この戦いは妻の戦いであって自分の戦いではない。
彼女がハッピーだから自分も嬉しい……など。
彼女がハッピーだから自分も嬉しい……など。
2009.06.02 / Top↑
1月のObama大統領の就任式の中継を見ていた時に、
ブッシュ元大統領(父親の方)が杖を突きながら歩いている姿を見て、
CNNのベテラン・大物キャスターのウルフ・ブリッツアが
「ちょっと痛そうです」とコメントし、
後に記者席に訂正情報が届いたらしくて「痛みはないのだそうです」と
訂正したのが印象的だったという話を
ブッシュ元大統領(父親の方)が杖を突きながら歩いている姿を見て、
CNNのベテラン・大物キャスターのウルフ・ブリッツアが
「ちょっと痛そうです」とコメントし、
後に記者席に訂正情報が届いたらしくて「痛みはないのだそうです」と
訂正したのが印象的だったという話を
大統領就任式でCNNキャスターが失言のエントリーで書いた。
人は誰かの体が自由にならない場面を見ると、こんなにも無邪気に何の疑いもなく
その人が苦痛を感じているはずだと自動的に思い込んでしまうのだなぁ、と
改めて痛感させられるブリッツァの失言だった。
その人が苦痛を感じているはずだと自動的に思い込んでしまうのだなぁ、と
改めて痛感させられるブリッツァの失言だった。
先週、吉田修一著「悪人」(朝日新聞社)を読んでいたら、
これとまったく同じ誤りを見つけた。
これとまったく同じ誤りを見つけた。
ストーリーとは無関係に、わびしい夜の病院の点景として描かれる、
「小児まひの男の子」に関する記述。
「小児まひの男の子」に関する記述。
待合ホールの奥に目を転じると、昼間はつけっぱなしにされている大型テレビの前にベビーカーを置いて、今夜もまた、髪を赤く染めた老婆がぽつんと座っている。何をするわけでもないのだが、ときどき思い出したように、ベビーカーを揺すったり、中の男児に、「なんね? どうしたと?」とやさしく話しかける。
ベビーカーには小児まひの男の子がのっている。ベビーカーにのせるには、少し大きすぎる男の子で、歪んだ手足がフリルのついたベビーカーから突き出している。
老婆は毎晩、この時間になるとここへくる。ここへ来て、返事をしない男の子に話しかけ、痛がってよじる体を摩ってあげる。(p.122-123)
ベビーカーの男の子を間近でみるのは初めてだった。遠目にもなんとなく想像はしていたが、男の子のからだは、想像以上によじれており、弱々しい斜視が、焦点もなくさまよっている。
「マモルくん」
美保は男の子の細い腕を摩った。
横で老婆が、どうして名前を知っているのか、怪訝そうな顔をする。
「さっき、看護師さんがそう呼んでたでしょう?」
美保が慌てて説明すると、嬉しそうな顔をした老婆が、「マモルは、人気者やねぇ、みんな、マモルのこと知っとるよ」と男の子の汗ばんだ額を撫でる。
「こうやって撫でてやっとると、痛みば減るとやもんねぇ」
そう言いながら、老婆はぐったりとした男の子の肩を摩った。自動販売機が、かすかに音を上げてうなる。(p.137-138)
ベビーカーには小児まひの男の子がのっている。ベビーカーにのせるには、少し大きすぎる男の子で、歪んだ手足がフリルのついたベビーカーから突き出している。
老婆は毎晩、この時間になるとここへくる。ここへ来て、返事をしない男の子に話しかけ、痛がってよじる体を摩ってあげる。(p.122-123)
ベビーカーの男の子を間近でみるのは初めてだった。遠目にもなんとなく想像はしていたが、男の子のからだは、想像以上によじれており、弱々しい斜視が、焦点もなくさまよっている。
「マモルくん」
美保は男の子の細い腕を摩った。
横で老婆が、どうして名前を知っているのか、怪訝そうな顔をする。
「さっき、看護師さんがそう呼んでたでしょう?」
美保が慌てて説明すると、嬉しそうな顔をした老婆が、「マモルは、人気者やねぇ、みんな、マモルのこと知っとるよ」と男の子の汗ばんだ額を撫でる。
「こうやって撫でてやっとると、痛みば減るとやもんねぇ」
そう言いながら、老婆はぐったりとした男の子の肩を摩った。自動販売機が、かすかに音を上げてうなる。(p.137-138)
「小児まひ」とは通常はポリオのことだけれど
ワクチンが普及した今では滅多にないと思われ、
ここで著者が意図しているのは「脳性小児まひ」つまり「脳性まひ」のことでしょう。
ワクチンが普及した今では滅多にないと思われ、
ここで著者が意図しているのは「脳性小児まひ」つまり「脳性まひ」のことでしょう。
脳性まひで(多分ポリオでも)手足が捻じ曲がっていることそのものには
痛みは伴いません。
痛みは伴いません。
本当は
多少はみ出すとしてもベビーカーに乗れるくらいの年齢では
まだ体もそれほど、ねじれてはいないはずだし、
もし既にねじれて見えるとしたら、緊張の強い痙直型だろうから
逆に「ぐったり」などしていないはずだと思うのだけど、
そのあたりの細かい矛盾はともかく、
多少はみ出すとしてもベビーカーに乗れるくらいの年齢では
まだ体もそれほど、ねじれてはいないはずだし、
もし既にねじれて見えるとしたら、緊張の強い痙直型だろうから
逆に「ぐったり」などしていないはずだと思うのだけど、
そのあたりの細かい矛盾はともかく、
ここに見られるのもまた、
「身体に重い障害がある」外見から直線的に連想されてしまった「痛み」。
「身体に重い障害がある」外見から直線的に連想されてしまった「痛み」。
体を自由に動かせないから、または体の部分がねじれているから、
本人にとってはただ動こうとする身動きでしかないのに
傍目には「体をよじっている」ように見える。
本人にとってはただ動こうとする身動きでしかないのに
傍目には「体をよじっている」ように見える。
しかし、体の動きが「よじっているように見える」ことは
そのまま「痛みがある」ことを意味するわけではありません。
そのまま「痛みがある」ことを意味するわけではありません。
そこに痛みへの連想をくっつけて「痛がって体をよじっている」と解釈するのは
「こんなによじっているのだから痛いに違いない」とする
障害に対する無知に基づいた勝手な誤解であり、
ブッシュ元大統領が杖を突いて歩く姿に「痛そうです」と感じたブリッツァと同じ。
「こんなによじっているのだから痛いに違いない」とする
障害に対する無知に基づいた勝手な誤解であり、
ブッシュ元大統領が杖を突いて歩く姿に「痛そうです」と感じたブリッツァと同じ。
著者はブリッツァと同じ誤解に基づいてこのシーンを書いているので、
自動的に読者もその誤解を共有させられて、
男の子の「汗ばんだ額」も「ぐったりした肩」も
おそらくは「小児まひの痛み」と繋がってしまうのではないでしょうか。
自動的に読者もその誤解を共有させられて、
男の子の「汗ばんだ額」も「ぐったりした肩」も
おそらくは「小児まひの痛み」と繋がってしまうのではないでしょうか。
どれほど多くの人が、この本を読み、
ストーリーの展開と無関係な、この男の子に関する記述を
大して気にも留めずに読みすごし、だけど読みすごしつつ無意識のうちに
「全身の痛みに常時耐えている小児まひの子ども」という悲惨なイメージを
自分の中に取り込んでしまうことか。
ストーリーの展開と無関係な、この男の子に関する記述を
大して気にも留めずに読みすごし、だけど読みすごしつつ無意識のうちに
「全身の痛みに常時耐えている小児まひの子ども」という悲惨なイメージを
自分の中に取り込んでしまうことか。
外見的な障害の重さに、人は根拠もなく、こんなにも単純に
痛苦を連想し、勝手に結び付けてしまう。
痛苦を連想し、勝手に結び付けてしまう。
「こんなにも体がねじれて痛いに違いない」
「こんなにも障害が重度なのだから生きていることそのものが苦しいに違いない」
「こんなにも障害が重度なのだから生きていることそのものが苦しいに違いない」
「寝たきりで言葉もなく、自分では何もできないのだから
きっと何も分からないのだろう」
きっと何も分からないのだろう」
こんな体で生きていても、痛くて苦しいばかりで
いっそ死んだ方がマシなんじゃないか……。
いっそ死んだ方がマシなんじゃないか……。
きっと本人だって、そう感じているはずだ……。
英米でジワジワと広がっていく
「死なせてあげることが本人の最善の利益」という“慈悲殺”の論理と
こうした、無知からくる誤った連想との距離は、
実は思いのほか小さいのかもしれない。
「死なせてあげることが本人の最善の利益」という“慈悲殺”の論理と
こうした、無知からくる誤った連想との距離は、
実は思いのほか小さいのかもしれない。
小さなマモル君が誰かに撫でてもらっている時だけ和らぐほど痛みに常時さいなまれていて、
それが何もしていない時にも体をよじらせるほどの耐え難い痛みなのだと、
本気でリアルに想像してみれば、マモル君の置かれた状況は
それこそ想像する方が耐え難いほどの悲惨になってしまう……ということを思えば、
それが何もしていない時にも体をよじらせるほどの耐え難い痛みなのだと、
本気でリアルに想像してみれば、マモル君の置かれた状況は
それこそ想像する方が耐え難いほどの悲惨になってしまう……ということを思えば、
その、見ている方が耐え難いと感じる悲惨を、実は何の痛みも感じていないマモル君に投影するだけで
慈悲殺の論理との距離は埋まってしまう。
慈悲殺の論理との距離は埋まってしまう。
ちなみに「悪人」そのものは悪くない作品でした。
2009.06.02 / Top↑
オーストラリア子ども財団(the Australia Childhood Foundation)から、世界的経済危機で児童虐待が15-20%増えている、と。助けを求める電話がこの1月で急増しており、今後1年で1割方増えるだろう、とも。
http://www.canberratimes.com.au/news/national/national/general/financial-crisis-contributes-to-violence-child-abuse/1527976.aspx?src=enews
http://www.canberratimes.com.au/news/national/national/general/financial-crisis-contributes-to-violence-child-abuse/1527976.aspx?src=enews
タイタニックの最後の生き残りの女性が97歳で死去。当時生後2ヶ月の赤ん坊だった。1ヶ月前に、この女性のナーシングホームの費用への援助として、デカプリオとケイト・ウインスレットがジェームス・キャメロン監督と一緒に2万ポンドを寄付したとか。
http://www.guardian.co.uk/world/2009/jun/01/last-titanic-survivor-dies
http://www.guardian.co.uk/world/2009/jun/01/last-titanic-survivor-dies
Kansas州で妊娠後期の中絶を行っているとして以前からクリニックが爆破されたり攻撃を受けていた著名なプロ・チョイス派医師 George Tiller 氏、日曜日に教会で撃たれて死亡。これで米国の中絶反対活動家による攻撃で亡くなった人は少なくとも7人。
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/us_and_americas/article6401198.ece?&EMC-Bltn=EBIBRA
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/us_and_americas/article6401198.ece?&EMC-Bltn=EBIBRA
天安門事件から6月4日で20年。当時大学生だった中国人4人のエッセイ。
http://www.nytimes.com/2009/05/31/opinion/31tiananmen.html?_r=1&th&emc=th
http://www.nytimes.com/2009/05/31/opinion/31tiananmen.html?_r=1&th&emc=th
2009.06.01 / Top↑
自殺希望者を海外へ連れて行く家族や友人を罪に問わないことにするべく
自殺幇助は14年以下の禁固刑とされている自殺法の改正法案が議員の口の端にのぼり
前保健相などによって提出されては時間切れで審議されずにきたりしていますが、
自殺幇助は14年以下の禁固刑とされている自殺法の改正法案が議員の口の端にのぼり
前保健相などによって提出されては時間切れで審議されずにきたりしていますが、
このたび、またLord FalconerとBaroness Jayによって
The Coroners and Justice 改正法案が提出されて、火曜・水曜にも審議予定とのこと。
The Coroners and Justice 改正法案が提出されて、火曜・水曜にも審議予定とのこと。
そこで、当ブログのエントリーから、一度このへんで
去年からの英国での自殺幇助関連の動きをまとめてみることにしました。
去年からの英国での自殺幇助関連の動きをまとめてみることにしました。
【Debby Purdy さんが法の明確化を求めている件】
MS女性、自殺幇助に法の明確化求める(2008/6/27)
親族の自殺協力に裁判所は法の明確化を拒む(2008/10/29)
自殺幇助希望のMS女性が求めた法の明確化、裁判所が却下(2009/2/20)
MS女性、自殺幇助に法の明確化求める(2008/6/27)
親族の自殺協力に裁判所は法の明確化を拒む(2008/10/29)
自殺幇助希望のMS女性が求めた法の明確化、裁判所が却下(2009/2/20)
【Dignitasでの米人自殺映像がテレビ放映される】
英TVにDignitasでの自殺映像、Brown首相「合法化は支持しない」(2008/12/12)
スイスの“自殺ツーリズム”批判(2008/12/15)
英TVにDignitasでの自殺映像、Brown首相「合法化は支持しない」(2008/12/12)
スイスの“自殺ツーリズム”批判(2008/12/15)
【Dr.Nitschkeによる安楽死ワークショップ】
オーストラリアのDr.Death、安楽死のワークショップのため英国へ(2009/5/8)
Dr.Deathの自殺ワークショップに聴衆100人(2009/5/11)
オーストラリアのDr.Death、安楽死のワークショップのため英国へ(2009/5/8)
Dr.Deathの自殺ワークショップに聴衆100人(2009/5/11)
【Dignitas関連情報】
スイスDignitasで幇助自殺とげた英国人100人に(2008/10/3)
「病気の夫と一緒に死にたい」健康な妻の自殺をDignitasが検討中(2009/4/2)
最高裁、Dignitasにペントバルビタールのストックを認めず(2009/4/10)
うつ病患者の自殺幇助でDignitasにスイス当局の捜査(2009/5/27)
Dignitasに登録の英国人800人(2009/6/1)
スイスDignitasで幇助自殺とげた英国人100人に(2008/10/3)
「病気の夫と一緒に死にたい」健康な妻の自殺をDignitasが検討中(2009/4/2)
最高裁、Dignitasにペントバルビタールのストックを認めず(2009/4/10)
うつ病患者の自殺幇助でDignitasにスイス当局の捜査(2009/5/27)
Dignitasに登録の英国人800人(2009/6/1)
【言論・議会の動き】
英国著名哲学者、認知症患者に「死ぬ義務」(2008/9/29)
英国式「オレゴン式・死に方」の勧め(2008/10/22)
Tom Shakespeareが「自殺幇助合法化せよ」(2009/3/15)
「ターミナルな患者を自殺のために海外へ連れて行くのは合法に」と英国前保健相(2009/3/20)
「重い障害負って何年も生きるくらいなら私は片道切符でスイスへ行く」と英労働党議員(2009/3/21)
英国医師の3分の2は自殺幇助に反対(2009/3/25)
BBCラジオ看板キャスターが「自殺幇助合法化せよ」と新刊書(2009/3/30)
英国看護師の3分の2が自殺幇助合法化に賛成とはいうけれど](2009/4/21)
欧州緩和ケア協会がプレスリリースで安楽死・自殺幇助を批判(2009/5/12)
自殺幇助を相談する患者の急増で、英国看護学会が会員向けにガイドラインを出す、と(2009/5/18)
英国著名哲学者、認知症患者に「死ぬ義務」(2008/9/29)
英国式「オレゴン式・死に方」の勧め(2008/10/22)
Tom Shakespeareが「自殺幇助合法化せよ」(2009/3/15)
「ターミナルな患者を自殺のために海外へ連れて行くのは合法に」と英国前保健相(2009/3/20)
「重い障害負って何年も生きるくらいなら私は片道切符でスイスへ行く」と英労働党議員(2009/3/21)
英国医師の3分の2は自殺幇助に反対(2009/3/25)
BBCラジオ看板キャスターが「自殺幇助合法化せよ」と新刊書(2009/3/30)
英国看護師の3分の2が自殺幇助合法化に賛成とはいうけれど](2009/4/21)
欧州緩和ケア協会がプレスリリースで安楽死・自殺幇助を批判(2009/5/12)
自殺幇助を相談する患者の急増で、英国看護学会が会員向けにガイドラインを出す、と(2009/5/18)
【ヨーロッパでの自殺幇助関連の動き】
鼻腔癌で自殺幇助希望を却下された女性死亡(仏)(2008/3/22)
大物政治家が健康な独居老女の自殺を幇助(独)(2008/7/7)
議会が通した安楽死法案に大公が署名を拒否(ルクセンブルク)(2008/12/4)
伊の安楽死問題、首相に大統領に議会にバチカン巻き込み大騒動に(2009/2/10)
伊で安楽死の女性、死因は心臓発作(2009/2/13)
スコットランドでも自殺幇助合法化法案か(2009/2/20)
スコットランドでも「死の自己決定権」アドボケイトの医師が高齢障害者の餓死を幇助(2009/3/11)
ルクセンブルクが安楽死を合法化(2009/3/19)
ベルギーでは2002年の合法化以来2700人が幇助自殺(2009/4/4)
スコットランドの自殺幇助合法化法案に倫理団体から批判(2009/4/22)
スコットランド議会での自殺幇助合法化案、提出されることに(2009/4/25)
アイルランドでも自殺幇助合法化を求める声、懸念する声(2009/4/29)
去年の安楽死・幇助自殺2300人のオランダで自殺幇助アドボケイトに10ヶ月の禁固刑(2009/5/31)
鼻腔癌で自殺幇助希望を却下された女性死亡(仏)(2008/3/22)
大物政治家が健康な独居老女の自殺を幇助(独)(2008/7/7)
議会が通した安楽死法案に大公が署名を拒否(ルクセンブルク)(2008/12/4)
伊の安楽死問題、首相に大統領に議会にバチカン巻き込み大騒動に(2009/2/10)
伊で安楽死の女性、死因は心臓発作(2009/2/13)
スコットランドでも自殺幇助合法化法案か(2009/2/20)
スコットランドでも「死の自己決定権」アドボケイトの医師が高齢障害者の餓死を幇助(2009/3/11)
ルクセンブルクが安楽死を合法化(2009/3/19)
ベルギーでは2002年の合法化以来2700人が幇助自殺(2009/4/4)
スコットランドの自殺幇助合法化法案に倫理団体から批判(2009/4/22)
スコットランド議会での自殺幇助合法化案、提出されることに(2009/4/25)
アイルランドでも自殺幇助合法化を求める声、懸念する声(2009/4/29)
去年の安楽死・幇助自殺2300人のオランダで自殺幇助アドボケイトに10ヶ月の禁固刑(2009/5/31)
また、第2回安楽死・自殺幇助国際シンポジウムに参加した人が
その際に行われたthe Care Not Killing Allianceのディレクターの講演内容を元に
英国の自殺幇助関連のこれまでをブログにまとめておられました。
その際に行われたthe Care Not Killing Allianceのディレクターの講演内容を元に
英国の自殺幇助関連のこれまでをブログにまとめておられました。
2009.06.01 / Top↑
これまでにDignitasの会員登録をしている英国人は約800人で
そのうち34人は既に医師とDignitas創設者 Ludwig Minelli氏との面接を終え、
Dignitas言うところの“予備承認”(provisional green light)を得ている。
そのうち34人は既に医師とDignitas創設者 Ludwig Minelli氏との面接を終え、
Dignitas言うところの“予備承認”(provisional green light)を得ている。
そのうち1人は近くDignitasで自殺を実行することになっており、
他に4人はいったん日時を決定したものの延期。
残り29人はまだ日時を決めていない。
他に4人はいったん日時を決定したものの延期。
残り29人はまだ日時を決めていない。
さらにスイスの医師が面接したところ
不治の病でない、または意思決定を行える精神状態にないとの理由で断られた人が4人。
不治の病でない、または意思決定を行える精神状態にないとの理由で断られた人が4人。
Dignitasによると
2003年にDignitasで自殺した英国人は15人。
2006年には26人。
2008年1-5月の間に8人。
その後の1年間に23人とのこと。
2003年にDignitasで自殺した英国人は15人。
2006年には26人。
2008年1-5月の間に8人。
その後の1年間に23人とのこと。
Dignitasの会員登録をする英国人は2002年から10倍に増加。
英国議会では来週にも the Coroners and Justice Bill改正法案が提出される見通しで、
このところ盛んになっている1961年の自殺法(自殺幇助を14年以下の禁固刑)の改正議論に
さらに拍車がかかりそうだ。
このところ盛んになっている1961年の自殺法(自殺幇助を14年以下の禁固刑)の改正議論に
さらに拍車がかかりそうだ。
2009.06.01 / Top↑